刑務所よりひどい入管収容施設

 ずいぶん涼しくなってきた。

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公園にて。シュウカイドウが咲いていた

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オオカッコウアザミ。涼しい季節に咲く

 東京の今日のコロナ新規感染者は154人。急激に減っているのは喜ばしい。
 今こそ、次の波にしっかり備える施策を行うべき時なのだが、閣僚をふくめ自民党議員が総裁選に注力しているのを見ると怒りがわいてくる。

 必要な入院をさせずにコロナ患者を放置する「自宅療養」などをけっして繰り返さないための真剣な取り組みが求められるはずなのに・・

  総選挙で痛い目にあわせないと。
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 きのうのドイツの連邦議会選挙は中道左派社会民主党が第1党となり、メルケル首相が所属するキリスト教民主・社会同盟は第2党になった。次期内閣は難産になるとの観測が出ている。

 振り返ると、メルケル首相の原則を踏まえたうえでの柔軟な外交には学ぶべきものがあったと思う。とくにロシアのプーチン大統領とは16年の在任中、首脳会談を繰り返しながらも厳しい批判、注文をし続けた。

 20日にはモスクワで、プーチンとの最後の首脳会談に臨んだ。会談後の記者会見でメルケルは、国際舞台では「対話に代わる合理的な選択肢はない」と強調したうえで、服役中のロシアの野党指導者ナワリヌイ氏の解放を求めた。また、「残念ながら境界線でウクライナの兵士が死亡している」とウクライナ東部戦線での和平に注文をつけた。

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言うべきことを面と向かってしっかり言う指導者が日本にいたか

 

 共同記者会見で、面と向かってプーチンを批判するなどということを日本の指導者はできるのか。安倍前首相はプーチンへのへつらう姿しか記憶にない。

takase.hatenablog.jp

 米国大統領には尻尾を振ってご機嫌うかがいに行くのに、隣国の韓国の大統領とは会談を避けて久しい。

 日本の政治家はメルケルを見習って反省するように。
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 私が所属している「牛久の会」(牛久入管収容所問題を考える会)から9月号の会報が届いた。そこにイラン人ヤドラさんからの手紙が載っていた。

 ヤドラさんは、ちょうど1年ほど前の去年9月1日、自分の糞尿で牛久入管の壁や床を汚したとして逮捕された。収容が4年以上になったところに入管の医療関係者に非人間的な扱いを受けたことをきっかけに、精神のバランスが崩れてしまったようだ。

 私は裁判を2回傍聴しに行って事件の背景を学ぶうち、多くの被収容者のもっとも強い不満が入管の医療態勢にあることを知った。

takase.hatenablog.jp

 その後、スリランカ女性のウィシュマさんの死亡事件が起きたが、やはり医療態勢が問題だった。この際、徹底した調査と改革が必要だ。

 ヤドラさんは「懲役10月」の判決を受けて服役しており、手紙には2022年1月17日に出所すると記している。
 この手紙を読んで胸が締め付けられるのは、刑務所の方が入管よりマシで、期限もルールもない入管に戻るのをとても不安に思っていることだ。
 
「(略)2022年1月12日に出所日です。しかし、自由になるんじゃなくて、入管の職員に引き渡されることが思うと、まるで屠所に引かれる羊のように、ですから、日々出所日に近付くに連れて不満や不安が増すのです。
(略)刑務所には期限あって、ルールあって立場の弱い者をとことんまで人を追い詰めて暴行や虐げられることも中々ないだと思いますので、安心感が、入管に勝っています。(略)」(原文のまま)

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ヤドラさんからの手紙

 刑務所よりひどい入管・・・おそろしい。
 最低限の人権すらない今の入管制度は根本から立て直さなければならない。

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 このブログ、これから少し頻度と分量を少なくします。

 本を出版しようと思い立ち、きょうから原稿を書き始めたので、そちらに多少時間とエネルギーが割かれそうです。

 読者からも「おまえのブログ、量が多くて読み切れないんだよ」との声をいただきました。

 これからは適正量で書いていきたいと思います。
 よろしくご了承ください。

 

野党4党が「市民連合」と政策合意

 お知らせです。
 私がプロデュースした『心を創る~二神雅一の流儀』が公開されたので、どうぞご覧ください。

www.youtube.com


 主人公は、「日本一不親切な親切」を掲げて介護業界に旋風をおこした岡山県の「創心會」の社長、二神雅一さんです。
 去年春に企画が立ち上がったのですが、コロナ禍で撮影が何度も延期になり、納品までまる1年以上かかってしまいました。

 二神さんは、日本の介護・リハビリのあり方、包括ケアシステムの今後について深く思索をめぐらしながら事業を展開されており、私も取材中、とても勉強になりました。

 なお、私は今、こういう自分史ビデオ製作を「なりわい」にしています。
 この作品は「創心會」創立25周年の記念事業にも位置付けられ、大がかりなものになりましたが、「自分史ビデオ」は自分の趣味やスポーツとのかかわりを描いたり、家族とのプライベートな思い出をたどるなど、さまざまな形で作品にできます。

