今もまだ「ドナルドだけよ」言うのかな

 おもちゃ箱ひっくり返してあと知らぬ 青森県 佐藤やす子

 地球から去ってほしいと皆思い  兵庫県 河野 敦

 石器時代・・・カーチス・ルメイが蘇る  東京都 坂巻克巳

 4日の朝日川柳より


 「(イランを)石器時代に戻してやる」

1日のテレビ演説(TBSより)

 1日のテレビ演説でこう言い放ったのには、いくらトランプでもここまで言うか!と驚いた。
"We are going to hit them extremely hard over the next two to three weeks — we're going to bring them back to the Stone Age, where they belong. "
(我々は今後2〜3週間のうちに彼らを極めて強力に叩く。彼らを本来の場所である石器時代に戻してやる)

 日本時間今朝2時の演説でも、橋や発電所を破壊すると脅し、同様の発言を繰り返した。

 AFPはこの発言の問題をこう指摘している。
【4月3日 AFP】イランの電力網を破壊し、9000万人の国民を窮地に追い込むと脅迫するドナルド・トランプ米大統領は、戦争犯罪に当たる可能性のある行為を容認するだけでなく、痛快がるという前例のないことをしている。

 専門家らは、トランプ政権が国際規範の維持を担う国際機関の弱体化に尽力していることから、少なくとも短期的には、トランプ氏が責任を問われることはないとの見方を示している。

 第2次世界大戦後に締結されたジュネーブ条約は、「文民たる住民の生存に不可欠な物」の破壊を禁じている。

 実際、国際刑事裁判所(ICC)は2024年、ウクライナの電力網への組織的な攻撃に関与したとして、ロシア軍関係者4人を起訴した。

 それにもかかわらず、トランプ氏は1日の国民向け演説で、イランがディール(取引)に応じなければ「イランのすべての発電所を攻撃する」「われわれは今後2~3週間のうちに、イランを彼らにふさわしい石器時代に戻す」と述べた。

 2月28日にイスラエルと共同で対イラン軍事作戦を開始した際には、イラン国民を支援し、不人気な神権体制打倒を支援するのが目的だと示唆していたが、打って変わってイラン国民を苦しめる行為を示唆している。

 トランプ氏は2月、イランで最も高い橋を破壊する動画を投稿し、「まだまだ続くぞ!」と予告した。イランは同日、100年以上の歴史を持つ公衆衛生の研究機関「イラン・パスツール研究所」も空爆を受け、甚大な被害を受けたと報告した

 トランプは「これから戦争犯罪をどんどんやるぞ」と世界に向かって誇らしげに宣言しているのである。

 人に対して軽々しく「狂ってる」などと言ってはいけないことは承知している。だが、この人の場合、その表現は不適切ではないように思われる。

 ロシアやイスラエルも、“敵地”の人々の暮しを困難にして絶望感を煽るために、病院、学校などの他、発電所など生活インフラを根こそぎ破壊しているが、「誤爆だった」、「病院を軍事拠点にしていた」などと“言い訳”して正当化している。もちろんウソなのだが。

 一方、トランプは「戦争犯罪に当たる可能性のある行為を容認するだけでなく、痛快がるという前例のないことをしている」(AFP)のだ。もともと白人(しかも男)しか「ヒト」と認めない差別主義者の彼は、ペルシャ人など「類人猿」にしか見えていないのではないか。

 イランでは、橋や研究所のほか、病院が破壊されている。2日時点で死者は約2000人、負傷者は2万5千人を超えている(WHO)。ただでさえ、病院は爆撃による負傷者であふれているのにその医療施設を壊し、医療関係者を殺している。

 さらに電力を止めたら手術ができなくなり、人工心肺装置をふくむあらゆる電動医療機器が機能せず、多くの人命が失われていくことは目に見えている。明白な戦争犯罪である。

 この大統領が、「アメリカの時代」を終わらせ、世界に大きな転機をお膳立てしつつあることは間違いない。

 そして、こんな人物にいきなり抱きつき、ファーストネームで(なれなれしく)呼びかけながら世界への貢献をほめあげたのは、わが国の首相だった。(なお、高市首相はフランスのマクロン大統領にもエマニュエルと呼びかけたが、高市流の「ファーストネーム外交」なのだそうだ)

