19日でウクライナへのロシアの全面侵攻から1000日となる。
これに合わせて国連は閣僚級会合を開催。ディカルロ国連事務次長は「ウクライナでは地獄のような千日が続いている」とし、これまでに子ども600人をふくむ少なくとも1万2164人の市民が殺害されたと報告した。実際の犠牲者ははるかに多いとみられている。
ロシアのプーチン大統領は19日、核兵器の使用基準を引き下げる大統領令に署名した。
2020年に署名した、国の存在が脅かされる場合は通常兵器による攻撃でも核で反撃できるとした「核抑止の国家政策の基本」をさらに改定し、ウクライナ侵攻をめぐって対立する米欧への「核の脅し」を一段と強めた。
今回の改定では、核兵器保有国から支援された非核保有国からの攻撃は、「ロシアに対する共同攻撃」とみなすと明記。反撃対象になる攻撃を明確化し、軍用機や巡航ミサイル、ドローンなどが大量に発射され、ロシア国境を越えるという確度が高い情報を得た場合、核兵器の使用が可能になるとした。
米メディアは17日、バイデン米政権がウクライナに提供した長射程のミサイルでロシア国内を攻撃することを許可した、と報じたが、ロシアはこのタイミングで核兵器使用の基準を実質的に緩めると強調することで、ウクライナへの新たな支援を強く牽制する意図があるとみられる。(朝日新聞を引用)
バイデンの決定は遅すぎた。いまロシアが大量のミサイルでウクライナのインフラを攻撃しているが、もっと早くロシアのミサイル基地を叩いておけば、ここまでひどい事態にならずに済んだ。トランプ政権までの2カ月でウクライナがどこまで挽回できるか・・・。
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【辛光洙(シン・グァンス)と朴春仙(パク・チュンソン)さんの会話】つづき
拉致実行犯、辛光洙は国際手配されているものの、北朝鮮は英雄扱いをやめず、私たちの手の届かないところにいる。
辛光洙に「民族反逆者」、「裏切者」と罵られ続けてなお、血圧が高いから興奮しないで、と「先生」を気遣う朴春仙さんだったが・・。
ここからはほとんど日本語のやりとりになっている。
朴春仙:私は‥・先生が15年も(刑務所に)入れられて・・・だから私は祖国統一する・・・統一するでしょう。それだったら、この地でがんばってくださいって言いたくて。
辛光洙:ここで? なぜだね?
朴:先生は(北朝鮮で)捕まったらひどい目にあうんじゃないかと心配で・・・。
辛:この安企部の手先! バカなこと言うんじゃないよ。クソ野郎!
朴:先生は(北朝鮮に)行って自信あるんですか、行って?
辛:あるから行くんでしょう。
朴:行くんですか?
辛:そう。
朴:いったん捕まったのに、やられるん違うの?
辛:誰がそんなこと言ってた?
朴:言わないけど、そうじゃないかと思うの。だってちょっと疑わしきはみんな殺しちゃってんだから。
辛:だからバカなことを聞いていると・・。
朴:だって事実じゃないですか。だったら先生、北朝鮮から韓国に亡命してきた黄書記、知ってますでしょう? あの人に会ってみてくださいよ。北がどんな状態か。
辛:黄長燁(ファン・ジャンヨプ)と私は違う。黄は朝鮮で罪を犯し、ここに逃げてき、彼は朝鮮で罪を犯してここに来た人間じゃないか。
朴:罪を犯してないですよ、あの人は。
辛:バカなこと言うんじゃないよ。罪を犯してない人がなんでそっから逃げるんの?
朴:北から渡ってくる10万人もの人たちは、あの国はめちゃくちゃだって・・。
辛:私はここで良い話だけ聞いていると思うのか? 新聞なんかでそんな話を聞いたら、血圧が上がってどうしようもない。悪い話、良い話をを全部聞いて全部知ってるよ。だけど、それは新聞、ラジオ、テレビを聞いて知っていることであって、直接来てこんなふうにする人はいません。そんなふうにしたら大変なことになります。
だから、安企部の奴らもそうだし、日本の警視庁は私を恨むだろうけれど。日本の警視庁は何だ。安企部が「思い通りにしていい」と言って、日本の警視庁の人が来たよ。「日本に行かなくてもいいから、ここで自分と会おう」と言った。
(注)日本警察が韓国政府に辛光洙の事情聴取を要請したさい、韓国側は辛光洙の「思い通りにしていい」つまり日本警察の事情聴取に応じるかどうかは辛が決めていいとしたことを言っている。
朴:会いましたか。
辛:私がなぜ会うんだ?
