北朝鮮の偽札は米国製?4

北朝鮮の偽札「スーパーノート」を作っていたのはCIAだった》
この自作自演説が主要メディアで流れたのは去年はじめのこと。
去年1月8日のドイツの有力紙「フランクフルト・アルゲマイネ・ツァイトゥング」紙に載ったクラウス・ベンダー氏の「スーパーノート 偽ドル札の秘密」だ。http://www.faz.net/s/RubDDBDABB9457A437BAA85A49C26FB23A0/Doc~EE773DF6A8F2446F2BBB6CBA26E7F6816~ATpl~Ecommon~Scontent.html
(私はドイツ語ができないので英訳で読んだが、朝鮮総連の「朝鮮新報」がすぐに要旨を邦訳したhttp://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2007/04/0704j0202-00002.htm ほか、「国民連合」のサイトにも邦訳があるhttp://kokuminrengo.net/2007/200703-corea.htm。)
ベンダー氏は、記事にこう書いている。
《CIAは、国際的危険地区での秘密作戦の資金を得るためにスーパーノートを利用した。その資金はアメリカ議会のいかなるコントロールも受けないですむ。そしてやすやすと、平壌北朝鮮)という敵に偽ドル偽造作戦の責めを負わせることができたのだ。》
ブッシュ大統領は、偽ドル問題で、初めて平壌を公式に非難したことで、この問題を朝鮮半島に関する彼の政策の基礎とした。ワシントンは「明白な証拠」があると言うが安全保障上の理由でそれを公開することを拒んでいる。
それを発表すべき時期はとっくにすぎた。その公開がなければ、人々は2003年のイラク戦争へとつながった出来事との共通性を見るだろう。当時、アメリカ人は、アメリカの侵略を正当化する、イラク大量破壊兵器を保持しているこの「明白な証拠」について語っていた。後にアメリカはその「明白な証拠」は間違いだったと認めたのである。》
北朝鮮製といわれてきた精巧無比な偽ドル札「スーパーノート」は、CIAの秘密作戦を支えてきた!! 
うわー!ぞくぞくするほど面白い。
しかも、虚偽だったイラク大量破壊兵器保持と並べて、ほら、ブッシュ政権の「悪の枢軸」というむちゃくちゃなレッテル貼りはみんなウソだったんですよ、と訴えて、「それもそうだな」と思わせるところがうまい。
ふりかえれば、こういう説が広まりやすい状況が確かにあった。
05年9月に、北朝鮮に対して偽ドルを理由にした金融制裁を発動したアメリカが、06年末からは一転して対北朝鮮融和策に向かい、偽ドルについての非難をトーンダウンしてしまった。こうしたご都合主義的な外交路線の揺れは、アメリカは偽ドル問題をどれほど真剣にやっているのか、と疑わせるに十分である。
(つづく)