樋田毅さんの『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。
1972年11月、早稲田大学で革マル派が文学部2年生の川口大三郎君を自治会室で殺害した事件とその後の闘いを描いている。
早稲田の暴力支配と樋田さんについては、このブログでも、私のネットコラム「ニュース・パンフォーカス」でも紹介してきた。
当時、同じキャンパスで革マル派と闘った「戦友」として、受賞はとても喜ばしい。おめでとうございます。
樋田さんは朝日新聞の阪神支局襲撃事件取材班のキャップとなり、『新聞社襲撃 テロリズムと対峙した15年』(岩波書店)を書いている。
川口君と小尻知博記者という暴力で殺された二人の命を背負った苦悩は、私にはちょっと想像できない。受賞作は、古傷を自らえぐるような思いで書いたと聞いた。
私が書いた書評は以下。
革マルのテロに対し、樋田さんはあくまで非暴力で対抗しようとしたが、革マル暴力部隊に襲われ、鉄パイプでめった打ちにされて重傷を負い、運動から撤退せざるをえなくなる。
ウクライナでのロシア軍の暴力は、当時の革マルのそれとは質が違うが、今の情勢をどう考えているのか、酒でも飲みながら話を聴いてみたい。ロシア軍の暴虐に対して非暴力抵抗が可能なのか・・。
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漫画家のくさか里樹さんが、日本に避難してきたウクライナ人向けの日本語カードを作ってツイッターで公開したとのニュース。
彼女の介護をテーマにした漫画『ヘルプマン』はほぼ全巻読んだ。すばらしい作品に感動し、「情熱大陸」で主人公にしたいと思い、お会いしたことがある。
高知県の田舎で子だくさんの暮らしのなか、カラオケ店で漫画の下絵を描いていると聞いた。とてもユニークで、女性としても魅力的な方だった。(こういう表現は今どき問題かな?)
まずは「病院編」から公開され、ツイッターからダウンロードできる。大きなニーズがあるらしく、問い合わせが相次いでいるという。
くさか里樹さん、さすが。応援します。
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200年の中立の歴史をもち、軍縮の旗手としても知られるスウェーデン、そして野蛮な隣国からの圧力をさけるためのいわば「我慢の中立」を堅持してきたフィンランドの方針変更は時代が大きな転機を迎えたことを感じさせる。
スウェーデンはロシアがクリミア半島を「併合」を受けて2017年には徴兵制を復活させていた。
さらに、日本と同じ第二次大戦の敗戦国で、再軍備についても自制が求められてきたドイツが、ロシアの侵攻後、国防費1000億ユーロ(約13兆円)の緊急拠出と対空戦車などの重兵器のウクライナへの供与を決めた。
フィンランド、スウェーデンともに社会民主党政権で、首相は女性。いわばリベラル派の女性リーダーだ。いまのドイツも社会民主党・緑の党・自由民主党の左派リベラル政権で、ベアボック外相は緑の党出身の女性。
「転換」がよりはっきりと印象づけられる。
日本のリベラルの安全保障政策はどうなっているのか。