旅券返納命令取り消しを求めて国を提訴

 きょう、ジャーナリストの常岡浩介さんが、旅券返納命令の取り消しを求めて国を訴えた。NHKも伝えている。

 《紛争地帯での取材に取り組むフリージャーナリストの常岡浩介さんが、ことし2月に内戦が続く中東のイエメンに向けて出国しようとした際、外務省からパスポートの返納を命じられたのは不当だとして、取り消しを求める訴えを起こしました。
 常岡浩介さんはことし2月、イエメンの食糧状況などを取材するため経由地のスーダンに出国しようとした際、羽田空港の出国審査で外務省からパスポートの返納を命じられ、出国できませんでした。
 このため、海外での取材活動ができず仕事ができない状態だとして、パスポートの返納命令の取り消しと、国に470万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。》(NHKhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20190424/k10011895261000.html

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常岡さん(中)と田島さん(左)、清水弁護士(右)


 J-CASTニュースでは;

 《常岡さんは、「人道危機の現場に関するニュースの絶対量が世界主要国に比べて、(日本では)極端に少ないということはご存知ではないかと思う」と強調。ニュースの量が少なくなり、状況の悪化を感じているといい、「これをそのまま放置していきますと日本人、日本政府どちらにしても、世界の状況を見る視野を完全に失ってしまうのではないかと危惧している。今回の裁判は、わたくし自身の利益のためというより、日本が世界を見る視野を失おうとしている現状に少しでもブレーキをかけたい」と提訴への思いを語った。》(J-CASTニュースhttps://www.j-cast.com/2019/04/24356208.html?p=all

 私は事件発生直後から関わっていた。(https://takase.hatenablog.jp/entry/2019/02/05/
 きょう、提訴とともに「ジャーナリストへの旅券返納命令の撤回と渡航・取材の自由の確保を求める表現・メディア関係有志アピール」が出され、私も3人の世話人の一人に名を連ねることに。

 いくら危険地に行ったり、強制送還されたりしても、組織ジャーナリストには返納命令が出されない。(政府の気に入らない)フリーランスが狙い撃ちされたのだ。こういう野蛮なことをやる国は世界から尊敬されなくなる。

 裁判に注目している。

 ちなみに、代理人の清水勉弁護士は、医師・ジャーナリストの村中璃子さんを、子宮頸がんワクチン問題の報道をめぐって訴えた池田修氏の代理人でもある。敗訴した村中さんを応援している私としては複雑な思いもあったが、国賠訴訟では知られた弁護士である。https://takase.hatenablog.jp/entry/2019/04/13/
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 先日お知らせしたジャーナリスト樫田秀樹さんのリニア計画取材のためのクラウドファンディングが始まった。
 「報道が少ないリニア計画の真実を伝えるため取材費用を募ります。」
https://readyfor.jp/projects/linear

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 よろしければカンパをお寄せください。

かつて日本は子どもの楽園だった(4)

 きのうは市議会議員選挙で投票に。途中、近くの畑にエンドウマメの花が咲いていた。畑も明るくなってきた。
 駅の近くに山形の野菜を多く置いている八百屋さんがあって、通りかかったら「アマドコロ」を見かけた。買ってきて茹でて酢味噌で食べた。うまい!甘くてちょっと苦味がある。

