すごいぞ!台湾のコロナ対策

 これからいよいよ寒くなってきそうだ。
 節季は小雪(しょうせつ)。雪がちらほら舞う時節という意味だ。初候「虹蔵不見」(にじ、かくれてみえず)が22日から。27日から次候「朔風払葉」(きたかぜ、このはをはらう)。12月2日からは末候「橘始黄」(たちばな、はじめてきばむ)となる。

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 公園で早くも椿が見事な花を咲かせていた。
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 安倍晋三氏の大きなウソが一つばれそうだ。

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 桜を見る会」の前日に地元支援者らが1人5000円の会費の前夜祭に招かれるのが常態化していたが、これに毎年、安倍氏側が差額の補填として多額の支払いをしていた疑いがあることが分かった。

 安倍氏は「事務所や後援会の収入、支出は一切ない。政治資金収支報告書への記載の必要はない」「事務所側が補塡したという事実もまったくない」と説明してきたが、これが完全に覆される可能性がでてきた。

 読売新聞によると「会場のホテル側に支払われた総額が、昨年までの5年間に計約2300万円に上ったのに対し、参加者からの会費徴収額は計1400万円余り」にとどまり、安倍氏側が補填した差額は800万円超にのぼるという。また、安倍氏は「明細書もない」と言い張っていたが、安倍氏が代表の資金管理団体「晋和会」宛ての領収書もあることがわかったという。

 これが確認されれば、有権者への寄付行為として公職選挙法違反、また収支報告書に記載しなかったのは政治資金規正法違反にあたる。
 安倍氏の事務所は23日、「告発を受けて説明を求められたので、捜査に協力し、真摯に対応している。詳細については、差し控える」とのコメントを出した。これはもう認めたも同じだ。

 ウソをつき、文書もないとシラを切り、関係者の証言を封じたのはモリカケと同じパターン。だが、森友学園問題でもこんなニュースが。

 《衆院調査局は24日、森友学園問題に関して、2017年2月から18年7月に安倍政権が行った事実と異なる国会答弁が計139回あったと明らかにした。
 衆院財務金融委員会で、調査を求めた立憲民主党川内博史氏の質問に答えた。
 調査の対象は、17年2月15日から18年7月22日までの衆参両院の国会質疑で、当時の安倍晋三首相や佐川宣寿財務省理財局長(辞職後の証人喚問を含む)らが行った答弁。財務省が18年6月にまとめた森友問題に関する決裁文書改ざんに関する調査報告書と、会計検査院が同月に参院予算委に提出した報告に照らして内容が異なる答弁を数えた。
 その結果、財務省の報告書と異なるものが88回、会計検査院の報告と異なるものが51回の計139回に上った。》(朝日新聞

 安倍前内閣の所業の総点検がすぐに必要だ。
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 Go Toトラベルがとりあえず(知事の要望に従って、というかっこうで)札幌と大阪を目的地とした旅行の新規予約は一時停止という小出しの措置になった。

 政府がお金を出すからどうぞ旅行してくださいと始めたキャンペーンなのに、自治体にやめるかどうかの判断を委ねるのはおかしいと何人もの知事が指摘したが、そのとおり。政府は今になっても抜本的な方針を打ち出す気がないようだ。

 コロナ禍は世界共通なので、海外で何をやっているかを見ると、日本の立ち位置が分かるし、教訓を得ることができる。
 ここで紹介したいのが台湾の手法。なぜコロナを押さえ込むことができているのか。
 以下の報告を読むと、台湾と日本のあまりの落差に目まいがするほどだ。
 
 簡単にいうと、

 台湾に留学していて日本に帰国した日本人女性が日本の空港でPCR陽性となった。
 台湾ではそれを受けて、彼女との接触者140人を割り出しすぐにPCR検査を実施。全員陰性となったが、念のため、接触者123人に、同じ学校の学生の中で5月から6月までの間に発熱や上気道症状を呈した90人を加え、計213人に抗体検査(計5種類の手法―4つは欧米で正式採用されている試薬、1つは台湾CDCの独自手法を併用)を行ったというのだ。
 さすが!としか言いようがない。

