地球に海と陸がある奇跡

 おととい17日のテレ朝「サンデーモーニング」に、サヘル・ローズさんがコメンテーターで出ていた。


 私は09年、テレ朝の夕方ニュース「スーパーJチャンネル」の「新東京見聞録」という外国人3人が東京のいろんな場所をおもしろおかしく紹介していくコーナーで、初めてリポーターをやっている彼女を見た。

 目の付けどころが的確で、リポートの語りが抜群にうまいうえ、まったく嫌味がない。実に”さわやか”なのだ。いったい何者なのかと調べ、彼女の本『戦場から女優へ』を読んで感動、ファンになった。

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 3年前には、サヘル・ローズさんのイベントに、イランを取材したジャーナリストとして私がゲストに呼ばれ、直接お会いする機会があった。そこで彼女の話を聴き、周りへの気配りを含めた立ち居振る舞いを見て、すごい人だなとさらに感銘を受けた。

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 戦争はじめ世界の理不尽についてのコメントでは、非常に説得力ある語りを聴かせる人なので、コメンテーターとしての活躍を期待している。

 おとといのスタジオでは、ウクライナの戦争へのコメントを求められ、

「私たちがこうやって毎日生きていることが奇跡なんです。戦争を他人事として考えないようにしたい」と語っていた。

 彼女の「生きていることが奇跡」というコメントを、私はコスモロジー的な意味での奇跡に引き付けて解釈して(かってに)感動していた。

 いろいろある「奇跡」のうち、先日学んだ地球の水の奇跡を紹介したい。

 地球の地殻の上には、地表の7割を占める海と3割の陸が乗っている。こんな分布になったのは、地表に溜まった水の量が絶妙だったからだ。

 地球は「水の惑星」と言われるが、海は地球全体の質量の0.023%を占めるにすぎない。(一方、鉄は地球の総質量の3分の1)
 ただ、ちょうどこのくらいの量だからこそ、今のように陸地と海とがある地球になっているのだ。

 実は地球には計算上、海の50倍ほどの水がある。もし、これがすべて地表にあったなら、地表は100kmを超す深さの水の層で覆われ尽くしただろう。地球の形成過程で、ほとんどの水が水素の形で地中深くマグマや核の中に取り込まれ、その結果、絶妙な量の水が地表に残り、現在のような陸地も海もある地球ができた。

 この海と陸の存在は、命の創発と進化を決定づけた。

 深すぎる海では、実際の地球がたどったように生命が生まれたかは未知数。もし生命が創発したとしても、陸地がなかったら、私たちヒトは生まれていなかった。

 というのは、海から生命が陸地に上陸することで、魚類から両生類、さらに爬虫類から哺乳類へ、その中の霊長類から人類へと、知能の発達したより複雑な生き物へと進化することが可能となったからだ。

 海と陸地の両方を備えた地球がいまあるのは、本当にちょうどいい水の量がたまたま地表にとどまった結果、つまり「奇跡」だった。私たちがこうして毎日生きているのは、そのおかげなのである。   

 みんな奇跡のような幸運でこの世に人間として生きていることが分かったら、自分を、また他人を傷つけたりしてはいけない。

 ましてや、戦争などしてはならないはずだ。

 以上を踏まえたうえで、サヘル・ローズさんの「毎日生きているのは奇跡」という言葉を味わうと、感動が深まり、戦争を否定する心がいっそう強くなるように感じる。