ロシアがウクライナに侵攻する可能性が高まっているようだ。
各国の動きをみると、事態はそうとうヤバい!
在ウクライナ米大使館の職員は、国外に退去しはじめた。
《米国務省は23日、在ウクライナ米大使館に勤務する職員の家族に国外への退避命令を出した。2014年に続くロシアによるウクライナ再侵攻を想定した措置になる。緊急業務にかかわらない職員には自発的な退避を認め、現地に滞在する民間の米国人には退避を勧告した。(略)
バイデン米大統領は19日の記者会見でプーチン大統領が再侵攻に踏み切ると予測した。
国務省は23日の声明で「ウクライナ国境沿い、ロシアが占領したクリミア、ウクライナ東部の治安状況は予測不能で、予告なしに悪化する可能性がある」と今回の措置の理由を記した。》
スウェーデン政府は、情報操作やプロパガンダ、心理戦への対策を講じる「心理防衛庁」を設立し、ロシアによる情報操作への対策を強化している。周辺国も同様の対応をはじめた。
というのはロシアはウクライナ侵攻にあたって、サイバー攻撃で政府機関などのサーバーをダウンさせるほか、各種の偽情報をネットに放って人心を攪乱する作戦を採ると見られているからだ。
また、軍事侵攻の口実を作るために、敵に成りすまして故意に爆破や砲撃などを行い、その責任を敵になすりつける「偽旗作戦」もやるだろうと警戒されている。
この作戦は、わが関東軍が、かつて柳条湖で満鉄の鉄道を爆破し、それを敵の仕業にして満州事変になだれ込んでいった歴史があるので、よく理解できる。
ロシアが侵攻する場合は、必ず、ウクライナが最初に攻撃したので我々はそれを防御しているだけだ、と言うはずなので、注意!
国際情勢が緊迫するなか(日本は、どこ吹く風・・だが)、欧米の外交官がロシア要人にひんぱんに会っている。
米国のブリンケン国務長官は21日、ロシアのラブロフ外相とジュネーブで会談。ロシアの侵攻があれば「厳しく団結した」対応を取ると警告した。
ドイツのベアボック外相もラブロフ外相と会談し、緊張緩和を促した。もちろん議論は平行線なのだが、変なことしたら承知しないよ!と釘を刺しにいったわけだ。
外交とは、このように、危険度が高まるほどに、むしろ相手にぐっと踏み込んでいくものなのだな、と学ぶ。機先を制して懸命に軍事行動を未然に防ごうとしている。
ベアボック外相は「緑の党」の党首で、この会談が外相としてのデビュー戦だという。外交の修羅場には慣れていないはずなのに、感心したのは、ラブロフ外相と並んでの会見で、「ウクライナ国境に10万人以上のロシア軍部隊が集結していることは、脅しと理解しないほうが難しい」とビシッと言ったこと。
こういう態度をとれる日本の政治家はいるかな。
とにかくウクライナ情勢に注目。
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ウイグルの人権弾圧が頻度高く報じられるようになってきた。
先日、TBSで、日本に住むウイグル人が顔も名前もさらしてニュースに登場していた。黙っていても、ひどい弾圧は変わらない、ならば声を上げよう、と腹をくくる人が増えているのか。
神奈川県に住むウイグル人のムハラムさん(28)は、中国新疆ウイグル自治区の父親(51)が2017年に騒乱挑発罪で拘束され、懲役6年で服役中だという。
父親はイスラム学の知識に長け、地域のまとめ役だった。熱心なイスラム教徒、地域のリーダーや知識人から拘束されていくことを以前紹介したが、ムハラムさんの父親もその例にもれない。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20210403
父親がいつどこで裁判を受けたのかも、家族に知らされなかったという。
さらに祖父母も18年に強制収容所に送られた。翌年には釈放されたが、収容所に送られた理由は、25年以上前にメッカに巡礼に行ったことだという。
きのうのブログに17年以降、ウイグル人が「ひげをのばしたり、顔全体を覆うブルカを着用したりすることが禁止じられた」との川嶋久人さんの言葉があったが、メッカ巡礼も「テロリスト」とみなされる行為なのだ。
祖母が送ってきた手紙には、中国共産党に感謝し、メッカ巡礼を謝罪することばが書かれていた。奴隷の言葉でしか手紙も書けない。まさにオーウェルの『1984年』の世界である。
さらにさらに、ムハラムさんの叔父(32)は中国国外に手紙を送ったことがネットに公開され、その4~5日後に行方が分からなくなった。
日本に留学しているウイグル人のなかに、その親族や親せきが、身内が外国(日本)にいるという理由で収容所に入れられる事例が相次いでいる。
人道上とても見過ごすことができない。
中国に対しても「言うべきことは言う」などとのたまっている岸田首相は、長く外相をつとめたベテランだ。ドイツのベアボック外相を見習ってビシッと抗議し、実効ある手段で中国に迫ってほしい。