「高市首相は19日(日本時間20日未明)、米ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。会談の冒頭で首相は「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思う」とトランプ氏をファーストネームで呼び、イランについては「イランの核兵器開発は許されない」と非難した」(読売新聞)

ホワイトハウスが、この写真をトップに持ってきたのには何かわけがあるのではと疑わせるくらい違和感がある。

 主要国のリーダーが相次いで、トランプのやっていることは国際法違反だと表明することで米国の暴挙に巻き込まれないようにしているのに対し、高市首相の迎合一辺倒の姿勢は突出している。

 今朝(7日)の朝日川柳では

 今もまだ「ドナルドだけよ」言うのかな  和歌山県 保富 学

 まさか、この時点で「ノーベル平和賞」にふさわしいなんて言いませんよね!

 もっとも対米迎合は自民党の伝統だ。

 冒頭の川柳に出てきたカーチス・ルメイは「石器時代」発言の元祖で、東京大空襲や原爆投下という明白な国際法違反の民間人攻撃を行った部隊の指揮官で、ベトナム戦争では空軍参謀総長として「(北)ベトナムを石器時代に戻してやる」とこれまた国際法違反の北爆を断行した。

 この人物を日本政府は彼に叙勲している。

《ルメイ氏は戦時中、日本に対する爆撃機部隊の司令官として、日本国内各地への空襲を指揮。東京大空襲については回想録で「近代航空戦史上で画期的なできごと」と自賛した。日本政府は戦後、航空自衛隊発展の功績で1964年に勲一等旭日大綬章を授章した。
 これについて、沖縄戦戦没者の遺骨収集を続ける市民団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんらは10日に国会内で、勲章の法令を担当する内閣府賞勲局職員と面会。ルメイ氏について「東京大空襲で一晩に10万人以上の市民が焼き殺された事実への悔恨の念などなく、次々と全国の都市の市民を殺戮(さつりく)する無差別爆撃を進めた」と非難。叙勲は「ルメイ氏による日本人の大量殺戮を日本政府が看過したということ」だとして、取り消しを求めた》(朝日新聞

 対米追随でやってこれた時代は完全に終わった。

 今後、あの人物が率いる米国に「付いていく」のはまさに日本の自殺行為である。

『拉致 封印された真実』への反響

 高世仁+NK917『拉致 封印された真実』(旬報社)に関する記事と書評が出た。

 『毎日新聞』は自宅まで取材に来てくれて、4月3日夕刊「特集ワイド」で「取材30年髙世仁さんが明かす解決阻む『真相』」「拉致進展へ情報隠すな」の見出しの大きな記事を掲載した。私の語った趣旨をうまくまとめている。

mainichi.jp

『毎日新聞』4月3日夕刊

 翌朝4日の『日経新聞』書評で本書を取り上げた。

日経4月4日朝刊書評欄

 大量に送られてくる新刊本の中から書評委員が選んでくれたのは光栄だ。「決定版」との評価に、2年かけて書いた苦労が報われる思いがする。

 売れ行きが気になるが、きょうの段階でAmazonで「4,350位 (本の売れ筋ランキングを見る) 国際政治情勢 - 36位」と出ていて健闘しているようだ。

 私もYoutubeの番組やJBpressの記事で毎回宣伝している。

 最新のYoutube番組は「【拉致問題の闇⑪】めぐみさんは今どこに?第2弾-心の病から結婚へ」

www.youtube.com

 JBpressの最新記事は「工作員の養成・活用に執着した金正日、「スパイ映画」製作し外国人の拉致を指示、こうして悲劇は繰り返された」

jbpress.ismedia.jp

 本が発売されてからイベントが続いている。

 3月27日大阪、28日神戸の講演会につづき、今日はネット放送AJERの収録があった。
今後、4月11日に出版祝賀会、25日に東京講演会、そして5月1日(金)には衆院議員会館で国会議員にも参加を呼びかけて、拉致問題の前進のために議論する会を予定している。

