「TM特別報告」に高市氏の名が32回登場②

 高市早苗首相の解散表明演説では、選挙の目的は高市早苗が首相でよいのかどうか、主権者たる国民に決めてもらう」ことだという。そして「よい」となれば、大胆に大きな政策転換をやるというのだ。白紙委任を求めているわけだ。

賛否の分かれている問題も果敢にやり遂げるという

 2人のSNSから

 高市首相の弁を聞いて空恐ろしくなった。総選挙は自分が総理に相応しかどうか決める為という。責任ある積極財政も外交安保も実績を示すべきなのに、まず選挙と言う。対外関係は国際法無視を厭わないトランプ政権や、悪化した日中関係をどうするかという課題に一切言及ない。白紙手形は出したくない。」田中均氏=元外務審議官

「「賛否がわかれる大きなもの」の具体像を示さずに「信を問う」ことが大きな矛盾を抱えている詐話的なナラティブで、要するに「勝ったら国民生活に大きな影響がある大変なことをやるけど、それが何かは事前に言わない。私を信頼して自民党に入れて」という話だよね。まともな政治家のやることではない。津田大介氏=ジャーナリスト)

 会見では、内容はないが印象的なキャッチフレーズを力強く自信ありげに語っている。それが脈絡なく、羅列されている。20~30秒くらいずつ切ってショート動画でばらまけば、かなりインパクトがあるだろうと思った。そういう効果を狙っての演出かもしれない。選挙期間が短くイメージ選挙になりやすいことに注意すべきだろう。

 TM特別報告の昨日のパートで、「安倍元首相が我々と近いという観点から見れば、高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いであるという解釈もできます。
ただ、日韓関係のみを見る場合には、岸田氏になる方が日韓関係は良い方向へ進むのではないかという予想ができます。」という個所にさしかかったとき、統一協会の目で、日本の政治家を「値踏み」していることにゾッとするものを感じた。みなさんはいかがでしたか。

為替チャート 緑が日本円 「高市円安」であることは明白

 では、その続きを。

 自民党総裁選の結果が出たことを報告している。

 

「2021. 9. 18.
天の父母様聖会 新日本天議院長、HJ天宙天寶修錬苑 新日本分苑長
徳野英治 拝上」

2. 「自民党総裁選挙の結果について」

 次に大きな二点目として、自民党総裁選挙の結果がもたらした背景と、新しく岸田政権の今後というテーマで私自身の観点から少し報告申し上げます。

 昨日9月29日午後1時に自民党総裁選挙が開かれ、午後3時を過ぎて新しい自民党総裁、すなわち事実上の第100代日本国総理大臣が選出されました。

 下馬評では、第1回投票において国民的な人気が高いため全国の自民党党員の支持が高い河野太郎氏が第1位となり、第2位に岸田文雄氏になると予想されていました。

 さらに、下手をすれば安倍元首相が推薦・応援した高市早苗女性候補として2位になるのではないかと言われるほど善戦しました。

 しかし蓋を開けてみると、1回目投票の時点でわずか一票差で岸田氏が第1位となり、河野氏が第2位となりました。

 明らかに全国党員票は第1回も第2回も河野氏が最多得票をしましたが、河野氏は国会議員票において第1回目に高市の114票にも及ばない86票しか得られませんでした。
二度目の決選投票では、岸田氏の257票に対し河野氏が170票という大差で完全敗北に終わりました。

 したがって結論としては、自民党総裁候補3名(主要候補)のうち、我々と心情的な因縁がある岸田文雄氏が自民党総裁に選出され、最も天が導かれた結果として、天の父母様と真の父母様の見守りと導きに心より感謝申し上げる次第です。

 もし高市が選出されていたならば、100代目の日本の首相が女性となるため世界の注目を浴びたでしょう

 また、安倍元首相と我々との距離が近いため、我々にすぐに高市を繋いでくれることは間違いなかったと考えますが、高市は右翼的・民主主義的な思考が強い反共主義者であり、中国に対しては期待すべき外交政策を展開できたかもしれませんが、日韓関係は改善されない可能性が高いと見ざるを得ません。

 そのような意味で岸田氏は、外務大臣として2015年の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領当時の外相であった尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と、一旦従軍慰安婦合意に至った当時の日本の外務大臣でした。

