「5人はなぜ北朝鮮から帰れたのか?」を公開しました

 拉致問題に関するYoutube発信を続けている。

 拉致問題は2002年の小泉訪朝で5人の身柄を取り戻して以降、動かない、というより政府が動かす気がない状態が続いている。結果、人々の関心も低下し、ほとんどの若い人は横田めぐみさんの名前も知らない。少しでもこの問題を前に進めていくことに貢献したいと思っている。

 拉致問題の闇】第5弾は、12月2日にアップして2日間で20万回視聴。いわゆるバズっているわけだが、この分野で広くアピールできたのはうれしい。

拉致問題の闇】第5弾「5人はなぜ北朝鮮から帰れたのか?」をYoutube高世仁の報道されない見えざるニュース」で公開しました。
 2002年9月の日朝首脳会談で、金正日はこれまで否定してきた拉致を認め謝罪、5人の拉致被害者が帰国した。しかし、北朝鮮外務省は拉致を認めることに断固反対していた。
 では、なぜ5人は帰れたのか?北朝鮮の元外交官、太永浩(テヨンホ)氏が当時の内部事情を明かした。


太永浩(태영호、テヨンホ)氏の略歴:
1962年 平壌生まれ
1988年 北朝鮮外務省入省
2013年 駐英北朝鮮大使館公使
2016年 韓国に亡命
2017年 国家安全保障戦略研究院
2022年4月~2024年4月 韓国国会議員
2024年7月~2025年7月 民主平和統一諮問会議事務所長(次官級)

www.youtube.com


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 きょう午前、衆院拉致問題委員会で有田芳生さんが質問

 まず、政府認定拉致被害者を17人としているのに対して警察庁は19人なのはなぜか
意外に知られていないのだが、日本国籍者でないと政府認定にならない。警察庁は日本から国外への略取という犯罪行為があるかどうかで国籍は関係ないので、朝鮮籍の幼い姉弟の事案も含めるのである。

 2児拉致事件、渡辺秀子さん2児拉致事件とも言われる事案で、殺人を含む非常に陰惨な犯罪である。日本の警察は実行犯の国際手配もしている。

ja.wikipedia.org

 「高姉弟拉致の主犯である北朝鮮工作員洪寿恵(ホンスヘ)こと木下陽子について、逮捕状の発付を得て国際手配を行うとともに、外務省を通じて、北朝鮮に対し、身柄の引き渡しを要求しています」https://www.npa.go.jp/keibi/gaiji1/abd_j/fukui_2.html

 有田さんは政府認定と警察認定は統一した方がよいというが、私も同意見。

 次に政府認定17人のうち、北朝鮮が拉致を認めない4人の年齢を質した。

久米裕さん 100歳。
田中実さん 77歳。
松本京子さん 76歳。
曽我ミヨシさん(ひとみさんの母親) 93歳。

 時間がない。2014年10月に北朝鮮から田中実さん(と金田龍光さん)が生存している、田中実さんについては日本女性と結婚して子どもがいると通知があったのを未だに無視しつづけている。妻も拉致被害者の可能性がある。私(有田)は松本京子さんの可能性もあると思う。これは人権、人道問題であり看過できない。横田めぐみさんが生存しているとなれば必ず動くはずだが、なぜ田中さんだと政府は動かないのか。すぐにも面会して事情を確認すべきだと有田さんが要請。茂木外相は、「ご提案を受け止める」と答えた。

 なんとか拉致問題の停滞・放置状態に風穴を開けていきたい。

「私たちが最後の世代」と言う中国の若者たち

 高市早苗首相の台湾有事と存立危機事態に関する答弁を機に、議論が白熱している。

 私は、高市発言は、日本の首相という立場で言ってはならない内容だと思い、その点で批判している。一方で、台湾の将来についてもっとも重視されるべきは、台湾の人々の自由で自発的な選択であって、それが力で左右されてはならないと思う。だから、北京政府が台湾を軍事的に占領したとしても、それは中国の国内問題であり日本とは関係ない(だから勝手にしろ)、という議論には与しない。

 中国研究家の阿古智子東京大学大学院教授が一昨日出したコラム《ここへきて中国の言論・経済状況が悪化…多くの人が理解できていない「中国関係者の暴言・無礼」の構造》が鋭い議論を展開している。以下は冒頭部分―