 なんとか少しでも拉致問題が進展して、一人でも二人でも救出できるよう微力を尽くしたい。

 なお、1冊2860円(消費税込み)で上下巻と高いので、近くの図書館にリクエストを出していただいてお読みください。

花見でエネルギーをチャージしよう

 29日(日)は東京の最高気温が20度を超えてぽかぽか陽気だった。桜が満開とくれば花見に繰り出すということになる。

 自宅近くを自転車でぐるりと回ってみた。

国分寺市の武蔵国分寺公園のこもれび広場

しだれ桜。武蔵国分寺公園の円形広場

 

多摩霊園のオオシマザクラ

国分寺跡にて

古代道「東山道」の主の老木

 ちょっとだけウンチクを―

 江戸の桜花見の元祖は上野寛永寺で17世紀後半にはすでに三味線や笛、太鼓などの鳴物入りで酒宴が行われていたという。この時代、どんちゃん騒ぎの宴会をやっていたのだ。

 1680年代には鳴物はご法度になって規制が進み、1730年代には飛鳥山(北区王子)に賑わいが移ったそうだ。徳川吉宗が庶民が行楽を楽しめるよう、飛鳥山に千本以上の桜を植えて開放したという。18世紀末(寛政期)には日暮里が、さらに1830年代(天保期)は向島の全盛期だった。

 「寛政の頃の花見は、たんにドンチャン騒ぎをするのではなく、歌・浄瑠璃・おどり・俳諧・狂歌などをするという、はなはだ文化的な花見となっていた」(川添登『東京の原風景』)

 明治初期の花見について、初代駐日英国公使オールコックはこう記している。

「江戸の日本人は四月いっぱい郊外の庭園や寺へピクニックに出かけるが、これは彼らの大きな楽しみの一つである。男や女や子供の群れが、一家ごとに野外の春を楽しむために木陰の道を列をなして進んでいるのを見かけることがある。・・・悲しいことには、このような牧歌的な情景が、しばしば過度の飲酒のためにだいなしにされている。男たちは野外の花のさわやかさを吸入するだけではあきたらずに、酒を鯨飲する。この習慣が男だけに限られていればまだしもだが、実際は男ばかりに限られてはいない。帰り道はこれらの酔っぱらいのたあめにけんのんである」(渡辺京二『逝きし世の面影』)

 男だけでなく女の酔っぱらいも相当いたらしい。

 
 時と共に花見のあり様も変化していくようだ。今の桜花見の特徴は何だろう?

 

 29日の朝日歌壇に上田結香さんが2首入選

 「桜が咲くまでは来ますよ」お別れが近づいている焼き芋屋さん

 「ノリが悪い」笑われ真面目に悩んだがセクハラに協力しなかっただけ

 彼女らしい直接話法を駆使した楽しい歌だが、確かな社会的視点に裏打ちされている。また楽しませてほしい。

イラン情勢がウクライナ戦争に及ぼす影

 中東情勢に隠れてウクライナ戦争が後景に退いた感があるが、23日夜から24日にかけて、ロシアは「24時間で約950機の無人機やミサイル」(ウクライナ軍発表)で“最大規模の攻撃”(米戦争研究所)をかけてきた。

 ロシアは一貫して学校や病院を含む民間施設を狙い撃ちする“汚い”攻撃をかけているが、今回標的にした中には、西部リビウの世界遺産の歴史地区があり、17世紀の教会が狙われたという。

NHK「国際報道」より

 ゼレンスキー大統領は「ロシアが戦争を終わらせる意思を持たないことを、今回の攻撃の規模は明確に示している」と非難した。

 「停戦は難しい」というが、この戦争、ロシアが侵略をやめて引き揚げれば終わるという実に単純な話なのだ。アメリカとイスラエルがイラン攻撃をやめれば今の「戦争」が終るのと同じように。

