予算案通過にみる国会の根本問題

 JBpressで拉致問題の連載を始めた。

 12日(木)、13日(金)ときょう15日(日)にアップされた。
 今朝チェックしたら、アップしたばかりの3作目含め、3本ともランキング10位内(5,9,10位)に入っているのでびっくり。


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 旬のニュースネタに伍してランキング入り。注目されているようだ。これで本が売れてくれるといいのだが。
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 高市首相が「年度内成立」をめざす新年度予算案が、衆議院をスピード審議で通過。

 総額122兆3092億円で過去最大。審議時間は59時間という異例の短さで、強引に審議を打ち切っての採択だった。暴挙なのだが、なにか粛々と進んでいった感じである。圧倒的な与党の数と野党の迫力不足、そして批判的なメディア報道の少なさがこの事態を招いているのか。

衆院通過のあとの首相のあいさつ回り。笑顔で迎える中道幹部ら。

 TBS「サンデーモーニング」で、コメンテーターの松原耕二氏が根本的な問題を指摘していた。

「衆議院の進め方は、まさに国会が行政に……というよりは、高市総理に従属している存在になってしまったという風に言えるんだと思います。

 ただ、考えなきゃならないのは、日本の国会の持つ、ある「欠陥」だと私は言ってもいいと思うんですが。

 長い間、日本の国会というのは、与党・自民党が事前に予算案も含めて審査をして、練って、練ってと(自民党内ではですよ)。で、国会では一字一句変えないということが長く続いてきたわけです

 ただ、一昨年の補正予算では、少数与党の下で28年ぶりに、実は補正を組み替えてるんですよね、予算を。で、「ここで変わるかな」と思いきや、これでまた元に戻ると。そうなると何が起きるかというと、結局自民党でチェックすれば、国会ではどうせ「歌舞伎」みたいな議論でしょと。じゃあ長い議論であろうと短い議論であろうと、どっちでもいいんじゃないの?と。

 要するに「国会はいらないんでしょ?」という話に本当になりかねないんですよね。で、世界では与野党が一緒に予算を長い間かけてチェックして、組み直すっていうのは世界中どこでもやってることなんです。

 政治っていうのは国民から税金を集めて、それをどう配分するか。これが「政治そのもの」なわけですよね。だから、私は参議院にも頑張ってほしいと思いますけど、今のような国会の本質的に持つ問題を、もう一回私は議論してほしいという風に思います。

 この指摘は新鮮だったし、非常に重要だと思う。
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 トランプ大統領、戦火を拡大させてホルムズ海峡が危なくなったら、「日本などに“ホルムズ海峡に艦船派遣を”要請」とのニュース。

 しかし、彼のSNSを見ると、ただの艦船ではない。warshipsつまり「軍艦」と書いてある。

「多くの国々、特にイランによるホルムズ海峡封鎖の試みによって影響を受けている国々は、海峡を安全に保つためにアメリカと協力して軍艦を派遣することになるだろう」

「願わくば、この人工的な制約の影響を受けている中国、フランス、日本、韓国、イギリス、その他がこの地域に艦船を送り、ホルムズ海峡がもはや脅威とならないようにすることを望む」

「その間、アメリカは海岸線を激しく爆撃し、イランのボートや船を絶え間なく撃沈し続ける。いずれにせよ、我々はすぐにホルムズ海峡を『オープンで、安全で、自由』なものにする!」と。

 欧州の首脳もここにきて米国と一線を引きだした。

 英国のスターマー首相はインド洋の米英共同基地ディエゴガルシアを米軍に使用させなかった。またスペインのサンチェス首相は米軍に基地を使用させなかったことでトランプ大統領から禁輸措置の脅しをかけられている。

 フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相は米国・イスラエルの攻撃は国際法の範囲外だと表明。

 高市首相は訪米して19日にトランプ大統領と首脳会談を行うが、どうなるか。

 「何を言いだすか分からない大統領」と「何を言ってしまうか分からない首相」の会談は、危ういこと、この上ない。

震災と“日本人らしさ”について②

 2011年8月、当時私が代表を務めていた制作会社「ジン・ネット」はTBS報道特集で「神社が止めた津波」という特集を制作した

 「震災モノ」としては異色の特集だったが、好評だった。この企画はひょんなことから生まれた。

 「ジン・ネット」に一時籍を置いていた熊谷航という男がいた。テレビ業界は自分に向かないと彼は2年ほどで会社を辞めて、故郷の福島市に戻った。抜群の取材力をもつ男だったので残念だった。その彼が、久しぶりに上京し、私を訪ねて来て、居酒屋で飲んでいた。

