はじめにお知らせです。
日本で初めてのウェブフィルムフェスティバルが、2月20日と21日に開かれます。
私もお手伝いしていて、ドキュメンタリー部門の審査をやりました。
世界では、映像クリエーターにとってウェブの比重が高まっていますが、日本ではまだこれからです。
世界各国から応募作品が寄せられました。
ご関心あればのぞいてみてください。
20日夜には私のトークセッションもあります。
チケットなど参加方法は以下です。よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/
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ミャンマーでの軍事クーデターに反対する運動がますます拡大している。
現地から届く映像でも、民主化への思いがいかに深いのかを感じさせる。日本からも連帯を表したい。
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東京入管で新型コロナのクラスターが確認された。
《入管庁によると、港区の東京入国管理局の施設で、これまでに、職員5人と収容されている外国人39人のあわせて44人が新型コロナウイルスに感染していたことが判明したという。》
このブログで書いてきたように、入管の収容施設は狭い部屋に数名が詰め込まれ、寝るときに体が接触するほどの「密」で劣悪な環境なのだから、念には念を入れた対策が求められた。これを怠った入管の責任だ。
牛久入管では去年、仮放免を多く出して一部屋に一人まで被収容者を減らしたが、東京入管ではこれまでも複数が居住していたという。
そもそも去年8月に東京入管で感染者が出たとき、被収容者全員にPCR検査を行い、仮放免すべきだった。
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きのう、野党が共同で二つの法案を提出した。
「難民保護法」=難民の保護に関する法律(案)と「入管法改正」=出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(案)だ。これらは、内閣が出してくる予定の入管法改正案に対抗して提案したもの。
きのう午前10時からこれに関する「院内集会」が参議院議員会館であった。衆参議員12人が出席し、3人がZOOM参加した。本気度を感じる。
法案の内容を聞くとすばらしい。
これらが法律として成立すれば、日本で初めてのまともな難民認定制度がスタートし、また、初めて国際人権基準に準じる外国人の在留管理制度ができることになる。
法案の内容については、内閣の入管法改正案と比較しながらいずれ書こう。
きょうは、院内集会で発言した3人の外国人の声を紹介したい。
一人目はアリさん。日本で生まれ育ち、仮放免状態で大学に進学しているイラン国籍の男性だ。ZOOMでのインタビュー形式で会場と結んだ。
Q:国籍は?
「お父さんがイラン国籍で、お母さんがボリビア国籍です。」
Q:お父さんはペルシャ語、お母さんはスペイン語だが、家族のあいだでは何語で会話しているか?
「日本語で会話をしております」
Q:アリさんはオーバーステイ(不法残留)の両親のもとに生まれ育ったわけだが、在留資格がなくて困ったことは?
「まずは国民健康保険がなくて病院に行けないことですね。風邪をひいても自力で直すしかなかったので、それがけっこうつらいですね。」
Q:今後に向けて不安な点を教えてください。
「いま大学生なんですけど、仮放免だと就職なんかができないんで、今後、将来すごく不安ですね。大学を出て、何をするのか、ほんとに不安です。」
二人目はKさん。日本で生まれたインド人の大学生だ。
「私自身が日本で生まれ、育ちました。現在大学生です。私の両親は20年前にインドから来日しました。父親はインドでの宗教の対立と地元警察の拷問から身を守るために庇護を求めてやってきました。母親もあとを追って来日し、(日本)国内で結婚しました。その後、私は生まれました。
私は大学生になった今も、仮放免という状況で生活しています。仮放免では働くことが認められておらず、県外に出かける際には、そのつど入国管理局に出頭して許可をもらわなければなりません。大学で通学する際も許可が必要です。
また、仮放免では住民票が作成されないので、健康保険に加入することができないなど行政のサービスを受けることが不可能です。
私には高校生の弟、妹がいますが、彼らも仮放免でして、アルバイトをしたくてもできません。
私自身が病気をもっていまして、地元の病院に通院していますが、健康保険がないので、診察とお薬の費用が10割負担です。とてつもない金額になります。働けないのですぐに支払うことは難しいです。
現在私は大学生ですが、将来は就職したいと考えております。しかし、仮放免の状態では就職活動もできません。仮放免では様々な制約があるので、とてもつらいです。小中高さらに大学まで一生懸命勉強してきたにもかかわらず、将来への道が開かれないことがとても悲しいです。
人間は自分の意思で生まれる場所や環境、親、日付を選べません。私の兄弟はあえて特殊な事情の親を選んだわけではありません。私の兄弟はずっと日本語で教育を受けて生活してきましたし、第一言語が日本語なので、いまさら親の出身地に行くことはけっしてできません。私と兄弟は、日本で生まれたからには、やはり国内で一生懸命がんばっていきたいですし、将来は日本国籍も取得したいと考えております。
最後になりますが、私以外も特殊な事情があるものの日本で生まれ育った子どもたちは、国籍を問わず日本語が堪能ですので、正規の在留資格が得られれば、将来必ず日本に貢献してくれると思います。いま必要なことは従来の制度よりいっそう柔軟な対応が必要だと私は思います。よい方向に向かうことを心から信じています。以上であります。
3人目はミャンマー国籍の女性、ティンティンさん。30年前に来日し、ずっと難民申請しているが認められず、仮放免中だ。きのうミャンマー大使館に行って風邪をひき発熱があるので、会場に来れなくなったという。電話で大要以下のような話を聞いた。
きのうは、ミャンマーでのクーデターに反対する国民に呼応して、軍事政権の仕事をするのをやめてくれとボイコットの勧誘をし、アウンサンスーチーさんの解放を要請するするためにミャンマー大使館に行った。
日本に来る前は、軍事独裁に反対するデモをして弾圧を避けて日本に来た。
アウンサンスーチーさんが解放されて政府に入ってから」、日本の入管の言うことが変わった。「もういい国になったんだから帰りなさい。もう難民じゃないよ」と言うようになった。でも、軍部はずっと力を持ち続けてきたし、いまはもうこわくて帰れない。
日本にずっと住めるように難民認定してほしい。
大学生たちが「就職ができない」というのは、きのう書いたように、仮放免中は、就業も。終活自体できないわけだ。もちろん企業だって在留資格のない外国籍の人を雇うわけがない。
実は、仮放免の家族から高校より上の学校に進学できた人は限られている。去年、日本人支援者のおかげでクルド人として初めて大学に入学した人もいる。
建前上就労できずに経済的に苦しい場合が多いし、多くの大学や専門学校が在留資格のない外国人の入学(受験も)を認めない。
健康保険に入れないのもひどいが、、許可のない他県への移動なども禁止されるので、東京在住の人が神奈川県の川崎に行って友だちとご飯を食べるにしても、事前に入管の許可をとっていないことがばれたら収容されてしまう。
日本で育って日本語しかしゃべれない子どもたちである。誰が見ても在留資格すら認めないのは理解しがたい。こうしたケースも今回の野党の法案では救済されることになっている。法案が通ることを期待する。