 ご関心ある方はご連絡ください。
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 夜、NHKチコちゃんに叱られる」を観ていたら、刺身に菊の花を添えてあるのはなぜかという問いがあった。答えは江戸時代、魚肉のなますを酢につけて食べていたのが醤油につけるようになり、食中毒予防で菊の花を一緒に食べる習慣ができたというもの。

 その流れで、食用菊のランキングになり、山形の「もってのほか」が堂々の1位だった。

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チコちゃんに叱られる」より

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きょう買ってきた「もってのほか」

 ちょうど夕方、八百屋で「もってのほか」を見かけて買ったところだった。これからが旬である。うちでは春菊と合わせておひたしにするのが定番。

 テレビでは、焚きこみご飯がうまいと紹介されていたが初耳だ。あす試してみよう。
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 衆議院選挙に向けての動きがはじまっている。

 9月8日には、立憲民主党共産党社民党、れいわ新選組の野党4党が、市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)との政策合意に調印した。

 「市民連合」が野党に働きかけた結果、共闘の枠組みができた、つまりこの団体が野党を束ねたわけだ。「市民連合」の存在意義は大きい。

 私の古い友人がこの団体で活動している。彼自身は共産党員なのだが、「市民連合共産党の〈隠れ蓑〉みたいな組織じゃなくて、本当に市民の自立した運動だ。いろんな立場の人がいて、刺激を受けるし、おもしろい」と私に語っている。これまでのいわゆる共産党系大衆組織とは違うらしい。

 「市民連合」は、2015年9月19日に安倍政権が安保関連法案を成立させたことに対して野党共闘によって選挙で政治を変えなければとの市民の声から生まれた。野党共闘がなかなか進まないなか、「まずは市民が広く連帯することで、市民が野党共闘をリードしようという考え」で同年12月に発足したという。

 野党と合意した政策を見ると、いちいちもっともで、これで4党をまとめたのはすばらしい。
 とくに私は「沖縄辺野古での新基地建設を中止する」、「エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する」、「森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う」、「日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する」などの政策には強く期待したい。

shiminrengo.com

 衆議院総選挙における野党共通政策の提言
――― 命を守るために政治の転換を―――
 
 新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。

 市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。 

1 憲法に基づく政治の回復

・安保法制、特定秘密保護法共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。

平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。

核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。

・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。

 

2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化

・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。

・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。

・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。

 

3 格差と貧困を是正する

最低賃金の引き上げや非正規雇用フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。

・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。

・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。

 

4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行

再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。

・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。

・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。

農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。

 

5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現

ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。

ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。

・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。

 

6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する

・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。

日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。

内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。

2021年9月8日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

上記政策を共有し、その実現に全力を尽くします。
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 自民党総裁選の論戦では、4人から国民のみなさまを幸せにするさまざまなプランが開陳されている。また公明党は総選挙用の「政策」を出している。
 だったら与党なんだから、今すぐ国会を開いて提案し実行するよう努力したら?

憲法第53条
 「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」

 憲法違反がどうどうとまかりとおっている。

大学の教員・理系学生の女性比率はOECDで最低

 はじめにお知らせです。
 高世仁のニュース・パンフォーカス】No.19「日本人ジャーナリストが見たカブール」を公開しました。

www.tsunagi-media.jp

 後藤健二さんがISに殺害され、安田純平さんがシリアで拉致されるなど日本人ジャーナリストが重大事故に遭ったことをきっかけに、「自己責任論」とともに、日本からわざわざ危ない場所に取材に行かなくてもいいではないかという声が上がった。
 ニュースなら、外国通信社からの配信などで足りるだろうというのだ。

 では日本のジャーナリストが現場に行って取材することの意味はどんなところにあるのか。9月11日のTBS「報道特集」で放送されたカブール取材から考えてみた。

 関心のある方はお読みください。
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 きのうの続きで、大学におけるジェンダーギャップについて。

 朝日新聞河合塾による調査で、日本における大学教員や理系学生に占める女性の比率は低いままで、国際比較でもきわめて低いことがわかった。

 女性教員の割合は26%。助教が32%、准教授が26%、教授が18%と、職位が高くなるほど女性比率が低くなる。副学長は15%、学長は13%にとどまる。

 女性の登用が特に遅れているのが国立大で、女性教員の比率は、私立大が30%に対して国立大は19%。教授は私立が21%で国立が12%。学長は私立が14%で国立がわずか2%だ。

 一方、女性教員を増やすには「教員の卵」となる学生を育てる必要があるが、理系の女子学生の割合は低いままだ。学生全体では女子が45%と男女半々に近いが、工学部は15%、理学部は27%と、理系では女子比率が低いままで、ここ20年間変わっていないという。

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OECD「図表でみる教育2021」の高等教育における女性教員比率。日本は一番右、つまり最低。