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アマドコロ

 かみさんが郊外の山に登った帰りに買ってきたノラボウ菜、ワラビも食卓に並んだ。豪勢だ。ノラボウがまたうまい。東京都西多摩地方や埼玉県飯能市あたりで多く栽培されるアブラナ科アブラナ属の野菜。これに似ているのが、山形県のクキタチ(アブラナ科の野菜)。今が旬である。
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 江戸末期から明治初期に滞日した外国人が、日本は子どもの楽園だと感嘆した話を書いてきた。日本人の子どもを可愛がることは外国人にも向けられた。
 1959(安政6)年、英国領事として長崎に着任したホジソンは妻と二人の娘を伴っていた。長崎の街に出かけたホジソン夫人は、自分の小さな娘がいかに可愛がられたかを驚きをもって書いている。
 「老婆という老婆、また数多くの老人たちも、この娘を愛でるために店から飛び出してきました。そして半ばいざるような恰好で、あとからあとから彼女にお菓子やら、茶碗やら、その他沢山の贈物をくれました。そのため夫のポケットも、二人の役人と通訳の袖もたちまち一杯になってしまいました。私にはまだ、どうして一人の子が彼らにとってこんなに呼びものになったのか分かりません。」
 《ホジソンはその年のうちに長崎を去り、箱館領事に就任したが、ある日奉行所の役人をディナーに招待した。「二人の奉行および奉行格と三人の支配組頭、それに彼らの随員」は、十分に料理を平らげ、シャンパンをたしなんだが、そのうち「家族を大勢もっている奉行格」がホジソンの子どもが列席していないのをいぶかって、いつまでも子どものことを尋ねた。「彼があまり娘のことを聞くので、ついに迎えにやることになった。彼女が現われ、二人の奉行と奉行格に頭を下げると、奉行格はテーブルの端にいたが、手一杯にケーキやお菓子をもって、わざわざ彼女のところにやって来て渡した。エヴァ(娘)はちょっとギョッとしたが、母親の目くばせで『ちょっと会釈』して、奉行格の好意を受けて引き退った」。》
 渡辺京二さんは、これを「文明」に関係づける。
《奉行格はある文明の習慣に従っただけであった。(略)はるばる海を越えて来たこの異人の少女がいとしくてならないだけのことであった。このいとしがり可愛がるというのはひとつの能力である。しかしそれは個人の能力ではなく、いまは消え去ったひとつの文明が培った万人の能力であった。》

 

 現在の日本では、外国にルーツを持つ子どもたちがいじめにあうケースがよくあるという。19日のNHK News Upの「日本に戻らなければよかった」は読むのがつらくなる悲惨な話だ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190419/k10011889021000.html?utm_int=all_side_ranking-access_001
 カナダ人の父親と日本人の母親の間に1989年、カナダで生まれた高橋美桜子さんは、4歳半から、母親の典子さんとともに日本で暮らした。

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 中学に入ってから強烈ないじめにあう。
 《仲間はずれにシカト。「天然パーマ」「毛が濃いんだよ」。執ように吐き捨てられる容姿に関することば。
 教科書やノートには殴り書きされた「ウザい」「キモイ」「死ね」といった文字。自分のいすに座って下を見ると机の下にゴミが集められ、教室に戻ると美桜子さんの机が教室の外に出されていました。》
 精神に異常をきたし、美桜子さんは自宅マンションの8階から身を投げて16歳の短い人生をみずから閉じた。
 母親の典子さんは、みんな違って当たり前という考え方のカナダに残っていたら・・と日本に戻ってきたことを悔いているという。

 150年前にあった日本の文明が消え去ったという渡辺京二さんの言葉が迫ってくる。

コスモロジーの創造1

 節気は穀雨穀物の成長に欠かせない大事な春の雨が降る時節だ。
 きょう20日から初候「葭始生」(あし、はじめてしょうず)。25日から次候「霜止出苗」(しもやみて、なえいずる)。5月1日からが末候「牡丹華」(ぼたん、はなさく)。田植えの準備がはじまり、百花の王、牡丹が咲いて植物の世界はにぎやかになる。

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 梅の木には実が膨らんできた。若葉があざやかだ。

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 先日、ブラックホールの撮影に成功したことに触れた。https://takase.hatenablog.jp/entry/2019/04/11/
 私たちはすごい時代に生れあわせたものだとつくづく思う。ここ数十年で、宇宙の誕生からこれまでの歴史を、かなり詳しく認識できるようになったのだから。このタイミングで、人間として生きることができたことに感謝したい。
 そして、いまや科学の最新成果をもとに、さわやかに生きるためのコスモロジーを創ることができる、というより創るべき時代になっていると思う。


 世界・宇宙にどういう秩序・条理・法則があるのかを体系的に語る言葉、あるいはそれによって語られた体系的な宇宙観を、人類学や宗教社会学などでは「コスモロジー」と呼んでいる。語源的には、古典ギリシャ語の「コスモス」と「ロゴス」の合成語で、訳すとほぼ「宇宙観」「世界観」に当たる。


 人はコスモロジーなしには生きられない。理論化、体系化されていなくても、みなそれぞれのコスモロジーにもとづいて感じ、考え、行動しているはずだ。
 かつて、人類のコスモロジーはほとんど宗教だった。どの宗教も、この世がどうやって生じたか、どういう秩序になっているのか、その中で人間、そして自分はどういう存在なのかを教えてくれていた。死んだあとどうなるのかについても宗教は明確に答えを提供していて、人々は心の深いところでは、安心して生き、死ぬことができた。