 《11月7日の衆議院予算委員会における高市早苗首相の「存立危機事態」に関する答弁に中国政府が反発し、日本への渡航自粛要請を出すやいなや、日本行きツアーの中止や留学プログラムのキャンセルなどが相次ぎ、日本行きの航空便も減便されている。19日、中国政府は水産物の輸入を停止する方針を日本に示した。

 高市首相がどのような経緯で答弁を行ったのか、その内容が妥当であったのか、あるいは、そもそもどのような条件が「存立危機事態」に該当するのかなど、日本国内では活発な議論が行われている。

 日本国内でのこうした議論は非常に重要だが、残念ながら、中国政府がその意義を理解するはずがない。意義があると感じる人がいても、厳しい言論統制下においては、そのような姿勢を示した人は処罰される。

 しかし、中国政府による言論空間の遮断を意識した上で、日本のリスク管理国益について考え、議論しようとする人が日本にはほとんどいない。私はそのことに危機感を持ち、この文章を書いている。

 現在の日本における中国理解はあまりにもお粗末な状態だ。政府、国会議員、メディア、国民の各層において、中国の動きを捉える上で重要な情報、中国政府とその関係機関による言論統制の特徴、彼らが作り出すナラティブ(語り)を把握できていない。

 しかし、その責任は研究者にもある。なぜなら、日本の中国研究者が見るべきところを見ていないし、書くべきこと、言うべきことを表現していないからだ。

 中国研究者として少しでも責任を果たすべく、私は日中関係の緊張に関連して、以下の3点を強調したい。

1.中国政府のナラティブには意図がある。それに煽られると日本は国益を損なう。
2.日本にとっての正論は現在の中国政府には通じず、日本は中国のナラティブを覆すナラティブを生み出す必要がある。
3.人間性の破壊が深刻なレベルにまで及んでいる中国と同じ土壌で闘おうとせず、弱みを握られることを避け、淡々と日本自らの目的と利益を見据える。

gendai.media

  最後はこう結ばれている。

 《私は大学入学以降、30年以上かけて中国研究を行ってきたが、ここ数年、中国の言論・思想の統制と経済状況の悪化は相当深刻なレベルにまで達していると強く感じる

 監視や検閲は隅々にまで及び、5〜6人で社会問題について読書会を組織するだけでも、警察が尋問にやってくる。バーやカフェ、小さな活動拠点で行われるフェミニズム、同性愛、労働問題、貧困問題、環境保護などを扱う活動にも警察は目を光らせており、組織力のある人物は徹底的にマークされる。

 10月にはおよそ30名の非公認教会(家庭教会)である「シオン教会(錫安教会)」の牧師・教職者が一斉に拘束された。ウイグルチベット、モンゴルなど少数民族への弾圧、香港の凋落ぶりは指摘するまでもないだろう。

 当事者のプライバシーと安全に関わるため、ここで詳しく書くことはできないが、何人もの私の友人や知人が精神を病み、自殺に追い込まれ、不当に財産を奪われたり、冤罪を科されたりもしている。

 さまざまな制限を受け、リスクがあっても自分らしく思考し、行動しようとする知識人やジャーナリスト、活動家たちから得られる情報は貴重であるが、彼らの安全や精神状態への配慮を慎重に行い、信頼関係を着実に築くことができなければ、彼らとの交流や情報交換を円滑に行うことはできない。情報統制の壁の中と外で、複数のニックネームやペンネームを使い分けながら活動することが多い彼らの動きをとらえるのが、難しい側面もある。

 さらに、情報機関などとつながっている「両面人」(表と裏の顔を使い分けて行動する二面性を持つ人物)を見抜く力がなければ、情報機関の観察対象として「泳がされて」しまったり、間違った情報を鵜呑みにしてしまったりすることもある。権力側から金品をもらったり、特別な待遇を与えられたりして情報の収集や分析にあたる人物もいる。彼らは立場の弱い状況にあり、狙われてしまうことが多い。

 例えば、資金不足や借金に苦しんでいる、家族の病気に悩んでいる、家族や友人が監視下に置かれている、不倫などの問題を抱えているといった状況である。虚栄心がある、媚びへつらいをする、確固とした信念がなく考えが揺らぎやすいなど、性格を読まれて、誘い込まれる場合もあるだろう。日本に関わる中国の政策担当者の暴言や失礼な振る舞いにも、こうした裏があるかもしれない。

 私は、人間性の破壊が深刻なレベルにまで及んでいる中国と同じ土壌で闘おうとせず、弱みを握られることを避け、淡々と日本自らの目的と利益を見据えることが重要だと考える。