 OECDが16日に公表した2021年版「図表でみる教育」によると、高等教育で工学・製造・建築を専攻する新入生の女性比率は16%で、加盟国中最低。高等教育における女性教員比率は28.4%で、これも最低だった。朝日新聞20日朝刊の記事より)

www.oecd-ilibrary.org

 男女平等にかぎらず、障碍者の就労、子どもの貧困の解消、新産業の育成など日本の立ち遅れの目立つ分野はどれも、政治がそれらを放置していることが問題だ。
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 自民党総裁候補4人のうち2人、半数が女性で画期的だとの評を目にするが、高市早苗氏は「夫婦別姓」に反対する議員連盟「『絆』を紡ぐ会」の共同代表を務めるなど、「別姓反対」の急先鋒だ。

 女性議員の比率が極端に低い自民党のなかで、オヤジたちにちやほやされているとこういう政治家ができるのか。

ジェンダーギャップを科学的に考える

 おととい、自転車で小平霊園に寄った。

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小平霊園

 いつもより車も人も多い。線香の香りがする。花が供えてあるお墓も見える。ああ、お彼岸なのか・・とやっと気づいた。毎朝、線香を焚いてご先祖におまいりしているのに忘れていた。
 実はサイクリングコースに小平霊園や多磨霊園を入れてある。霊園は道がまっすぐで交通事故の心配もなく、自転車で走るにはうってつけなのだ。
 お彼岸の霊園でサイクリングは不謹慎だなと早々に退散した。

 もう秋分だ。公園のそばを通りかかると大音響の虫の音に包まれる。
 23日から初候「雷乃収声(かみなり、すなわちこえをおさむ)」。空には秋の澄んだ雲が広がる。
 28日から次候「蟄虫坏戸(むし、かくれてとをふさぐ)」。虫たちが土の中へと潜っていく。
 10月3日から末候「水始涸(みず、はじめてかる)。田んぼから水が抜かれて涸れるの意。
 今日、東京は30度近くまで気温が上がって暑かったが、季節は次第に冬に向かっていく。

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ザクロが旬だ

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 タリバン政権下で女性の権利がどうなるか懸念されている

 報道担当のザビフラ・ムジャヒド幹部は、女性の権利について、「シャリア(イスラム法)の枠組みの中」で尊重するとのべたという。(8月15日)

 実際に大学が再開してみると、男女共学が認められていない。
 タリバンは《9月12日、女性が大学で教育を受ける際の規制を発表した。男女共学は認めないほか、頭部を覆うスカーフ「ヒジャブ」の着用を義務付け、男性教員の直接指導を禁じるなどした。》(ニューデリー時事)

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大学では男女別学で、同じ教室でも男女の間に仕切りがもうけられている

 教師と学生は同性が原則だという。
 ただでさえ女性教員は少ないうえ、大学を去り、海外に逃れたものもいる。理系など女性教員がほとんどいない科目もある。これでは社会における女性の権利は大幅に後退してしまう。

 21日、タリバンのムジャヒド幹部は、女子生徒が、日本の中学校と高校にあたる中等教育の学校に再び通うことを近く認める方針を明らかにしたという。大学と同じく、男女共学は認めないだろう。

 このニュースで思い出したのが、日本のある大学の入学式での学長式辞だった。
 
 それは兵庫県立芸術文化観光専門職大学で、日本で初めて、国公立で演劇やダンスの実技が本格的に学べる大学として、今年4月に開校した。学長は、劇作家・演出家の平田オリザだ。

www.at-hyogo.jp


 平田氏は式辞で、東日本大震災やコロナ禍を通じて、科学への信頼がゆらぎ、フェイクニュースで社会の混乱も見られるなか、大学で身につけるべきは、科学的に考え、理性によって行動する習慣だと語る

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平田学長が式辞をのべる

《具体的に考えてみましょう。
 
 いま、この会場にいる新入学生八四名のうち六九名、八二%が女子の学生です。しかし教員における女性の割合は二五%にすぎません。すぐに見て分かるように、こちらの壇上に並んでいるのも来賓の皆さんも大半が男性です。私は学長として、この状況を少しでも改善していきたいと考えています。

 こういったジェンダーギャップの壁のことを「ガラスの天井」と呼ぶことは、皆さんご存じかと思います。しかし、そのガラスの天井は、本当に無色透明の透き通ったガラスでしょうか?

