戦場と化した香港理工大学

 香港理工大学周辺は戦場のようになっているらしい。

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理工大近くの橋の上で、突っ込んできた警察の装甲車が火炎瓶で炎につつまれた

 昨夜から包囲された学生を救おうと数万人の市民が集まり、未明には警察と激しく衝突し、催涙弾と火炎瓶の応酬になったという。
 香港政府によれば、立てこもっていた学生や中高生約600人がきょう午前までに投降、中にはなお約100人が残っているという。

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我が子を救って、私は自殺などしないというプラカードをもって坐りこむ親たち

 無事でいてほしいと祈る。

 一方、きのう香港の高等法院(高裁)は、民主派の抗議デモ参加者に覆面を禁じる10月の条例について、香港基本法憲法に相当)に違反しているとの判断を示した。高等法院は、「香港政府が基本的人権に対して課した制限は、(中略)合理的に必要な範囲を超えており、(中略)従って、比例原則を満たしていない」と判断した。判決を受けて、香港警察は覆面禁止規則の執行を当面停止すると表明した。
 みごとに三権分立の原則が貫かれ、日本よりよほど立派だ。
 ところが19日朝、すぐに中国の国会に相当する全国人民代表大会全人代)常務委員会法制工作委員会の蔵鉄偉報道官が高裁判決に異を唱え、「覆面禁止規則は香港基本法に適合している」と語った。蔵氏は「香港の法律が基本法に適合しているかは全人代常務委だけが判断し、決定できる」と強調した。国務院(政府)香港マカオ事務弁公室の楊光報道官も「全人代常務委の権威と行政長官の統治権に公然と挑戦するものだ」と判決を批判した。
 いらだちが限界に来ているようなコメントである。
 さらに、中国政府は定年になった香港警察のトップの後任に、5年前に民主的な選挙の実現を求めた「雨傘運動」の際に強硬な対応をとったとされる鄧炳強氏を任命した。抗議活動にさらに厳しく対処していく方針なのだろう。
 これからが正念場である。
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 日本共産党、こんどは香港だけでなくウイグル問題もや尖閣諸島をめぐる問題をふくめ中国大使館に申し入れをしたという。
 《日本共産党の田川実書記局員・国際委員会事務局長は18日、都内の中国大使館を訪れ、同大使館の倪健(げい・けん)公使参事官に、第28回党大会への綱領一部改定提案報告を手渡し、(1)香港での弾圧の中止、(2)ウイグルにおける人権抑圧の中止、(3)尖閣諸島の日本の領海における、中国公船の侵入など、他国が実効支配している地域に対し力で現状変更を迫る試みの中止―を求める立場を、中国政府と中国共産党の指導部に伝えるよう要請しました。
 倪氏は、3点について中国の立場を述べるとともに、要請は伝えると述べました。》(しんぶん赤旗https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-11-19/2019111902_03_1.html

 香港人は国際的な支援と中国への圧力を真剣に見守っている。先日、香港の知人が、共産党志位委員長の「香港での弾圧の即時中止を求める」という声明に仰天して問い合わせしてきたが、その時私はまだその声明について知らなかった。あっという間に香港で拡散して話題になったらしい。そのくらい香港情勢について海外でどう報じられているか、誰がどんな言動をしているのかを注視しているのだ。
 その香港の知人、「アベさんは反中国の保守政治家らしいので期待してます」と言うから、「いや彼は政治哲学のない人で、トランプだけでなくプーチン習近平にまで尻尾を振っています」というと「失望しました」と返信してきた。

 共産党以外の政党にさほど動きが見られない中、民間団体も動き出した。
 NPO法人日本ソーシャルワーカー協会は「香港情勢に関する緊急声明」を出した。
 ‐香港市民の民主化運動に対する政府当局の弾圧行為に断固反対し、不当に逮捕されたすべての市民民の即時解放を求める‐https://t.co/0HA1LCNsKX 

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ソウルの学生が香港の民主化に連帯

 政府や共産党以外の政党が動かないなか、地方自治体やNPOなどあらゆる場所、団体から中国と香港政府への抗議を発することは、香港市民への大きな励ましとなる。


 韓国ソウルでは観光地の明洞(みょんどん)で学生たちが香港民主化への連帯を訴えた。日本の若者もつづけ。
 そして自分は何ができるのか、考えている。