 例えば、国レベルで見れば、ウクライナではエネルギー業界をめぐる約1億ドル規模の巨額汚職事件が発覚し、この捜査を受けて、エネルギー大臣や司法大臣らが辞意を表明・職務停止となった。

 米国は長らく、ウクライナが効果的な汚職対策と改革を実行することを、支援継続の重要な条件としており、ウクライナ国内の汚職による政治的混乱が、トランプ大統領などによるロシア寄りの和平案を受け入れさせるための「弱み」として利用されるかもしれない。

 世界の多くの国で政治家のエゴや自国優先主義が顕著になる中、国内の混乱や分断が利用されないように、鋭い分析力と表裏を使い分けた戦略によって、日本の弱みにつけ込んでくる浸透工作に断固として立ち向かわなければならない。

 個人レベルにおいても同じことが言える。中国共産党政権の過酷な環境で苦しむ人に同情し、リスクがある中でも良心と勇気を持って行動しようとする人々をさまざまな形でサポートすることが権威主義国家の基盤を崩し、日本の民主主義を守ることにつながる。さらに、この厳しい状況の下では、権力に擦り寄り、嘘と欺瞞に塗れた生活を送っている人もいるという現実を、できるだけ冷静かつ客観的にとらえ、対策を考える必要もある。

 戦後、日本人が享受してきた民主主義と自由、そして平和はこれからも無条件で続くわけではない。自らが意識してリスクを管理し、方向性を定めていかなければ、知らず知らずのうちに進みたくない方向に進み、取り返しのつかないことになる。日本人は今こそ、「平和ボケ」の状態から脱却しなければならない。

weiboのトレンドランキング上位はすべて対日攻撃。政権のスクリーニングの後に演出されて対立を煽っていると阿古氏は言う(Weekly OCHIAIより)


 急速に全体主義に傾斜する今の中国を「普通の国」と見て相手にしてはならないと、リベラル派の弱点を突く(通常リベラルは今の日本を「平和ボケ」などとは言わない)、非常に勇気ある発言である。

 そして民主主義をより徹底して、「中国のナラティブを覆すナラティブを生み出」せと日本の向かうべき方向にも実践的な提言をしている。これは中国と比べてさらに抑圧度の強い(したがって世論というものがない)北朝鮮への向き合い方にも通じると思った。

Weeky OCHIAI(1127)より

 阿古氏はyoutubeでも積極的に発言を続けている。以下の落合氏とのトークでは、習近平政権は全国民の監視体制を完成したと分析し、「私たちは最後の世代です、ありがとう」(これはコロナ禍の時に流行った言葉だという)と描いた芸術作品を見せながら、こんなに抑圧された生きにくい世の中なら、子どもを産まない、次の世代を作らないという意味だと解説。阿古氏のまわりの若い中国人は結婚などしないという人ばかりだと絶望的な状況を語った。

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金王朝で最も凶悪な金正恩の支配

 中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年記念行事(戦勝節80周年記念)で招待され、9月2日に中国を訪問した金正恩・国務委員会委員長は、翌日の閲兵式(軍事パレード)に習近平国家主席プーチン大統領と並び立ち、朝中ロ3カ国の連帯を誇示した。

 この訪朝に娘を同行して注目されたが、ここまで来ると、もう娘は次期後継者に決まったと見るしかないだろう北朝鮮では「尊敬するお子さま」、「尊貴であられるお子さま」、「最も愛するお子さま」と呼ばれており、まだ名前は知らされていないという。(磯崎敦仁慶大教授による)

9月2日中国の北京駅に到着した金正恩と娘、後ろに崔善姫(チェソニ)外相

 日本や韓国では娘の名をKim Ju‑Ae(キム・ジュエ)とされているが、これは米バスケットボール選手で元NBAデニス・ロッドマンが、2013年に北朝鮮を訪問した時に聞いたという情報が元だった。もしそう聞いたとしても、朝鮮語の分からない彼では正確な発音は期待できない。

 かつて、金正日の料理人、藤本健二が息子の名は「ジョンウン」だと言って、はじめは正雲(정운)と報じられたが、実は正恩(정은)だった。日本人にはどちらも「ジョンウン」と聞こえるから間違うのも無理はない。

 ともあれ、このままの体制が続くと、金日成から数えてなんと4代目への世襲となるわけで、世界の全体主義の中でも特異な体制ということになる。
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 前置きが長くなってしまったが、国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)の9月の報告書では、拉致問題にも触れている。

