ウイグルで姿を消す日本留学経験者

 きょうは近くの地域センターで、子どもたちが生命史の影絵づくりを行った。これは東京ビエンナーレの「玉川上水46億年を歩く」のプロジェクトの一環なのだが、そこで私が講師で30分ほど生命史に関する話をした

 相手が子どもなので、超新星爆発で元素ができたなどという話はできないしと、けっこう悩んだ。子ども向けの宇宙史、生物史などの本を7~8冊読んで、パワーポイントをつくって・・とまる1週間ほど準備についやした。

 で、タイトルは「私たちが生きのこるには、どうしたらいいのか」にし、子どもたちが好きな恐竜を盛り込んで生態系の重要性を語ることに。

 参加は小学生の子どもたち17人と父兄ら大人約10人。子どもたちはよく反応してくれたし、父兄からも喜ばれて、またやってほしいと言われた。よかった。準備したかいがあった。
 むしろ大人がおもしろがってくれたので、そのうち講座の内容をこのブログで書こう。
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 そのあと畑に。

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エンドウに花がついた。うれしい気分になる

 いい陽気で、作物の緑のなか、やさしい風に吹かれていると、ああ、生きてるっていいなと思えてくる。人生の残り時間が少なくなっているので、こういう思いを大事にしたい。

 きょうの作業は、大根の種まき、高菜の害虫取り、とうがたったからし菜の花の切り取りなど。

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高菜につくカメムシ。交尾中か。ナガメ(菜亀)といい、アブラナ科の植物を食べるという。私たちは獲って足で潰すことを繰り返した。無農薬なので、虫がたくさんつく

 

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この高菜は「コブ高菜」といって、葉っぱの下の方がぽこんとふくれている

 きれいな黄色のからし菜の花を切るのはちょっと罪悪感がある。3~4本もってきて家に飾った。

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 ブロッコリーもすっかりとうがたって丸い塊にならず、まるで菜の花のようだ。帰宅してゆでてからし醤油で食べると感動的にうまい!

 うちの娘はブロッコリーは花芽の集まりに農薬が残っているのではないかと気になってあまり好きではない。でも畑のものは無農薬だから安心だ。こんなにおいしいブロッコリーははじめてだと大量にたいらげた。
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 いま中国当局によるウイグル人迫害問題が急に世界で注目されてきたが、日本ではまだまだ。

 これまでウイグル問題をもっとも熱心に取り上げてきたNHK「国際報道」がきのう、日本とゆかりのあるウイグル人が次々に行方不明になっていることを報じた。

 「日本ウイグル協会」によると、新疆ではウイグル人社会を支えてきた知識人がたくさん居なくなっている。そしてその中には、日本の大学が育てあげた著名な知識人も入っているという。

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 消息を絶った日本留学経験のあるウイグル知識人は少なくとも9人いる

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 ウイグル人社会では有名な詩人のアブドゥカデリ・ジャラリディンさんもその一人だ。2002年、石川県の大学に留学し、帰国後、新疆師範大学で教授をつとめていた。ところが3年前、公安当局により連行され、以来消息が分からないという

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 娘のブルブルナズ・ジャラリディンさん(30)が取材に応じた。彼女はトルコに留学していたが、そこにも中国の影響力が及び始めたため、父のいた日本に来た。

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父と娘

 彼女によると、父親は政治から距離を置き、学問に専念していたそうだ。みんなから尊敬され、愛され、多くの人と時間を過ごしたという。

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インタビューに答えながら声を詰まらせていた。「誰も私たちの声を聞いてくれないような気がします」とも

 アブドゥカデリさんが2019年に金沢滞在時の経験について書いた本の一部は、小学校の教科書にも載っていて、影響力のある人だったそうだ。

 知識人が最初に「やられる」ということは私も聞いていた。知識人を拘束することは、ウイグル人社会から眼や耳を奪うようなものだと思う。民族のアイデンティティや自立心も失わせる狙いだろう。

 ブルブルナズさんは、中国当局からの迫害を恐れて、これまでメディアの取材にも応じず沈黙をまもってきたという。カミングアウトした家族はおそらく一部で、日本留学組の行方不明者は9人ではすまないだろう。

 迫害の実態はかくされていて、拘束されたウイグル人の推定数は、100万人から300万人と機関によって異なるが、尋常な数ではない。

 私は、中国で予定されいる冬季オリンピックのボイコットには賛成だ。五輪精神とは相いれないジェノサイドが進行中なのだから。