モスル「解放」は終わりではない


 タマスダレが白い花を咲かせた。この花、少し気温が下がったころに咲く。これからが盛りだ。
 今月の資金繰りの厳しさは、ここ2年くらいで一番かな。月末が近づいたきょうは、かなりの数の人に支払いの繰り延べ(支払日を延ばしてもらう)のお願いをしていた。迷惑をかけてしまって申し訳ない。一方で、入金を早めてもらうお願いも同時にやる。某局のプロデューサーから通常より3週間ほど早まるとの知らせに少しほっとする。
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 放送予告です。
 あす8月26日(土)夕方5時半からのTBS「報道特集」で、金平キャスターが、「イスラム国」最大の拠点だったイラクのモスクをリポートする特集【「イスラム国」から奪還〜モスルは今】が放送されます。弊社で金平さんの取材をサポートしました。
 《先月、過激派組織「イスラム国」から奪還されたイラク第二の都市・モスル。激しい戦闘で破壊された町は?避難民の現状は?洗脳教育を受けた子供たちの問題は?緊急報告。》http://www.tbs.co.jp/tv/20170826_56C8.html
 現地は連日50℃を超す暑さで、カメラマンがカメラを触って火傷したという。3台持っていったカメラのうち1台は壊れたようだ。
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 いまイラクには、ジャーナリストの横田徹さんが入っている。昨夜、フジテレビの夜のニュース番組「ユアタイム」で、横田さんが、クルド警察による「イスラム国」アジト急襲に同行取材した映像を流していた。深夜、武装した数人で「イスラム国」メンバーが潜む可能性のある家をいきなり襲って中を捜索するのだが、そのすぐ横に横田さんのカメラがある。観ていてひやひやした。

 放送後、イラクの横田さんに「捜索に同行というのは危ないことがよく分かりました。向こうが反撃したら、即巻き込まれますね」と私がLINEで送ると、横田さんから「ドア開けたら自爆ベスト着た奴がいたらどうしようかと思いました」との返信。「世界一危険なガサ入れ」だったとも。
 こんなとんでもない取材、よくやるなあ。脱帽。好運を祈る。
 イケイケの戦場ジャーナリストとされる横田さん。『戦場中毒 撮りに行かずにいられない』(文藝春秋)という著書もある。彼の取材論、なぜ戦場に行くのかについてはいずれ紹介したい。
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 戦場からの発信という点では、MSF(国境なき医師団)の看護師、白川優子さんに注目したい。先日、8月9日の朝日新聞のオピニオン欄に「激戦地に立って」と題するインタビューが1面全面で載っていた。彼女、一時、ジャーナリストに転向しようと思ったことがあったそうだ。
 「シリアで活動中、空爆が止まらず、助けても助けても瀕死の患者が運ばれてくる。戦争を止めるためにはジャーナリストになって、現実を伝えなければと決心した。」
 結局、親しい記者から看護師を続けよと助言されてジャーナリストへの道はやめたが、今も自らネットで発信する。そんじょそこらのジャーナリストより大きな影響力があると思う。インターネットの時代、ジャーナリストの存在意義を考え直さざるをえない。

 その白川さん、モスルに触れてこんなことをインタビューで語っていた。彼女は6~7月、モスルの緊急支援に携わり、今はシリア北部、「イスラム国」掃討作戦が続くラッカ近郊で活動中だ。
 「戦争は悲劇しか生み出さないと本で読んで思ったけど、実際の現場は本当にその通りでした。命が助かったから良かったではなく、絶望を抱えて生きる人が大勢います。手術をして助かったけれど、歩けるようになるまでのリハビリや精神的なケアには時間がかかるし、家を失った人たちは再建が必要です。モスルにしても、解放作戦が終わると、あまり報道されなくなりましたが、人々の闘いはこれからが始まりです」。
 報道特集では、モスル解放で問題は終らないことを報じている。ご覧ください。