「強い圧力をかけ、大きな損失を与えなければ、ロシアに戦争から撤退する意欲は生まれない」(ゼレンスキー)。正論である。

 米国トランプ政権の元ウクライナ担当特使、キース・ケロッグ氏が来日し、先日NHKのインタビューに興味深いことを語っていた。ケロッグ氏はプーチンが「ウクライナ寄りだ」としてトランプ大統領に交渉から外すよう要求したとされ、1月に特使を退任。代わりに大統領の盟友、ウィトコフ氏や娘婿のクシュナー氏が中心的な役割を担うようになった。

キース・ケロッグ氏(NHK)

 ケロッグ氏はプーチンが戦争をやめる気配がないことを批判し、「自分が、退位後のニコライ2世のように銃殺されるのではと恐れている。だから120万から140万人という膨大な死傷者を出し、戦争がロシアの経済と軍を破壊しているのに、やめようとしないのだ」と語った。

 日露戦争の敗北と第一次大戦での甚大な被害によってロシア国内は深刻な食糧危機とインフレに陥った。国民の怒りがロシア革命を呼び、ニコライ2世は退位においこまれのちに銃殺された。

 プーチンは、簡単にウクライナを屈伏させられると見て、国際法無視の侵略を始めたが、自軍に莫大な犠牲が出てもウクライナの抵抗を抑えられない。ここまできたら自分の身を守るためにも、簡単にやめるわけにはいかないというのである。まさに自滅の泥沼。

 イスラエルとアメリカが国際法違反のイラン攻撃を始めて1ヵ月を過ぎた

 トランプは、今月半ば、NATO諸国にイラン戦争における支援を呼びかけた。しかし、NATO加盟国は次々に国際法違反なのでアメリカ支援はできないとまともなことを言い出している。

 これに対してトランプは「我々はウクライナを通じてNATOを支援しているので、NATOはホルムズ海峡を開放し続けるために米国を支援すべきだ」などと恨み節。これに対して、

「これは嘘だ。トランプは就任時にウクライナへのすべての支援を停止した。一セントたりともウクライナに送られていない。欧州諸国は米国の武器を購入している。これは支援ではない、購入だ。私が店で商品を買うとき、店は「支援」しているわけではなく、ビジネスをしているのだ。

 トランプは世界中の同盟国を侵攻で脅し、すべての機会に彼らを貶め、アフガニスタンで戦死した兵士たちさえも含めてだ。一方、プーチンは見逃され、アラスカで温かい歓迎を受け、制裁すら解除された。

 これらが事実だ。」とのXへの投稿があった。https://x.com/Tendar

ウクライナへの支援額:アメリカは援助しているのではなく、武器を売っているだけ


 ここにきて、イラン侵略戦争がウクライナの戦況にも影響を与えている。

 まず、イランによる空からの攻撃(無人機、ミサイル)への防衛のため、アメリカの地対空ミサイル・システム「パトリオット」などが中東に回され、ウクライナへの供給が厳しくなる。

 さらに、オイル不足でロシア原油輸入禁止の制裁が緩んだことで、ロシアの収入がアップしつつある。

「ロシアに戦争継続の資金約100億ドル(1兆6000万円)をもたらす可能性があり、平和に役に立たない」とゼレンスキー大統領は憂慮している。

 アメリカが(イスラエルに引っ張られて)勝手に始めた侵略戦争の世界に及ぼす今後の影響の規模はまだ見えない。しかし、取り返しの黄かない災厄を呼ぶのではないかと心配でならない。

 NO KINGS!

