欧州が北朝鮮より懸念するイラン問題

 29日(日)の午後、立川市で「サヘル・ローズとEnjoyイラン」というイベントがあり、私もゲストで招かれた。9年前からサヘルさんのファンで、会えて光栄だった。
 彼女は1時間ほどイランの歴史や文化について語ったが、その内容がよく準備されているうえ語り口がとてもおもしろく、聴衆を笑わせながらぐいぐいひきこんでいた。また、スタッフなど周りの人への繊細な気配りにも感心させられた。
 私はかつてイランを取材したときのエピソードなどを語った。テヘラン市議会選挙では定数15に候補者が1200人立つなど政治意識が高いこと、1963年から完全な普通選挙で女性の国会議員も選出されていたこと、大学では女子学生が6割を占め、医学部では8割に上るなど女性の向学心、社会的活躍がイスラム圏では突出していることなどを紹介して「イランは北朝鮮ではない」という私の感想を述べた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090608
 さらに、いま日本では北朝鮮問題だけが大きな関心を引いているが、同時にイランをめぐる情勢が正念場を迎えていて、ヨーロッパではむしろこちらが懸念されているという話をした。先週、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相が相次いで訪米し、トランプ大統領と会ったのは、長い時間をかけてやっとつくりあげたイラン核合意を離脱するというトランプを説得するためだった。
 2002年、ブッシュ米大統領は「悪の枢軸」として世界で潰すべき4つの国を挙げた。イラクリビア北朝鮮とイランだが、うちイラクリビアは潰れた。残るは北朝鮮とイランで、アメリカは北朝鮮よりイランの方により厳しい政策を採ってきた。いま北朝鮮とは「合意」に向かう一方で、イランには対照的な「合意」離脱の姿勢を示している。イラン情勢の方がよほどきな臭いのである、
 「きょうは、サヘルさんの話で、イランという国が身近になったついでに、イランをめぐる国際情勢にも関心を持ってください」と私の話をしめた。

 イベント会場は、友人の家具デザイナー山上一郎さん(東京農大探検部、以前テレビ番組「サンデープロジェクト」スタッフをしているとき私と知り合った)の会社kitoriで、終了後、屋上で懇親会があった。気持ちのいい風が吹くなか、サヘルさんとも親しく話せて楽しい一日だった。サヘルさんはテレビ、ラジオでレギュラー8本を持つ売れっ子だが、本格女優として成功することを目指している。それは、彼女の夢である孤児たちのための活動をより影響力を持って進めるためだ。最近、演劇や映画での活躍が増えている。応援したい。
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 報道によれば、学校法人『加計学園』の獣医学部新設をめぐり、柳瀬元総理秘書官が学園関係者との面会を「認める方向で調整」しているという。「認める方向で調整」するとは、実に不思議な日本語だ。有るものを無いとし、無いものを有るとすることを安倍内閣は続けてきたが、「調整」とはこういうことをいうのか。
 加計問題では、前川喜平氏がずばり核心をついている。
 前川喜平・前文科事務次官が語る「加計問題に安倍総理が積極的関与」の“動かぬ証拠”」https://hbol.jp/164770
 これまで出てきた材料を素直に見ていけば、真相はおのずと明らかだ。
 加計学園については安倍首相本人が、また森友学園の問題では安倍昭恵氏が、よろしく頼むと言ったことが発端となり、中央の政府官僚や地方自治体職員への巨大な圧力を作りだし、その結果今に至っていることが透けて見える。
 もう一つ、言い足せば、森友学園問題に昭恵氏が発端を作ったその動機は、中国人や朝鮮人へを蔑視し教育勅語を暗唱させるなど森友学園の排他的復古主義教育への共感・応援である。それは、現憲法がかかげる人権尊重の理念に反する。きょうは憲法記念日だ。