 近代の合理主義=無神論が登場すると、宗教的コスモロジーが否定される。この世には神も仏もなく、自分がすべて。だから、自分の幸せ、利益、楽しさだけを追求すればよい。他の人に迷惑をかけない限り(他人から恨まれると結局は自分が不利益をこうむるから)、何をやってもいい・・・こう考える人は、宇宙(この世界)はみな偶然であり、バラバラな存在から成っているという近代の考え方、コスモロジーをベースにしている。たとえ、そう自覚していなくとも。


 しかし、近代のこのコスモロジーには救いがない。この宇宙がバラバラな物質の寄せ集めだというコスモロジーからでてくる生き方は、ニヒリズムとエゴイズムにならざるを得ない。宗教では、すべてが単なる物質の寄せ集めだとはならない。ある宗教では、森にも岩にも神がやどり、別の宗教では、この世のものはみな神が創造したものである。あらゆるものに意味があるわけである。

 人間も含めて、すべてが単なる物質の寄せ集めだとすれば、善悪の根源、つまり倫理も失われる。「なぜ人を殺してはいけないか?」という疑問にさえ答えることができない。これについては10年以上前のブログで書いていた。https://takase.hatenablog.jp/entry/20080502 

 

 さて、どうしたものか。ふたたび考えてみたい。
 近代合理主義の波で否定された宗教に戻ることはもうできない。自分で意識的に宗教に替わるコスモロジーを作ることが求められている、今はそういう時代でもあると思う。
 そこで利用できるのが、最新の宇宙認識だ。それをもとに、とてもさわやかに生きることができるコスモロジーを形成することが可能である。そのことを私の師、岡野守也先生から教わって深く納得したので、おさらいもかねて書いてみようと思う。
(つづく)

水族館劇場、最後の花園神社公演

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 JR四ツ谷駅の線路脇は、菜の花とムラサキハナナが咲いて明るく見える。
    暖かくなってきているのだが、おとといは変な気候で釧路では夏日になり26.5度を記録したという。沖縄より北海道が暑かったのだ。北海道の桜もこれでだいぶ開いただろう。
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 16日(火)、新宿花園神社に、水族館劇場のテント芝居「Nachleben揺れる大地」(Nachlebenは「あの世」という意味)の千秋楽を観に行った。2年前に写真家の鬼海弘雄さんの勧めで観てすっかり魅了され、追っかけになった。

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舞台の前方に「池」があり役者がそこから現れたりする。水が放出される演出もあって舞台の上は水浸し

 舞台は満州国と現在の東京。80年の時間差を行ったり来たりしながら劇は展開する。
「東洋のマタハリ」と呼ばれた清朝の王女だった川島芳子李香蘭の幼なじみのジプシー女、満州事変の発端となった「柳条湖事件」に関与した兵士らが登場し、事件の首謀者、石原莞爾の「世界最終戦争」が叫ばれる一方、満蒙開拓団で長野県から渡ってきた貧農、アヘン窟に身を落とした同じ故郷の女、そして現地のみじめな苦力(クーリー)たちが底辺にうごめく。
 一転して現在の東京。満州国にノスタルジーをもつ人物が、ヤマトホテルを再建しようとしている。ヤマトホテルとは、満鉄が沿線主要都市に持っていた高級ホテル。(私はハルビンのヤマトホテルに行ったことがある。)東京のホテル建設現場で働いているのは、中国からきた「研修生」だ。食い詰めて満州に渡った80年前の長野の農民とダブってくる。近代への「否」が劇の底を流れている。
 現代史のお勉強のようなシリアスな劇かと思うかもしれないが、観客を驚かせる楽しい仕掛けが満載だ。水族館劇場のウリは大量の水を落下、放出する演出で、最前列と2列目のお客さんにはビニールの水よけが配られる。舞台は吹きさらしなので、風にあおられて水しぶきが私のいた5列目あたりまで飛んできた。

     ドタバタありとぼけた笑いあり、セリフを忘れてアドリブありと、かつてのアングラ劇の匂いのする舞台を大いに楽しんだ。今回は頭脳警察PANTAが音楽を担当し、主題歌をつくった。

