2011-01-01から1年間の記事一覧

全面撤退の申し出は本当か?

3月15日の東電の撤退申し出について書いたら、すぐにツイッターで「あくまで菅首相の言い分」ではないかとの疑問が寄せられた。 確かにそうで、菅直人氏はこれまでよく、事実をゆがめて自分に都合のよいパフォーマンスをしてきた。http://d.hatena.ne.jp/…

ほんとに撤退しようとした東電

菅直人前首相のインタビューが複数の新聞に載っていた。 《菅前首相は、事故四日後の三月十五日に東電本店に乗り込んだ理由を「午前三時ごろ、海江田万里経済産業相(当時)から『東電が第一原発から撤退の意向を示している』と言われた」ためと明言。「(第…

神社で止まる津波12-神道から脱原発

きょうの朝日歌壇に、また松田姉妹の歌が選ばれていた。 夏休み長いねと言う大人たち短いと思う夏はあといくつ (松田梨子) 宿題はあと日記だけばあちゃんと並んで座るサンダーバード (松田わこ)おばあちゃんと特急サンダーバードに乗って、大阪にでも行…

神社で止まる津波11―ぎりぎりの理由

写真は、熊谷君が撮影した福島県相馬市のある神社。階段下の鳥居まで津波でやられている。 このように、まさに「ぎりぎり」に建っていた神社が多い。 津波を避けるだけならば、山の方に引っ込んだところにでも建てればいいのではないか。神社の立地にはそれ…

神社で止まる津波10-津波記念碑

世界を見渡すと、日本列島は、雨に恵まれた温和なところで、とても暮らしやすい自然環境にあると思う。 ただし、地震、津波、台風と破壊的な災害の多いところでもある。 先人は、災害の記録をさまざまに残した。 三陸海岸には、大津波の被害を伝える石碑が、…

神社で止まる津波9−梅田は埋田

津波の被害を免れたのは、神社だけではなかった。 古い街道と宿場町にも同様のことが見られたのだ。 《東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南の沿岸部で、津波の浸水が江戸時代の街道と宿場町の手前で止まっていたことが、東北大東北アジア研究センター…

神社で止まる津波8-被災した神社も

写真は熊谷君が撮った塩釜神社。 神社の前にがれきの山ができている。 番組のきっかけは、熊谷君が福島県沿岸部82の神社を回って調べたことだった。(21日の日記) 番組では、熊谷君の案内で、南相馬市の八龍神社を訪れた。 小高い丘にある神社の土手の1…

神社で止まる津波7-石橋克彦氏の警告

地震学者の石橋克彦氏は、1997年に「原発震災」という概念を打ち出した。 「原発震災」とは「地震による原発の放射能災害と通常の震災とが複合・増幅しあう破局的災害」であり、今回の大震災を予言するものだった。 石橋氏は、震災後の政府の対応を厳し…

神社で止まる津波6-映画「黎明」

うちのかみさんが、梅干を作っている。 夏の日差しに赤が映える。 あんまり鮮やかなので、一枚写真を撮った。 さて、今から1240年も昔の貞観(じょうがん)地震と津波に関する知見は、90年代に大きく進み、日本の歴史地震研究から新たな光が当てられて…

神社で止まる津波5-東電が貞観津波を試算

東電は、最大で5.7メートルの津波しか来ないと想定し、今回の13メートルの高さの津波を「想定外」としてきたが、実はちゃんと5.7メートルよりはるかに大きな津波が来る試算をしていた。25日の朝刊が一斉に書いた。 《東京電力が東日本大震災前に、…

島田紳助の美学?

島田紳助の引退が、民放だけでなくNHKのニュースでも大きな扱いだ。 紳助さんとは、「サンプロ」のMCをやっていたときにお付き合いがあった。放送前日の土曜夜に打ち合わせがあり、私はよく特集をレクチャーした。あの忙しい中、サンプロは手を抜けない…

神社で止まる津波4-津波除け伝説

一昨日の朝日歌壇。 先々週の松田姉妹(http://d.hatena.ne.jp/takase22/20110816)、選ばれてるかなと見たら、あった。 玄関でクルッと回ってスカートをふわっとさせてねえちゃんお出かけ (富山市)松田わこ すると、あの期末テストを詠んだ梨子ちゃんがお…

神社で止まる津波3-貞観津波

ゆうべ、駅からの帰宅途中、道路わきの草むらで虫がさかんに鳴いているのに気づいた。秋がもうそこまで来ている。時間が経つのは早いなあ。 さて、貞観(じょうがん)の大地震・大津波は、今回の大震災で突如、注目されるようになった。 津波の規模や波高、…

神社で止まる津波2

リビアのカダフィ体制がほぼ瓦解し、首都トリポリの「緑の広場」で国民が、カダフィ打倒を叫んでいる。 4年前の8月31日、私は緑の広場で、何万人もの民衆がカダフィを称えながら行進するさまを撮影していた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20070902 そ…

神社で止まる津波

きのうのTBS報道特集「神社が止めた津波」はいかがでしたか。 ツイッター上では、これまでにない大きな反響があり、興味を持って観ていただいたようだ。 番組化のきっかけになったのは2ヶ月前の6月15日の夜だった。 5年ほど前までジン・ネットで働いていた熊…