 実は、大学を作るのには、厳しい設置基準があります。この大学に全国から集まった教員の皆さんは、文部科学省の厳しい審査をくぐり抜けてきた精鋭の先生方です。

 教員の審査には、研究の業績などの他に教員としての履歴も対象となります。例えば教授になるためには准教授を何年以上やっていなければならないといったことです。

 現在、すべての大学における教員の女性比率は二五%前後です。しかも、新しい大学を作る際には、各分野ごとに、講義内容にふさわしい経歴を持った先生を採用しなければなりません。本学で言えば、マネジメントなど分野によっては、まだまだ、もともと女性教員の少ないセクションもあります。

 もう皆さんはお分かりになりましたね。

 普通に大学設置の基準を守っていては、どんなに努力しても女性教員はすぐには増えないという結論になってしまうのです。

 これを打破するためには、何か強力な政策や、他の新しい基準が必要になるでしょう。私自身、制度の壁を破れなかったことに対する深い反省を背中に負って、いまここに立っています。
(略)
 このように、数字や制度を論理的にたどっていくと、無色透明に見えたガラスの天井にも、いろいろな傷や曇りやひび割れがあることが見つかるのです。それが「科学的に考える」という態度です。(略)》(大学HPより)
https://www.at-hyogo.jp/news/2021/04/000124.html

 平田学長のいうように「科学的に考える」と、男女平等の問題は、一人ひとりができるところから変えていきましょうなどと言っても埒があかない。政治の力で制度を変革していかないと前に進まない。
 日本でさえ、大学における女性の権利はこんな状態なのだから、アフガニスタンの今後は非常に厳しいだろう。
 タリバン指導部の頭(=政策)を変えるための方策に国際社会は知恵を絞らなくてはならない。

私たちは「宇宙の子」であり「星の子」だ

 きのうは月が美しかった。

 きのうが満月かと思ったが、ほんとは今日で、8年ぶりに中秋の名月と満月が同じ日にあたるという。もっとも、関東はよる雲がかかって月を見るのはむずかしいらしい。月を探してみよう。
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 ちょうど1カ月前、東京ビエンナーレで「玉川上水46億年を歩く」の記録映画の上映会があった。https://takase.hatenablog.jp/entry/20210824

 そのさい、宇宙創成と生命の誕生について何か話をするよう主催者から依頼され、上映前に15分ほど話した。

 参加者のほとんどが大人だったので、ビッグバンや超新星爆発などもおりこんで、以下のような話をした。

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大手町の森を会場に行われた上映会の前座で話(8月21日)

 地球にはいま分かっているだけで175万種の生き物がいます。
 地球は46億年という長い時間をかけて、すばらしい多様な生命の星になりました。

 「玉川上水46億年を歩く」は46kmを地球史の46億年に見立てたプロジェクトですが、地球はできた時すでに将来生命が生まれる可能性をもっていた星でした。

 そのことを分かってもらうために、私たちは何からできているかを考えてみます。
体は主に酸素、炭素、水素、窒素でできていて、この4つで96%を占めます。
これらは、どこでどうやってできたのでしょうか?

 主な4元素のうち水素ができたのは、宇宙のはじまりのときでした。
宇宙に「ビッグバン」というはじまりがあったことが分かったのは80年くらい前。そして今から8年前、そのはじまりが138億年前だったと分かりました。

 目に見えない小さな点から巨大なエネルギーが爆発的に広がりました。それが広がり続けて今の宇宙になりました。
 ビッグバンの直後、膨大な量の水素原子ができました。

 その138億年前にできた水素が、いま私たちの体をつくっています。
 例えば、私たちの体の6割は水ですが、水はH2Oで水素(H)でできています。
 ビッグバンでできた物質を、この私がいま体内にもっていると思ってみてください。どんな感じがしますか。

 その他の元素、酸素や炭素や窒素はどうやってできたのでしょうか?
 実はそれらはみな、星が創ってくれました。
 夜空に輝くたくさんの星は何をしているのかというと、水素を原料にして、いろんな元素をその中で創っているのです。

 例えば太陽です。
 太陽はほとんどが水素ですが、その中心部は超高圧、超高温の溶鉱炉のようになっていて、核融合が起きています。
 水素原子が押しつぶされて陽子と電子がいったんバラバラになって融合し、ヘリウムができます。このとき出る莫大なエネルギーが熱と光となって地球まで届いています。

 太陽よりずっと大きい星では、水素からヘリウムに、さらに炭素にというように、次々に重い複雑な元素が創られていきます。
 つまり、星が輝くのはいろんな元素を創るため、とも言うことができます。
 そして、核融合ができなくなったときが星の寿命になります。

 大きな星は寿命が来ると大爆発を起こして、一生かけてつくった元素を宇宙空間にまき散らします。超新星爆発です。
 こうして宇宙はどんどん複雑な宇宙になっていくのです。

 私たちをつくっている主な4元素のうち、水素は宇宙の始まりのときにでき、残りの3元素は星の輝きで創られました。
 ということは、私たちは「宇宙の子」であり「星の子」です。ロマンチックに聞こえますが、これは事実なのです。

 さて地球の誕生です。
 それは今から46億年前、宇宙の誕生、ビッグバンから数えると92億年後のことです。
 138億年を3等分して3分の2のあたりになります。
 地球は宇宙の複雑化が進んでから、いろんな元素でできた星として誕生しました。だからこそ生命が生まれたのです。