 彼が「ひょっとして、神様って、いるんじゃないかと思うことがあります」と言う。

 東日本大震災のあと、熊谷は土木学会の依頼で、津波の被害を調査したが、そこで不思議なことに気づいた。津波がどこまで到達したかを見るため、浸水線をたどると、なぜか神社が現れる。それが1回や2回ではない。神社のすぐ前まで波がひたひたと押し寄せた、そういう場所がとにかく多かったという。

 熊谷は、休みの日を使って、福島県の沿岸部、新地町から相馬市、南相馬市までの神社、82社を訪れ、浸水図に照合した。すると、多くの神社がきれいに浸水線の上に並んだ。

福島県南相馬市から新地町にかけて国道6号線より海側にある神社をポイントした。新しい神社ほど津波に吞み込まれていた。白い線が浸水線(熊谷制作)

 高すぎもせず、また津波に飲み込まれることもない、ぎりぎりのところに神社は建てられていた。彼の自作の地図を見せてもらって、私も驚愕した。この理由を知りたい。これが出発点だった。

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 そして取材の結果、古い神社ほど、浸水線上にある傾向が分かった。
 東日本大震災のときの津波の浸水線は、9世紀(平安前期)の貞観地震(貞観11年5月26日、西暦869年)のそれにほぼ重なるとされる。つまり、貞観の津波の浸水線に神社が建てられたのではないかと推測される。

 地震工学の権威、東北大学の今村文彦教授にも取材すると、神社が津波を免れる現象についてこう語った。

「ギリギリのとこにあるってことは、やはり過去、そこまで津波がきていて、で、その一帯被害を受けたんだけども、その境界のちょっと陸側に関しては、被害がなかったと。つまり、安全な場所であったと。で、そこに神社等を建立したと思っています」

 神社は、津波の被害をギリギリで避ける場所、つまり浸水線に沿って建てられてきた。津波を後世に伝えるランドマークとしてそこに建てられたのではないだろうか。この仮説を検証すべく取材を重ね、ほぼその結論で番組を作った。

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 そして、取材にあたった熊谷とディレクターの吉田和史と私の三人で本を書いた。題して『神社は警告する―古代から伝わる神社のメッセージ』(講談社)。このあと、熊谷も私も神社関係から講演などを頼まれ、一時は「神社に詳しいジャーナリスト」(笑)と見られたことがあった。


 NHKのタモリの番組で、前方後円墳が弥生時代の大津波のランドマークだったらしいと知り、同じ発想なのだな、と感動した。神に関わる設置物なら後世まで容易に位置がかわることはない。古墳も神社も、「みんな、自然災害を忘れちゃいけないよ」と私たち子孫に教えてくれているのだ。

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 あの原発事故から15年たつが、いまだに原子力規制委員会を中心に、当時の対応や原因についての調査が続いている。多くのメディアに、事故前から、事故が起きた場合の核燃料の壊れ方とその影響について研究していた前規制委員長の更田豊志氏のインタビューが掲載されている。

www.asahi.com

 

更田豊志氏

 彼は日本の現状に厳しい目を向ける。

「なぜイチエフ(福島第一原発)の事故対策があんなにグダグダで、避難時に多くの人命を失ってしまったのか。結局、欧米の事故から学んでいなかったし、教訓が生かされていなかった。十分に学んでいれば、状況はかなり違っていただろうと思います」

 1979年の米スリーマイル島(TMI)原発事故後、米国はあらゆる事故のシナリオに備えようというマインドになった。また、チェルノブイリ原発事故以降、ヨーロッパは緊急時の対応を見直した。

「しかし、日本にはチェルノブイリもTMIも『対岸の火事』で、学ぶことに失敗したのだと思います」

―なぜでしょうか。

「TMIの時は『日本の運転員は優秀だから』、チェルノブイリの時は『あんな原子炉型は日本にないから』と言って、違いを言い訳にしていたのだと思います」
「今も衝撃的なのは、チェルノブイリ事故後に原子力安全委員会の懇談会がまとめた報告書です。当時トップレベルの専門家が参加して議論したのに、日本の原発はすでに十分に安全だという趣旨の記述が並んでいます」