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芝居の後は観客に酒が振舞われて宴会になった

 劇場のリーダー、桃山邑(ゆう)さんはいう。「どのように煮詰められた熱い魂も、それだけでは無限に多様化してしまった現代世界では、誰にもどこにも届かない。強烈なメッセージはクールなユーモアにつつまれてこそ、遅効性の毒を発揮できる」。
 桃山さんは、今回で花園神社は終わりにして、見知らぬ土地を流浪していきたいと言っていた。桃山さんは「散楽藝能者」の末裔を自称する。東京で観られなくなるのはさびしいが、還暦過ぎで、旅芸人の原点に戻るという決断ができるのはすばらしい。うらやましくもある。どんな藝能者になっていくのか、期待したい。

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桃山邑さん(右)とPANTA(左)

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PANTAの音頭で乾杯

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 火曜から、土門拳賞を受賞した高橋智史さんの写真展を新宿のニコンサロンでやっているので、ご興味があればぜひどうぞ。

日本人は昔から花見が好きだった

 きょうは明治神宮へ。美しい新緑のなか、たくさんの外国人観光客が訪れていた。日本人の参拝者よりはるかに多い。

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 私がここに来たのは、姪の結婚式のため。動画撮影を頼まれ、一日、カメラマンをやっていた。いい結婚式だった。相手がバツイチで子連れとあって、当初結婚への強い反対もあり揉めた。だが、きょう新婦が当時の事情を素直に吐露し、家族の支えで困難を乗り越えることができたと涙する感動的な披露宴になった。

    苦労が報われてよかったね。
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 東京では葉桜になりつつあるが、この週末、満開の各地では花見でにぎわったようだ。花見というのはいつからあるのか。
 『逝きし世の面影』(渡辺京二)を読み返していたら、《徳川後期の日本人が四季折々の行楽をたのしむ人びとであったことは(略)外国人観察者の注意をひかずにはおかなかった》と書いてあった。彼らは日本人の《自然と親和する暮らしぶりに驚きと驚嘆を禁じえなかった》という。
 《ベルクによれば、「日本の市民の最大の楽しみは、天気のよい祭日に妻子や親友といっしょに自然の中でのびのびと過すことである。墓地や神社の境内や、美しい自然の中にある茶店にも行く」》
 《公園や郊外の田園でのどかに一日を過すという習慣は、むろん西洋人とて知らなかったわけではなかろう。(略)しかしそれは貴族の趣味であって、庶民の楽しみではなかった。ベルクは自然のなかで休息し喜戯する習慣が、庶民のあいだにひろまっていることに注目しているのだ。モースは言う。「この国の人々が、美しい景色をいかにたのしむかを見ることは興味がある。誇張することなしに、我国の百倍もの人々が、美しい雲の効果や、蓮の花や、公園や庭園をたのしむのが見られる」》
 ベルクは幕末に来日したプロイセンの画家で、モースは明治10年に来日し東大で教えたアメリカの生物学者だった。
 行楽のうちでも最大の楽しみは花見だった。
 シッドモア(明治17年来日した米人女性)は《横浜近郊の杉田という梅の名所についてこう述べている。「梅見の期間を除けば、杉田の存在はほとんど注目を引かない。・・・花が開くと杉田は休日の雰囲気をかもしだす。茶店も開けば、立て場茶屋もさっと姿を現わし、赤もうせん敷きの縁台をたくさん小森中に並べる。(略)この小さな村里を訪れる者が一日に千人ということも珍しくない。・・・人込みなのに、万事が気品あり、落着きがあり、きちんとしている。枝もたわわな花の下に腰を掛け、沈思、夢想にふける人。梅花に寄せて一句を物し、書き留めた紙片を枝に結びつける人。こうした日本的な耽美ほどあか抜けした悦楽はないのだ」。》

 桜の花見はどうか。
 《川添登によれば、江戸の桜花見の元祖は上野寛永寺で、寛文・延宝期(17世紀後半)にはすでに鳴物入りで酒宴が行なわれていたという。しかし1680年代になると、鳴物は御法度などとかなり規制がすすんで、元文年間(1730年代)には賑わいは飛鳥山へ移り、さらに寛政期(18世紀末)には日暮里が栄え、天保期(1830年代)には向島の全盛を迎えた。「寛政の頃の花見は、たんにドンチャン騒ぎをするのではなく、歌・浄るり・おどり・俳諧狂歌などをする、という、はなはだ文化的な花見となって」いた。》(以上の引用はP450-457)

