疲れたら立ち止まっていいよ(サヘル・ローズ)

takase222018-09-00

 接近中の「非常に強い」台風21号が、明日四国から紀伊半島に接近、上陸する見込みだという。「勢力を保ち『非常に強い』まま上陸すれば1993年の台風13号以来、25年ぶりになる」(東京新聞)そうだ。すでに豪雨被害にやられた地域がさらに痛めつけられないか、心配である。大事にならぬよう祈ります。 
 台風の「強さ」について、ちょっとだけうんちくを。
 標準気圧1013ヘクトパスカルより低いほど「低気圧」で、気圧の低い中心部に、周りの気圧の高い所から風が吹きこむ。ただ、問題は気圧自体より気圧の「傾斜の大きさ」で、中心気圧が低くても傾斜がなだらかなら風は弱い。それは等圧線の詰まり具合で分かる。
 台風の強さは風速でランク付けされ、最大風速で秒速33m以上が「強い」、44m以上が「非常に強い」、54m以上が「猛烈な」となる。
 「3日午後6時現在、種子島の南南東約320キロ」にある台風21号は、中心気圧は945ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル」というから、「非常に強い」ランクになる。気をつけましょう。
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 9月1日は、日本の中高生の自殺がもっとも多い日で、この間、メディアでもさまざまな呼びかけや特集が組まれている。
 私がファンであるサヘル・ローズさんは、小中学校で壮絶ないじめに会い、死にたくなった経験を持つ。彼女の生い立ちについては、以前このブログで書いたが、公園に寝泊まりするホームレス同然の状態を経験するほどの苦労を重ねてきた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090609

(サヘルさんと義母のフローラさん:日本に来た頃)
 きのうのwithnews のインタビュー記事《「ばい菌」と呼ばれ…サヘル・ローズさん「心の傷」との向き合い方》が、いま悩んでいる子どもたちをハグしてくれるような内容なので紹介したい。
 サヘルさんは義母と二人暮らしで、日本の習慣に慣れず、貧しかったこともあり、小学校高学年からいじめに遭った。中学に入ると・・・
 《授業中に両側の子が下敷きを顔の横に立てて、私が振り返ると「なんでこっち向くんだよ、顔が腐る。下敷きも使えなくなった」と言われました。後ろから蹴られて階段から落ちたこともあるし、上履きを目の前で捨てられたこともありました。先生も守ってくれなくて、見て見ぬふり。どんどんエスカレートしていきました。
 2週間くらい別の子がいじめられていた時期もありましたが、すぐまた私に戻ってくる終わりの無い生活。言葉や態度で無視されたり、そこにいないように扱われたり。心はすり切れていき、どんどん自分の存在価値が薄れてしまった。
 でも、それを母には言えませんでした。多くの子がそうだと思うけど、心配をかけたくないし、いじめられていることって意外と恥ずかしいことですよね。家に帰るまで毎日泣いて泣いて泣いて。それでも母が帰る時には、笑顔でいられるように自分のスイッチを切り替えていました。
 勉強ができる子、友達がいる子、いじめられていない子。「母が安心するサヘルちゃん」を演じていました。成績もどんどん落ちていったけど、成績表の5段階評価は「1」が一番いいと母にウソをついていた。
 でもガラスのコップの中に入る水は限られていて、水があふれ出てパリンと割れる時がきました。中3の夏前だったと思います。もう死にたい、と。学校を早退した日、何かに気づいたのか、母がすでに家に帰っていて、部屋の角でしゃがんで泣いていました。
 いつも明るく、お金が無くてもご飯が無くてもニコニコしていて、プラス思考。そんな母の涙を見たのは、初めてでした。母を抱きしめた時、体が二回りも小さくなっていることに気づきました。白髪交じりでしわくちゃで、「お母さんも疲れた、死にたい……」。
 ああ、お母さんも私の前で優等生の母を演じていて、私のために頑張ってくれて、でも見えないところで苦しんでいて、体の負担もあったんだな、って。
 その時、それが神様の声だったと信じていますが、「この人にわたしは何か恩返しをしたの?」という声がした気がしました。その時まで親に育てもらうことが当たり前と思っていた部分があったけど、そうじゃなくて、これからは母のために生きよう、必ずこの人に恩返しをして楽させるために頑張ろう、と。初めて生きる目標ができたんです。
 中学であれだけ苦しかった学校生活だけど、母のために仕事をするには知識が必要だと考え、高校に進学しました。「偉大な母」を歴史に刻むために、私が有名になろうと考えました。
 どこ生まれだろうか、どういう境遇だろうが、人間は生きてちゃんと立派になれることを証明したい。私の記事はイラン語でも掲載されて、イランの施設の子どもたちを勇気づけている、とも聞いています。
 成人式で、中学時代の級友たちが謝罪してきました。だれしも、いつかは自分の過ちに気づくものです。いじめられたことは、私自身、乗り越えたというより受け入れたんだと思います。心の傷は残っている。完全に消化しなくてもいいんじゃないかな、と思っています。
 私は、大人になって楽になりました。身長と同じで、高くなれば、違った視点から物事を見ることができる。そして、いろいろな人に出会える。
 今しんどい君に伝えたいのは、全然強くなる必要もなければ、すぐにはい上がる必要もない。疲れたら立ち止まっていいよ、っていうことです。立ち止まっている時ほど、インプットする機会。吸収して厚みのある人になってほしい。私は弱いですって言える大人になってほしい。自分の弱さも闇も、抱えたままでいいよ。
 学校が全てではないです。本当の友達は、30代や40代で会うかもしれない。社会に出てから会う人たちが、自分の教科書のような存在になってくれることもある。
 自分がしたいことがわからない時は、いっぱい寄り道してごらん。無駄な時間ほど財産になる。だから焦らなくていい。年齢なんて関係なく、自分の好奇心を探ってほしい。
 生きる意味もわからない子がいたら、ふと思ってほしい。今、地球の裏側で、あなたと同年代の子たちがもっともっと過酷な状況で、生きたくても生きられず、苦しんでいることを。
 たしかにつらいかもしれないけど、日本という安全な国で勉強ができて、親がいて食べられるものがあって着られる服があって。この恵まれた環境にいることを考えてみてほしい。生きているだけで意味があると思えるから。
 生きていく意味はたぶん誰にもわからない。それを発見するのが人生じゃない? みんなわからないと思えば楽だよ。》
https://withnews.jp/article/f0180902001qq000000000000000G00110101qq000017952A

 サヘルさんの言うとおり、大人になると楽になるよ。今の苦しさは続かないから、大丈夫。