「その後、安全委は(核燃料が溶ける『メルトダウン:のような』)苛酷事故対策を義務づけず、電力会社の自主的な対応に委ね、イチエフでの東電の自主対策も不十分でした。悔やんでも悔やみきれません」

―新規制基準が2013年にでき、各地で原発が再稼働しています。

「事故の衝撃が薄れてきたんじゃないか、という恐怖感は強くあります」

―なぜですか。

「新規制基準が『世界最高水準』などと呼ばれて、過剰に喧伝されているからです」

―何が問題ですか。

「対策を改善する機会が失われる可能性があります。多くの人が関心を持つことでかけているものが見つかるはずです」

 実は、2022年5月に、事故原発にあらたな発見があった。1号機の原子炉直下の入り口に初めて遠隔操作ロボットが入ったさい、台座のコンクリートが焼失しむき出しの鉄筋が映し出されたのだった。

台座の消失がはじめてわかった

 事故から10年以上経って「想定外」の事態が見つかったのである。メルトダウンによって起こりうる様々な現象が国内外で研究されながらこのパターンは考えられてこなかったという。もう15年も経つのに、事故のメカニズム自体に、まだ解き明かされない謎が残っていることに驚く。

朝日新聞3月9日朝刊1面

 更田氏は福島の事故調査を続ける意義をこう強調した。

「TMIやチェルノブイリから学ぶことに、私たちは失敗した。自国の事故から学べなかったら、最悪だ」

 

 世界で日本人だけが持つとかいう(ほんとか?)「日本人らしさ」の気質を「すごい!」と自画自賛するのはいいかげんにして、まず震災の記憶の風化に抵し、悲劇を繰り返さぬ努力を続けることが大事だ。

 それこそが、古墳や神社をランドマークにした、私たちのご先祖の知恵を受け継ぐことになるのだろう。

震災と“日本人らしさ”について

 東日本大震災から15年。

 いまだに2万6,281人が避難生活を送っている。政府は「自立への移行」を唱えて支援打ち切りや縮小を進める。例えば、福島県大熊町や双葉町からの避難者に延長されてきた応急仮設住宅の無償提供が今月末で終了となる

 また、災害公営住宅などで暮らす人の見守りやコミュニティづくりの国の補助金も今月末で終了となる。

 さらに、このまま、風化、忘却が進んでいくことに抗わなければと思う。

 

 録画したままだった、NHKの『知的探求フロンティア』で「巨大噴火が“日本人”を生んだ!?」(1月10日OA)をようやく観た。

 「日本人らしさ」がテーマで、番組案内には「今、世界から大注目!礼儀正しい、勤勉など『日本人らしさ』はなぜ生まれたのか?鍵は、巨大災害だった!?」とある。

 繰り返された巨大地震や津波が、「日本人らしさ」を形作っているというもの。日本人にしかない遺伝子レベルの特徴なども提示して、最後は「すごいぞ、日本人!」で終わった。

 マグニチュード7以上の大地震の2割が日本周辺で起きる、世界でも超「変動帯」に我々が住んでいるのはたしかだが、そこから「日本人らしさ」という気質論にジャンプするのは、途中の多層の媒介項(自然➡食糧➡経済➡コミュニティ➡・・・政治にいたる)を無視して推論に推論を重ねることになり、結論は的外れになる。

 そもそも最初に上げたAIによる「日本人らしさ」が“眉唾”である。ここには「控えめ」、「勤勉」などと並んで「時間に正確」などが並んでいて、思わず笑ってしまった。

 渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社)は、幕末から明治の初めに、開国した日本にやってきた欧米人が記した日本の印象をまとめた名著だが、そこには「社会全体にみなぎる悠長さ」が描かれている。日本人ほど時間にいいかげんな民族はない、と彼らは驚愕したのである。

 長崎海軍伝習所の教育隊長、カッティンディーケは、幕吏との交渉の際の苦痛を訴える。

 「日本人は交渉が始まろうというのに、いつまでも座り込んで、喫煙したり、あたりを眺めたり、あたかも気晴らしにでも出かけているつもりらしい。そしてこういう場合なのに、お茶を飲んだり菓子をたべるといった暢気さである」(P242)