分かれる放射能の影響評価5

前回、チェルノブイリ原発事故による死者の数を取り上げた。 福島の事故への対処を考えるうえで、最も切実な情報なのだが、評価が大きく分かれている。チェルノブイリ・フォーラム(IAEAやWHO、ウクライナ政府などが主催)など、将来がん死する人も含…

蟹かつかつと

トマトにはリコピンがある私にはリコちゃんがいるどっちも大事 (富山市 松田わこ) 1週前の8日の朝日歌壇に選ばれていたとても可愛い歌だ。 これは3人の選者が選んでいる。 こんなのもあった。 期末テスト終わってセミが鳴き出した私はレモンパイほおばった…

首都圏でも高い放射能汚染2

8日の「放射線防御プロジェクト」の記者会見がどう報道されるたかと翌朝の新聞をひろげたが、ない。当然、主要全国紙で記事が出ると思っていたので、意外だった。 午後、地下鉄の駅で買った「日刊ゲンダイ」が大きな記事を載せていた。 「衝撃 1都4県土壌…

首都圏でも高い放射能汚染

原発事故の被爆対策では、何もしない政府に見切りをつけて、民間がどんどん動いている。 ある市民団体が、首都圏で放射能の土壌調査を実施し、きょう、参議院議員会館で記者会見を開いた。 6月中旬に『日刊ゲンダイ』が、都内170か所の放射線量を公表。最…

日系企業放射能垂れ流し事件と誤報2

三菱化成が35%出資するARE(アジアン・レアアース)は、精錬の過程で出る放射性廃棄物のずさんな管理によって、近隣住民や労働者に白血病や奇形児出産などを生じさせたと問題にされた。 抗議運動が高まり、裁判も起こされて、結局AREは92年に操業…

日系企業放射能垂れ流し事件と誤報

夕刊に日立がテレビ生産から撤退のニュースがあった。 「日立製作所は、テレビの自社生産から撤退する。唯一の自社工場である岐阜工場(美濃加茂市)でのテレビ生産を2011年度中に終了させる。すでに国内外で販売するテレビの9割超を海外のEMS(電子機器…

被災した石巻で川開き

昨夜、先週おじゃました『石巻日日新聞』の武内報道部長に電話をした。 http://d.hatena.ne.jp/takase22/20110726 人ごみのなかにいるらしく、まわりがとても騒がしい。 「いま、ちょうど花火やってるんです、聞いてください」と武内さん。携帯を空に向けた…

分かれる放射能の影響評価4

私の知り合いで放射線検知器を購入する人が増えている。 ツイッターで毎日、自宅周辺の数値を発信している友人もいる。ホットスポット探しが、民間の手で今も精力的に続いている。 「おかみには頼っていられない」という行政への不信が不安を広げ、こうした…

分かれる放射能の影響評価3

月末といえば資金繰り。 ブルーになるが、「お互いさまだよ」と支払いを待ってくれる人や、「あるとき払いで」とお金を融通してくれる人がいたり、情けが身にしみる時期でもある。 きょうは、月末の金曜日。今月も何とか乗り切って一息ついた。一杯やらなく…

分かれる放射能の影響評価2

日記で「つづく」と書いておきながら、翌日には別の気になったことを書いて、元の話を忘れてしまうことがよくある。 きょうは、21日の「分かれる放射能の影響評価」のつづき。 2005年、IAEA(国際原子力機関)本部で開かれたチェルノブイリ・フォーラ…

壁新聞を出した新聞社

宮城県の石巻市にある石巻日日(ひび)新聞社に行ってきた。 石巻市、東松島市、女川町をカバーする地域紙で、震災直後、手書きの壁新聞を貼り出して住民に情報を発信したことで知られる。。 未曾有の震災は、創立99年の老舗の地域紙をも襲った。 社屋が浸水…

総リスクという考え方

振れ止まぬ線量計や行々子 (福島市 ニ宮 宏) 朝日俳壇より (行々子(ぎょうぎょうし)は、ヨシキリのことで夏の季語)ちゃんと水やりをしているのに、鉢植えのアサガオが花をつけない。 ツルはどんどん延びて見上げるほど。なのに、蕾が一つも見えない。…

飯舘村の涙

このごろ、新聞の訃報欄に目が行く。 この間、吉良龍夫(森林学)、松浦総三(評論家)、グエン・カオ・キ(元南ベトナム副大統領、写真)の訃報。本や記事で読んだ人々で、直接の知り合いではないが、それぞれ思い出がある。 ゆうべはNHKスペシャルの「…

汚染地図まで民間がつくるのか

肉も魚も危ないと、不安が募る一方で、時間の経緯とともに、どうしようもないという諦めに似たムードが蔓延してもいる。 政府の無策が大きい。 初動での情報隠蔽と、次々とひっくり返された根拠なき楽観的説明で、政府・東電の言うことは信頼されなくなった…

分かれる放射能の影響評価

今朝の東京新聞に「内部被ばく研究の国際的権威 バズビー博士に聞く」というインタビュー記事が載っていた。(写真は毎日新聞から) クリス・バズビー博士は、ECRR(欧州放射線リスク委員会)の科学議長を務める幹部で、いま来日している。 ECRRは、…