 また2019年の名古屋4万人大会の前日、ギングリッチ下院議長と共に梶栗UPF議長と会った人物です。

 その際、確かにマイケル・ジェンキンス会長も同席して会ったと記憶しています。そういう意味で、まさに導きの結果となり、心から天が守り導いてくださったことに感謝するばかりです

(つづく)

「TM特別報告」に高市氏の名が32回登場

19日午後6時からの会見で解散を明言。(日テレニュース)

 高市早苗首相は、午後6時から開いた会見で、今月23日の通常国会冒頭に衆議院を解散する意向を表明。解散から投開票まで16日間と戦後最短の超短期決戦となる。

 もともと大義のない解散で、高支持率を武器に、有権者に考える余裕を与えずに「超短期決戦」で大勝し、維新と右翼路線を突っ走るつもりなのだろう。

 高市内閣は、株価を上げ円を下げる、つまり富める者をさらに富ませ、株価の恩恵など受けない庶民を物価高で苦しめている。今日の会見で株価や円安について聞かれた高市首相、「市場が決めることですから」とひと言。いや、円安=物価高は自然現象ではなく政策で動くものなのだ。「格差拡大」内閣にはNOを突きつけたい。

 そこで、韓国で激震を起している「TM特別報告」から、真のお母様(統一協会韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁)に高市早苗氏がどう報告されているかを紹介しよう

週刊文春1月15日号

 有権者のみなさん、高市氏が統一協会からどんなに期待されているかを知ってから投票しましょう。

 「TM特別報告」のTMとはTrue Mother(トゥルー・マザー=真の母)で、韓鶴子総裁 に向けて作られた教団内部の3200頁超の報告文書である。

 韓国で行われた旧統一教会の捜査で押収され、韓国・日本のメディアが内容の一部を報じて注目を集めている。2021年の衆議院選挙で「自民党290人を応援した」など、驚くような内容が含まれ、あらためて安倍派を中心とした自民党統一協会のただならぬ深い関係を露わにした。

 

 以下に紹介するのは、統一協会(世界平和統一家庭連合)の日本側幹部である徳野英治がTMに対する、2021年9月29日の自民党総裁についての報告である。週刊誌に引用されたのはごく一部なので、ここに高市関係の部分をすべて公開しよう。

 高市が最初に登場するのは、総裁選に出馬する女性二人の一人だとの説明からである。

 

 首相に立候補する意思を表明している人物が4名います。

 4名のうち2名は前回も首相候補として立候補し、菅首相に敗れて首相になれなかった石破(茂)元防衛大臣と岸田(文雄)前外務大臣で、この二人は常に立候補する首相候補者です。

 これに加えて、今回は大臣経験者である二人の女性議員が立候補しています。高市早苗という前総務大臣と、野田聖子という前郵政大臣総務大臣です。
(略)
 このように二人の有力な女性候補が出馬を宣言したことは、やはり摂理的にも真のお母様を中心とした本格的な女性時代の到来を明確に意味する現象であると考えられます。

 女性が出馬すること自体が意味あることだという。
・・・・

次は
2021. 8. 12 天の父母様聖会 神日本天議院長、HJ天宙天寶修錬苑 神日本分苑長
徳野英治 拝上」

 自民党総裁選の最新状況が記されている。


 我々との関係性について申し上げれば、岸田前政調会長は2019年10月の名古屋4万人大会の直前に、ギングリッチ元下院議長と共に梶栗UPF議長が面談した因縁があります。

 河野太郎氏と我が団体とは残念ながらほとんど因縁がありません。一方で高市に関しては、安倍元首相が強く推薦しているということと、神奈川県出身(訳注:高市奈良県出身だが、後援組織や文脈上の拠点として言及か)であるため、その現場の高市の後援会と我々とは親密な関係があります。

 そのような観点から見れば、やはり岸田前政調会長高市早苗総務大臣が総裁に選ばれることが天の願いであると考えられます
(略)
 もし高市が首相になれば、日本の政治史上初の女性首相となり、しかも第100代の首相が女性ということになります。

