世界の軍縮にとどめを刺したロシア

 23日、今朝の『山形新聞』にウクライナはなぜ戦い続けるのか』の書評が載ってたよ、と友人が知らせてくれた。

山形新聞23日付


 評者は佐高信さん中村哲という希望』で対談した時は、ゼレンスキーを批判してたので、どんな風に書かれるかと思っていたが、寺山修司の「見捨つるほどの祖国」を冒頭に挙げて、そういう祖国のアイデンティティのためにウクライナは戦っていると的を射て評してくれていた。。

 私は南陽市出身なのだが「高畠町生まれ」と紹介。高畠は母の実家で、あのころ第一子は母親の里で産むものだった。佐高さんに雑談のなかで言ったことを覚えていてくれたのだろう。佐高さんも同郷で、いかにも『山形新聞』。私の知る限り、これまで『毎日新聞』、『赤旗』と複数の地方紙に書評が出ているが、郷里の新聞に載るのは感慨深い。


 ロシアのウクライナ侵略は、核兵器をはじめ非人道的な兵器を世界に拡散する結果をもたらしている。

 ポーランドなど欧州の四カ国が対人地雷禁止条約からの脱退を表明した

《【ベルリン共同】ポーランドとバルト3国の国防相は18日、対人地雷禁止条約(オタワ条約)から離脱する方針を共同声明で表明した。ロシアの脅威増大と安全保障環境の不安定化を理由に挙げた。「抑止力と防衛力の強化に向け、あらゆる措置を想定することが不可欠だ」と訴えた。

 ポーランドとバルト3国のリトアニアラトビアエストニアは、飛び地を含むロシアと国境を接している。北大西洋条約機構NATO)の東部防衛強化の重要性を強調し「領土と自由を守るために必要なあらゆる手段を講じる」と述べた。

 オタワ条約は対人地雷の廃絶を目指し、使用や生産、貯蔵などを禁止する。1999年に発効。》

 

 対人地雷については、その撤去作業をウクライナ現地で取材し、本ブログで報告した。

takase.hatenablog.jp


 ウクライナ全土の四分の一以上に地雷が埋設されている可能性があるといい、復興の大きな足かせになっている。

takase.hatenablog.jp

 オタワ条約にロシアは加盟しておらず、大量の対人地雷をウクライナ国土に撒き、ウクライナ軍に大きな損害を与えた。そこでウクライナも米国から対人地雷を導入して使用しているウクライナは加盟国にもかかわらず、ロシア軍への対抗上、必要とされたという。

 対人地雷禁止条約(オタワ条約)加盟国のフィンランドも脱退を検討してい

フィンランドが脱退を検討するなか、EUは各国に判断をまかせるという。NHK国際報道より


 クラスター弾についても同じようなことが起きているクラスター弾禁止条約にはフィンランドエストニアラトビアは非加盟で、リトアニアが脱退、そしてポーランドはいま脱退に向かっている

ポーランドクラスター弾禁止条約から脱退の方向で検討中だ(NHK国際報道より)

以下、拙著からクラスター弾について—
《ロシア軍は戦場でもクラスター弾を多用している。一度の投下で広く人的被害を与える「面制圧兵器」として使われるクラスター弾は、広範囲に展開する部隊や移動中の部隊への攻撃に有効とされる。ベトナム戦争時のアメリカ陸軍のデータによれば、敵兵一人を殺害するのに必要な砲弾が、一五五ミリ榴弾砲の高性能爆薬砲弾の場合は一三・六発であるのに対して、クラスター弾ならわずか一・七発で済むとされている。つまり、兵士に対する殺傷効果でいえば、クラスター弾一発は通常砲弾の八発に匹敵する。

 いまウクライナの戦線は膠着し、両軍は塹壕に籠って戦っているが、クラスター弾塹壕戦でもきわめて効果的だという。単発の砲弾では塹壕の中に命中する確率は低く、もし直撃したとしても、砲弾の破片は曲がりくねった塹壕の遠くまでは届かない。一方、クラスター弾は、たくさんの子爆弾を降らせ、塹壕にこもる兵士を一気に数多く殺傷することができる。実際、ロシア軍がクラスター弾を多用するため、ウクライナ兵の犠牲が増えて戦況にも影響を与えているという。(略)

 ゼレンスキー大統領は二〇二三年七月のNATO首脳会議の記者会見で、「ロシアは我々の領土で常にクラスター弾を使っている。すべては公平性の問題だ」と主張し、欧米に供与を強く求めた。国際NGOの連合体「クラスター兵器連合(CMC)」によると、アメリカは同年七月以降、ウクライナの求めに応じ、少なくとも三回にわたってクラスター弾を提供したとされる》(P149~150)

 クラスター弾は、火力でも兵員の数でも劣るウクライナ軍にとって必要な兵器となっている。そしてその戦闘を他人事ではなく見守っている欧州各国は、ロシアへの対抗上、禁止条約からの脱退へと向かうのである。

 ロシアのウクライナ侵攻は軍縮の動きにとどめを刺し、世界を止めどない軍拡へと向かわせている。