ガザではすでに飢餓が深刻になっている。ガザ北部で2歳未満の3人に1人が栄養失調とユニセフなど国連機関が発表している。
ニュースでは北部の子どもたちの惨状が報じられていた。人道支援機関は危険すぎて北部に物資を運んでいけないという。イスラエル軍はNGOも容赦なく攻撃するからだ。
信じ難いことが世界の人々の目の前で起きているのだが、止められない。無力感を感じるが諦めてはならない。
セーブザチルドレンのカリン・ビーティさんは、「私たちは何ができるか」との問いに、こう答えている。
「政府に圧力をかけるため、できることは何でもして、停戦を要求し続けてほしい。それが私たちにできる最も重要なことです」
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欧州はウクライナに対し、3月までに砲弾100万発を供与する目標だったが、実際は52万発にとどまると見られている。
ゼレンスキー大統領は「失望している。今は我々の結束にとって最も困難な時期。戦争がどのように終わるかは今年にかかっている。転換の年だ。」
ウメロフ国防相は「欧米側が供与すると約束した兵器の50%しか受け取ることができていない。(支援が)予定通りに届かなければ、市民が犠牲になり、領土を失うことになる」
このかん、ウクライナは防空体制が弱体化。とくに地対空ミサイルが枯渇状態にあるもようで、ロシアのミサイルやドローンを迎撃できずに、発電所など民間インフラに大きな被害が出ている。それらのミサイルは多くがロシア本土から発射されている。
本来はその発射基地を叩かなくては連日飛んでくるミサイルを止められないのだが、ウクライナは欧米から「ロシアを刺激しないように」と言い渡され、ロシア本土の攻撃を控えろと指示されている。
前線では多勢に無勢で後退を強いられ、空からもやられっぱなしのウクライナだが、今年に入ってロシア国内の石油関連施設を標的にドローン攻撃を繰り返している。石油の生産を妨害することでロシアの戦費となる収入源を断つ狙いがあると見られている。
先日はロシア本土深く、タタルスタンまでドローンを侵入させ、ドローン「シャヘド」生産工場と大規模石油関連施設を攻撃した。
ウクライナのこうしたロシア領内の石油関連施設攻撃で、ロシアの製油能力が14%程度失われているとの試算がある。
《[モスクワ 26日 ロイター] - ドローン(無人機)攻撃を受け稼働を停止したロシアの製油所の生産能力が合計で日量12万4580トン(日量90万バレル)に達したことが分かった。製油能力全体の14%が失われたことになる。ロイターの試算で26日明らかになった。
ドローン攻撃で稼働を停止した主要な製油所には、石油大手ルクオイル(LKOH.MM), opens new tabのノルシ製油所やボルゴグラード製油所のほか、石油大手ロスネフチ(ROSN.MM), opens new tabのクイビシェフ製油所やトゥアプセ製油所、リャザン製油所が含まれる。ノルシやリャザンは4月末、トゥアプセは5月末に再稼働する見通し。》
《アメリカがウクライナに対して、ロシアの石油精製施設に対する攻撃をやめるよう求めた」と『フィナンシャル・タイムズ』(3月22日)は報じている。
この記事によると、バイデン政権は、ロシアの石油生産能力の低下で世界的なエネルギー価格が上昇することを懸念、11月のアメリカ大統領選挙に向けてアメリカ国内のガソリン価格などが上昇すれば、バイデン大統領の再選に影響を及ほすとして攻撃停止を求めたという。
これについて、ゼレンスキー大統領は、先日、ワシントンポストのインタビューで、「 (無人機攻撃に関して)アメリカの反応は肯定的ではなかった」とフィナンシャル・タイムズの報道を認めた一方で、「我々は自分達の無人機を使用した。誰も私達に対して攻撃するなとは言えない」と述べ、攻撃を続ける姿勢を示した》(NHK国際報道4日放送より)。
こんどはアメリカ国内で、この政府の対応が政治問題になっている。
共和党から、大統領選挙目当てではないかと追及されると、世界のエネルギー状況を理由にしたり、民間施設への攻撃は国際法違反で民主主義に反するという理由にしたり・。
このあたふたした対応を、ウクライナの人々はどう見るのか。
世論調査では、ウクライナ国民の85%は今も「ロシアに勝利できると確信している」という。