首都圏でも高い放射能汚染2

8日の「放射線防御プロジェクト」の記者会見がどう報道されるたかと翌朝の新聞をひろげたが、ない。当然、主要全国紙で記事が出ると思っていたので、意外だった。
午後、地下鉄の駅で買った「日刊ゲンダイ」が大きな記事を載せていた。
「衝撃 1都4県土壌150ヵ所調査結果」「首都圏もチェルノブイリ並みに汚染されている」「巣鴨に『居住禁止』級のホットスポットが・・・」との大見出しで、主な地点の調査結果をリストにし、会見を詳しく伝えている。
他に記事を載せたのは「しんぶん赤旗」のみ。テレビではTBSがニュースで取り上げたようだ。
会見は広くマスコミに事前通知され、会場には全国紙の記者が来て取材していた。記事がないのは、ニュース選択の判断で「載せる必要なし」とされた結果だ。主要紙がそろってそういう判断をしたわけだ。
これは、私だけでなく、多くの人のニュース感覚とは、ずれているように思うのだが、どうだろうか。
さて緊急時避難準備区域の解除が始まりそうだが、解除の前にしっかりと除染をやるべきだ。自治体が大学と提携して動き出した。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、福島県南相馬市東京大学アイソトープ総合センターは6日、警戒区域を除いた市内全域で放射性物質を取り除く除染を共同実施すると発表した。
 政府は今月下旬にも原発から20キロ・メートル以遠の緊急時避難準備区域の解除を検討している。放射線量が高いままでは解除されても市民が避難先から戻って来ない懸念がある。市は補正予算を組み、早急に除染を進めることにした。
 市によると、ヘリコプターなどで上空から放射性物質の汚染の状況を調べ、放射線量の高い建物や土壌がある地点などを記した汚染マップを作製。その 上で、放射線量が高い場所では、同センターの助言を受けながら、市が専門的な除染を行う。緊急時避難準備区域にある幼稚園の排水溝で33マイクロ・シーベ ルトを観測しており、こうした場所などが対象となる。
 放射線量が低い場所では、小中学校や幼稚園などの公共施設の壁を高圧洗浄機を使って洗い流したり、校庭などの表土を削って埋め立てたりする作業を市が行う。一般住宅などの民間の建物や庭の除染は、NPOのほか市民ボランティアも募って実施する。》(8月7日読売新聞)
地上で調べるのでは時間も手間もかかりすぎる。ヘリを使えば汚染マップはすぐできる。それをもとに、突出して汚染度の高い箇所をピンポイントで除染する一方で、低い汚染場所は「面」で除染するという両面作戦だ。効果的だと思う。
ぜひ成功させて、他の自治体の見本になってもらいたい。
8日の記者会見にもどるが、要望書の第二項目「食品の放射性物質の暫定基準の見直し」と「全食品の放射性物質検査」について、紀藤正樹弁護士がいくつか興味深い指摘をしていた。その中から一つ紹介したい。
食品の暫定規制値は、低いに越したことはないが、まずは整合性の点で改善を迫ることが有効だと紀藤氏はいう。例えば、いま日本では、海外から入ってくる食品の輸入規制値が370ベクレル/?なのに、国内の暫定規制値はこれより高い500ベクレルになっているのはおかしい、というように。
さらに紀藤氏は、基準値以下でも、流通する食品に放射性物質の線量を表示することを提案した。人工甘味料酸化防止剤、防腐剤、発色剤などと同様に「セシウム137が10ベクレル含有」と食品に表示させるわけだ。
500ベクレルと200ベクレルの差がどのくらいか、科学的な議論では解決しない。何ベクレルまでなら「安全」といえない以上、国民の不安な気持ちにこたえる施策を採らせるようにしたいという。
「科学的」ではなく「気持ち的」にという提言には考えさせられた。