うちのかみさんが、梅干を作っている。
夏の日差しに赤が映える。
あんまり鮮やかなので、一枚写真を撮った。
さて、今から1240年も昔の貞観(じょうがん)地震と津波に関する知見は、90年代に大きく進み、日本の歴史地震研究から新たな光が当てられている。
貞観地震について東電に電話で聞くと、2009年に福島沿岸で貞観津波の調査を行なったが「大きな津波が発生したという積極的な証拠は得られなかった」と答えた。
しかし、24日の保安院が会見で、東電は、貞観津波を研究していて、最大想定5.7メートルをはるかに超え、「(福島原発で)場所によって15.7メートルまで津波が駆け上がる」と試算していたことを明らかにした。
ちゃんと「想定」していたのだ。
しかも、最近の研究で、「貞観地震」がこれまで推定されていたマグニチュード8.3とか8.5ではなく、3月の地震に匹敵するマグニチュード9クラスの巨大地震だった可能性が出てきた。(8月22日のブログ)
番組で、東電が企画した記録映画『黎明』の一部を流したが、これが大きな反響を呼んだ。
26分の記録映画は以下で全部見られるので、ぜひご覧ください。
http://www.kagakueizo.org/2010/10/post-319.html
これは福島原発の建設を記録したもので、製作者の言葉によれば、「認可され建設までの2年半における調査の記録である。建設予定地の地質、地層、燐接する海などあらゆる調査の模様が記録されている」。綿密な調査研究と安全対策をやっていますとアピールしている。
映画には。もともと30メートル以上あった地盤を20メートル削って敷地を海抜10メートルにしたことが出てくる。
映画のナレーションはこうだ。
「高さ約30メートルの断崖が切り立つ荒涼たる台地」(ヘリで断崖をl空撮)
「最新式の土木機械を駆使して、台地が20メートルも削り取られていく」(重機で土を掘るシーン)
建屋が10メートルの敷地に置かれたところに13メートルの高さの津波が来て、大変な事態になったのはご承知の通りだ。
しかも『黎明』では、田園風景にこんなナレーションをかぶせていた。
「この地方一帯は農業を主とする静かな田園地帯で、過去数百年にわたって地震や台風、津波などによる大きな被害を受けたことはない…」
制作スタッフは、これをみて、ブラックユーモアじゃないかと思わず笑ってしまった。
さらに映画を締めくくるナレーション。
「人間の計り知れない叡智が、輝かしい次なる文明の段階へと繋がる。今ここに、ひとつの偉大な建設が成し遂げられようとしている」
これには絶句。高らかに謳い上げた人間の「叡智」とは?
きのう、すでに2009年に、「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会」で、産業技術総合研究所の活断層・地震研究センター長 岡村行信氏が、貞観津波を考慮しないのはおかしいと発言したことを紹介した。
この発言は、福島原発の事故のあと、さまざまなところで取り上げられ、東電が警告を無視した実例として知られるようになった。
これに対して、地球物理学の権威で神戸大学名誉教授の石橋克彦氏はこう述べる。
《事故の津波原因説に関連して一つの「神話」が作られた。それは、福島第一原発の耐震バックチェックを審議する09年の委員会(事務局は保安院)で、委員の一人が869年貞観地震の大津波を考慮するように強く求めたのに、東電がそれを無視して津波対策を先送りにしたことが事故の大きな原因になったというものである。しかし、これは事実と違うし、地震・津波国の原発の安全性を考慮するときに誤りをもたらす》
(石橋『原発を終わらせる』岩波新書P122)
では、何が事故の原因だと石橋氏は主張するのか。
(つづく)