お知らせ 関西で連続講演会など

 『拉致 封印された真実』の出版後、いろいろ立て込んで、ブログの更新ができずにすみません。きょうはいくつかお知らせです。

 今週末、関西で出版記念講演会があります。お近くの方でご関心あればどうぞおいでください。無料で予約不要です。

大阪講演会

 3月27日(金)午後6時30分開演 開場午後6時
   場所:大阪韓国人会館4階 多目的ホール
   大阪市北区中崎2-4-2(地下鉄中崎町駅2番出口から徒歩3分)

神戸講演会

 3月28日(土)午後2時開演 開場午後1時30分
   場所:神戸市中央区文化センター11階 1112室
   神戸市中央区東町115(三宮駅から徒歩6分)


   主催:北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
   後援:特定失踪者問題調査会

 

JBpressで拉致問題の連載を始めました

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  13日、14日、15日と連続してアップされたが、15日のランキングを見るとトップ10に、国際、国内の旬なネタに伍して私の3本が入っていた。潜在的な関心があるのだろう。

 

YouTubeに【拉致問題の闇】第10弾「めぐみさんは今どこに?」を公開しました。

 横田めぐみさんは、拉致されて9カ月間、たった一人で暮らし、毎日泣いていたという。その翌年、曽我ひとみさんと暮らし始め、元気を取り戻しためぐみさんだったが、その一方で異様な“訓練”が二人を待っていた。酒とタバコを強いられ、「酒は下を向いて女らしく飲め」と仕草まで指導された。当時めぐみさんは14歳。思春期の彼女に北朝鮮は何をする気だったのか?極秘文書をもとに、知られざる北朝鮮での消息に迫る。

www.youtube.com

 この番組も好調で、きのう夜公開して24時間で視聴回数1万3千を超えた。これはシリーズ化しているので、チャンネル登録をお願いします。

予算案通過にみる国会の根本問題

 JBpressで拉致問題の連載を始めた。

 12日(木)、13日(金)ときょう15日(日)にアップされた。
 今朝チェックしたら、アップしたばかりの3作目含め、3本ともランキング10位内(5,9,10位)に入っているのでびっくり。


jbpress.ismedia.jp

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 旬のニュースネタに伍してランキング入り。注目されているようだ。これで本が売れてくれるといいのだが。
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 高市首相が「年度内成立」をめざす新年度予算案が、衆議院をスピード審議で通過。

 総額122兆3092億円で過去最大。審議時間は59時間という異例の短さで、強引に審議を打ち切っての採択だった。暴挙なのだが、なにか粛々と進んでいった感じである。圧倒的な与党の数と野党の迫力不足、そして批判的なメディア報道の少なさがこの事態を招いているのか。

衆院通過のあとの首相のあいさつ回り。笑顔で迎える中道幹部ら。

 TBS「サンデーモーニング」で、コメンテーターの松原耕二氏が根本的な問題を指摘していた。

「衆議院の進め方は、まさに国会が行政に……というよりは、高市総理に従属している存在になってしまったという風に言えるんだと思います。

 ただ、考えなきゃならないのは、日本の国会の持つ、ある「欠陥」だと私は言ってもいいと思うんですが。

 長い間、日本の国会というのは、与党・自民党が事前に予算案も含めて審査をして、練って、練ってと(自民党内ではですよ)。で、国会では一字一句変えないということが長く続いてきたわけです

 ただ、一昨年の補正予算では、少数与党の下で28年ぶりに、実は補正を組み替えてるんですよね、予算を。で、「ここで変わるかな」と思いきや、これでまた元に戻ると。そうなると何が起きるかというと、結局自民党でチェックすれば、国会ではどうせ「歌舞伎」みたいな議論でしょと。じゃあ長い議論であろうと短い議論であろうと、どっちでもいいんじゃないの?と。

 要するに「国会はいらないんでしょ?」という話に本当になりかねないんですよね。で、世界では与野党が一緒に予算を長い間かけてチェックして、組み直すっていうのは世界中どこでもやってることなんです。

 政治っていうのは国民から税金を集めて、それをどう配分するか。これが「政治そのもの」なわけですよね。だから、私は参議院にも頑張ってほしいと思いますけど、今のような国会の本質的に持つ問題を、もう一回私は議論してほしいという風に思います。

 この指摘は新鮮だったし、非常に重要だと思う。
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 トランプ大統領、戦火を拡大させてホルムズ海峡が危なくなったら、「日本などに“ホルムズ海峡に艦船派遣を”要請」とのニュース。