 今も花見は盛んだが、かつての日本人の方が、より豊かな四季の機微を感じていたように思われる。
 たくさんの花が咲く時節を迎え、ちょっと昔を振り返ってみた。

立ち上がる人たちに励まされる

 最近、「応援したいな」と思った私の知り合いの動き。
 まず、ジャーナリストの樫田秀樹さん。このブログで何度も紹介してきた人だが、熱帯林伐採、スーパー堤防、米軍基地、難民など多様なテーマで粘り強い取材を行なってきたフリーランスだが、とくにリニア新幹線の問題点の追及は鋭い。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20140927
 樫田さんは、取材継続のための資金集めを始めるという。
 《このたび、リニア中央新幹線について来年に新しい著書を出すべく、その取材経費を賄うためのクラウド・ファンディングを4月22日から始めることにしました。
●リニア計画に関する3冊目の本を出版したい
 いろいろな社会問題や環境問題を扱ってますが、ここ数年間で力を入れている取材の一つが、2027年開通予定の「リニア中央新幹線」です。
 今年は私がリニア計画に関わってからちょうど20年。この20年間で変わらないのは、地方紙を除けば、マスコミだけではなく、フリージャーナリストもほとんど誰もこの問題を継続取材しないことです。私が知る限り、継続取材するフリージャーナリストは片手で数えるくらいしかいません。
 フリージャーナリストの場合はそれも無理のない話です。東京から愛知県にまで及ぶ広い範囲の取材には膨大な取材経費が必要だからです。
 じつは私も、これまでリニア関連の著書を2冊出版しましたが、昨年後半から取材資金の壁にぶつかり、断続的に関わってきたこの取材が現在滞っているところです。
 とはいえ、広範囲に及ぶ環境破壊や地域分断が予想される問題だけに、今ここで取材を中断するわけにもいかず、考えた末に、「ReadyFor」というクラウド・ファンディングで資金を集めることといたしました。目標金額は70万円で、取材した結果は、来春にリニア関連では3冊目となる単行本を出版することで反映させるつもりです。》
https://www.facebook.com/hideki.kashida.kulleh/posts/2107558805994185


 クラウド・ファンディアングのサイトは以下。応援します。
https://readyfor.jp/projects/linear

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 次に、先日、子宮頸がんワクチン問題の報道をめぐる裁判の一審で敗訴した医師・ジャーナリストの村中璃子さん。被告のうち、出版社と元編集者が判決を受け入れたが、たった一人で控訴することを決めた。
 《近しい人たちからは、わたしや家族を心配し、控訴をやめるようアドバイスする声もたくさんいただきました。それでもわたしを支えてくれる人や家族とよく話し合い、自分でもよく考えたうえで、控訴を決めました。
 医者には、個人の名誉よりも裁判の勝ち負けよりも大切なことがあるからです。
 それは、人の命と科学を守ることです。
 この度、科学的根拠に基づいた言論活動を支援する団体「守れる命を守る会」のサポートにより、素晴らしい弁護団が結成されました。
 控訴審代理人は、福島県大野病院事件を勝訴して日本の医療を崩壊から救った平岩敬一弁護士、わが国における主要な名誉棄損訴訟を熟知しつくした喜田村洋一弁護士、平岩弁護士と共に大野病院事件を担当し、先日の乳腺外科手術訴訟を勝訴した水谷渉弁護士ほかです。
 判決のニュースを見た、2018年ノーベル医学賞受賞の本庶佑先生からは、こんなメッセージをいただきました。
 「辛抱強く、最後までやり遂げることです」
 命と科学を守るため、引き続き努力を続けていきたいと思います。
 4月10日 村中璃子https://note.mu/rikomuranaka/n/n91794718280a