 岸田氏、高市氏の二人が統一協会と「密接な関係」があるとはっきり述べている。これで岸田氏が首相時代、統一協会問題をうやむやにしたわけが分かった。

・・・・

2021. 8. 12 天の父母様聖会 神日本天議院長、HJ天宙天寶修錬苑 神日本分苑長
徳野英治 拝上」

 自民党総裁選の最新情勢が続く。

 特に注目すべき点は、安倍元首相が高市早苗をまさに全面的に応援してきたということです。

 応援しすぎてむしろ自民党議員の方々から反発が出始めており、応援は現時点でストップする方針に変えたという報道まで出ています。

 安倍首相は『高市早苗でなければ、これからの日本を率いていくことはできない。
私は首相時代にあなたの応援のために何度も応援演説をしたではないか』という言葉まで口にしながら、自民党の全議員一人ひとりに対し、高市早苗を応援してほしいと、実に熱心に本人が直接電話をかけています。

 それによって高市早苗の支持がどんどん急速に拡大したのは事実です。

 しかし、応援しすぎて逆に自民党議員たちから反発が出始め、いわゆる『逆効果』が出てしまい、今その熱心にかけていた電話をストップせざるを得ない状況です。

 いずれにせよ、今も与党自民党内における安倍元首相の影響力は、やはり戦後最長の7年間首相を継続したため、絶対的なものであるという分析です。

 現時点では河野氏、岸田氏の二人が第1回投票で1位・2位になれば、決選投票では自民党国会議員としてその安定感から信頼の厚い岸田氏が総裁に選ばれる可能性が高いですが、この情勢分析には今も変わりありません。

 しかし今後、もし高市が追い上げて岸田氏を超え、第1回投票で河野氏高市が1位・2位の得票を得た場合には、全く想像できない状況になります。

 したがってその結果、自民党総裁河野氏になる可能性もありますし、あるいは高市になる可能性もあります。

 このように決選投票で河野氏高市の二人が残る場合には、全くどちらに転ぶか予想がつかないというのが現時点での政治評論家たちの全般的な予想です。

 すでに数日前に報告申し上げたように、今回の日本の首相は第100代目となります。
そして安倍元首相が我々と近いという観点から見れば、高市自民党総裁になることが天の最大の願いであるという解釈もできます。

 ただ、日韓関係のみを見る場合には、岸田氏になる方が日韓関係は良い方向へ進むのではないかという予想ができます。

 したがって現時点では、高市や岸田氏が天の意図ではないかと考え、祈っております。

 誰が日本の首相になるか、情報を集めかつ祈っている。その必死さが文章から伝わってくる。総裁選の結果は、統一協会にとって死活的な問題なのだろう。

 そして総裁選の結果が出る。

(つづく)

今年も走り続けます(新年のご挨拶)

 遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。

国立市谷保天満宮は東日本最古の天満宮。梅がほころび始めていた(11日)

 すっかりご無沙汰してしまいましたが、年末年始は娘が11月に出産した新生児(私には孫にあたる)を連れてきたり、ばたばたしていた上、何よりも出版予定の原稿の校正が大量にあり、家で缶詰状態になっていました。

 本の仮題は『拉致—封印された真実』で上下2巻本です。なんとか2月中に出すため、大晦日も元日もPCに向かって校正作業に没頭していました。

 拉致問題にまったく進展が見られないまま時間は過ぎ、人々の関心も急激に低下しています。そこで、拉致はこんなに深刻な犯罪で、ここまで解明されていて、なぜ問題が進展しないのかを提起したいと出版に踏み切ったのです。ご支援いただければ幸いです。
・・・
 そんななかでも、自転車で行ける府中市大國魂(おおくにたま)神社に参拝に行きました。3日というのに参拝客が多いのに驚き、寒風のなか長く列に並んでいる人々の姿に“幸せ”を願う切実さを感じました。境内をぐるっと歩いていくと、ある中年の女性が境内社を次々に回りながら一心不乱に祈っているのに気づきました。神にもすがりたい悩みを抱えている人は世界にはたくさんいます。

 帰り際、狛犬をふと見上げると、子どもに乳を与えているではありませんか。授乳する狛犬

授乳する狛犬

 この神社には何度も来ているのですが、初めて気が付き、じっと見入ってしまいました。娘が母親になったことが、私の感受性に影響を与えているのかもしれません。

・・・・・・

 昨年は私の人生にとって転機の年でした。

 5月に母が95歳で逝き、娘が結婚して11月に出産。まだ泣いて乳を飲むだけの孫だが、「この子のためにも良い世の中を残さなくては」などと殊勝な感慨がわいてきます

 すばらしい出会いもあり、多くの刺激を受けながら、新たな活動も始めました。

 一つが拉致についての本の執筆です。私と拉致問題との関わりが始まったのは、1997年2月4日、元北朝鮮工作員安明進による横田めぐみさんらしい「ニイガタの少女」目撃証言をスクープしたときでした。それからもう30年近くが経つことに驚きます。