 日本がどれほど立ち遅れているのかを認識したうえで、検査の拡充(無料化を含む)など基本的なことから真摯に改善するよう政府に強く求めたい。

 以下の報告者は日本生まれの台湾人医師。

www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp

(前略)
ある20代日本人女性の事例を紹介したい。

この半年続いたCOVID-19対策を通して、日本と台湾間に生まれた「差」を示す良い事例だと思う。女性は20年2月末に日本より台湾へ留学。6月20日に日本帰国。日本到着時に空港で受けたPCR検査が陽性となり(無症状)、6月23日夕に日本側担当者から台湾へ報告された。台湾政府は状況を理解するために詳細情報を日本側に求めたが、なかなか返答がないため、国内の調査を開始した。クラスター調査で通常より時間範囲を拡大し、接触者140人(学校の教師やクラスメート、寮のルームメートなど)を洗い出した。内2人は日本人で既に帰国していた(日本入国時のPCR検査陰性)ので、台湾国内にいる123人にPCR検査と在宅隔離を実施、残り15人は自主健康管理となった。

6月25日朝、日本側からの回答が届いた。女性の検査値(Ct値)は37.38で、台湾では弱陽性と判定されるだろうケースだった(台湾では、Ct値35未満の場合に陽性と判定。これまでの研究結果では、Ct値が33より大きい場合にはウイルスは培養されない)。

既存の情報だけでは感染時期の特定が困難だったため、日本側にPCR再検査と抗体検査の実施を打診したが、残念ながら実現しなかった。日本の状況を考えれば、無理だろう。

6月26日にPCR検査結果が出揃い、全員陰性だった。台湾国内の状況をより明らかにするために、接触者123人に、同校の学生の中で5月から6月までの間に発熱や上気道症状を呈した90人を加え、計213人に抗体検査を実施した。抗体検査は2ヵ所の研究室において計5種類の手法(4つは欧米で正式採用されている試薬、1つは台湾CDCの独自手法)を併用した。

7月8日に抗体検査結果が公表された。3つの手法で213人全員が陰性。1つの手法では2名弱陽性。もう1つの手法では別の2名が弱陽性となった。これらの結果から、弱陽性症例はいずれもその他4手法では陰性だったため偽陽性と判断し、213人全員抗体検査陰性、すなわち感染歴なし、と判定した。ここから、日本人女性の検査陽性例について類推される可能性は2つ:① PCR検査偽陽性、② 1ヵ月以上前の無症候感染で既に治癒。いずれにしても、台湾国内において水面下に感染拡大している可能性は極めて低いとして、当事案対応は終了となった。

この事例を通し、7月現在の台湾と日本の「差」を感じ取ってもらえただろうか。台湾は、新しい感染症の感染者への対応に追われる中でも、研究開発を行うためのインフラを作り、全国で網羅的かつ迅速に臨床情報や試料の収集・分析を行ってきた。

その結果、抗体検査ひとつとっても、今回のように必要な場面で有効に活用し、ついでに既存の試薬の性能を検証する実験も盛り込むことができるのだ。

結語
台湾のCOVID-19対策において称賛する点は多々あるが、その中でも、政府が科学を尊重した上で政策決定していた点と、政府が国民との対話を重視することで社会不安を早期に取り除いた点が素晴らしかったと筆者は思う。

未知の事態に立ち向かうにあたり、日本にいながらも、日本政府の思考がいまひとつ把握できないと感じていた筆者にとっては、柔軟性とスピードを維持しながらワンチームで突き進んでいる台湾が羨ましかった。

既知と未知を明確に認識し、科学の限界を受け入れ、仮説と検証を繰り返す。我々医師にとっては当然のアプローチだが、その当然が日本政府内にあったのか? 個人的には疑問が残る。