《2014年2月17日、調査委員会は報告書を公表した。委員会の任務と報告書を否定しつつも、当初、北朝鮮政府は人権問題に対処するため国際社会と関与する姿勢を強めているように見えた。これには、離散家族の再会行事の開催、日本人拉致被害者問題への関与国連人権高等弁務官および北朝鮮人権状況特別報告者との高官級会合の提案、人権高等弁務官の現地訪問を受け入れる招待、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)との技術支援に関する対話の開始、子どもの権利条約選択議定書の批准などが含まれていた。

 しかし、こうした前向きな動きは長続きしなかった。2014年12月に国連安全保障理事会の議題に「北朝鮮の人権」が追加された後、これらのいくつかは撤回された。

 2011年12月に金正恩国家元首として就任した後、脱北者たちは国内状況の改善への期待感を抱いたと報告している。新指導者は2012年4月、「国民が再びベルトを締めなくてもよいようにする」と約束し、経済発展と核開発を同時に進める新たな国策(「並進路線」)を掲げたためである。

 しかし比較的早い時期から、2013年半ばには政府および軍内部で粛清(その結果として複数の処刑が行われたと報じられる)が始まり、さらに抑圧的な措置が導入された。2010年代の終わりまでには、政府による国民生活のあらゆる側面への統制は数十年来で最も絶対的なものとなった。

 この統制強化は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国境閉鎖の期間に加速した。監視技術は統制強化を助け、過去7年間で、抑圧を法的に裏付ける法律、政策、手続きの採用が顕著に増加している。》

 最初に調査委員会が報告書を出したのが2014年2月。同年5月にはストックホルム合意がまとまっている。「北朝鮮政府は人権問題に対処するため国際社会と関与する姿勢を強めているように見えた」とあり、その一つに「日本人拉致被害者問題への関与」があげられる。

 ところが、2010年代の最後には、「政府による国民生活のあらゆる側面への統制は数十年来で最も絶対的なものとなった」(the most absolute in decades)のだった。

 2010年代には、自分の叔父で後見人だった張成沢を残忍な方法で処刑(2013年12月)し、さらに親族や関係者数千人(一説に7千人)を巻き添えで粛清したと言われるまた、2017年2月には、異母兄の金正男をマレーシア空港でスパイ映画のように暗殺している

 彼は、金王朝3代の中で、もっとも凶悪な支配者と言ってよいかもしれない。
(つづく)

高市首相関連の報道が萎縮する理由

 高市早苗内閣発足以来、首相の言動に振り回される日々がつづく。

 南アフリカで開催されるG20ヨハネスブルグ・サミットに向かう途中、「外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ」とつぶやく高市首相のコメントはSNSで炎上。

https://x.com/takaichi_sanae/status/1991868827840491586

高市氏のXより

 外交を「マウントを取ること」と公言する幼児性は、彼女がノーベル平和賞に推薦したいという宗主国のトップとそっくりだが、結果、マウント取るどころか、遅刻するわ、夕食会には欠席するわで、「税金で外交やってるんだから、ちゃんとやって」との批判を受けた。

 それよりも、大きな問題になっている例の「存立危機事態」発言。首相という立場をわきまえない発言だとの批判がまっとうだと思う。

サンデーモーニングより

 この問題については、国家間の約束事をしっかり押さえよと大田英昭氏が連日FBで鋭い発信をしている。

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 大田氏は長年中国の大学で教鞭をとっており、この発言の深刻さを実感するのだろう。

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 日本のメディアの劣化、権力迎合ぶりも酷いもので、高市発言について「読売」の社説がこう書いた。

 「米国は戦略的に台湾有事への対応を曖昧にしているが、台湾海峡が封鎖される事態となれば米国の安全にも影響を及ぼそう。台湾有事が存立危機事態になり得る、という首相の認識は理解できる。

 ただ、危機に際しての意思決定に関する発言には慎重さが求められよう。首相がその後、「具体的な事態に言及したのは反省点だ」と釈明したのは適切と言える。

 立民は首相の答弁に「危険性を感じた」として撤回を求めている。だが、しつこく首相に見解をただしたのは立民自身だ。答弁を迫った上で、答弁したら撤回を迫るとは、何が目的なのか。

 とにもかくにも批判の材料を作りたいということだとしても、安保政策を政局に利用しようとするなどもってのほかだ。」
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20251113-OYT1T50009/