 振り返ると、拉致問題には多くの「封印された真実」があり、それが封印されていることが問題の進展を阻んでいることが見えてきました。核心的な事実を北朝鮮が封印しているのは当然として、実は日本側(政府)にも多くの隠蔽されたものがあります

 今回の本では、信頼できる協力者から「極秘」の印がついた資料や門外不出の取材テープなどを提供してもらい、「封印」を解きながら、いま私が入手しうる最先端の情報を公開します。

 拉致被害者北朝鮮で住まわされた招待所地域のうちから4カ所については、衛星写真を載せ、誰がどの家屋に住んでいたかを読者がGoogle Earthで見られるよう緯度経度も公開します。

 2006年初め、私たちは当時は高価だった衛星写真アメリカから購入し、日本に帰国した拉致被害者の証言と照らし合わせながら、横田めぐみさんや田口八重子さんが住んだ招待所の棟を特定していきました衛星写真を使ったプロジェクトはそこから始まります。

takase.hatenablog.jp


 また、昨年元旦に私はユーチューブ開始宣言をしました

 詳しい人に手伝ってもらって、2月に初めての動画(ジャーナリスト後藤健二さんの追悼集会)をアップしました。その後は自分で編集するしかなくなり、編集ソフトを購入し、慣れない動画編集に悪戦苦闘しながら何とか続けています。常岡氏や安田純平氏からの旅券取り上げなどジャーナリズムに関する問題やガザのジェノサイド問題も扱い、今は拉致問題の闇」シリーズで、なぜ拉致が見過ごされてきたのかを発信しています。高世仁の報道されない見えざるニュース」です。ご興味されば、のぞいて見てください。チャンネル登録者はようやく3000人弱まで増えました。

www.youtube.com

 別方面の活動では、サングラハ教育・心理研究所の主幹代理を務め、運営委員会の代表を引き受けることになりました。

 「仲良く楽しく生きて、楽に死ぬ」を標語に、心の成長と覚りをめざす団体で、私は1990年代半ばから主幹の岡野守也さんの哲学に学んできました。大乗仏教をベースにしながら、仏教に帰依するのではなく、これを心の成長にいわば“利用する”というスタンスです。

 現在はYoutubeによる土曜講座で「維摩経を学ぶ」、日曜講座で「よりよく生き、爽やかに逝くためのヒント」を学んでいます。後者はとくにサングラハ独自のもので、『ヨハネ黙示録』、源信『往生要集』、パスカル『パンセ』、マルクス・アウレリウス『自省録』、道元正法眼蔵』などを参考に、いかに生き、いかに死ぬかを追及しています。ご関心のある方はHPをご覧下さい。

www.smgrh.gr.jp

 さて今年は、拉致本出版に合わせて、機会をとらえて拉致問題への関心を高め、問題の進展が図れるような活動を強めたいと思っています。いろいろ仕掛けていきます。

 またユーチューブでは、国内で震災被災地を、海外で戦争難民を取材して配信したいと思っています。ただ、取材にお金がかかるので、実現できるか。とくに海外は今の超円安(高市政権で加速している)で悩ましい。

 いつも周囲からは、もう歳なのに、無理してるんじゃないの?と揶揄されますが、今年も「年寄りの冷や水」精神で走り続けますので、よろしくご支援ください。

今年読んだ三冊の本

 27日(土)は地平線報告会で写真家の小松由佳さんの話を聞いた。

 開高健ノンフィクション賞を授賞した『シリアの家族』(集英社)という作品ができるまでの激動の日々とその課程での思索を語ってくれた。

新宿での小松由佳さんの報告会

『シリアの家族』は発売一カ月で増刷になった。

去年12月のアサド政権崩壊後、故郷パルミラの市街地の8割が破砕されているのを自宅の屋根の上から見る由佳さんの夫、シリア人のラドワンさん。由佳さんは夫が見ているのは瓦礫の山ではなく、将来復興したパルミラなのだと直感したという。そしてそのとおり、ラドワンさんは先週日曜、日本を離れシリアへと一人旅立った。パルミラに「ともだち」というホテルを来年4月にオープンするという。