 そして、平民たちは「時間の価値など全く念頭になかった。。商取引きの場合でさえ、ヨーロッパ商人の最大の当惑は、時間どおりに契約を実行させるのが難しいことであった。いや、不可能だったといった方がよいかもしれない」(ジョン・ブラック)

 欧米人を見つけると、人々は仕事をほっぽり出して取り囲み、相手が理解できないのにお構いなしに日本語で話しかけ、なれなれしく彼らの体や服を触るのだった。こうなると「控えめ」とか「勤勉」という“日本人らしさ”もあやしくなってくる。(笑)

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 ただ、欧米人たちは、そんな日本人たちを愛し、日本を「桃源郷」と表現したものまでいたのである。産業革命を経て、不潔で惨めな欧州の労働者と異なり、日本では労働が苦役ではなく楽しみであり、社会は幸福感に溢れていたのである。彼らは欧米で失われた「古き良きもの」を日本に見出したのだった。

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の小泉八雲も、日本を単に“奇異な国”と見たのではなく「近代社会が忘れ去った、人間として最も大切な精神的価値を持ち続けている最後の砦」と評価していた。

 渡辺京二によれば、明治維新以降、その固有の文明が失われ、日本人の心性も大きく変わった

 急速に変わりゆく日本と日本人の“こころ”を観察しながら、小泉八雲は「外見だけ西洋化しても、内面の日本精神を失えば、日本は日本でなくなる」と警鐘を鳴らし、「西洋の複雑な欲望に染まることは、精神の自由を失うことだ」と懸念していた。

 明治期の強力な近代化で、学校、工場、軍隊に行くことが義務付けられ、そこで時間を守り、無駄口を叩かずに規律正しく行動することを訓練によって叩き込まれた。それが今の私たちを作ったのである。当時の日本精神はとうに失われたと言ってよい。

 こうして「日本人らしさ」とか「国民性」といったものは、その基底にある文明のありようによって数十年単位で大きく変化するのである。縄文時代の大地震にすべてを帰すことがいかに荒唐無稽かわかるだろう。

 純粋な“日本人らしさ”を縄文時代まで遡って探そうとすること自体が、我が国のまさに現代的現象なのだが、それについてはいずれ書こう。

 ただ、この番組で興味深かったことがある。宮城県にある前方後円墳の位置関係だった。岩沼市の「かめ塚古墳」、その北の「雷神山古墳」、さらに北の「遠見塚古墳」が、弥生時代に起きた大津波の浸水線(そこまで波が来た限界)に位置しているというのだ。

 つまり、前方後円墳を津波のランドマークとして後世に残したという推測が可能になるというのだ。

かめ塚古墳

雷神山古墳

遠見塚古墳

弥生期の大津波の浸水線に位置している

津波のランドマークとして作られたのだろうと推測される

 これは、東日本大震災のあとの私たちの神社の取材を思い出させた。

 津波の浸水線を辿っていくと、不思議にも、次々に神社が現れたのである。浸水線上にたくさんの神社が見事に並んでいるのだった。
(つづく)

愚か者歴史に韻をまた踏ませ

 先月、第2次高市内閣の発足を報じる朝刊の一面を見ておもわず唸ってしまった。

 大見出しが三つ並んでいる。

「憲法・皇室典範『改正に挑戦』 第2次高市内閣発足」

「辺野古より長い滑走路なければ『普天間返還せず』 米国防総省の見解判明」

「対米投資第1陣 5.5兆円 人工ダイヤ 原油輸送 ガス火力発電」

 “亡国”という言葉がふと頭に浮かんだ。

2月19日『朝日新聞』朝刊

 高市内閣、衆院選圧勝を背景に「国会軽視」とも言える強引な国会運営が目に余る。

 予算委員会における首相出席時間が60時間未満という前代未聞の審議日程が提示されているほか、数の力にモノを言わせ、高市首相を国会答弁から遠ざける「高市隠しシフト」が展開されている。また、予算案採決の前提となる地方・中央公聴会の日程について、予算委員長が野党の反対を押し切って委員長職権で強行決定した。