 宇宙が次々に複雑なもの、高度なものをその中につくり出していくという進化の流れは、そのまま地球でもつづいていきます。
 多くの元素をもって生まれた地球で、原子から分子へ、分子から高分子へというふうに、より複雑なもの、より高度なものへの進化がたゆみなく行われ、物質の複雑化があるレベルに達したとき生命が生まれました。

 40億年近く前に登場した小さな小さな単細胞生物が、地球のすべての生き物の共通祖先です。
 そこからまた複雑化、高度化の進化が連綿と続いて、今の私たちがいます。
 私たちは、宇宙の138億年の進化の頂点にいると言ってもよいでしょう。

 この宇宙進化の流れを知ることで、何を感じますか。
 そこから、私たちはどう生きたらいいのかを考えていただければと思います。

「仲良く楽しく生きて、楽に死ぬ」セラピーの案内

 「敬老の日」(今日)ということで、きのう母親を訪ねてきた。

 親不孝ばかりしてきた身なので、今はなるべくひんぱんに顔を見に行くようにしている。母親はうちから10キロほどのところにいるので、自転車で行くと良い運動だ。 

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スカイタワー西東京(多目的電波塔)にさざ波のような夕焼雲

 その帰り、夕焼けに染まる空にまるい月がのぼっていた。
 何かいいことありそうな・・。
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 きょうはご案内です。

 9月26日、「コスモロジー・セラピー」入門講座がリモートで開かれます。

 「仲良く、楽しく生きて、楽に死ぬ」ためのコスモロジー(世界観+人生観)をつくっていく実践的なセラピーで、心を元気にしたい人にはすぐに「効く」のでおすすめします。

 これは「サングラハ教育・心理研究所」で別々の講座として行ってきた「コスモス・セラピー、唯識心理学、論理療法、アドラー心理学、ポジティヴシンキングなどの多様なプログラムを一つに統合しヴァージョンアップした〈コスモロジーセラピー〉の入門的講義とワーク」で、講師は私が30年近く師事している岡野守也主幹です
 参加をご希望の方は、以下からどうぞ。
 

www.smgrh.gr.jp

 私は去年から、勝手に「宇宙史の語り部」を自称して、宇宙史、地球史、生命史などをZOOMや小さな会合などで語っている。これは知識を得ておもしろがってもらうことより、自分と宇宙が一体であることに気づいてもらうことを狙っている。

 それを聞いたことがない友人は、「宇宙というでっかい話を聞くと、自分の悩みなんて小さく感じられるから楽になるんだろうね」と言う。ちょっと違う。

 138億年の宇宙史を学んだり、夜空を見上げたりすると、えてして「雄大な宇宙、それに対して、なんてちっぽけな〈わたし〉」というふうに自分を小さく感じがちになる。
 たしかに「自分の悩み」という否定的な部分だけを矮小化すれば、気が楽になる効果はあるけれど、これではほんとうの意味で「元気」にはなれない。 
 コスモロジーセラピーでは、〈わたし〉が宇宙大になる感覚を現代科学にもとづいて身につけていく。普通の宇宙史とコスモロジーセラピーのもっとも大きな違いはこの点だと思う。

 コスモロジーセラピーで「元気」になれることは私の実体験からも言えるし、岡野さんが法政大学、武蔵野大学桜美林大学などでコスモロジー教育を実践したさいの臨床効果としても実証されている。

 以下は研究所のセラピーの案内文より。

 「居場所」という言葉がありますが、私たちのもっとも広い居場所は宇宙です。

 そして、誰もが宇宙の中に生きているので、ほんとうには居場所のない人などこの世には一人もいません。

 そのことに気づいていないと、「自分には居場所がない」「ひとりぽっちだ」という気がしてきますが、宇宙が居場所だと気づくと、もうそういう気持ちはなくなってしまいます。

 そんな大きな話で気持ちが楽になるのだろうかと疑問に思う方もいるかもしれません。

 でも、その大きな話が自分のことだと実感できれば、心がとても広く爽やかですっかり楽になるのです。

 コスモロジーセラピーは、「宇宙という大きな話が実は私の話なんだ」と実感するためのプログラムです。

 知識的な内容のかなりの部分は本ブログに公表していますが、読むのとライブのセラピーとでは実感が大きく違います。

 今回は、初めてのリモート講座で、主催者にとっても新しい試みですが、対面に近い効果があるにちがいないと予想しています。

 参加者のみなさんも、半信半疑でもかまいません。試しに参加してみませんか。

 

 有料のリモート講座で、9月26日(日)13:30〜16:30(休憩を入れて3時間)に開かれます。
 自分に自信がもてない人、人生に意味を見出せない人などにお勧めします。

今よみがえる中村哲医師の言葉

 アフガニスタンで命を落とした中村哲医師は、2001年10月13日に国会に参考人衆議院参考人として招かれ、自衛隊派遣に反対していた。

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2001年10月13日、衆議院「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会」(西日本新聞より)