 2017年に彼女が1歳の長男サーメル君とヨルダンに子連れ取材をする様子を取材したときからのご縁である。難民取材にオシメの取れない赤ちゃんを連れていくなんて普通は考えないが、これは彼女のスタイルである。私もはじめの1週間ほどヨルダンの首都アンマンのシリア難民宅に由佳さんと一緒に宿泊させていただいた。

takase.hatenablog.jp

 取材中、難民のテントの中でサーメルがはじめて二本足で立ち、難民家族は拍手して喜んだという記念すべき瞬間も共有した。この取材はNNNドキュメント(日テレ)で「サーメル 子連れ写真家とシリア難民」というタイトルで放送された。

 あれ以来、小松由佳さんは人間的にも、また写真家、ジャーナリストとしても著しい成長を遂げたと実感する。開高健ノンフィクション賞は、選考委員全員一致で圧倒的に評価されて決まったという。これからどこまで“大きく”なるか楽しみである。

 JCJ日本ジャーナリスト会議)の機関紙『ジャーナリスト』12月25日号の「25‘読書回顧―私のいちおし」という短い書評でこの本も取り上げた。

《石破前首相は戦後80年所感で「歴史に正面から向き合う」必要を強調したが、その思索の“タネ本”の一つが猪瀬直樹昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)である。
太平洋戦争開戦直前、軍民から若手俊秀を集めた内閣直属の「総力戦研究所」が、対米戦は必敗との合理的な予測を東條首相に提出した。しかしそれは握り潰され、日本は立ち止まることなく破滅に突き進んでいった—その経緯を描くノンフィクションだ。高市新政権が独善的な危機扇動に傾くいまこそ読まれるべき一冊である。

 なお、この作品をドラマ化した8月のNスペ『シミュレーション』は、史実の歪曲と批判され、NHKの“劣化”が世間の話題となった。

 引き返せずに奈落へと向かう「慣性」の病理は、戦後も日本を蝕み続けている。辺野古しかり、原発しかり、リニア計画もまたその典型だ。

 いち早く警鐘を鳴らした樫田秀樹は15年度のJCJ賞を受賞した。リニア計画は、トンネル掘削による環境破壊や住民への工事被害をもたらす上、傾国の大赤字事業となるのは必定だ。だが“国策”であり、JR東海が巨大広告主である事情からマスコミは批判を自粛する。受賞から10年、樫田はすでに表面化した深刻な問題を自分の足で丹念に追い、『混迷のリニア中央新幹線』(旬報社)を上梓、これでもなお“敗戦”へ突き進むのかと我々に問う。

 25年度の開高健ノンフィクション賞は、小松由佳『シリアの家族』(集英社)が受賞した。シリア難民と結婚し二児をもうけた彼女が、「家族」を軸に、24年12月のアサド政権崩壊を挟む激動のシリア情勢を、まさに“自分事”として描き切った圧巻の一冊である。私は2017年のNNNドキュメントで彼女の番組を制作して以来のご縁だが、ヘイトが横行する今日、家族の中にもある異文化を理解し尊重する姿から、多くの示唆を与えられている。》

『ジャーナリスト』12月25日号

 

元国会議員が扇動政治家を叱る

 「秘書や事務員を雇うのは大変だろうけど、統一教会が無給で提供してくれるから何人でも申請しなさい」

 新人の自民党議員を集めた派閥の勉強会でこう教わったという。証言するのは元衆院議員の佐藤謙一郎氏だ。

 1947年生まれ。NHK記者、県議を経て87年の参院補選で初当選。衆院に転じて5期。07年に政界を引退し、有機野菜の生産・販売など「食と農」の活動に取り組んでいる。父は自民党国会議員だった佐藤一郎氏。

 佐藤氏が初めて国会議員になったのが1987年だから、統一教会自民党の深い関係は早くから始まっていたことがわかる。そして多くの国会議員が、韓国の教祖に絶対忠誠を誓う統一教会員を秘書や事務員としていわば身内に入れてしまったのだ。きわめて危険なズブズブの腐れ縁である。そして、この問題を高市内閣は完全に無視しようとしている。