 高市首相は3月3日の衆院予算委員会で「イラン攻撃もあり、予算の予見可能性は一層高めるべき時期でもある。何とか早期の成立をお願いしたい」と発言。イラン攻撃までも予算早期成立の口実に使った。予算案の審議時間が失われたのは高市首相自身が解散総選挙を強行したせいなのに。

9日、小川淳也(中道)代表が、首相はじめ閣僚のゆるみ、遅刻、欠席を批判した。

「質問に入る前に2点、総理の率直なところを聞かせてください」と切り出し「この間、閣僚が閣議に遅刻をしたり、委員長が委員会に遅刻して委員会が流れたといったような事態が続いています。自民党総裁として、一言檄を飛ばしていただきたい。もう1点、昨日、総理が応援に行かれた石川県知事選挙で応援された候補が敗れました。この候補の応援そのものが、アメリカのイラン攻撃が始まった直後でしたから、行かれること自体について賛否があったと思います。この2点、率直なところをまずお聞きしたいと思います」。

 圧倒的な勢力を背景にした与党の傲慢が目につく。

 それにしても、今の世の中をどう表現していいのだろう。
 誰かが「底が抜けた」と言ったが、その感覚に私も近い。

 さっき、こんなニュースが入ってきた。
 【速報】茂木氏、イラン外相に事態沈静化要求
  2026年03月09日 20時10分共同通信
 茂木敏充外相は9日、イランのアラグチ外相と電話会談し、イランと米国、イスラエルの攻撃の応酬による地域情勢悪化に懸念を示し、事態の早期沈静化を求めた。茂木氏が記者団に明らかにした。

 事態の早期沈静化はイスラエルと米国に対して要求するしかないだろう?どうして、こういうことになるのか、理解不能。

 川柳の世界でしばらく遊ぼう。朝日川柳より

7日
 ホルムズをトランプにせよと海峡名(千葉県 安延春彦)

 あの世からリットン率いる調査団(東京都 高橋モトキ)

 裏腹に反面教師増えている(兵庫県 河村基史)

6日
 これからは「パールハーバー」言えますか(群馬県 峯岸弘和)

5日
 後方で指揮官いつも勇ましく(神奈川県 石井彰)

 マクロンも終末時計加速させ(宮城県 高橋敏)

 さあノアよそなえよ地球(ほし)は断末魔(大分県 小竹実)

4日
 トランプのニュースあるたび世が曇る(岩手県 及川正孝)

 愚か者歴史に韻をまた踏ませ(兵庫県 上村晃一)

 気づいてよ「コイツはダメ」とアメリカよ(大阪府 川上由起)

 反戦や平和を言えば笑い草(兵庫県 兵藤新太郎)

3日
 話すより殺してしまえホトトギス(滋賀県 岡崎由美子)

 無垢(むく)の子ら瓦礫(がれき)に埋(うず)めしたり顔(静岡県 勝田佐喜子)

 第三次かも知れないと書く日記(東京都 鈴木英人)

 

4日の「愚か者歴史に韻をまた踏ませ

「歴史に韻を踏む」は、マーク・トウェイン作とされる英語の格言"History doesn't repeat itself, but it rhymes."(歴史は繰り返さないが、韻を踏む)から。「まったく同じことは起きないが、似たパターンが繰り返される」つまり、愚か者がまたベトナムやイラク、アフガンのような破局的なことに手を出したと警告したのだろう。

 スペイン首相「過去の過ちを繰り返すな」と声を上げた。トランプに忖度してイラン攻撃を批判する首脳が少ない中、立派である。

平野啓一郎氏のX

 「爪の垢でも煎じて飲め」という昔の格言。勇ましい、バカげた発言を繰り返す日本の政治家に進呈しよう。

タブーに切り込む『拉致 封印された真実』発売

 拙著『拉致 封印された真実』(上・下)(旬報社)が発売され店頭に並んでいます。
ぜひお手にとってご覧ください。

4カ所の招待所区域を衛星写真で分析し、緯度経度も入れて、誰でもGoogle Earthで見られるようにしました

3月9日『朝日新聞』朝刊一面の宣伝


 拉致問題では“聖域化”が進み、政府の方針や「家族会」および「救う会」の主張と少しでも違った意見を言うことはタブーとなっています。そのタブーを踏み外すと取材拒否にあったりするので、メディア企業は縮こまっています。本当のことを書けない記者たちが、今回、匿名でこの本の制作に協力してくれました。