 この参考人発言をあらためて読み返し、感銘を新たにした。今こそ多くの人に知ってほしいと思う。
・・・・・・・・・

 皆様、御苦労さまです。中村と申します。

 もう現地に行きまして約十七年半になりますが、私、実は国内で何が起きているのかよくわかりませんで、失礼ですけれども。ただ、向こうから戻りまして、余りに現実を踏まえない図式に基づいた議論だけが先行、失礼な話でございますが、本当にアフガニスタンの実情を知って話が進んでおるのだろうか、率直な意見を持つわけでございます。

 きょうは、私は、全くの政治音痴でして、左も右もわからないという中で、さっき忌憚のない意見ということをおっしゃいましたので、忌憚のない意見を述べたいと思います。

 ただ、その際に、そう言いますと、すぐ烙印を押されまして、日本全体がもうテロ対策、アメリカを守るためにどうするんだ、タリバンというのは悪いやつだという図式で動いておりますので、あたかもこれを守るような発言をいたしますと、すぐタリバン派だと言われる。私は、断っておきますが、タリバンの回し者ではありません。それからイスラム教徒ではありません。キリスト教徒でございます。こういう、憲法がどうだとか、そういう法律のことはよくわかりませんので、ともかく、今現地で何が起きているのか、何が問題なのかという事実を皆さんに伝えたいというふうに思っております。ただ、どうもイメージと違うという点がございましたら、どうぞ忌憚なく後で御質問いただければと思います。

 私たちの活動を簡単に紹介いたしますと、ペシャワール会というのは一九八三年にできまして、十八年間、現地で医療活動を続けてきました。現在、パキスタン北西辺境州の国境の町ペシャワールを拠点にいたしまして、一病院と十カ所の診療所がありまして、年間二十万名前後の診療を行っております。現地職員が二百二十名で、日本人ワーカーが七名、七十床のPMS(ペシャワール会医療サービス)病院を基地に、パキスタン北部山岳地帯に二つの診療所、アフガニスタン国内に八つの診療所を運営いたしまして、国境を越えた活動を行っております。

 私たちが目指すのは、山村部無医地区の診療モデルの確立、ハンセン病根絶を柱にいたしまして、貧民層を対象に診療を行うことでありますが、後で申し上げますように、今回の干ばつ対策の一環として、ことしの春より、無医地区となりましたカブールに五カ所の診療所を今でも継続しております。

 この間、皆さん御記憶のように、一九七九年十二月に旧ソ連軍の侵攻がありまして、十万の大軍が侵攻いたしまして、以後何と二十二年間、アフガニスタンは内戦の要因を引きずってきたわけでございます。この内戦だけで、死亡した戦闘員あるいは外傷による戦死者だけで七十五万名、恐らく民間人を入れますと二百万名。これは私、目撃者として、確かにほとんど死んだのは、女、子供、お年寄り、ほとんどこの戦闘とは関係ない人々であったわけですね。六百万名の難民が出て、それに加えて今度の大干ばつ、そしてどういう原因か私もよく知りませんけれども、報復爆撃という中で、もう痛めに痛めつけられて現在に至っております。

 この中で、先ほど申しましたように、アフガニスタンを襲いました世紀の大干ばつ、大げさなように聞こえますが、これは本当に危機的な状況でございまして、私たちの活動もこれで終わるかもしれない、アフガニスタンの半分はこれで砂漠化して壊滅するかもしれないということで、昨年から必死の思いで取り組んできたわけでございます。

 WHOや国連機関は、昨年春からこのことについて警告を発し続けておりましたが、国際的に大きな関心を引かなかったんですね。もちろんこれは、テロ事件などと違いまして、政治的にも意味合いが違いますし、慢性に起こるものですからなかなか関心を引かなかった。

 アフガニスタンが一番ひどくて、被災者が千二百万人、四百万人が飢餓線上にあり、百万人が簡単に言うと餓死するであろうという発表がありましたのは、約一年半前でございました。もちろん、人命のとうとさというのは数ではかれるものではありませんけれども、我々簡単に百万人が餓死するだとか言いますけれども、実際に目の当たりにしますと、先ほどお話がございましたが、映像で見る状態と実際に現場で見る状態は違うんだ、もっと生々しいものなんだとおっしゃいましたが、まさにそのとおりでありまして、実際の修羅場を前にすれば決して生易しいものではない。食糧だけではなくて飲料水が欠乏して、次々と廃村が広がっていくという事態が起きたわけでございます。下痢、簡単な病気で主に子供たちが次々と命を落としていったわけでございます。

 私たちとしては、この事実をみんなに訴えながら、言うだけではだめですから、真っ正面から組織を挙げて対策に取り組んできました。診療を中心に、医者がこんなことを言っちゃいけませんけれども、病気なんかは後で治せる、まず生きておれという状態でございまして、診療所を中心にいたしまして、アフガニスタン東部一帯の干ばつ地帯に速やかに展開いたしまして、水源確保事業、ともかく、食べ物はなくても何週間か生きておられるわけですね、水がないと二十四時間以上生きられない、そういう状態であったわけです。