朝日新聞16日朝刊

 朝日新聞のインタビュー「理想に燃えて 元国会議員・佐藤謙一郎さん」(16日朝刊)という記事が実に興味深かったので紹介したい。


    父親と同じ清話会(後の安倍派)に入った佐藤氏。当時の領袖は安倍晋太郎だった。新人議員の勉強会で三つのことを教わったという。冒頭の統一教会に頼ることのほかに「出席した会合に有名人が来ていたら、体を寄せて秘書に写真を撮らせなさい」そして「届いたお中元やお歳暮は、中身を確認したら包み直して選挙民に配りなさい」だった。その講師は、「後に首相になった有力政治家」だったそうだ。きっと森喜朗氏だろうと推測する。

 公のために、と高い理想を持って国会議員の活動をしようと思っていた佐藤氏は、とんでもない話だと部屋を飛び出したという。

 当選2回のとき、小泉純一郎氏から、お前のような青臭いやつは国対でもまれてこいと、国会対策副委員長に就いた。そこで佐藤氏は日本政治の「裏」を見たという。

 「野党の社会党とは鋭く対立しているように国民に見せかけて、実は仲良くがっちり握っている。各省庁からは毎晩のように料亭で接待されました。『今度の国会には○○法案を出します。うちのエースの○○課長が担当ですからよしなに』『地元の陳情は全部引き受けますから何なりと』。そんなことを一年もこなすと、次は好きなポストを得ることができる。自民党は機会平等。当選回数に応じたルートが確立していたんです」

 まるで漫画の政界裏話みたいなことが実態だと当事者がいう。いやはや。

 そこで佐藤氏は「政官財がもたれあい、政治腐敗の温床になっている。これを何としても壊さねばならず、小選挙区はダイナマイトとして使える」と思った。

 91年、自民党の当選1~3回議員が『政治改革を実現する若手議員の会』を結成し、佐藤氏が事務局長、石破茂氏が代表世話人になった。金がかかる政治を変えようと衆院中選挙区を廃止し小選挙区比例代表制を導入せよと活動した

 しかし選挙制度を変えても政治が良くなっていない。佐藤氏は改革が中途半端だったという。

 「国民ひとりあたり年250円を原資とする総額300億円以上の政党交付金制度は本来、企業・団体献金の廃止とセットだったはずです。なのに高市早苗首相は国会で『廃止とセットだったとの約束があったとは認識していない』。開いた口がふさがりません。結局、政治改革は『政争の具』に使われてしまったんです」

 佐藤氏は自民党を離党し、新党さきがけに参加するが自民、社会両党と連立を組むのは筋が通らないと離党。その後入った旧民主党も根っこは自民党と大きく変わらないことに幻滅し、民主党政権誕生を前に、60歳で政界を引退した。

 佐藤氏は今の自民党を厳しく批判すると同時に、自分にも反省の目を向ける。

 安倍第二次政権で「自分に従わない、気に入らない政治家や官僚は排除し、干し上げる。結果、自分の頭でものを考えないイエスマンや『安倍チルドレン』ばかりになってしまった。小選挙区制によって、公認権を握る総裁の力が絶大になってしまった。そうなることを予測できなかった僕は不覚でした」

 そして、今の政治のあり方をこう語っている。

 「僕は『敗者』であり続けました。たぶん石破さんも。政権交代が『失敗』に終った民主党の議員も。『敗者』は往々にして、情熱的に理想を語ったり、大きな社会構想を示したりすることをためらうというか、足がすくんでなかなか思うように動けなくなる。その間隙をついて、デマでも差別でも手段を選ばない扇動政治家が『勝者』になっている。日本政治は泥沼にはまり込んでいるのでは」

 このインタビュー記事は、12月16日(火)の大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)でも詳しく紹介された。https://news.livedoor.com/article/detail/30213967/

 アメリカを筆頭にポピュリズムの嵐が吹き荒れ、自民党内からリベラリズムの最後の残り火が消え、扇動政治家が跋扈しているようにも見える今、佐藤氏の言葉には深く頷かされるものがある。

日本によるウクライナへのガバナンス支援

 私が応援しているウクライナの青年ボランティア、マックス君

前線近くの高齢者に支援物資を届けるマックス(右)。2023年10月撮影


 メールしても2週間以上返信がなく、もしやと心配していたら、先日ようやく連絡があった。前線に滞在していて通信できなかったという。

 彼が住むドニプロに「あらゆる方面からロシア軍が押し寄せていて、前線が非常に困難な状態になっているので、やらなければならないことが山積みです」とのこと。彼はまだ22歳で軍役に動員される年齢(25歳以上)に達していないが、故郷が占領されそうになったら軍に志願するだろうと言っていた。前線に長期に滞在していたのは、軍事的な作業に携わっていたからだろう。彼とのやり取りから、厳しい戦況がリアルに伝わってきた。私はお金を送るくらいしかできないが、引き続き支援していきたい。

