統一教会の摘発を止めた「政治の力」

 夜のNHKニュース9で、「ロシアのラブロフ外相が、ウクライナの東部だけでなく、南部の掌握も視野に入れると語った」との速報を流した。

ラブロフ外相(NHKニュースより)

 「特別軍事作戦の地理的目標を変更する」とのことで、これは南部のロシアへの「併合」を意味する。これまでもウクライナの占拠した地域でロシア国籍取得を容易にしたり通貨ルーブルを流通させたりとどんどん「ロシア化」を進めていたが、ここにきて、侵攻の「大義」(ウクライナ東部の住民の保護)をかなぐり捨てた。
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 有田芳生さんが18日のテレ朝「モーニングショー」で「政治の力」に言及したことが注目されている。

モーニングショーの該当部分が480万回再生されたという(有田さんのtwitter

 きのうArc Times「なぜ結びつくのか、政治と宗教 メディアの萎縮」に有田芳生さんがゲストで出演、これをより詳しく語った統一教会の政治力のすごさを示す恐ろしい話である。

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(以下、冒頭3分30秒ごろから)

 95年に地下鉄サリン事件が起きて社会が大騒ぎになったんだけれども、私も取材をする中で、警察庁の最高幹部あるいは警視庁の公安幹部と接点ができたんですよね。

 それで、オウム真理教麻原彰晃たちが逮捕されて、秋になると裁判に移行していって、オウム事件もこれからはもう裁判の傍聴とかそういうのがメディアのテーマかな、という時期に、警察庁の最高幹部と警視庁の公安部幹部に呼ばれて、麹町の近くなんだけれども、統一教会についてレクチャーしてくれって言われたんです。

 1時間半くらいしゃべりましたかね。そのときの条件が、有田さん話してもらいたいんだけれども、来てるのが誰かは聞かないでくれって言うんですよ。部屋に入ったら、目付きの鋭い人たちが。全国から来られたらしいんだけれども。

 で、統一教会について話して、朝日新聞襲撃事件の赤報隊との関係疑惑も語って、そして話し終えたところで集まっていた人とは別れたんですよね。だけど警察庁最高幹部と警視庁公安部幹部とは食事をしたんです。そのとき「何ですか、きょうのは?」って言ったら、いや実はオウム真理教のあとには統一教会を捜査の対象にしていて、相当の準備もしていて、これはテレビでは言いませんでしたけれども、「統一教会の内部にとても良い情報源もできた」と言われたんです。「どういうレベルですか」と言うと、「相当上だ」と言うんです。

 そういうこと含めて統一教会がオウムの次に摘発されるんだなと思って。ところが何も起きないわけですよ。

 それで10年経って、警察庁の最高幹部はお亡くなりになったんで、警視庁の公安部の幹部ともう一人の幹部の方と池袋で飲んだんです。で、「今だから言えることを教えて下さい」と言ったら、まあいろんなこと言うんですね。

 「有田さんの事務所は汚かったね」とか。勝手に入ってるんですよ、2回。「有田さんには税金いっぱい使ったんだよ」って。いったい何ですかと訊いたら、50人尾行してたって、一日。「毎日尾行してたんですか」と訊くと、テレビで発言して危ないなと判断したときに50人付けたっていうんです。たまに飲みに行ってたんです、池袋の沖縄料理のとこ、知り合いのお店にね。で、ああいうとき、どうしたんですかって(訊くと)。「いやもちろん(店に)入ってるよ」って言うんですよ。(私は)気が付かないんですよ。一番驚いたのは、うちの女房も尾行してたんですよ。「何ですかそれは?」(と訊くと)買い物に行って食材何を買うかを見て、きょう有田さんが家に帰るかを判断してたって言うんですよ。そこまでやるんだなと思った。

 で、そういう話の流れで、「なんで、オウムの次は統一教会だって言ってたのに何もなかったんですか」って言うときに、その警視庁の幹部が「政治の力だ」。つまり圧力ですよね。れをきのう朝のテレビ番組で言ったところ、480万回くらいその部分だけが(再生された)。

(望月衣塑子記者が、「その先をいちばん知りたいんですけどテレビだと「政治の力」は禁句ワードになったんですか?」と質問)

 あれ以降ね。きょう電話してきたあるテレビ局の人、有田さん政治の問題と統一教会を語ってもらいたいんだけれども、そのとき「政治の力」は言わないでくださいねって言われて。何を言ってんのかなと思いますよ。だから自己規制でしょう。例えば世界日報」ていう言葉は言わないで下さいとか、ある特定の政治家の名前は言わないでください。一か所じゃないですよ、複数の局ですよ。

 そんな及び腰になるから、統一教会怖い所だみたいになってしまうわけで。こういう時にやらずに、いつやるんですかってことですよ。

 朝日新聞が原理運動の批判をやったとき、霊感商法の批判をやったときに電話殺到したわけでしょう、回線がパンクしたじゃないですか、隣の病院含めて。そこまでやって闘ってきたことがジャーナリズムの原点だと思う

 きょうもあるテレビ局の人と話してたら、有田さん、昔のテレビと違うんだって言うんですよ。もう昔のテレビで発言するというような気持ちでいないでくださいって。いろいろ内部でも努力して頑張ってんだけれども、「いやいや君の意見は分かるけども」って言われて遮られちゃうんですって。

 そういうことが今起きてるってことは。いま一番大きな、戦後の政治史の中でも安倍さんという、戦後一番長い総理が暗殺されたような大事件で。メディアがそうやってひるんじゃいけないと思いますよ。

 このあと望月記者が、07年から10年にかけて統一教会から12件、39人が逮捕されたがみな略式の「ゆるい」刑罰で罰金で済んでいること、もっと上まで摘発しようとガサ入れをしようとしていたが、警察庁キャリア出身の力のある政治家に止められたと発言。

 さらに有田さんが、統一教会が07年当時、「対策」という名目の費用が毎月1億円あったとする資料を見せた。これは警察対策(力のある議員に働きかける)と裁判対策(裁判をたくさん抱えていた)に使われていた。そういう費用もみな霊感商法や信者からの献金から出していたという。
(つづく)
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 今週の『週刊文春』は特集に「統一教会自民党 本当の関係」。

 『週刊新潮』もスクープ「安倍家と統一教会との“深い関係”を示す機密文書を発見 米大統領に「文鮮明の釈放」を嘆願していた岸信介
https://news.yahoo.co.jp/articles/7fcce835a7d3851e8bc1c374a3d26b2c348da0f8

 統一教会は普通の宗教ではない。一般的な「宗教と政治」ではなく、「統一教会と政治」の関係をメディアはさらに追及してほしい。