かんぽ報道でNHKに圧力

 大きな政治スキャンダルが二つ発覚した。

 まず、毎日新聞がスクープしたかんぽ生命とNHKを巡る問題。
NHKの自律揺るがす 経営委「統治」口実に かんぽ報道、異例の注意》9月26日
 「かんぽ生命保険の不正販売問題をいち早く報道したNHKの番組を巡り、日本郵政グループが抗議や申し入れを繰り返し、NHK経営委員会が上田良一会長を厳重注意していた。個別番組への介入と受け止められかねない経営委の対応や、続編の放送を延期して番組編集の根幹である「自主自律」を揺るがした執行部の判断の是非が問われている。【NHK問題取材班】」

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毎日新聞より

NHK報道巡り異例「注意」 経営委、郵政抗議受け かんぽ不正、続編延期》
毎日新聞2019年9月26日
 「毎日新聞が入手した昨年10月23日付の文書の一部。NHK経営委員会が同日、上田良一会長を「ガバナンス体制を強化」するようになどと厳重注意したことを、日本郵政長門正貢社長ら郵政グループ3社長宛てで伝えている
 かんぽ生命保険の不正販売問題を追及したNHK番組を巡り、NHK経営委員会(委員長・石原進JR九州相談役)が昨年10月、日本郵政グループの申し入れを受け、「ガバナンス(統治)強化」などを名目に同局の上田良一会長を厳重注意していた。郵政側から繰り返し抗議を受けた同局は、続編の放送を延期し、番組のインターネット動画2本を削除した。会長への厳重注意は異例。複数の同局関係者は「経営委の厳重注意は個別番組への介入を禁じる放送法に抵触しかねない対応だ」と批判し、「郵政の抗議は取材・制作現場への圧力と感じた」と証言する。」

 NHKは1年以上前にクロ現でかんぽ生命保険の不正販売を報じていた。
2018年4月24日(火)《郵便局が保険を“押し売り”!? ~郵便局員たちの告白~》
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4121/
 この放送の後、NHKに圧力をかけて続編の放送を延期させたという。ここまで露骨なメディアへの圧力があったとは。しかも、一連のやりとりには放送行政を所管する総務省の元事務次官、鈴木康雄・日本郵政副社長もかかわっていたことも判明。政権がらみの介入と言わざるをえない。

天下りNHKにドス利かす  (徳島県 一宮一郎 朝日川柳28日)
 メディアにかかわるすべての企業、個人が声をあげ、実態をさらに追及してほしい。
 NHKは今年、クロ現でふたたびかんぽ生命の問題を検証している。 
2019年7月31日(水)《検証1年 郵便局・保険の不適切販売》
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4316/index.html
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 つづいて原発マネーが電力会社幹部20人に3億円以上も「還流」していた問題だ。

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朝日新聞27日夕刊

 《関西電力の岩根茂樹社長は27日午前、記者会見を開き、関西電力原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から会長や社長など経営幹部や社員、合わせて20人が金品を受け取り、その総額はおよそ3億2000万円にのぼることを明らかにしました。そのうえで岩根社長は「関係者や社会の皆様に多大な心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。
 このなかで岩根社長は会長や社長などの経営幹部や社員、合わせて20人が、去年までの7年間にわたって3億2000万円相当にのぼる金品を受け取っていたことを明らかにしました。
 金品を渡していたのは関西電力原子力発電所がある福井県高浜町森山栄治元助役でした。岩根社長は森山元助役について、「地元の有力者で、さまざまにお世話になっている。金品の返還を申し出たが、厳しい態度で拒まれた。関係悪化をおそれ、返せなかった」と述べるとともにこれらの金品は一時的に受け取ったものだったと釈明しました。
 こうした金品の受領は金沢国税局の税務調査で指摘され、すでに一部もしくは全部を返還し所得税の修正申告をしたということです。
 岩根社長は「関係者や社会の皆様に多大な心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。
 森山元助役はすでに亡くなっていますが、関係者によりますと原発関連の工事を請け負う地元の建設会社から受注に絡む手数料を受け取り、この一部を関電の経営幹部に渡していたことが税務調査で判明したということです。
 岩根社長は今回の問題を受けて「私も含め、報酬の返上を行った」と述べすでに社内処分を行ったとしましたが、処分内容の詳細については「差し控える」として説明しませんでした。》(NHKニュース)
 絵に描いたような原発ムラの醜い「カネ」のスキャンダルだ。記者会見でのコメントにもまったく誠意や反省が見られない。これまで通りの原発行政を進めることに「国民の理解」が得られるはずがない。
関電のトップよ「よくもそんなこと」 (三重県 山本武夫 28日朝日川柳)

 国連本部での気候行動サミットで、スウェーデンの高校生グレタさんが世界の大人たちにHow dare youと追及したが、こういうとんでもないことへの我々の怒りを国政を変えることに結びつけなければ。