きのうから一泊で信州の友人宅に遊びに行ってきた。
「山笑う」という俳句の季語は、草木が若芽を吹いて春の山が明るい感じになることだというが、ヤマザクラやヤマブキが咲き、まさに山が笑っていた。すばらしい新緑に心が癒され、たらの芽、こごみ、うどの天ぷらでうまい酒をたくさん飲んで、とても楽しいひと時をすごすことができた。すべてのことに感謝。
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宇宙の創発直後、極微の一点に凝集されていた膨大なエネルギーが広がりつつ物質(クォーク)ができ、それらが集まって陽子や中性子ができる。アインシュタインの有名な「質量とエネルギーの等価性」の公式E=mc²、つまりE(エネルギー)はm(質量)とc(光速度)の二乗で、質量の消失はエネルギーの発生を、エネルギーの消失は質量の発生を意味するとされる。宇宙の誕生では、エネルギーから物質が生まれた。原爆や太陽が光と熱の巨大なエネルギーを発するのは逆に物資がエネルギーに転換していることを意味する。
宇宙エネルギーから生まれたクオーツ、それが水素原子とヘリウム原子を構成し、宇宙に広がっていって、星の元になり、さらに銀河系、太陽、地球ができた。こうして138億年という長い時間を経て、彩り豊かな宇宙になっていったのである。
星の中で作られたさまざまな原子で私の体もできている。みんな「星の子」なのだ。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20081008
地球には大量の水があり、40億年前に生命が生じた。最新のDNAの研究によると、生命はたった一個の単細胞微生物として創発し、進化を繰り返して多様な生命が生み出されたという。その後、地球上では何度かの大量絶滅を経て、次々に高次の複雑な生命体を生み出し、今のような豊かで精密なバランスをもってなるエコシステムを築き上げた。
つまり、生命ももともと一つから枝分かれしている。満開のツツジも、動物園のパンダもゴキブリも、生きているものはみな、いわば「親戚」というわけである。ましてや人類はみな、アフリカ大陸で創発し、そこから世界中に広がったとても近い私の「親戚」だ。
40億年前に創発した、物質よりはるかに複雑ではあるが我々からみれば単純な構造の生命から人類までのはるかな道のりを考えると、よくもまあ、すごい進化をしてくれたものだと感慨深い。さらに私にまでつながる人類の命の連鎖を思うとき、感動を禁じ得ない。
ヒトの生殖では、数億個の精子のうちのたった1個が、およそ200万の原始卵胞のうちその時に排卵されていた卵子と出会う。この過程を現生人類に限っても20万年繰り返して「私」が生まれてきた。ジャンボ宝くじの1等賞に100万回連続で当たるよりはるかに稀な確率である。
宇宙はひとつ、生命もひとつ。人類もひとつ。こうして宇宙は「私」が生まれるように、生まれるようにと気が遠くなるような絶妙な道程で進化してきたことになる。
このことに気づくと、驚き、感動し、そして心から感謝したくなる。
今や私たちは、宗教に頼らずとも、現代科学の最新の成果を「気づき」をもって学ぶことによって、さわやかに生きるコスモロジーと人生観を持つことができる時代に生きている。