豪雨、台風、地震、次から次へと大型震災に見舞われる日本だが、住民が避難するのは学校の体育館で雑魚寝と決まっている。これはどうにかならないのか。
FBを見ていたら、フィリピンと日本の避難所風景の比較があった。フィリピンの方がちゃんとプライバシーが確保されているのに驚く。上が日本、下がフィリピンだ。
木曜の朝日新聞に、「避難所 通い続けるわけ」と題する建築家、坂茂さんのインタビューが載っていた。坂さんを主人公に『情熱大陸』を制作したご縁で、いつも注目しているが、世界の第一線で活躍する建築家でありながら、内外の被災地にボランティアで入り、避難所に紙と布を使ってプライバシーが守られる空間を作っている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170726
坂さんの被災地とのかかわりは、1994年にルワンダの難民キャンプで紙管を使ったシェルターを作ったのが始まりで、翌年の阪神大震災へと続いていく。
いま北海道で避難所に間仕切りを作る準備をしているという坂さん。彼の発言で驚くのは、日本ではプライバシーを重視しない点でまったく変化がないということだ。
「阪神大震災以来、中越地震や東日本大震災、熊本地震と様々な被災地を訪れ、支援してきました。でもこの23年、自治体の側から『来てくれ』と言われたことは、一度もありません」。
「トルコやインドなど、海外の国から呼ばれることはあるのですが、日本ではありません。どこに行っても役所の対応は同じです。『前例がないから必要ない』が大前提です。仕切りはない方が管理しやすいというんですね。陰で酒でも飲まれたら困るとか。プライバシーの必要性を言葉で説明してもなかなか通じません。だから実際に設置し、便利だとわかってもらう実力行使しかありません」。
「プライバシーって人間にとって最低限必要な人権じゃないですか。プライバシーがない避難所を避けて車中泊してエコノミークラス症候群になるなど命に関わることもあります。避難所にプライバシーがないと気づいたのは阪神の時でしたが、20年以上経っても避難所の雑魚寝の風景は変っていません」。
「2009年にイタリア・ラクイラ地震の支援のため現地に入った時、日本とは違うなと思いました。避難所はなく、一家族ごとに、軍が支給したテントで暮らしていました」。
「でもいくら間仕切りを作っても、それは最低限で、やっぱりひどい状況です。雑魚寝の避難所はなくしていく方法を考えるべきです。たとえば大きな施設を作るときには、避難所に転用することを前提に設計するなど、自治体も一緒に計画しておくといいと思います」。
「豊かな人は、ホテルを借りたり、どこか別の家に移ったりということができます。だって避難所で寝泊まりするのは、本当につらいもの。僕も体験してみようと、避難所の廊下で寝たことがありますが、大変でした」。
社会的に弱い立場の人が避難所に長期滞在せざるを得ないのが実態だ。防災に強い国づくりが叫ばれるが、被災者の人権についても抜本的な改善を求めたい