 

 ゼレンスキーの最側近で、ウクライナの和平交渉や対米・対露交渉を取り仕切る「政権ナンバー2」とも言われる大統領府長官イェルマークが解任された。

 解任は、国家反汚職局(NABU)などが、国営原子力企業「エネルゴアトム」をめぐる収賄疑惑など、大規模な汚職事件の捜査が波及するなか、国内外の政治的圧力に押される形で行われた

エルマーク。父はユダヤウクライナ人。弁護士で映画のプロデューㇲも行っていた2011年ごろからゼレンスキー氏と知り合って以来、緊密な関係を築いてきた。


 ウクライナでは、汚職との闘いはロシアに対する戦闘と並ぶ最重要課題と位置付けられている。ソ連時代から引きずってきた汚職体質を改めなければEU加盟もできないし、何よりお金の流れの透明性を確保しなければ、国際支援にブレーキがかかってしまう。また、汚職対策は復興・投資環境整備の中核要素でもあるウクライナ国民がゼレンスキー政権を批判するさいの第一のテーマも汚職対策が不十分であることだった。

takase.hatenablog.jp

 大統領府長官の交代は、「大統領府の刷新」として対内外に反汚職姿勢をアピールする狙いがある一方、停船をめぐる対米交渉の最中に要人を失うリスクや政権基盤への打撃も大きい。「ゼレンスキー政権最大の危機」とも報じられている。

 こうしたなか、日本が汚職撲滅への支援に乗り出す。法務省は、ウクライナの司法省や国家反汚職対策局、特別反汚職検察などの職員を日本に招き、日本の贈収賄規制や科学捜査の在り方などをテーマに初の二国間研修を開始した。

 国家の腐敗についての指標とされる「腐敗認識指数」(トランスペアレンシー・インターナショナル)では、180カ国中、日本は20位、ウクライナは105位ウクライナ2021年の122位から順位を少しづつ上げてクリーン度は増してきているものの、市民感覚からすると「まだまだひどい」ということなのだろう。ちなみにロシアは154位。

www.globalnote.jp

 日本はまた、ウクライナの税関長選びにも大きく関わるという。これにはEUと日米が支援し、今秋から現地3人を含む6人の指名委員会ができるが、その委員長になるのが御厨(みくりや)邦雄さん(71)だ。

朝日新聞12月9日朝刊「ひと」

 《「税関改革は経済改革の第一歩。トップを頻繁に交代させず、腰を据えて取り組むべきだ」と進言したが、正式な長官が決まらない状況が続く。オンラインで開いた指名委員会の公聴会では、市民の代表から汚職に対する厳しい意見も相次いだ》(朝日「ひと」欄1209)

 彼は旧大蔵省出身で、税関の国際協調を支える世界税関機構WCO)の事務総局長を2008年から23年まで15年間のわたって務めたという。彼の存在を知らなかったが、いろんな国際機関で日本人が意外に活躍しているものだ。なお御厨さん、委員長の仕事は無報酬でも「蓄えた知見でお役に立てるのはうれしい」と近くキーウに赴くという。

 日本は、「人道支援」として地雷除去をウクライナ支援の柱の一つに位置づけ、主に機材供与・技術協力・人材育成を通じて、ウクライナが自力で地雷や不発弾を処理できる能力を高める形で関与しているが、汚職撲滅や税関改革への協力も日本らしい支援として高く評価したい。

 

スパイ防止法をめぐる北村滋×小泉悠対談

 高市内閣では「スパイ防止法」制定への動きが急ピッチで進んでいる。

 高まる情報戦の重要性と自由弾圧の危険性などを論拠に賛否の議論が闘わされている。そんななか、『週刊現代』が北村滋と小泉悠という異色の取り合わせで、「結局、スパイ防止法は必要なんですか?北村滋×小泉悠が徹底的に語る『日本のスパイ対策の実態』」と題する対談を掲載した。

  北村滋氏といえば、警察官僚として長く情報畑を歩み、内閣情報官、国家安全保障局長などを歴任した、日本の安全保障・危機管理における情報のプロである。安倍晋三氏に重用され、安倍の懐刀と言われたこともあった。