 弁護団喜田村洋一さんはご縁のある人で、私が取材、プロデュースしたある番組で名誉棄損訴訟をおこされたとき、弁護人になってもらった。
先日、日産の前会長カルロス・ゴーン被告の弁護人に弘中惇一郎弁護士が、そして喜田村さんが前代表取締役グレッグ・ケリー被告の弁護人に就いたことが大きなニュースになったが、このお二人は盟友で、ともに薬害エイズ事件で故安部英医師の無罪判決を勝ちとっている。
 村中さんの勇気に感銘を受けるとともに強力な弁護団ができたことを喜びたい。
https://takase.hatenablog.jp/entry/2019/02/18/
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 私の大学時代からの親しい友人、大井一雄さんが東京・渋谷区長選に立候補する。投票日は21日だ。
 現職の長谷部健区長が再選を目指すのに対し、大井さんは共産、自由の推薦を受けて立候補し、一騎打ちとなる。
 以下、共産党しんぶん赤旗から。
 《渋谷区長選(4月14日告示・21日投開票)で「明るい革新渋谷をつくる会」は25日記者会見し、前渋谷民主商工会事務局長の大井かずお(おおい一雄)氏(65)=無所属新=を擁立すると発表しました。
 日本共産党が推薦します。区長選では現職の長谷部健氏(47)が立候補を表明しています。
大井氏の略歴
東京学芸大学教育学部卒業
2011年区長選に立候補
渋谷民主商工会事務局長などを歴任
現在、「明るい革新渋谷をつくる会」事務局長》http://www.jcp-tokyo.net/2019/0326/151413/
 もう40数年前、私が関東学生中国研究会(関中連)の委員長をだったとき大井さんは書記長で、翌年委員長をつとめた。苦労人で人情が厚く、とてもまっすぐな人だ。厳しい闘いになるだろうが健闘を祈ります。

 みなさん、さまざまな困難を抱えながら信念を貫いて立ち上がっている。このところ、思うようにいかないことが重なって気落ちしていたが、がんばらなくちゃ、と勇気づけられた。

ブラックホールの研究は役に立つのか

 昨日は異例の冷え込みで、日中も息が白くなるほどだった。これが最後の寒波だそうで、「花冷え」どころではない寒さ。都心でも最高気温が5度だったという。関東北部で咲いた桜に雪が降る映像がニュースで流れていた。週末には暖かくなるらしい。風邪などめさぬようお気をつけて。
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 クラクフの旅から

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 ヤギェウォ大学。14世紀創建のポーランド最古の大学だ。名所の一つなのでツーリストがたくさん敷地に入り込んで大学らしくないが、建物は風格がある。
 地動説を唱えた天文学者コペルニクスが、ここで学んだそうだ。 

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コペルニクス

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    コペルニクスの地動説は、人々の「世の中」とそこにいる人間、そして自分についての考え方を大きく変えたことだろう。
 「今世紀最大のニュースの一つで、ノーベル賞級の業績だ」(大須賀健・筑波大教授(理論宇宙物理学))とされるのが、昨日発表されたブラックホールの撮影。
 《あらゆる物質をのみ込む巨大ブラックホールの撮影に、国立天文台などの国際研究チームが世界で初めて成功し、10日発表した。世界6カ所の望遠鏡で同時に観測して解像度を飛躍的に高め、真っ黒な穴を捉えた。ブラックホールの存在を直接裏付けたことになり、銀河の成り立ちの解明につながる。(略)巨大ブラックホールは宇宙に無数ある銀河の中心にそれぞれ存在すると考えられているが、誕生の仕組みなどはわかっていない。これまでは、周囲を回る星の動きなどから、間接的に存在を確認していた。》
 《今回捉えたM87銀河にあるブラックホールは、地球から5500万光年離れており、見かけの半径は地球から月面に置いたゴルフボールを見た時の大きさとほぼ同じだ。》(朝日新聞
 穴の中心にあるブラックホールの本体は、太陽の65億倍の質量を持つという。どんなものなのかイメージするのも困難で、それだけにすごい。
 宇宙は138億年前の「ビッグバン」からずっと複雑化、進化を続けてきて、今の私たちを生み出した。私たちがいる「天の川銀河」には太陽以上の恒星が1000億から2000億個あるという。1000万ではなくて1000億。そして、天の川銀河のような銀河が、全宇宙には1000億個以上あるとされる。すると恒星の数だけで1000億×1000億個はあるのか。気が遠くなりそうなスケールだ。そして、それぞれの銀河の中心にはブラックホールがあるのだという。なぜ?ともっと知りたくなる。
 ブラックホールやビッグバンの研究は、暮らしや社会に影響をもたらすというものではない。しかし、こういう学問にはぜひ予算を割いて研究者を育ててほしい。私たち一人一人ががみな、かくも広大な宇宙の一部であり「星の子」だということを深く知れば、人生をさわやかに生きる「気づき」を与えてくれるだろう。それは「有用」な学問ではないのか。
 今回の「撮影」に多くの日本の研究者、技術者が貢献していると聞く。日本の若い人たちがこれに続いてほしいものだ。