ウィシュマさんの命日の翌日「入管法改正案」を閣議決定

 きのうは、2年前に入管施設に収容中「殺された」ウィシュマ・サンダマリさんの命日だったが、翌日のきょうの朝、入管難民法改正案を閣議決定したというニュースが入ってきた。

6日の参議院予算委員会で石川大我議員が、ウィシュマさんの事案を取り上げた。 33歳の健康な人が公の施設で亡くなったという事案なのに、警察の捜査が入らず、すべて法務省の中で処理されているのはおかしい。同じことが、病院や児童養護施設介護施設で起これば、警察が入る。再調査すべきではと質問。その通り!


 改正目的は、不法残留する外国人らの迅速な送還や、入管施設での長期収容の解消だとしているが、難民申請中でも送還できるようにするなど、廃案となった2年前の問題点がほぼそのまま維持された「改悪」案だ。

 懲りない人たちだな。

2月23日、改正案を廃案にせよとのデモが(毎日新聞より)

毎日新聞より

 出入国在留管理庁によると、不法残留などの外国人で、強制退去処分になっても送還を拒む人は3千人超で推移している。改正案では、3回目以降の申請者(相当な理由がある場合は除く)や、3年以上の実刑判決を受けた人らには規定を適用せず、送還できるようにした。

 入管庁は難民申請中は送還されない制度が「乱用」されているとするが、何度も申請せざるを得ないのは、日本の認定率が低すぎるから。他の国だったら、とっくに認定されているはずの人たちが認定されないから、仕方なく申請を繰り返す。これを「乱用」として強制送還するのは本末転倒もいいとこだ。

 アメとしては、摘発されても、自発的に帰国すれば、再入国できない期間を5年から1年に短縮する。これで速やかな帰国を促すという。また、難民以外の事情で国内残留を希望する外国人のため、これまで法務大臣の裁量でしか出せなかった在留特別許可を外国人側からも申請できるようにする。

takase.hatenablog.jp

 長期収容の解消策としては、収容に代わる「監理措置」を導入。「監理人」となる支援者らの下で、収容せずに強制退去の手続きを進める。収容か監理措置かは逃亡の恐れなどを考慮して個別に判断し、収容した場合は3カ月ごとに監理措置への移行を検討し直す。
 収容せずに、と言っても、これは仮放免と原則同じ。強制退去が前提で、仕事はできないし、住民登録もできず健康保険にも入れない。

 また、ウクライナなど紛争地から逃れた人を難民に準じて保護する「補完的保護対象者」制度の導入も盛り込んだ。難民同様に定住者の在留資格が与えられる。だったら、いっそ難民として認めればいいのに。例えば、これまでクルド人などを難民として認めてこなかった日本政府の扱いをみると、問題はカテゴリーを新たに作ることより、難民の認定と同様、独立した判定者を設けないと恣意的な運用になりかねない。

 2021年の通常国会に提出された旧改正案は、難民申請を制限するなどした内容に、国内外から「国際的な人権基準を満たしていない」と批判された。政府・与党は、名古屋入管に収容中だったスリランカ人女性ウィシュマさんが同年3月に死亡した問題を受けて成立を断念し、同年秋の衆院解散で廃案となった。

 この「改正案」は必ずつぶさないと。