北村氏

小泉氏


 小泉悠氏は、ロシアの安全保障・軍事問題を専門とし、その深い知見とユーモアを交えた解説で知られる、私の尊敬する軍事アナリストである。

 

gendai.media

 

 近年の情報戦の特徴としては、単に情報を盗み取るだけでなく、世論誘導の比重が高くかっているという。以下、引用。

北村 怖いのは昨今、SNSなどのネットを使った世論誘導が常態化していることです。

 ネットが生まれる前は、マスコミの幹部や政治家などに働きかけて世論を誘導しようとしていたから、大変な労力がかかったわけですが……。

小泉 実際に戦後、ソ連のスパイは朝日から産経まで幅広い新聞社の記者に接触し、取り込もうとしていました。

北村 有名なのは、'70年代に日本で活動していたKGBレフチェンコです。アメリカに亡命した後、'82年の米議会の秘密聴聞会で、日本の世論を誘導しようと画策していたことを暴露しました。

 より最近では、中国大使館の一等書記官で、'12年に警視庁が出頭要請を出した李春光がいます。

 李春光松下政経塾に入り、東大の付属機関で研究員をした後、農水省に食い込んで機密文書を閲覧していました。当時、各国がTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の締結に向けて準備を進める中、政財界の要人に次々と接触し、日本がTPP条約交渉に参加するのを阻止しようとしていたのです。

小泉 ロシアの世論工作は、偽情報を広めるだけでなく、相手国の世論が荒れるように、多くの人が最も頭にくる話題を投げ込んでいくのが得意です。さらには情報を流すだけでなく、たとえば外国人・難民と地元民の小競り合いを偽装したりして、社会不安を煽るわけです。

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 そして話は「スパイ防止法」に入る。

小泉 最終的に、国家として重要になるのは、集めた情報を総覧して政策に活かすことですね。その点、日本には情報を専門に扱う組織がなく遅れをとっているとよく言われますが、いかがでしょうか。

北村 たしかに、戦後の日本には情報収集を専らにする機関は存在しませんでしたが、だからといって情報機関がなかったわけではない。諸々の情報を集めて分析する内調(内閣情報調査室)の人員は約200人強ですが。これを情報分析に特化した機関と考えれば我が国の規模からすると、むしろ手厚い陣容だと言えます

小泉 確かにそうですね。内閣衛星センターは10機の情報収集衛星を運用しています

北村 じつは先進国の中でも、自前の偵察衛星をこれだけ多く運用しているのは、アメリカと日本だけです。多分、北朝鮮の軍事的な動向も一定限度、把握は可能でしょう。

 高市首相は国家情報局の創設を検討していますが、今の日本に必要なのは大きな組織よりも、各省庁から内閣がきちんと情報を共有してもらう仕組みだと私は思います

小泉 スパイ防止法についてはいかがですか。

北村 日本にはすでに、私が成立に関わった特定秘密保護法と、重要経済安保情報保護活用法がありますから、スパイを取り締まる法規がないわけではありません。

 ただ、法律が濫用されないよう、行為の要件を厳しく絞りましたから、その立証が極めて困難です。不正行為をもう少し手前の段階で取り締まることができる条項があってもよいかもしれません。

 アメリカのFBI(連邦捜査局)関係者に聞くと、諸外国ではかなり厳しくスパイを取り締まっていて、終身刑を含む重罰を科する国も多い。反面、日本では最高でも拘禁刑10年ですから、罰則も一つの検討すべき課題でしょう。

小泉 スパイ防止法をつくるなら、もう少し実効的にするべきだろうと私も思います

 本当かどうかはわかりませんが、プーチンは子供の頃にスパイ映画を見て、「100万人の軍隊でもできないことを、スパイはたった1人でやってのけるんだ」と感動し、KGBを志したと語っています。

北村 戦前、ゾルゲは我が国の命運につながる情報を収集して本国に打電していた。したがって、彼はソ連では英雄です。スパイが大きな脅威になりうることを、もっと日本人も認識しなければならないのかもしれませんね。

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 北村氏が「スパイ防止法」を積極的に推進する立場かと思ったら、非常に冷静でむしろ慎重といってもよい議論をしているのが印象的である。

 偵察衛星を10個も運用しているのは日本とアメリカくらいというのは意外だった。やはり、まずは実態を知ることが大事だと思った。