 そこで、私は医者でございますけれども、水を得ようということで水源確保事業に取り組んでおりまして、現在まで約六百六十ほど水源に取り組んで、そのうち五百五十カ所、利用水源を得ております。中には、一たん難民化していなくなって砂漠化した村が、水路、現地にカレーズあるいはカナートと呼ばれる伝統的な水路がありますが、それを三十本復活して、一万数千名を養えるだけの緑地を回復する。それで全部戻ってくるという奇跡的なことも起きたわけでございます。

 医療面では、ことしの一月、国連制裁が何と、私たちも初めのうち、我々が頑張ってくれば必ず国際的に大きな援助がどんと来るんだ、こんなのをだれも放置しておかないだろう、エチオピア大干ばつ以上の規模であるということでしたが、やってきたのは制裁でございました。そのために、ただでさえ少なかった外国の救援団体が次々と撤退していくという中で、まさにアフガニスタンは孤立化への道をこれによって深めていったわけでございます。

 私たちとしては、それだからこそ必要なんだということで、カブールの、事実上、カブール市内は、もとの裕福なカブール市民というのはほとんどいない。二割、三割程度しか残っていない。あとは、先ほど申しました干ばつによりまして逃れてきた難民たち、国内難民ですね、これであふれておる状態でございまして、現在、百万人から百五十万人、この約一割がことしの冬を生きて越せないだろう、この約三割から四割が慢性の飢餓状態で、簡単な病気で死んでいく、こういう状態でございます。

 私たちとしては、だれもやらないなら、ニーズがあってだれもやらないのなら我々が行く、我も我もと行くところなら行く必要がないというのが我々の方針でございまして、緊急にことしの二月から、正式には三月から診療所を開設したわけでございます。

 これでもまだ不十分だということで、水源の目標数をことし以内に一千カ所、カブール診療所を年内に一挙に十カ所にしろということでおぜん立てをしている最中に、九月十一日の同時多発テロになったわけでございまして、私たちの事業は一時的にストップいたしました。初めのショックから立ち直って、今、拡大こそしていませんが、今までやってきた事業は、爆撃下にありながらも、勇敢なスタッフたちの協力によりまして、何事もなかったかのように継続しております。

 今、私たちが恐れておるのは、難民難民という議論が先ほどからございますけれども、カブール、これは首都カブールが最も大きな町ですけれども、カブールだけではなくてほかの都市もそうですが、飢餓です。飢餓であります。現地は今から寒い時期に入ってくる。市民は越冬の段階に入ってきておる。今支援をしなければ、ことしの冬、先ほど申しましたように約一割の市民が餓死するであろうというふうに思われます。このため、私たちは、緊急の炊き出しとでも申しますか、食糧配給を開始いたしまして、既にその準備は完了いたしました。

 私たちが訴えたいのは、難民が出てからでは、これは手間もかかるし金もかかるというだけではなくて、悲劇が大きくなる。難民を出さない努力というのをまずやらなくちゃいけないというのが、現地におる私たちとしてはぜひ訴えたいことでございます。

 どこか、ペシャワール側で見てみますと、これは日本側に帰っても驚きましたけれども、難民が出てくるのを待っておる。ペシャワールには現在百四十数団体が集結しておりまして、難民が出たらこうしよう、ああしようと言っているけれども、実際のいわゆる我々が想像するような難民は今のところ発生しておりません。私たちが全力を挙げて取り組むのは、少なくとも、けがをして逃げてくる人たちは別として、飢餓による難民は一人もペシャワールに出さないという決意で全力を挙げて現在の仕事をやっていくつもりでございます。

 話が長くなりましたけれども、難民援助に関しましてもこういう現実を抜きにして、ちょっと失礼かもしれませんけれども、どうぞお怒りになりませんように、こういう現実を果たして踏まえて議論が進んでおるのかということに、私は一日本国民として一つの危惧を抱くわけでございます。

 例えば、いろいろ考え方はありますけれども、テロという暴力手段を防止する道に関しましても、これは暴力に対しては力で抑え込まないとだめだということが何か自明の理のように議論されておる。私たち、現地におりまして、対日感情に、いろいろ話はしませんけれども、日本に対する信頼というのは絶大なものがあるのですね。それが、軍事行為に、報復に参加することによってだめになる可能性があります。

 ほかの地域ならともかく、アフリカだとか南アメリカは私はよく知りません、あの地域しか知りませんので、現地に即して言いますと、例えば自衛隊派遣が今取りざたされておるようでありますが、詳しいことは後で御質問で受けたいと思いますけれども、当地の事情を考えますと有害無益でございます。かえって私たちのあれを損なうということははっきり言える。

