外来生物種の「落とし所」

 八十八夜が5月2日で、5日はもう「立夏」である。農作業が本格化するころだ。
 きょうは夏の陽気でオフィスでは初めて冷房を入れた。もっとも、「立夏」というのは、本来は一番春らしい頃で、これから夏に向かうという日。節気はちょっと季節を先取りしているわけである。
 初候、「蛙始鳴」かわず、はじめてなく(5日から)
 次候、「蚯蚓出」みみず、いずる(10日から)
 末候、「竹笋生」たけのこ、しょうず(16日から)
・・・・・・・・
 ナガミヒナゲシ」という草が危険外来植物だという。https://togetter.com/li/1107583

 駆除を訴える自治体も出てきている。
 注意を喚起するポスターを見たら、なんだ、今どこにでも盛りに咲いている花ではないか。

 朝、目配りしながら駅まで歩くと、群生しているところが3ヵ所あった。いずれもしぶとくコンクリートの割れ目などから生え、オレンジ色の花を咲かせている。
 この花、数年前からよく見るようになって、いつぞや、植物に詳しいかみさんに尋ねたら、ヒナゲシの仲間だと思うが正確な名前はわからないという。かみさんは、花が可愛いと、道端から抜き取って玄関先の地面に植えたが、根づかなかった。なんと、その草が「危険」なのだという。

 私たちは、外来種というものにどう対処すべきなのか。
 むかし、娘の幼稚園の父兄会で知り合ったなかに、道端でセイヨウタンポポを見つけるや、直ちに一本残らず駆除するおかあさんがいた。在来種のニホンタンポポを脅かしているからだという。偏屈な「ナショナリスト」では全くなく、むしろ、生態系の攪乱に反対し、生物多様性を守るというどっちかいうと「リベラル」な、とてもまじめなおかあさんである。使命感にあふれていた。
 私は、心情的にはニホンタンポポにがんばってほしい(変な表現だが)が、いちいち外来種を駆除するほどのことなのかと疑問に思っていた。もっとも、ペットとして輸入された「カミツキガメ」が野生化し大繁殖しているなどと聞くと、即刻駆除してもらいたい、などと思ってしまうから勝手なものだ。外来生物というものをどう考えたらいいのか、以前からよく分からないままである。

 いろんな主張があるなかで、なるほど、そんなものかなと思わされたのが、自然農法家、岡本よりたか氏の「ナガミヒナゲシ」論だ。
 「どんなに大騒ぎしたところで、植物の弱肉強食の世界には、人間は干渉などできないものである。それは、遺伝子組換え作物にすら当てはまる論理的な事実である。
(略)オオキンケイギクタカサゴユリと同じく、植物達が長い期間をかけて、落とし所を見つけるはずである。あるいは、セイタカアワダチソウが自ら出すアレロパシーによって子孫が衰退していき、ススキがそのアレロパシーを分解する能力を持つように、やがて拮抗作用が働くものである。」などと論じ、結論的には;
 「スパンを人の基準から植物の基準に置き換えた時、植物は、最終的には落とし所を見つけて、ひっそりと佇む事になるのだろう。」
https://ameblo.jp/yoritakaokamoto/
 「落とし所を見つける」という表現が自然の摂理をうまく言い表して、深いなと思う。いつも土に接している人ならでは、と感心した。