 実際は、質問に立った岡田克也議員は、高市首相が「戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである」と答えたのに対し、「これはまずいな」と思い、さらなる追求を止めたという。これ以上しゃべらせるとヤバいと思ったのだ。

 国会が安全保障のもっとも深刻な状況(武力行使)がいかなる事態に起きるかと新政権に聞くのは当然である。しかも、高市氏がこれまでの政府内合意から踏み出す発言をしばしばしてきたからには、安全保障に関するスタンスを確認するのは必須でもあった。それなのに読売の社説は、軍事に関わることは黙ってろ、関係者(つまり権力者と軍人)に任せなさいといわんばかりだ。

 まるで、戦前の統帥権天皇が陸海軍を指揮・命令する権限―当時の憲法の第11条に規定されていた)を讃えるかのような主張。統帥権は「内閣の輔弼(ほひつ)」の対象外で、シビリアンコントロールが全くきかなかった。それが国民を戦争に引っ張っていった歴史を思い起こしたい。
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 高市政権になって、日本のメディアが萎縮し、忖度する、さらには政権に迎合する傾向が強まっているように思われる。

 物価高が止まらないが、テレビはまるで自然災害のように扱い、この物価高、どうやりくりしましょうか、しょうがないね、といった報じ方だ。高市政権のせいで円安が急激に進んで(首相になる前から10円下がっている)それが物価をさらに押し上げている。つまり政治に責任があるのに、それを追及しない。

 その一つの背景に、高市氏への批判的報道に対する組織的恫喝があるとの指摘がある。

 例えば、日テレの「奈良のシカ」発言検証へのSNS上での集団的な批判だ。

 9月の総裁選で、高市氏が奈良のシカへの暴行を「外国人によるもの」として問題提起したのに対し、日本テレビnews everyなどが、現地取材で「暴行の事実を外国人観光客と断定できない」「攻撃的な観光客は見かけない」との証言を報じた。この検証報道に対し、SNS上では「高市潰しだ」「やらせだ」「偏向報道だ」との攻撃で炎上した。

 海外と比べて、日本メディアの脆弱性は際立っているとの指摘がある。

 「日本のテレビ局や新聞社が、特定の政治家を少しでも批判すると、 一斉に大量の苦情が押し寄せる。

 高市早苗首相に関する報道は、その典型だ。わずかな指摘でも抗議が殺到し、制作現場では 「もう触れないほうが安全だ」 という空気が広がっている。

 だが、これは単なる“熱心な支持者の反応”ではない。実態としては、 組織的なメール爆撃や電話攻撃が、番組内容を実質的にコントロールしている という危険な構造が存在する。

 そしてさらに深刻なのは、 日本の制度が、この“量による圧力”を民主主義への妨害として扱う枠組みを一切持っていない という事実だ。」

 そして、次のように論じている。

 ・放送法4条が「政治的公平」を口実に圧力の道具にされる

 ・メディアを守る法律が存在しない

 ・苦情攻撃の規制も存在しない

 制度的に、 メディアがもっとも無防備な国 になっている。

 また、海外のジャーナリストは“政権批判は仕事”という自覚が強い。

 欧米では、「権力を監視すること」は記者の職業倫理そのものだ。

 批判される=仕事している証拠/圧力が来る=むしろ誇り、という感覚が共有されている。

 日本では:

 ・苦情がそのまま個人攻撃に変わる
 ・現場の負担が重い
 ・上層部が「波風立てるな」と萎縮

 こうして、心理的負荷が政権批判を抑制してしまう。・・・

 当たっているだけに怖い。

newshonyaku.com

北朝鮮は「史上類例のない監視社会」(国連報告書)

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は9月に報告書を出し、北朝鮮の人権状況は2014年以降さらに悪化し、いま最悪になっていると結論づけた。

OHCHRのHPより


 国連がはじめて北朝鮮の人権に関する報告書を公表したのがは2014年。そこでは、広範な「人道に対する罪」が詳細に記され、ナチスや、南アフリカアパルトヘイトクメール・ルージュの犯罪に例えられていた。

 今回の北朝鮮の人権状況に関する報告書(A/HRC/60/58)》をChat GPTに翻訳・要約させると―

I. 全体的な傾向
2014年のCOI(調査委員会)報告以降、政府による統制が一層強化。
コロナ禍以降、国境封鎖とデジタル監視により、国民の行動・思想の自由がほぼ完全に制限。
経済制裁・孤立化が進み、経済・社会・食糧・医療状況が悪化
・「再統一政策」放棄、ロシアとの軍事協力など、国際的孤立が深まる。

