化石賞を受賞した日本

4日にはクラスター爆弾禁止条約の署名式があった。
オスロで3日に始まったクラスター(集束)爆弾の使用や製造を全面禁止する条約の署名式は4日、日本を含む計94カ国が署名し、閉幕した。ノルウェー政府によると、署名式までに手続きが間に合わなかった国もあり、今後はニューヨークの国連本部で署名を受け付けるという。
 今年5月にダブリンで開かれた国際会議では107カ国が同条約案を採択したが、クラスター爆弾を大量に製造・保有している米国やロシア、中国、イスラエルなどは参加していない。一方、米国の強い影響下にあるアフガニスタンは条約案の採択までは不参加だったが、国内で多くの被害者が出ており、カルザイ大統領の指示で一転して署名を決断した。
 条約の発効には30カ国の批准が必要で、条約作りを主導したノルウェーアイルランドなど4カ国がすでに批准手続きを済ませたという。ノルウェーのストーレ外相は「来年の出来るだけ早い時期に発効できるよう各国に呼びかけたい」と話した。》
(5日朝日新聞)
日本はアメリカに配慮して、ずっと消極的だったが、世論に配慮した福田前首相が政治決断してダブリン会議では条約参加に転じた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080530
8日の毎日新聞にはこんな記事が。
《「日本も(署名式に)行っておいて良かったというのが偽らざる気持ちだ」。外務省幹部は4日、クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)に90を超える国が一挙に署名したことに、やや驚いた様子で語った。国際的潮流に乗り遅れずに済んだ安堵(あんど)感がうかがえる。
 「日本だけが(規制に)抵抗し、国際世論からとり残されていいのか」(福田政権時代の主要閣僚)。政府には常に危機感があった。
 ノルウェーなど有志国と非政府組織(NGO)が08年中の条約作りをうたうオスロ宣言を採択したのが07年2月。条約交渉は急進展し、1年10カ月足らずで署名に至った。
 ついていけない日本は、オスロ宣言への態度を留保。受け身の姿勢が批判を浴びた。
 そして今年5月、禁止の国際的流れを容認する福田康夫首相(当時)の「思いを踏まえ」(外務省幹部)、条約案賛成へかじを切った。その後、政府は積極姿勢に転じる。現有クラスター爆弾4種類を廃棄するほか、独仏などが製造し、禁止条約で規制対象外とされた「最新型」クラスター爆弾さえ導入を見送り、文字通り「全廃」を決めた。
 麻生太郎首相は署名を「歴史的」と評価。署名していない米中露に対し、他国と署名を呼びかけることに政府は強い意欲を見せる。
 政府が自信を持つようになった背景には、日米同盟上の懸案が解決した事情がある。条約交渉では米国のクラスター爆弾使用を妨げないのが妥協できる「ぎりぎりのライン」(交渉筋)だった。日本が「特に主張」(外務省幹部)し、非加盟国との共同軍事作戦を容認する条項が入った。日本は米国の規制逃れを手助けする一方で、米国に署名を働きかけようとしているのが現状だ
。》
この構図、温暖化問題でも繰り返されそうな予感がする。つまり、ぎりぎりまで抵抗勢力になるのではないか。
いまポーランドで開かれている「国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)」についてこんな記事が;
環境問題に取り組む国際的な非政府組織(NGO)のグループ「CAN」が3日、地球温暖化対策の交渉に消極的な国を「表彰」する化石賞の1位と2位に日本を選んだと発表した。日本は、次期国際枠組み(ポスト京都議定書)交渉でリーダーシップ発揮を狙っていたが、逆に不熱心の烙印(らくいん)を押されてしまった。
 受賞理由は、日本が掲げる「2050年までに世界全体の温室効果ガス半減」との長期目標について、政府代表が2日の会議で「拘束力はない」などと発言したため。日本としては途上国への配慮のつもりだったが、NGOから見ると、そうした交渉姿勢が「及び腰」と映ったようだ。
 CANはCOP14の期間中の毎日、温暖化対策に消極的な発言をした国を、化石賞として1位から3位までランク付けしている。ちなみにこの日の3位はクウェートだった
。》(ポズナニ時事)(2008/12/04-09:07)
97年の京都議定書が2012年までに「世界のCO2を1990年比5%削減」する目標を立てたが、2013年以降の具体的目標を決めるのが、来年コペンハーゲンで開かれるCOP15だ。これこそ非常に重要な会議で、今回はその準備なのだが、日本政府はかなり後ろ向きだ。
政府だけではない。いま日本では、環境問題の本のベストセラーを占めるのは、温暖化はウソだという「反常識」本がほとんどだ。
一方、京都議定書に加わらず、温暖化問題ではひとり駄々をこねていたアメリカが、オバマ政権になれば大きく変化する可能性が出てきた。
オバマ次期米大統領は18日、ロサンゼルスで開いた気候変動問題に関する国際会議でビデオ演説し、次期政権としての環境政策構想を明らかにした。2020年までに温暖化ガスの排出量を1990年の水準まで削減する中期目標を設定。これに向け、年ごとの厳格な削減目標を設ける。20年以降は、50年までに温暖化ガスをさらに80%削減する長期目標も示した。ガス排出削減に消極的なブッシュ政権からの画期的な政策転換となる。
 オバマ氏が個別の政策について政権構想を明らかにしたのは、大統領選での勝利後初めて。約4分間のビデオ演説で「気候変動問題における米国のリーダーシップの新たな一章を刻む」と述べ、地球環境問題の解決へ積極的に貢献する考えを示した
。》(日経11月18日)
このままだと、ほんとに日本だけが乗り遅れそうだ。