きのうは運動をかねて自転車に乗り、うちから10キロほど離れた多摩湖そばの狭山公園へ。落ち葉の道を歩いていくと、真っ赤になった葉っぱが。大きさ、色、穴のあき具合など、一枚一枚がそれぞれの個性だ。
何組かの家族連れが、サッカーや野球、バドミントンに興じている。笑い声や歓声が上がる。昔、娘が小さい頃、よく公園に遊びに連れていったことを思い出した。楽しかったなあ。
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きょうのNews every特集は、朝鮮半島の南北融和ムードのなか、違和感をもち模索する脱北者を取材したもの。今年4月の、10年ぶりの南北首脳会談以降、韓国の対北朝鮮認識は激変した。世論調査では、8割が金正恩を「信頼できる」、65%が北朝鮮の非核化・平和定着への意思を「信頼する」と答えるほどだ。金正恩はすっかり「良い人」のイメージなのだ。
そんな融和ムードに乗れないのが脱北者だ。圧政から命がけで逃げ出した彼らの中には、北朝鮮社会を変革しようと活動するものも多い。金正恩への批判や、マレーシアでの金正男暗殺など北朝鮮住民が知らないニュースなどを記したビラなどを大きな風船に括り付けて北に向けて飛ばす活動はよく知られている。北朝鮮が最も嫌がる活動の一つと言われ、韓国政府に激しく抗議してきた。この風船飛ばしはいま警官隊が出て厳しく規制されはじめた。南北首脳会談で、韓国政府は北朝鮮を批判する行為をしないと約束、脱北者たちの北朝鮮を刺激する言動を取り締まるようになったのだ。
また、文在寅大統領になってから、多くの脱北者団体が支援を打ち切られて、活動が大きく減退している。「脱北者同志会」は、黄長菀(ファン・ジャンヨプ)元労働党書記が長く会長をつとめてきた最も古い歴史をもつ脱北者団体で、脱北者の互助会として、韓国社会へのなじみ方、就職支援などのセミナーの他、脱北者の手記などを出版して、韓国社会に北朝鮮の実情を伝えたりしてきた。去年12月から支援金が打ち切られ、賃料が払えずに、3分の1の広さのオフィスへと引越しをせざるを得なかった。
その一方で、脱北者による北朝鮮住民に向けての活動で、2年前から地道にいまも続くものがある。寄付で集めたコメを、ゴミ収集車から分けてもらったペットボトルに詰め、潮の流れに乗せて海から北朝鮮に届けるのだ。(写真はAFP)これは人道目的を掲げているため、韓国政府もまだ露骨に弾圧したりはしていない。
鄭光日(チョン・グァンイル)氏は、これまで風船につけてUSBを北朝鮮住民に送ってきた。USBに収められたのは、世界各国のニュース映像(金正男暗殺なども)やKポップなどの映像。北朝鮮には中国から非常に安い映像再生機が入っていて、住民はそれでUSBを含む媒体の映像を楽しむのだという。鄭さんは活動の動機を、北朝鮮の住民に、いかに北朝鮮社会が異常なのかを知り、少しでも変革に動き出してほしいという願いだという。映像はインパクトが強い。北朝鮮当局が嫌がるわけである。
風船飛ばしができなくかった鄭さんだが、かわりの方法として、コメと一緒にペットボトルにUSBを入れてもらうことにした。脱北者のキリスト教信者たちは、ビニールにくるんだ小さな聖書をガムテープでペットボトルに括り付けていた。これを見ると、この活動は、単に食べ物がない北朝鮮住民を助けるという人道目的だけでなく、北朝鮮内部への情報注入による啓蒙、ひいては社会変革をも目指していることになる。
ペットボトル流しはソウルから車で向かって、江華島の先にある席毛島(ソンモ島)の海岸で行なわれる。そこから北朝鮮まではわずか10キロ。月2回、新月と満月の大潮に合わせる。沖へと引いていく潮の流れの速さにおどろく。まるで川のようだ。正午に投げ込んだペットボトルは、早い所で夕方には岸に漂着するという。
私たちが取材した10月上旬で66回目を迎えるといい、脱北者有志のほか、韓国の教会の若者も手伝いに来て、参加者は総勢50人を越えていた。目立ったのは警官で、10人ほどが投げ込みを監視していた。いつまで続けられるか、脱北者たちは懸念を抱きながら活動を続けている。