昨夜は「焚き火のある風人塾」の第一回、「気づきの宇宙史138億年」の「①宇宙のはじまり」をお話しした。年末の入門編=序論につづき、宇宙史ZOOM講演は2回目だ。
これから「宇宙史の語り部」を名乗って活動しようと思っていて、今回はそのためのいわばデビュー戦。
宇宙の正体はエネルギーだったこと。エネルギーレベルでも、そこからうまれた物質(素粒子)レベルでも宇宙は一つであること。私たちの体は、ビッグバンの3分後にできた原子核(陽子)でできていること。どこから見ても私たちは宇宙の子であり、宇宙と一体であることなどを話した。
専門的な知識をおぼえてもらうのではなく、宇宙の進化をたどるとどんな「気づき」が得られるか、その「気づき」を重ねていくと、どんな人生観をつくれるかを考えてもらうのが目的だ。
日本の若者の自己肯定感が、国際比較でみても著しく低いことが気になっていて、このコロナ禍で自殺が増えているというニュースにも心がいたむ。
では大人はというと、エゴイズムやニヒリズムにどっぷりつかって、自分が生きているあいだにせいぜい楽しむことだけを考える傾向がつよい。宇宙史講義では、これを乗り越えるコスモロジーを作ろうと提案している。
きのうは宇宙のはじまりのところなので、宇宙エネルギーが物質化して素粒子ができたことをアインシュタインの公式E=mc2(エネルギーは質量と光速の二乗の積に等しい)を引いて説明した。ちょっとめんどうな話だったが、おもしろがってもらえたようだ。
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最近見ておもしろかったテレビ番組に、Eテレの『100分de名著 カール・マルクス「資本論」』がある。講師は『人新生の「資本論」』の斎藤幸平さん。
斎藤さんをはじめて動画で見たが、気さくな感じの若者だ。
18日(月)は第3回「イノベーションが『クソどうでもいい仕事』を生む!?」。
イノベーションとは労働者を効率的に支配し管理するための「働かせ方改革」であり、さらなる「疎外」をもたらす。
社会的に重要な仕事に従事するエッセンシャル・ワーカーには長時間労働と低賃金が強いられる一方で、社会的には重要でなく、やっている本人も意味がないと感じている「クソどうでもいい仕事」(bullshit jobブルシット・ジョブ)に高給が支払われる。
これが資本主義だ、と説く斎藤さんを観ながら、私は、おいおい、これほんとにNHKの番組なのか、とつぶやく。
ブルシット・ジョブの具体例として公告業やコンサルタント業、投資銀行を挙げ、こう解説した。
「例えば公告が分かりやすいと思うんですけど、歯磨きの宣伝で、モデルの歯を白くする作業を延々とやっている人たちがいるんですよね。やっている人たちは気がついているわけですよ、いくらモデルの歯を白くしたって歯磨きの性能まったく変わらないよねって。口紅にしたって、パッケージングにお金とかエネルギーを割いてるけど、口紅の品質は1ミリも変わらないわけですよね。
むしろ宣伝で、この口紅をつけないと、あなたはブスですよ(放送禁止用語ではないか?・・)、みたいな煽りをしてる、それに加担してるってことをやってる労働者たちは感じてる。いま世界中の労働者たちからおれもブルシット・ジョブだったという声がたくさん届いて、キーワードになってるわけです」。
公告業、コンサルタント業なんて、エリート・サラリーマンで高給でかっこいい仕事というイメージだったと思うが、番組では、無益なつまらない仕事とこきおろされている。言われてみれば、そのとおりだ。小気味よいほど「資本主義」が叩きのめされている。再放送があると思うので、興味のある方はどうぞ。
それから、先日書いた、日本の恥部ともいえる入管収容制度を扱った番組が23日(土)に放送された。
ETV特集「エリザベス この世界に愛を」。この問題は実態がひどいのに、なかなか注目されない。外国人は票にならないので政治家も動かない。取材するジャーナリストも少ないなか、貴重な番組だった。
《「愛しているよ」。在留資格を持たず入管施設に収容されている外国人たちに呼びかけ続ける女性がいる。ナイジェリア人のエリザベス。毎日のように各地の入管施設を訪れ、面会を重ね、収容者たちの切実な声に耳を傾け、心の支えになってきた。先が見えない不安を訴える人、抗議のハンストを始める人、ついには命を落とす人も…。1年半にわたって活動を追い、見えてきた厳しい現実とは。そして、彼女自身も深い苦悩を抱えていた…。》
あ、いま再放送を調べたら、28日の0時からだ。いま27日の23時40分だから、あと20分。間に合わない。すみません。
でもまた再放送があるはずなので、ぜひご覧ください。