山上容疑者のツイートに見る統一教会と安倍氏

 山上徹也容疑者のツイッターアカウントが判明したとのニュース。

www.yomiuri.co.jp


 さっそく見てみる。容疑者の「動機」を知るうえできわめて重要な資料である。

 政治や経済、国際情勢のニュースをよくチェックしてひんぱんに投稿している。ネトウヨと自称するが、論理はしっかりしていると思った。

2022年5月

  安倍氏に言及したツイートも散見される。好意的なものも多い。

20年8月。拉致問題にまで言及している。

 安倍氏への評価が途中から変わるとの町山氏の指摘。それは統一教会との関係に気が付いたからだという。

 鋭い指摘だが、これについては要検証。

 

 

 自分の悲惨な体験からの統一教会への批判
 支援されない自分と比べて、震災被災者をうらやましく思ったとも。同情を禁じ得ない。

21年6月

21年2月

 これだけしっかりした文章を書く山上容疑者だが、警察は精神鑑定をするという。

奈良地検は刑事責任能力を調べるため、本格的な精神鑑定を実施する方針を固めた。(略)
 捜査当局は山上容疑者の行動は計画的だったとする一方、安倍氏を狙った動機には論理の飛躍があるとみている。

mainichi.jp


 「動機を狂気に仕立てれば、不起訴になり、容疑者は施設に収監され、裁判で自分の主張を訴える権利を奪われます」町山智浩氏)

 殺人犯はだれしも無理な論理で行動する(そうでなければ人殺しなんかしない)ものだが、山上容疑者の、人生をメチャクチャにされた教団への恨みから➡韓鶴子総裁を殺害しようとしたが不可能になり➡代わりに教団を支援している有力政治家の安倍氏を狙うという動機に特段「論理の飛躍」はないと私は思うが。

 統一教会に関連するSNSをいろいろ見ていたら、こんなのも。統一教会(とその参加団体)と仲良しの政治家のなんと多いこと!

昔はまともなことを言っていて可愛らしかったのに、政治家になってから面相も言動もおかしくなって、統一教会とズルズルの関係にまで・・

 有田芳生さんによれば、いま国会議員の先生たちが、HPなどから統一教会との関係を示す写真や記事を削除するのに懸命だとか。 

 追及はこれからですよ!!

・・・・・
 ご縁ある人の訃報があった。

 高沢皓司さん。7月6日、誤嚥性肺炎で亡くなった。75歳。

99年講談社ノンフィクション賞受賞時の高沢さん

 「学生時代に全共闘新左翼の運動に参加し、社会運動や学生運動を取材。1970年に日航よど号を乗っ取り北朝鮮に渡った赤軍派メンバーらが、その後の日本人拉致事件にかかわったとする経緯を記した著書「宿命」で、99年に講談社ノンフィクション賞受賞。自ら収集した社会運動関係の文書約5万点を93年に米ハワイ大学に寄贈した。」(朝日新聞

 高沢さんはかつて「よど号」グループと思想的に近いところにいた、ある意味「同志」だった。何度も訪朝して彼らと交流し、とくにリーダーの田宮高麿には個人的に親しく付き合った。そこで得た情報をもとに取材し、日本人拉致を含む「よど号」グループの秘密工作を明らかにした。ちょうど横田めぐみさん拉致疑惑が表に出て、拉致問題への社会的関心が高まったころに週刊新潮で連載され、大きな反響があった。

 高沢さんは新たな日本人拉致を発掘している。よど号」犯、岡本武(イスラエル・ロッド空港事件の岡本公三の兄)と結婚させられた福留貴美子さんだ。

 高沢さんは「よど号」グループから聞いたいくつかの手がかりをもとに、高知県出身の彼女を特定した。(特定するまでの過程が『宿命』355頁以下に書かれている)

takase.hatenablog.jp


 岡本と福留貴美子さんはチュチェ思想に疑問を持ち、「よど号」グループ主流派との関係が悪化したことから北朝鮮工作機関に「排除」されたとみられる。
 「よど号」犯の妻の一人、八尾恵は、二人が縛られて連行されていった場面を目撃した。

「彼女が『止めて』と叫んだのが耳の底から離れません。二人は足もぐるぐる巻きに縛られていました。縛っていたのは、若林、赤木、田中、安部で、柴田もいたと思いますがはっきり思い出せません。
 しばらくして労働党のワゴンが来て、二人は乗せられどこかに連れて行かれました。」(八尾『謝罪します』P210)

takase.hatenablog.jp


 高沢さんが「よど号」犯リーダーの田宮高麿に二人の消息を問うと、彼は「連絡がつかんところにいる。こちらからは連絡のつけようがない」と答えたという。(『宿命』P358)
 彼らの消息はいまだ知れない。

 高沢さんの一連の報道を機に、八尾恵有本恵子さん拉致を告白。そこから恵子さん、石岡亨さん、松木薫さんの拉致認定へと展開していった。拉致問題の解明にあたっての高沢さんの貢献は非常に大きい。

『宿命』(右)と八尾恵『謝罪します』

 個人的にも高沢さんにはとても感謝している。「よど号」関連の番組ではインタビューと情報提供でご協力いただいたほか、福留貴美子さん取材では高知まで私たちの取材班が同行させていただいた。

 ご冥福をお祈りします。