 私たちが必死で、笑っている方もおられますけれども、私たちが必死でとどめておる数十万の人々、これを本当に守ってくれるのはだれか。私たちが十数年間かけて営々と築いてきた日本に対する信頼感が、現実を基盤にしないディスカッションによって、軍事的プレゼンスによって一挙に崩れ去るということはあり得るわけでございます。

 この点、あと、要するに言いたいことは、まず現地はどうなのか、実情はどうなのかということを踏まえた上で何かを決める。私はそういう偉い人ではありませんから、どうしようと日本国民の一人として法律に従いますけれども、アフガニスタンに関する限りは、十分な情報が伝わっておらないという土俵の設定がそもそも観念的な論議の、密室の中で進行しておると言うのは失礼ですけれども、偽らざる感想でございます。

 私ばかり話していると後の方が話す時間がありませんので、一応私の話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
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 途中、「笑っておられる方もおられますけれども」とあるが、このときのことを中村さんは自らの著書にこう記している。

《「不確かな情報に基づいて、軍隊が日本から送られるとなれば、住民は軍服を着た集団を見て異様に感ずるでありましょう」「よって自衛隊派遣は有害無益、飢餓状態の解消こそが最大の問題であります」

 この発言で議場騒然となった。私の真向かいに座っていた鈴木宗男氏らの議員が、野次を飛ばし、嘲笑や罵声をあびせた。司会役をしていた自民党の亀井(善)代議士が、発言の取り消しを要求した。》(『医者、用水路を拓く』(石風社))

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 参考人として呼んでおいて、「発言の取り消し」を求めるとは言語道断だが、それほど当時としては「けしからぬ」発言だったのだ。

 いまアフガニスタンはまた、大干ばつに襲われ、大規模な飢餓の発生に国際機関が警告を発している。
 タリバン政権にどう向き合うかという課題を前にして、この中村さんの発言はちっとも古くなっていない。
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 自民党総裁選のニュースがテレビ、新聞にあふれ、立憲の「昼間は国会を開こうよ、内輪のことはそのあと夜にやって」という正論がかすんでいる。

 野田聖子氏が締め切りまぎわに立候補したことは、素人目にも、流れを河野太郎氏から岸田文雄氏へと変えたように見える。朝日川柳にもこんなのが・・。

 四人目は刺客のように滑り込み

 石破氏・小泉氏の支援もあって圧倒的に優勢の河野氏の党員票を、野田氏が相当数奪うとなれば、河野氏の1回目での過半数勝利はなくなる。国会議員票で決まる決選投票では、反河野でドンたちが派閥を締め付けるだろう。
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 きょうの朝刊(朝日新聞)は第三社会面に気になるニュースがたくさんある。

 新聞の番組欄の裏にあるのが第一社会面、その見開きの右側にあるのが第二社会面。第三社会面はそこからめくった左側にある。載っているのは通常小さめのニュースなのだが、私はここにおもしろい記事を見つけることが多い。

平井卓也デジタル相が、「デジタル庁」発足前の4月、幹部とのオンライン会議で「(NECを)脅しておいた方がよい」と発言していたことが問題になったが、この回以外の会議の音声データがすべて破棄されていたことが判明した。
 公文書の管理についての反省はどうした。デジタルは紙媒体が不要だから保存に有利なはずなのに、こんなに早く廃棄するとはなんたることだ。自民党総裁候補らはこれをどう考える?

②災害時の安否不明者の氏名公表について、来年度中に公表に向けた統一的な指針を策定するという。公表をめぐっては、18年の西日本豪雨自治体によって対応が分かれた。
 氏名を公表すれば、情報が寄せられ、救助対象者の絞り込みにつながる。これは個人情報保護とは別次元の問題で、公表できるような指針にすべきだ。

③17年に当時12歳の長女を強姦した罪などに問われた実父に、最高裁で懲役7年の刑が確定した。

 19年3月、一審は強姦罪を無罪としたが、その同じ月に別の性犯罪3件で無罪判決が出て、「フラワーデモ」が起きるきっかけになった。
 この判決の当否はコメントしないが、強姦罪の成立要件のハードルを下げる方向にあるのは前進だろう。

④子宮頸がんワクチンの接種を積極的に勧めることを再開する是非を議論するため、厚労省有識者による審議会を10月に始めるという。HPVワクチンは2013年4月、小学6年から高校1年相当の女子を対象に定期接種となったが、接種後の「多様な症状」が報告され、同年6月から積極的な勧奨が差し控えられていた。

 WHOの諮問委員会では「科学的分析とは裏腹に、世界では症例観察に基づく誤った報告や根拠のない主張が注目を集めている。合理的根拠に乏しい主張によって接種率の低下する国が増え、実害をもたらしていることに対し、委員会は引き続き懸念を表明する」としている。

 このブログで何度も書いたが、周回遅れどころではない、いまの異様な事態をはやく正すべし。これはコロナワクチンの開発の遅れにもつながっていると指摘されている。

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