問題は私を政治的に利用し、我々は祖国統一、南北統一のために私の命を捧げようというのに、南北を分断させようとする奴となぜ会う? 分断よりももっと悪化させようということなのに、私は徹底して南北統一のために闘う人間なのに、北に対し非難をしたり、北に行けば;どうなると話すこと自体が南北統一をさせないことだ。
朴:違います。
辛:私を訪ねてくる人の中で、そのような人は一人もいない。訪ねてくる人のなかで、そのような人は一人もいない。訪ねてくる人の接見名簿を見て多くの人に会うよ。南の学生、北に行ってきた記者たちみんなに会う。だけど、安企部が送った人には会わないよ。
朴:先生、ひとつだけ聞かせてくださいよ。
辛:いやですよ。
朴:そしたら、ほかしたらええわ。こんな人の気持ち、先生は分らない人じゃないと思ったのに。
辛:人の気持ちを分かりたい人は、まずそちらから人の気持ちを分からないといけない。
朴春仙さんはここで辛光洙と話していた部屋から出てきて、ジン・ネット取材班の千田記者、この「出会いの家」に同居する男性らと合流した。
朴:(記者に)ちょっとこっちに来て。要らないんだって。先生は誤解をしています、たくさん。要らないんだって。私のこと、めちゃくちゃ誤解してるわ。
辛:(記者に)日本人か?
記者:そうです。先生ね、朴春仙さんが裏切り者だって、おっしゃいましたね?
辛:バカなこと言うんじゃないよ。
朴:なにが裏切り者だ!
辛:裏切り者じゃなくて、民族反逆者だよ。
朴:なんでですか(と泣く)。
私が告げ口をしたのではありません。あなたと一緒にいた人が突き出したんでしょ。私は先生を助けようと、どれだけ苦労をしたか。私の兄が死んで。私の兄は死にました。あなたのせいで。私が(あなたを)助けてあげたのに。
記者:先生ね、朴春仙さんのお兄さんは殺されたんですよ。
辛:なにをそんなバカなこというか。
記者:バカなことじゃないよ。朴さんのお兄さんは殺されてるんだよ。銃殺されて。
辛:銃殺? 銃殺?・・そんなバカなこと言うんじゃないよ。
同居人:帰れ!
記者:兄弟がね、兄弟が・・・
同居人:帰れ!(と記者らを階段下に押し出そうとしてもみ合いになる)
記者:そうです、朴さんは探しに行ったんですよ。そしたら北朝鮮の幹部が謝罪したんですよ。(もみ合い)
朴:謝罪しました。(同居人に)私は犠牲者です。私はこの先生を助けてあげていたのに、私の兄まで、わが国(ウリナラ)が殺しました。この先生が良く話してくれていたら、私の兄は死なずにすみました。私の兄がなぜ死ななきゃいけないんですか? 私が(辛を)助けてあげたのに。
辛:朝鮮の革命に・・(と言いながら自室に引き上げようとする辛に記者が詰め寄って)
記者:朝鮮の革命のためなら、原敕晁さんを拉致してもいいのか!原敕晁さんを拉致したんだろう!
辛:なにを言うか、このクソ野郎!(と記者を殴り、突き放して自室に入ってドアを閉める)
二人の会話は今回で最後です。
「工作員」と聞くと、ロボットのような我々とは異質の人間を思い浮かべるが、朴春仙さんという女性との絡みのなかで、彼の特殊ではあるが我々と共通部分もある人間の一面が見えたように思われます。また、工作活動の具体的な姿も露わになり、参考になります。
長い連載にお付き合いいただき感謝します。