日本初のウェブ映画祭開かる

 19日、政府の入管法改正案が国会に提出された。

 《政府は19日の閣議で、在留資格がなく国外退去処分になった外国人が、入管施設に長期間収容される問題の解消に向けた入管法改正案を決定した。送還まで施設に収容する同法の原則を見直し、施設外で生活できる「監理措置」を創設する。併せて、出国を求める新たな命令制度をつくり、違反者に罰則を科すなどの送還強化策も取り入れた。

 非正規滞在の外国人は、国外退去とするか否かを決める審判から送還までの間、入管施設に原則無期限で収容される。審判で国外退去となった外国人は、自ら出国するか、強制的に送還される。ただ、日本に家族がいるなどとして帰国を拒んだり、難民認定申請を繰り返したりする例が相次ぎ、収容が長期化している。出入国在留管理庁によると、2020年6月末時点の収容者527人のうち232人が半年以上収容され、3年以上も47人に上る。》(毎日新聞

 この記事では2020年6月末の数字を挙げるが、コロナ感染対策で大量に仮放免で収容を解いたあとのもので、2019年12月末では、被収容者942人中、送還を拒否している人が649人、うち6ヵ月以上の長期収容が462人いた。

 今回の改正案は、一昨年6月、被収容者のハンストでナイジェリア人男性が飢餓死したことを受けて政府が動いた結果出てきたもの。

 国際的に問題になっている長期収容を改善するような装いになっているが、難民申請が2回までしかできなくなる、帰国を拒んだりする場合に刑事罰を課す、など見過ごせない危険な条項を含んでいる。

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こちらは「朝日新聞20日朝刊

 だが、主要紙は、毎日新聞「国外退去の外国人、施設外生活が可能に」、朝日新聞「収容施設外での生活可能に」などと「監理措置」が大きな改善であるかのような印象を与える見出しを付けている。
 出入国管理や難民保護の問題は、「票にならない」こともあって政治家が動かず、マスコミの取材も薄かったので、政府の説明を垂れ流ししているのだろう。しっかり取材してもらいたい。
 政府の改正案の問題は今後指摘していく。

 これで先日紹介した野党5党が参議院に提案した難民保護法と入管法改正案との対決になる。注視したい。
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 きのうと今日、日本ではじめてのウェブ映画祭Japan Web Fest(JWF) が開かれた
 以下は、「産経新聞」が報じた記事。私のトークイベントも紹介してくれている。

インディーズ特化のウェブ作品映画祭創設 制作者と観客、交流でレベルアップ
2021.2.20
《インターネットで発表されるウェブ作品対象の「JAPAN WEB FEST(ジャパンウェブ映画祭)」が創設され、20、21日にオンラインで行われる。インディーズ(自主制作)作品がほとんどの、ウェブ作品に特化した映画祭は日本で初めてという。インディーズ作品の価値向上や、クリエーター同士、制作者と観客が交流して創造力を高めることなどを目的にしている。

 「自分たちで作って、自分たちで配信することが手ごろになった時代に、各個人が持っているクリエイティビティーをお祝いする場を作りたかった」

 映画祭を創設したプロデューサーの宮本万里さん(35)は狙いをこう語る。2009(平成21)年に米ニューヨークに渡り、演劇を学んだ後、インプロ(即興演劇)などを使って日本語や英語を学ぶワークショップを実施。18年には、米ニューヨークで暮らす日本人の実像を描いたウェブドラマ「ジャパドリ・オブ・ニューヨーク」を制作、出演した。

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宮本万里さん(FBより)

 その作品が韓国で19年に開かれたソウルウェブ映画祭に選出された。現地での経験を通じ、自主映画を作っているクリエーターがつながり、交流できるコミュニティーを日本にも作りたいと考えたという。

 「日本ではインディーズというと趣味の延長と思われがちだが、それは勉強する場が少なかったことに原因があると思う。インディーズでもクオリティーの高い作品はあるし、観客とクリエーターが意見を交換できる場ができると、お互いが向上していけるのかなと思った」

 海外で開かれている5つのウェブ映画祭と提携したこともあり、日本以外に米国やイタリア、カナダなど33カ国から201作品の応募があった。公式作品として約55作品に絞り、オンラインで上映。ウェブシリーズ(ウェブで公開される連続ドラマ)、ウェブ短編映画ナラティブ(物語)、ウェブ短編映画アニメーションなどの部門ごとに最優秀作品を選出する。

 インディーズ作品の価値向上や、クリエーターに学びの場を提供するという目的のため、実践的なイベントも予定されている。

 北朝鮮による拉致事件の取材などを手がけたジャーナリスト、高世仁(たかせ・ひとし)さんとテレビ番組「情熱大陸」(毎日放送)の演出などを行った経験を持つドキュメンタリー番組監督、高木つづみさんらによるトークショーでは、フリーのクリエーターとしてどう生きるかやネット時代の制作について語ってもらう。

 このほか、時代劇の殺陣やアクションの撮影方法を学べるセミナーや、米アカデミー賞で作品賞など4部門に輝いた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」のPRを行った企業によるインディーズ作品の売り込み方に関する講演も予定している。

 クリエーター同士の関係を深めるため、オンラインでの交流会も行われる。「映画祭で違う国のクリエーターが出会って、『オンラインで作品を作ろうか』『今度日本に行くから、そのときに何か作ろうか』というきっかけができればうれしい」と宮本さん。観客もクリエーターとコミュニケーションを取ることができ、視聴者目線を取り入れることでさらなる制作力向上を目指す。

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が出されていることもあり、今回はネット上のみでの開催となったが、次回以降は「世界の人たちと瞬時でつながることができるオンラインの良さも生かしつつ、実際に集まって意見交換したりする場を設けたいと思っている」と宮本さん。映画祭の今後について、「ネット世代のクリエーターが、撮影の仕方や編集方法、観客データの扱い方などをシステマチックに学べる場所を作りたい」と抱負を語った。

 チケットの販売も始まり、オンラインでの作品上映も行われている。ジャパンウェブ映画祭の公式サイトはこちらをクリック(https://japanwebfest.com/)。フェイスブックのページ(こちらをクリック、https://www.facebook.com/japanwebfest/)では、最新情報を紹介している。》

 私はドキュメンタリー部門の審査員をつとめたが、韓国、台湾、香港など東アジアのクリエーターの作品のレベルが高かった。

 ウェブ映画祭は年々盛んになっており、アメリカでは1800回開かれたという。アジアでも、たとえばインドでは130回開かれるなど広がってきているが、日本はこれからという段階だ。

 既存のテレビや映画から若いクリエーターが育つことが次第に難しくなるなか、ネットの世界での動画制作が注目されるようになっている。

 今年秋にもJWFの第2回を計画していて、毎年1回定期的に開く予定だという。
 これからもできるかぎり協力していきたい。