2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

脱北者を受け入れる意味―北朝鮮人権法

ゆうべ、サンプロの打ち合わせでテレ朝へ。写真は玄関そばの年末恒例のイルミネーション。また一年が終わるのだなあ。 きょうサンプロ特集「独走追跡 脱北者漂流―日本定着への障壁」を放送、スタジオ出演した。先週やるはずが、元厚生次官殺人犯自首で1週遅…

北朝鮮の偽札は米国製?9

謀略説が持出す「証拠」の一つに、最近、北朝鮮人が偽札で捕まっていないではないかというのがある。 たしかに、かつて見られた、北朝鮮の外交官が、スーパーノートで一杯のスーツケースを持って摘発されるという漫画のようなシーンは、今ほとんど消えた。 …

北朝鮮の偽札は米国製?8

偽札の出来不出来は、インク、用紙、印刷機、版下(はんした)の四つにかかっている。きょうは印刷機について書こう。 かつては、偽札といえばオフセット印刷が主流だったが、パソコンとインクジェット印刷機の普及で、いま一番ポピュラーな偽札の印刷方法は…

金賢姫はあの番組を観ていた!

金賢姫(キム・ヒョンヒ)が最近出した手紙が公開された。 この日記で自作自演の謀略説の話をしていたら、この話が飛び込んできた。 韓国ではノムヒョン時代、謀略説がさかんに蒸し返された。事実を丹念につきあわせていけば、北朝鮮がやったとしか考えられ…

北朝鮮の偽札は米国製?7

紙幣に使う紙は、国ごとに独特である。 指ではじくとパンと乾いた音がする日本の1万円札が「剛」とすれば、新札でもふにゃっとした米ドル札は対照的に「柔」の感触だ。 米ドル札用紙は「繊維紙」で、綿とリネンが使用され、マサチューセッツ州にある製紙会社…

北朝鮮の偽札は米国製?6

時代とともにスーパーノートは進化し、最近のものは、印刷技術だけでいえば真札を凌ぐほどの水準にある。 金融制裁のとき、アメリカ財務省の担当官としてテレビにもよく登場したダニエル・グレイサー副次官補(写真)にインタビューしたことがあるが、スーパ…

北朝鮮の偽札は米国製?5

大状況に話がうまく合っているというのは、成功する陰謀論の条件の一つである。 1987年の大韓航空機爆破テロ事件で、これは韓国の安企部の自作自演だという説が広まった。当時の日本の新聞・雑誌を集めたことがあるが、進歩派マスコミはもちろん、「週刊サン…

北朝鮮の偽札は米国製?4

《北朝鮮の偽札「スーパーノート」を作っていたのはCIAだった》 この自作自演説が主要メディアで流れたのは去年はじめのこと。 去年1月8日のドイツの有力紙「フランクフルト・アルゲマイネ・ツァイトゥング」紙に載ったクラウス・ベンダー氏の「スーパー…

北朝鮮の偽札は米国製?3

スーパーノート級の偽札を製造するには、巨額な資金、一定数の優れた人材(技術)と本格的な設備が必要だ。小さな山小屋で数人でこっそりと、というわけにはいかない。かなりの規模のギャング団や宗教組織でも無理だ。 松村喜秀さん(写真)はブログにこう書…

北朝鮮の偽札は米国製?2

《北朝鮮の偽札「スーパーノート」を作っていたのはCIAだった》 このCIA自作自演説を検討する前に、そもそもスーパーノートとは何かを説明しておこう。スーパーノートとは、非常にレベルの高い偽ドル札のことだ。 アメリカで偽札を取り締まるシークレ…

北朝鮮の偽札は米国製?1

田母神前空幕長の日本近現代史に関する論文が、いま問題になっている。 論文そのものを読んではいないが、新聞に報じられたところによると、徹底した謀略・陰謀論でできている。 《蒋介石の国民党には共産党が多数入り込んでおり、国民党はコミンテルンに動…

「ぼけ」と幸せ 6

痴呆は自然な老衰のグラデーションの一つだなどというと、痴呆老人の介護の大変さを分っていないのではとの疑問を持たれるかもしれない。だが、かく言う大井さんは、痴呆老人の臨床経験も豊かで、家族の大変さも知った上で論じている。 痴呆で問題になるのは…

「ぼけ」と幸せ 5

私たちは、「私」という存在を「実体」と考えている。 「実体」とは、「それだけで存在し、変わることのない本性を持ち、いつまでも存在するもの」だ。しかし実は、私という存在は「実体」ではなく、無限の関係のなかに現象しているものだ。「無常」なのであ…

「ぼけ」と幸せ 4

健康や若さは、競争社会では幸せを保証する「能力」とみなされる。 それらが失われ、遠からず死亡する可能性の高いがん患者などが、幸せ度で健康人と変わらないという結果が出るのはなぜか。 研究の結果考え出された二つの心理的しくみを大井さんは紹介して…

「ぼけ」と幸せ 3

20世紀後半、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)という評価指標が登場した。 ある学者の定義によると「自分の生きざまについての満足、生きがいなどの意識をふくむ全般的・主観的幸福度」となり、ここでは「幸せの程度」と考えてよいだろう。 アメリカなど…

「ぼけ」と幸せ 2

私はアルツハイマーの番組制作に関わったこともあり、痴呆には以前から関心を持ってきた。 痴呆については『痴呆の哲学−ぼけるのが怖い人のために』(弘文堂)という、とても面白い本がある。常識を引っくり返し、考えるヒントがちりばめられた本なので、紹…

「ぼけ」と幸せ

ある日、横田早紀江さんと話していて、テレビの話題になった。 「なんだかいつも笑っている番組ばかりですね。世の中、そんなに面白いことばかりなんでしょうか」。 こう言われて、テレビ業界でメシを食っている私は、答える言葉を失った。 民放の夜の時間帯…

筑紫哲也さんの死によせて

筑紫哲也氏が亡くなった。 初めてお会いしたのは、1990年、私がチェルノブイリ原発を取材し、それを「ニュース23」で放送したときだった。「ニュース23」は前年の89年に始まって、ようやく一年たったころだったはずだ。 VTRが終わると、スタジオの筑紫氏…

オバマが勝った

予想通りにオバマが圧勝した。 オバマの勝利スピーチの時は仕事だったので、あとでユーチューブで観た。10分ほどの演説だった。実は私は、彼のスピーチを通して聴いたのはこれが初めてだ。オバマは4年前の民主党大会での名スピーチでデビューした人物だが、…

玉城素さんを偲ぶ会 2

朝鮮戦争勃発直後、国連安保理は北朝鮮弾劾決議を採択するが、そのさい、拒否権を持つソ連がなぜ欠席したのかは私も前から不思議だった。 ウィキペディア「朝鮮戦争」にはこう書いてある。 《6月27日に開催された安保理は、北朝鮮を侵略者と認定、“その行動…

玉城素さんを偲ぶ会

きょう吉祥寺で、玉城素(たまき・もとい)さんを偲ぶ会があった。 玉城さんは在野の研究者で、北朝鮮研究に革命を起こした人と言っていいだろう。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080928 代表作に『北朝鮮破局への道 チュチェ型社会主義の病理』などがあ…