 私は今回の本で、反発・批判を受けるのを覚悟で、政府の巨大な隠蔽を暴きました。なぜ拉致問題は進展しないのかを検証し、打開の方向につき問題提起しました。ご一緒に考えていただければと思います。

 上下2巻で各2860円(税込)と値段もややお高いので、お近くの図書館にリクエストしていただければと思います。よろしくお願いします。


 また、出版に合わせてYouTubeに新番組【検証シリーズ⑨】「横田めぐみさんがここにいた! 衛星写真で北朝鮮拉致被害者の『村』を発見」を公開しました。ご覧ください。

www.youtube.com

 拉致被害者たちは北朝鮮でどんな生活を送ったのか?平壌中心部から南に約20キロ、低い丘が連なる一画に拉致被害者たちの「村」を発見。

 入り組んだ谷の森に13軒の家屋が点在する「忠龍里(チュンリョンリ)招待所区域。そこには横田めぐみさんたち少なくとも8人の日本人がいた。互いの接触を厳禁されながらも森の中で密会し、日本にいる子どもを思って涙する日々。横田めぐみさんは心を病んでいたが、そこで日本語を教えた男性工作員と結婚することに・・・。

 衛星写真でそれぞれの家屋を特定しながら独自取材で拉致被害者の実態に迫る。「拉致検証」シリーズ第9弾。

米国イスラエルによるイラン攻撃によせて

 トランプ大統領について、「暴挙」「暴走」という表現を何度使ったか。

 暴走が日常に、狂気が常識になってしまうと、次第に自分の感覚の中でも、とんでもない悲劇が当たり前になりそうで怖くなる。自分自身が壊れていくような予感。

 2月28日、アメリカとイスラエルはイランへの大規模な軍事攻撃を開始した。
 空爆・ミサイル攻撃でアリ・ハメネイ師を含むイランの最高指導部と多くの高官、ハメネイ師の娘、義理の息子、孫などを死亡させ、国家中枢そのものが標的となった。攻撃は首都テヘランだけでなく全土に及び、革命防衛隊関連基地、空軍・防空施設、ミサイル発射拠点、指揮通信センター、政府庁舎、エネルギー関連施設が破壊された。

 国連安保理の承認もなく、差し迫った武力攻撃の立証もないまま行われたこの作戦は、国連憲章2条4項が禁じる武力行使に該当すると同時に、国際人道法・人権法の観点からも違法な要人暗殺とみなされる。「限定攻撃」ではなく主権国家の体制破壊を伴う戦争行為である

 トランプがイラン民衆に政権転覆を呼びかけているのは、戦争行為の理由がイランとの核合意での不満ではなく、体制転覆であることを示す。ロシアのウクライナ侵攻と同じである。

国際報道(NHK)より

 イラン国内には専制体制への強い不満もあり、喜びに沸く群衆の映像も入っている。だが、その政府が良いか悪いかによらず、武力の行使は以下の二つの場合しか認められない。

1)自衛権の行使(国連憲章51条)
 これには「将来の脅威」や「抑止目的」は該当しない。「将来危ないことをするかもしれないから今のうちに叩いておけ」という理屈は成り立たない。

2)国連安保理の承認がある場合(国連憲章7章)
 安保理が「国際平和と安全への脅威」と認定した場合である。

 これ以外は武力行使はNGという最低限のルールを、米国とイスラエルはいとも簡単に踏みにじった。

 

小学校が攻撃され170人が死亡した。嘆く父親(NHKより)

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 アメリカでSend Barron(バロンを送れ)がオンライン上でトレンド入りしたという。

 トランプの末息子バロン・トランプを前線に送れという皮肉だ。「勇敢に戦え!」と叫ぶドナルド・トランプ自身は、ベトナム戦争期、根拠不明の足の身体的ハンデなどを理由に5回の徴兵猶予(deferment)を受け兵士になったことはない。徴兵逃れの大統領。じゃあ、自分の息子に銃を持たせて戦場に送ったら・・というのは庶民の素朴な思いだろう。 

send Barron

 日本はもともと「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」(憲法前文)のだから、国際法を守ろうと最先頭で旗を振らなければならないはずである。それなのに、現政権は上目遣いにアメリカを見て、事実上この蛮行を承認している。