II. 主要分野別の状況
1. 表現・思想・移動の自由
「反動的思想文化排撃法」(2020)などの新法で、外国メディアの閲覧や非社会主義的言動は死刑を含む重罰。
公開処刑・集団裁判が行われ、恐怖による統制を強化。
・携帯電話普及率は上昇(最大80%)したが、インターネットは遮断。
・宗教活動・占い・シャーマニズムは「国家秩序を乱す」として弾圧。

2. 司法と法の支配
・政府は法改正を報告したが、恣意的逮捕・拷問・不公正裁判は継続。
政治犯収容所は少なくとも4カ所で継続運営。強制労働・飢餓・拷問が常態化。
死刑の適用範囲が拡大(外国メディア視聴や薬物、売春などにも)。
収賄汚職が司法全体に蔓延。
中国などからの脱北者の強制送還が続き、拷問・拘禁・暴力の危険。

3. 拉致・失踪
日本人拉致を含む外国人拉致・失踪問題は未解決。
・COIが指摘した約45万件の失踪案件に対し、政府は実質的な回答を行わず
・家族再会事業は2018年を最後に停止、登録者の多くが高齢で死去。

4. 経済・社会・文化的権利
市場(ジャンマダン)への弾圧が強まり、民間商業活動が犯罪化
・強制労働が制度化:囚人、孤児、学生、軍人が「突撃隊」などで労働動員。
食糧危機が深刻化:人口の約40%が栄養不足。食事3回は「贅沢」。
・医療は有料化が進み、薬・食糧を持参しないと治療不可。
・教育は政治思想中心で、貧困層の子どもは通学困難。

5. 差別と弱者
身分制度「成分(ソンブン)」による差別は依然強固。
・障害者の都市居住が一部認められるなど限定的進展も、依然差別が根強い。
・女性は「母性の英雄」として出産・育児役割を強調され、リーダー層では過小代表。
・市場活動に従事する女性は性的搾取・暴行・収賄被害を受ける例が多数。
児童労働や飢餓が常態化、児童の約4割が慢性的栄養失調。

III. 責任追及と国際社会の対応
政府による人権侵害の捜査・処罰は皆無。
・COIが求めた「犯罪者の訴追」や「制度改革」は未実施。
・国際社会では、各国の普遍的管轄権による訴追準備や被害者救済活動が進展。
・しかし、国際刑事裁判所ICC)への付託は未実現

IV. 結論
2014年以降、ほぼすべての人権分野で悪化
表現・移動・宗教の自由、食糧・医療へのアクセス、法の支配、すべてが制限
「史上類例のない監視社会」と表現。
・政府は国際条約を一部批准したが、実態との乖離は甚大。

V. 勧告(抜粋)
国連高等弁務官は以下を求めています:
北朝鮮政府に対し
政治犯収容所と「連座制」を廃止する
・死刑制度を廃止する
・拉致・失踪者の情報を開示する
・拷問・強制労働・性暴力を停止する
・国連機関の訪問を受け入れる
・国内に人権教育と情報公開を導入する
国際社会に対し
・強制送還(中国など)をやめる(ノン・ルフールマン遵守)
ICC付託を含む国際的な責任追及を推進
・制裁の人道的影響を考慮しつつ、人権中心の対話を進める

🧭 結語
「2025年の北朝鮮は、歴史上最も閉ざされた国の一つになっている。
その現状を放置すれば、国民の苦難はさらに深まるだろう。」

IV. 結論には以下のように書かれている。

Information gathered by OHCHR shows that, despite the isolated steps taken, the human rights situation in the Democratic People’s Republic of Korea has not improved overall since 2014 and, in many instances, has degraded. Since 2014, control by the Government over its citizens has tightened increasingly. Under laws, policies and practices introduced since 2015, citizens have been subjected to increased surveillance and control in all parts of life. As one escapee told OHCHR: “To block the people’s eyes and ears, they strengthened the crackdowns. It was a form of control aimed at eliminating even the smallest signs of dissatisfaction or complaint.” No other population is under such restrictions in today’s world.