 しかし、彼のSNSを見ると、ただの艦船ではない。warshipsつまり「軍艦」と書いてある。

「多くの国々、特にイランによるホルムズ海峡封鎖の試みによって影響を受けている国々は、海峡を安全に保つためにアメリカと協力して軍艦を派遣することになるだろう」

「願わくば、この人工的な制約の影響を受けている中国、フランス、日本、韓国、イギリス、その他がこの地域に艦船を送り、ホルムズ海峡がもはや脅威とならないようにすることを望む」

「その間、アメリカは海岸線を激しく爆撃し、イランのボートや船を絶え間なく撃沈し続ける。いずれにせよ、我々はすぐにホルムズ海峡を『オープンで、安全で、自由』なものにする!」と。

 欧州の首脳もここにきて米国と一線を引きだした。

 英国のスターマー首相はインド洋の米英共同基地ディエゴガルシアを米軍に使用させなかった。またスペインのサンチェス首相は米軍に基地を使用させなかったことでトランプ大統領から禁輸措置の脅しをかけられている。

 フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相は米国・イスラエルの攻撃は国際法の範囲外だと表明。

 高市首相は訪米して19日にトランプ大統領と首脳会談を行うが、どうなるか。

 「何を言いだすか分からない大統領」と「何を言ってしまうか分からない首相」の会談は、危ういこと、この上ない。

震災と“日本人らしさ”について②

 2011年8月、当時私が代表を務めていた制作会社「ジン・ネット」はTBS報道特集で「神社が止めた津波」という特集を制作した

 「震災モノ」としては異色の特集だったが、好評だった。この企画はひょんなことから生まれた。

 「ジン・ネット」に一時籍を置いていた熊谷航という男がいた。テレビ業界は自分に向かないと彼は2年ほどで会社を辞めて、故郷の福島市に戻った。抜群の取材力をもつ男だったので残念だった。その彼が、久しぶりに上京し、私を訪ねて来て、居酒屋で飲んでいた。

 彼が「ひょっとして、神様って、いるんじゃないかと思うことがあります」と言う。

 東日本大震災のあと、熊谷は土木学会の依頼で、津波の被害を調査したが、そこで不思議なことに気づいた。津波がどこまで到達したかを見るため、浸水線をたどると、なぜか神社が現れる。それが1回や2回ではない。神社のすぐ前まで波がひたひたと押し寄せた、そういう場所がとにかく多かったという。

 熊谷は、休みの日を使って、福島県の沿岸部、新地町から相馬市、南相馬市までの神社、82社を訪れ、浸水図に照合した。すると、多くの神社がきれいに浸水線の上に並んだ。

福島県南相馬市から新地町にかけて国道6号線より海側にある神社をポイントした。新しい神社ほど津波に吞み込まれていた。白い線が浸水線(熊谷制作)

 高すぎもせず、また津波に飲み込まれることもない、ぎりぎりのところに神社は建てられていた。彼の自作の地図を見せてもらって、私も驚愕した。この理由を知りたい。これが出発点だった。

takase.hatenablog.jp


 そして取材の結果、古い神社ほど、浸水線上にある傾向が分かった。
 東日本大震災のときの津波の浸水線は、9世紀(平安前期)の貞観地震(貞観11年5月26日、西暦869年)のそれにほぼ重なるとされる。つまり、貞観の津波の浸水線に神社が建てられたのではないかと推測される。

 地震工学の権威、東北大学の今村文彦教授にも取材すると、神社が津波を免れる現象についてこう語った。

「ギリギリのとこにあるってことは、やはり過去、そこまで津波がきていて、で、その一帯被害を受けたんだけども、その境界のちょっと陸側に関しては、被害がなかったと。つまり、安全な場所であったと。で、そこに神社等を建立したと思っています」

