安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補選(4月11日告示、23日投開票)に、ジャーナリストの有田芳生さんが立憲民主党公認で立候補する。
山口4区には安倍後援会が推す前下関市議の吉田真次氏(38)が自民党公認で立候補を表明しており、有田さんは安倍氏の“後継者”に正面から闘いを挑むことになる。
保守王国でしかも安倍家のお膝元だが、有田さんはここでこそ安倍政治を問わないわけにはいかないと立候補を決意、数十人の奇兵隊が世の中を動かした、その誇りをもって闘うと「第三
争点として、旧統一教会問題、「アベノミクス」の検証、拉致問題の三つを挙げ、「今回の選挙を、日本の政治をゆがめてきた、保守の立場の人からさえも認めてはいけない統一教会汚染を打開していくきっかけにしたい」と語っている。
有田さんは京都出身だが、山口県とくに4区の下関に深いご縁があるという。
「日本で初めて女性獣医の資格を取った母ですが、下関の保健所で働いていました。レッドパージで公職を追われた父は、母を追って下関へ。大林組の日雇い労働者(鉄筋かつぎ)や米屋の配達夫として働きます。2人はいまの長門市で結婚。この地は私にとって人生の原点なのです。」(有田さんのツイートより)
「長周新聞」に載った有田さんの出馬表明と質疑応答から以下抜粋。
《統一協会について》
有田 安倍元総理とは私的な場でもさまざまな対話をかわすことがあったが、安倍さんが幹事長の時代には統一教会の人たちと会わないようにしているといわれていた。桜田淳子さんたちの合同結婚式が問題になり、週刊誌も含めてたんなる芸能ネタではなく、霊感商法を含めた社会問題だと主張していた時期、当時の自民党も統一教会・国際勝共連合から距離を置いていた時期だ。92、93年、2000年代の初めもそうだった。
だが、地下鉄サリン事件以降、統一教会問題の企画を『週刊文春』に出してもほとんど通らなかった。『週刊朝日』や『週刊ポスト』『週刊文春』が単発的に統一教会問題を扱ったことはあるが、この空白の30年間に統一教会は国会議員にも地方議員にも入り込んできた。調査した結果、残念ながら統一教会と距離を置いていた安倍晋三元総理も2010年以降、統一教会と接点をだんだん深め、最終的には統一教会の票を差配する立場になった。
安倍さんが距離を置いていた時代からどんどん変わっていったことを私は検証している。安倍元総理と統一教会を結んだ接点に立つキーパーソンがこの山口にいた。だから私は日本の政治の統一教会汚染をもたらした大きなポイントになる土地である山口から選挙をたたかわなければならないとの決意になった。なぜ距離を置くといっていた安倍さんが近づいてしまったのか、残念だ。2006年に安倍さんが統一教会系の団体に祝電を送ったさいに、霊感商法被害弁連などがやめてほしいと伝えていた。UPF(天宙平和連合)にビデオメッセージを送ったさいにも安倍事務所に伝えたが、受けとり拒否だった。そのことをわかっていただいていたならば、安倍さんの非業の死はなかったと考えている。
この土地から、自民党を支持してきた方々、保守的な方々にも、統一教会という組織がどのようなものであったのか、できるだけわかりやすく伝えていきたいと思った。
《Q 統一教会問題には安倍政治のメディアの問題も含まれるのか。》
有田 1995年に地下鉄サリン事件が起きて以降、私は警察庁、警視庁の最高幹部と交流する機会があった。そしてオウム事件が裁判に移行した段階に、警察庁、警視庁の幹部に呼ばれ、全国の公安警察のトップに統一教会問題についてレクチャーした。そのときに警察庁、警視庁幹部は「オウム真理教の問題はほぼ決着がついた。次は統一教会だ。準備が始まっている」といった。しかしそれから10年、ほとんど動きがなかった。
10年後、警視庁の幹部に「なにもなかったですね」と聞いたところ、その理由は「政治の力」だといわれた。それを去年の7月18日、テレビ朝日の『羽鳥モーニングショー』で話すとそれからはテレビ朝日から呼ばれなくなった。
去年夏以降の統一教会報道に深くかかわってきたが、テレビ局の上からの指示でプロデューサーから「“政治の力”はいわないでほしい」といわれた。その局以外にも、特定の政治家と統一教会の深い関係について報道すると、その政治家が政治部の記者を使って番組に圧力をかけにきた。現場はみんな知っている。放送法の解釈変更を変えさせなければいけないが、解釈の問題だけではなく、実際に圧力が加わっている。こうしたことも機会があれば語っていきたいと思っている。
《拉致問題と安倍政治について》
私は拉致問題の解決をなんとしても前に進めなければいけないと思ったので、予算委員会でも何度も安倍さんに問うてきた。2002年9月17日、小泉元総理が北朝鮮の平壌を訪問して金正日国防委員長と会談し、拉致を認めさせ、政府認定拉致被害者17人のうち5人が日本に戻ってくることができた。しかし横田めぐみさんをはじめとして12人はいまだ日本に戻ってくることができていない。
ほとんど報道されていないが、2014年5月のストックホルム合意のなかで、北朝鮮側は日本政府に対し、政府認定拉致被害者の一人、神戸の田中実さんは生きているという通告をおこなった。だが、菅官房長官、安倍元総理はその結果を受け入れることはできないとし、いまだ日本政府は田中実さんの生存情報があったことを認めていない。生身の人間であり、しかも政府認定拉致被害者だ。なぜ放置するのだろうか。
すべての拉致被害者の「即時一括帰国」という政府の方針があるが、私は一人からでもとり戻さなければいけないと考えている。私の調査によると田中実さんの結婚相手は日本人女性、男性のお子さんには日本名がついている。結婚相手が日本人女性だったとすれば、拉致被害者ではなかったのか。そうしたことも今後の拉致問題の風穴を開ける道筋になってくる。今度の選挙を通じて、安倍元総理が実現できなかった拉致問題の道筋がどこにあるのかということも訴えていきたい。
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有田さんを応援したいと、「第三奇兵隊」にわずかだがカンパをした。
ご健闘を祈る。