 国会で以下のやり取り

日本共産党田村委員長「武力行使が例外的に認められるのは、国連安保理決議がある場合と自衛権を行使する場合であって、今回のイラン攻撃はそのいずれにも該当しないですよ」

高市首相「これが自衛のための措置なのかどうかも含めてですね、詳細な情報を持ち合わせているわけではございません。わが国としてその法的評価をすることは、差し控えさせていただきます」

 学術的な話をしているわけではないのだが。そして言及したのは、石油の備蓄と、法人保護のみ。これがわが国の首相かと思うと情けない。訪米してまたトランプのそばで「ヤッター!すごーい!」と腕を突き上げながらぴょんぴょん飛び跳ねるのだろうか。
・・・・

 実はこのイラン攻撃、アメリカ主導ではなく、イスラエルに引きずり込まれたというのが真相のようだ。ルビオ国務長官がこう説明している。

「大統領はきわめて賢明な判断を下しました。我々はイスラエルによる行動が起きることを承知しており、それが米軍に対する攻撃を誘発することも分かっていました。そして、相手がそうした攻撃を仕掛ける前に先制的に対処しなければ、より多くの犠牲者を出すことになると認識していたのです。」
"The president made the very wise decision—we knew that there was going to be an Israeli action, we knew that that would precipitate an attack against American forces, and we knew that if we didn’t preemptively go after them before they launched those attacks, we would suffer higher casualties."

ルビオ国務長官

 つまり、米国はイスラエルがイランを攻撃することが分かっていた。するとイランはきっと米軍基地や米国の施設を攻撃するだろうから、その前に叩いておこうと思った、というのである。

 イスラエルは事前に米国にイラン攻撃を認めさせ、その上で米国が一蓮托生でともに武力行使をせざるを得ないように仕向けたわけだ。アメリカがイスラエルの巨大な操り人形になっている図を想像するとぞぞっと寒気を覚える。

・・・・

 トランプに逆らうとまたどんなイジメを受けるか分からないから、欧州諸国もこの蛮行に表だって抗議しない。世界はここまで来たか‥という感慨があるが、それでも英国のスターマー首相は、「違法な行動に兵士を派遣するつもりはない」と議会で述べた。米国の最も親密な同盟国、英国でさえ「違法」との認識で、これ以上お付き合いできないというのである。

スターマー首相

・・・・・
 小泉悠氏は—

 「何よりアメリカが「難癖をつけて外国に攻めて行く」ということを(また)やり始めた中で、そのアメリカに拡大抑止を我が国が依存しているという状況は日本の安全保障に根本的なジレンマを突きつける。そういうことを日本がしないだけでなく他国にさせない世界の中でしか日本は安全と反映と独立を維持できないからこそロシアの侵略を非難し、ウクライナを支援し、対露制裁をやってきたのであって、ここでアメリカの振る舞いをあっさり受け入れるならそれはダブルスタンダードの誹りは免れえまい」

小泉悠氏のX


 そして緊密な日米同盟が必要だと言っていたはずの小泉悠氏が、アメリカと手を切れと示唆するかのようなこんなツイートも。

 「今すぐというわけにはいかないが、21世紀の半ばくらいまでを目処にアメリカとの同盟を手仕舞いにしていかねばならんのだろうなぁ、ということをペルシャ湾の戦火を眺めながら考える」(3月1日)

 複雑な思いを抱きながらも、深く頷かざるをえない。

誕生日のウクライナ支援

 2月22日は「にゃんにゃんにゃん」で、猫の日だそうだが、私の誕生日だった。

 近年は、「おかげさまで、ここまで生かしていただいた」というわけで、何か“良いこと”を誕生日にやるようにしている。そして24日はロシアの対ウクライナ全面侵攻4年なので、3年前の取材で知り合ったウクライナ・ドニプロの青年ボランティア、マックス君にカンパを送金した。

takase.hatenablog.jp

 いま前線の状況がきわめて厳しいと彼に聞いていたので、私にとってはちょっと頑張った金額を送った。すぐにマックス君から「私たちを忘れないでいてくれることに本当に励まされます」と感謝のメッセージが来た。また近く彼とZOOMで結んで交流会を開きたい。

