加速する香港の弾圧で周庭さんも収監

 日本でよく知られた香港の民主活動家、周庭さんもジョシュア・ウォンとともに収監されてしまった

 《[香港 23日 ロイター] - 昨年6月に香港政府の「逃亡犯条例」改正案に反対し、警察本部周辺で無許可の集会を扇動したとして罪に問われた民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏ら3人の公判が23日、香港の裁判所で行われた。保釈の継続は認められず、3人は即日収監された
 3人は有罪判決を受けており、量刑は12月2日に宣告される。(略)
 裁判所の前では多くの支持者らが、民主派のスローガンを唱え、3人の釈放を求めた。》

 《3人が罪に問われているのは、湾仔の警察本部を数万人で包囲したデモについて。黄氏は23日朝、裁判が始まる前に記者団に対し、「デモを組織し、無許可のデモに参加したことを認める」と話した。黄氏らは逃亡犯条例反対デモによって警察が若者らを拘束したことに抗議し、釈放を求め、約16時間にわたって警察本部を取り囲んだ。
 香港メディアによると、未許可のデモに参加するよう他人を扇動した罪が認められれば、刑期は最高5年になる可能性がある。黄氏は同日朝、「即座に収監されても驚かない。意見の異なる者への攻撃が続くなか、我々が生まれた街の自由を守るため、抗議の場は監獄に移る」と話した。》(朝日新聞

 周庭さんはきのうのツイッターで、
 「去年香港の警察本部であったデモの件で、明日の日本時間朝10時半から裁判があります。裁判所から出られない可能性もありますが、無事に外に出られますように。」
と書いていた。

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 これまでは逮捕されても保釈されてきた周庭さんだが、収監されるのははじめて。
 きょうは代理人ツイッター
 「皆様と周庭の誕生日を過ごしたいと願っています。12月2日の判決が無事であるように、もし遅れても後でプレゼントを開けられるように。」
 と書いている。彼女の誕生日は12月3日なのだ。はたしていつ出てこれるか。

 私が最後に香港を取材したのが去年の11月初旬だった。
 そして1年前のちょうど今頃は香港区議会選挙での民主派の地滑り的勝利を驚きをもってみていたのだ。

takase.hatenablog.jp


 たった1年で、ここまで様相が変わってしまうとは・・・。

 香港の民主化運動への弾圧は日増しに酷くなっている。

 今月11日、香港立法会(議会)の民主派4人の議員資格が剥奪され、これをめぐって民主派議員15人全員が抗議のため辞職を発表した。この結果、政府側に異議を唱える議員がほとんどいなくなった。

 イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの外相は18日、中国が香港での批判的な声を封じ込めるために組織的活動を行い、国際的な義務に違反していると非難する共同声明を発表した
 共同声明では、11日に議員資格を剥奪された民主派4人を復職させるよう中国政府に求めた。

 これに対して、中国外務省の趙立堅報道官は19日、「(5カ国は)気をつけないと、目玉を引き抜かれるだろう」と述べ、中国の内政問題に口出ししないよう警告した。恫喝である。

 中国は国際的な圧力など歯牙にもかけないというかたくなな態度を強めているが、抗議し続けることが大事だ。

 4人の民主派の議員剥奪に対しては、13日に日本の超党派の有志議員でつくる「対中政策に関する国会議員連盟」が「香港の高度な自治に対する受け入れがたい攻撃」とする非難声明を決議している。声明は「中国指導部に対し、香港への不当な行動について責任を負わせるよう、日本政府が速やかに行動することを要求する」とも記すが、菅義偉首相は「重大な懸念」という表現にとどめている。

 より毅然とした対応を求めたい。