 神社は、津波の被害をギリギリで避ける場所、つまり浸水線に沿って建てられてきた。津波を後世に伝えるランドマークとしてそこに建てられたのではないだろうか。この仮説を検証すべく取材を重ね、ほぼその結論で番組を作った。

takase.hatenablog.jp


 そして、取材にあたった熊谷とディレクターの吉田和史と私の三人で本を書いた。題して『神社は警告する―古代から伝わる神社のメッセージ』(講談社)。このあと、熊谷も私も神社関係から講演などを頼まれ、一時は「神社に詳しいジャーナリスト」(笑)と見られたことがあった。


 NHKのタモリの番組で、前方後円墳が弥生時代の大津波のランドマークだったらしいと知り、同じ発想なのだな、と感動した。神に関わる設置物なら後世まで容易に位置がかわることはない。古墳も神社も、「みんな、自然災害を忘れちゃいけないよ」と私たち子孫に教えてくれているのだ。

・・・・
 あの原発事故から15年たつが、いまだに原子力規制委員会を中心に、当時の対応や原因についての調査が続いている。多くのメディアに、事故前から、事故が起きた場合の核燃料の壊れ方とその影響について研究していた前規制委員長の更田豊志氏のインタビューが掲載されている。

www.asahi.com

 

更田豊志氏

 彼は日本の現状に厳しい目を向ける。

「なぜイチエフ(福島第一原発)の事故対策があんなにグダグダで、避難時に多くの人命を失ってしまったのか。結局、欧米の事故から学んでいなかったし、教訓が生かされていなかった。十分に学んでいれば、状況はかなり違っていただろうと思います」

 1979年の米スリーマイル島(TMI)原発事故後、米国はあらゆる事故のシナリオに備えようというマインドになった。また、チェルノブイリ原発事故以降、ヨーロッパは緊急時の対応を見直した。

「しかし、日本にはチェルノブイリもTMIも『対岸の火事』で、学ぶことに失敗したのだと思います」

―なぜでしょうか。

「TMIの時は『日本の運転員は優秀だから』、チェルノブイリの時は『あんな原子炉型は日本にないから』と言って、違いを言い訳にしていたのだと思います」
「今も衝撃的なのは、チェルノブイリ事故後に原子力安全委員会の懇談会がまとめた報告書です。当時トップレベルの専門家が参加して議論したのに、日本の原発はすでに十分に安全だという趣旨の記述が並んでいます」

「その後、安全委は(核燃料が溶ける『メルトダウン:のような』)苛酷事故対策を義務づけず、電力会社の自主的な対応に委ね、イチエフでの東電の自主対策も不十分でした。悔やんでも悔やみきれません」

―新規制基準が2013年にでき、各地で原発が再稼働しています。

「事故の衝撃が薄れてきたんじゃないか、という恐怖感は強くあります」

―なぜですか。

「新規制基準が『世界最高水準』などと呼ばれて、過剰に喧伝されているからです」

―何が問題ですか。

「対策を改善する機会が失われる可能性があります。多くの人が関心を持つことでかけているものが見つかるはずです」

 実は、2022年5月に、事故原発にあらたな発見があった。1号機の原子炉直下の入り口に初めて遠隔操作ロボットが入ったさい、台座のコンクリートが焼失しむき出しの鉄筋が映し出されたのだった。

台座の消失がはじめてわかった

 事故から10年以上経って「想定外」の事態が見つかったのである。メルトダウンによって起こりうる様々な現象が国内外で研究されながらこのパターンは考えられてこなかったという。もう15年も経つのに、事故のメカニズム自体に、まだ解き明かされない謎が残っていることに驚く。

朝日新聞3月9日朝刊1面

 更田氏は福島の事故調査を続ける意義をこう強調した。

「TMIやチェルノブイリから学ぶことに、私たちは失敗した。自国の事故から学べなかったら、最悪だ」

 

 世界で日本人だけが持つとかいう(ほんとか?)「日本人らしさ」の気質を「すごい!」と自画自賛するのはいいかげんにして、まず震災の記憶の風化に抵し、悲劇を繰り返さぬ努力を続けることが大事だ。

 それこそが、古墳や神社をランドマークにした、私たちのご先祖の知恵を受け継ぐことになるのだろう。