 

 “良いこと”もう一つ。

 「ナワリヌイ-This is Navalny」写真展(27日まで)でロシアの政治犯に励ましの手紙を書いてきた。

an-legacy-jp.com


  ロシアではここ数年、とりわけウクライナへの全面侵攻以降、言論の自由をはじめ市民的自由が一気に圧殺されている。プーチンが最も恐れる男と言われた反体制活動家、アレクセイ・ナワリヌイ氏も一昨年、獄中で不審死を遂げた。暗殺と見ていいだろう。

集会を主導したと逮捕され、裁判所でおどけるナワリヌイ氏 2017年


 会場の早稲田スコットホールギャラリー(早稲田奉仕園内)では、ロシア各地で獄中にある政治犯の写真と経歴が閲覧でき、彼らに手紙を送る企画をやっていた。手紙をもらった政治犯は自分が忘れられていないと元気づけられ、看守たちは外国から注視されていることを気にとめて待遇を改善することがあるという。

2月16日が命日で、これは追悼の祭壇。ユリヤ夫人へ手紙を書くことができる。千羽鶴も

若者に絶大な人気があった。2017年撮影。翌2018年に大統領選に出馬しようとしたが阻止された。

2021年1月、ナワリブイがドイツから帰国したさいの弾圧。2020年8月、ノビチョク系毒物で意識不明の重体になりドイツへ移送され治療を受けた。21年1月ロシアに帰国すると空港で逮捕され30年以上の長期刑も。彼は逮捕されるのが分かっているのに帰国したのだった。

写真集「これがナワリヌイだ」。撮影したエフゲニー・フェルドマン氏はラトビアに逃れて活動している。彼に感謝のメッセージを送った。

動物愛護活動をやっているアリーナさんには子犬の絵葉書を書いた。スタッフがロシア語に訳してくれるので、日本で綴った。



 私は男性、女性各一名に手紙を出した。男性は美術教師でウクライナの知り合いに送金したことで「有罪」となり、女性は病気の動物の世話をするボランティアで、SNSでブチャの虐殺を非難したら「5年」の刑を受けた。

説明してくれたロシア人ボランティア。「ロシアは北朝鮮になってしまった」と。

 写真展で解説してくれたロシア人女性は「ロシアは北朝鮮と同じになってしまいました」と悲しそうに言った。そして「プーチンがトップにいるかぎり、侵略は終わらないでしょう」とも

 ここでもわずかだがカンパをしてきた。

 暴力に抵抗する人々と連帯したい。

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藤原学思記者の記事

 朝日新聞の藤原記者の記事は、ウクライナ戦争の現実を深く広く報じてくれるので楽しみにしている。

 ロシア語話者もロシアの侵略と戦っているという記事。

 ロシア人やロシア語話者を抑圧したから戦争になった、あるいはロシア系対ウクライナ系の民族分断があるなどの誤まった言説があるが、実際はロシア人自身も銃をとってロシアの侵略と戦っている。

 いまウクライナのアイデンティティは「民族」ではなく「市民」。様々な民族からなるウクライナの市民として国を守っているのだ。

 拙著『ウクライナはなぜ戦い続けるのか』(2024年、旬報社)をもっと広く読んでいただきたい。

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 2月24日、高市早苗内閣総理大臣は、英・仏両政府の主催で同日開催された「ウクライナに関する有志連合オンライン首脳会合」に際し書面メッセージを発出した。

 他の首脳はみな顔出し対面で議論しているのに、安全保障・国防では強面の「毅然とした」発言をウリにする高市首相は書面お茶をにごす。なぜ?

 外務省の「ウクライナに関する有志連合オンライン首脳会合に際する高市内閣総理大臣書面メッセージ」


 これに大量のリプが付いているが、ほとんどがウクライナ支援は日本のためにならないという内容。これはロシアのディスインフォメーション(偽情報)作戦である。ロシアが日本で仕掛けているハイブリッド戦争の一環なのだが、一般の人は解できないだろう。

外務省のXについたリプ。明らかに組織的なディスインフォメーション。

 近年、国内政治や選挙―特に今回の総選挙でも、ネットでのディスインフォメーションが深刻な問題になっているが、リテラシーの向上が早急に必要だ。