日本語訳は―
朝鮮民主主義人民共和国の人権状況は2014年以降全体として改善されておらず、多くの場合悪化している。2014年以降、政府による市民の統制はますます強化されている。2015年以降に導入された法律、政策、慣行の下で、市民はあらゆる生活面で監視と管理を強化されてきた。ある脱北者がOHCHRに語ったところによると、「人々の目と耳を封じるために、彼らは取り締まりを強化した。それは、ごくわずかな不満や異議の兆候さえも排除することを目的とした統制の形式だった」とのことである今日の世界で、これほど制限を受けている人々は他にいない。」

 まさに世界最悪の人権抑圧国家というわけである。

 次は、拉致問題について報告書はどう記述しているのかを見ていこう。
(つづく)

 近所の原っぱに百日草が咲いていた。夏から咲いている。花の開花期間が長いことからついた名だそうだ。ウラシマソウ(浦島草)やチョウキュウソウ(長久草)の別名もあるという。原産地はメキシコ。新大陸から来た植物なのだ。

「金田龍光さんを放っておいて良いのか」神戸集会

 隣家の柿の木から落ちた葉っぱ。誰かが「自然は芸術家」などと言ったそうだが、ほんとうにそう思わされる。

柿の落ち葉

 今年は夏から秋にかけて北朝鮮による拉致に関する本を執筆していた。ようやく脱稿したが、政府が隠蔽してきた事実など未公開情報をたくさん盛り込んだので、その確認などに時間をとられ、紅葉を見に遠出する余裕がなかった。でも遠出しなくても季節の移ろいは身近にあった。
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 北朝鮮についてはロシアとの軍事提携や核・ミサイル開発、中国との接近、トランプとの再会談はあるか、など地政学的な角度からのニュースばかりだが、人権の問題抜きに北朝鮮を語ることはできない。私見では、北朝鮮の人権状況はかつてのナチスドイツより酷い。アウシュヴィッツ・ビルケナウ の強制絶滅収容所を見学したとき、当時の非人道的な待遇を想像して心が痛んだが、北朝鮮政治犯収容所の体験記はそれを上回ると思った。

 人々の無権利状態が、百万人超の餓死者を出すなかでの核・ミサイル開発や秘密が完璧に守られた大規模な拉致工作などを可能にしたのである。

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 12日、当時13歳の横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてからまもなく48年となるのを前に、母の早紀江さんが会見に応じた来年90歳を迎える早紀江さん

 まだ政府に拉致被害者と認められないなかで署名活動を始め、全国を回っての講演は1400回以上。2000年には、自民党本部前で座り込みをしたこともある。歴代首相が拉致問題は「最重要課題」と口では言いながら、2002年の小泉訪朝時以降、拉致被害者が誰も帰っていない。早紀江さんは、この現状に「精も根も尽き果てた」と語っていた。

日テレニュースより

 以下会見で早紀江さんが語った言葉より―

「どうしてこんな大事なことが解決されないのかなと。こんな時間がたってしまった」

「来年90歳になるんですよね。私たちも体力なくなってきて、前のように元気でないの分かっているので、早くなんとかならないかということばかりを願って」

「めぐみちゃんはとにかく明るい子だったし、本が好きで、いろんな本を読んであげたのが一番印象深い。(これまで)総理大臣に1人1人目を見て話して『誰かがやらなきゃいけないことです』と言ってきたんだけどなかなか動いていかない」

「精も根も尽き果てたという感じで、年もいってきて、本当にもう会えないのかなと思う時もあるし、だんだん絶対弱っていくと思う」

「それでも解決しなければ、会えない時がくるかもしれないことも現実に起きるから、早くなんとかならないのかということばかりを願って、総理大臣が代わるたびにお願いしてきて、お願いしても全然動かない」

日朝首脳会談をしていただかないと、話し合いをしなかったらとにかく動かないと思っている」

  一つひとつ、胸に響いてくる。いま拉致問題への関心は非常に低く、若い人は、横田めぐみさんの名前も知らない。今回、私があらためて拉致についての本を書こうと思ったのも、なんとか人びとの関心を高め、この問題の進展に寄与したいと思ったからだ。1997年からこの問題に関わってきたものとしての責任を感じる。

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 拉致問題では2014年のストックホルム合意以降、何の進展もない。合意後、北朝鮮田中実さん(政府認定拉致被害者)と金田龍光さん(特定失踪者)の2人が「生存」していると日本側に通告したにもかかわらず。政府は11年前もの間、これを無視し二人を見殺しにし、国民に隠し通している。

 8月末、二人の地元、神戸で「金田龍光さんを放っておいて良いのか」という集会があった。ここでは拉致問題の裏にある深い闇を3人の論者が語っている。これを編集して、【拉致問題の闇】第4弾として公開している。ぜひご覧ください。

