原発報道は公式発表をベースに、と籾井会長が指示

暖かくなって、散歩が楽しい。
歩いているといろんな発見がある。こないだ通りかかったレトロな民家に感動した。軒先に「フジカワ・エハガキ」とある。今どき「絵はがき屋」?



 ガラス戸をがらがらと開けると、中はまるで明治か大正の世界。
 主は画家だそうで、実は固定客がちゃんといて、うちのかみさんもファン。
 フジカワさんの絵はがきは、いまうちのトイレに飾られている。




 大量生産=大量消費ではない、また、高価なブランドでもない、ぬくもりのある「心のこもった」ものづくり。
 いいですねえ。
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またNHKの籾井会長がトンデモ発言
原発報道は公式発表をベースにせよと指示を出したと毎日新聞が報じた。

《NHKが熊本地震発生を受けて開いた災害対策本部会議で、本部長を務める籾井勝人(もみい・かつと)会長が「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示していたことが22日、関係者の話で分かった。識者は「事実なら、報道現場に萎縮効果をもたらす発言だ」と指摘している。
 会議は20日朝、NHK放送センター(東京都渋谷区)で開かれた。関係者によると、籾井会長は会議の最後に発言。「食料などは地元自治体に配分の力が伴わないなどの問題があったが、自衛隊が入ってきて届くようになってきているので、そうした状況も含めて物資の供給などをきめ細かく報じてもらいたい」とも述べた。出席した理事や局長らから異論は出なかったという。》
http://mainichi.jp/articles/20160423/k00/00m/040/126000c
 籾井氏から、権力への迎合を指示されたと感じる局員は多いだろう。
 どっちを向いて報道するのか。何が本当の国益になるのか。それを自由に判断できる独立性が、報道の現場には必要とされるはずなのだが。

 籾井氏については「ニュース」が多い。『週刊文春』(4月21日号)は、籾井氏が4月12日の経営委員会で、現職8人の理事のうち4人を一気に退任に追い込んだと報じる記事を載せている。2月に退任した2人と合わせて6人の理事が一掃されたのだという。
 その背景には、放送センター近くの3400平米の駐車場を、NHK関連会社9社が350億円で購入する計画での確執があったという。計画は、関連会社が抱える900億円もの剰余金の一部を購入代金にあてるとして籾井氏らが主導していたが、経営委員会に諮るという手続きを省いて取引が進められようとしていたと毎日新聞が昨年12月に報じた。
 「放送法」ではNHKによる「重要な不動産の取得及び処分に関する基本事項」は経営委員会が議決するとある。(29条http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html
 記事によれば、コンプライアンス上おかしいと批判した理事ら反籾井派理事が一掃され「恐怖政治」が完成されたという。
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 4月からNHKクローズアップ現代」が改変され、国谷裕子氏がキャスターを辞めた。
 この春、何人かのキャスターが番組を去ったが、私は自分の意見をはっきり出さない国谷氏のような姿勢がキャスターとしての本道だと思っていたので、降板はとても残念だ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20160111
 その国谷氏が、「インタビューという仕事」という文章を『世界』5月号に寄せている。とても示唆に富む指摘が多いので紹介したい。
 まず、氏は、最近の「同調圧力」に危惧する。
 《劇作家の井上ひさしさんが、「風向きの原則」と呼んでいた現象がある。風向きがメディアによって広められているうちに、その風が強くなり、誰も逆らえないほどになると、「みんながそう言っている」ということになってしまう。そして、その中で少数派、異質なものの排除が進んでいく。
 最近、ますますそうした同調圧力が強くなってきている気がする。流れに逆らうことなく多数に同調しなさい、同調するのが当たり前だ、といった圧力。そのなかで、メディアまでが、その圧力に加担するようになってはいないか》
 どうしても、今のNHKを連想しながら読んでしまうが、国谷氏がそのなかでどう「フェアネス」を確保しようとしてきたのか。
(つづく)