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サイバー攻撃で核・ミサイル技術を発展させる北朝鮮

 最近、KADOKAWAアサヒビールアスクルなど日本の企業が大規模なサイバー攻撃で深刻な被害を受けている。そのサイバー攻撃が、北朝鮮の軍事的脅威を支えてもいるという。

 北朝鮮朝鮮中央通信が先月23日、「(きのう)ミサイル総局が重要兵器システムの実験に成功」し、感興北道の目標地点に着弾したと発表。これは「極超音速滑空体」(HGV:Hypersonic Glide Vehicle)と見られる。

NHK国際報道(10/20)

 これは弾頭部分にあたる滑空体(HGV)が途中でロケットから分離され、ロケットエンジンなどの推進力を使わずグライダー飛行するというシステム。極超音速(マッハ5以上)で大気圏内を低空で上下左右に複雑に機動しながら目標に向かう

 従来の弾道ミサイルでは、高い高度で弾頭がブースターと切り離されて慣性で落下、放物線を描いて落ちる。極超音速滑空体はこれと違って、低空で接近するのでレーダーの探知が遅れるのに加え、軌道予測が難しく迎撃は極めて困難とされる。

 北朝鮮の核・ミサイル技術が、急速な進歩を遂げていることは間違いない。この核・ミサイル開発を支えているのがサイバー攻撃だという

 暗号資産ビットコインをハッキングで大量に獲得し、いまや北朝鮮は世界第3位の保有になっていると報じられている。

KBSニュース(国際報道より)

 暗号資産の大手取引所でハッキング事件が発生し、北朝鮮保有量が急増したという。かつては、私も取材した偽ドル札「スーパーノート」が知られていたが(拙著『スーパーKを追え』旬報社)、北朝鮮の不法な資金稼ぎも様変わりしているようだ。

 また北朝鮮サイバー攻撃によって、資金だけでなく、韓国の防衛産業関連の情報や中国のドローン技術まで盗み取っていたという。

 日米韓など11カ国が設立した北朝鮮の制裁逃れを監視するMSMTチームは、先月22日、報告書The DPRK’s Violation and Evasion of UN Sanctions through Cyber and Information Technology Worker Activities(「朝鮮民主主義人民共和国のサイバーおよび情報技術労働者の活動を通じた国連制裁違反と回避」)を発表。

 北朝鮮サイバー攻撃で去年1月から今年9月までに、世界中の企業から約4200億円相当の暗号資産を盗んだと推定した。

 報告書の第5章「DPRK北朝鮮)の悪意あるサイバー活動と防衛産業基盤(DIB)への標的化」の冒頭には以下のように記されている。

報告書第5章冒頭


北朝鮮は、国連安保理決議1718、1874、2087、2270、および2321が北朝鮮による核技術およびデュアルユース(軍民両用)技術へのアクセスを広く禁止しているにもかかわらず、米国、英国、韓国、その他のMSMT(注)参加国および国連加盟国から、原子力発電所、施設、資材、軍用ドローン、潜水艦、造船に関する情報を入手しようと試みている。北朝鮮朝鮮は、韓国と英国から、半導体、ウラン処理、防空システム、ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)に関する設計を盗み出し、その後、これらの技術を導入している。2023年に北朝鮮が打ち上げた偵察衛星からは、盗まれた韓国製の光学機器と打ち上げ機技術が確認された。北朝鮮は、盗んだ韓国のコールド・ローンチ技術を用いることで、潜水艦発射弾道ミサイルの開発期間を短縮した

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100922718.pdf


(注)MSMT =Multilateral Sanctions Monitoring Team (多国間制裁監視チーム)とは、安保理決議に基づく対北朝鮮制裁の履行状況を監視し、報告する役割を担っていた安保理北朝鮮制裁委員会(1718委員会)の専門家パネルが、ロシアの拒否権行使により活動を停止したことを受け、日本、米国、韓国など有志国11か国によって、その監視機能の空白を埋めるために立ち上げられた代替メカニズム

 MSMTの監視国は、国連安保理に対し、再び専門家パネルを設置するよう求めている。

 国際的監視が緩んだ北朝鮮は、不法なサイバー攻撃を大規模に行うことで核・ミサイル技術を急速に進歩させている。この現象をもたらした大きな要因がロシアによるウクライナへの全面侵攻であることをあらためて確認したい。