先週、小平市にある東京都薬用植物園に行ってきた。
季節ごとの花が楽しめるうえ、入園無料というのがいい。これで3回目。
キキョウが咲いていた。秋の七草だが、花は6月から咲くそうだ。
秋といえば、きょうから立秋。
7日から初候「涼風至」(すずかぜ、いたる)。12日からが次候「寒蝉鳴」(ひぐらし、なく)。17日から末候「蒙霧升降」(ふかききり、まとう)。
暦の上では、「残暑」なのだが、しかし暑さは今から本番で、きょう東京は35度を超えた。
このごろ、ナスに似た雑草をよく見かける。「ワルナスビ」というそうだ。1906年、牧野富太郎が発見、命名したアメリカ原産の要注意外来生物で、駆除しにくいやっかいな雑草だという。花はかわいらしいのだが、実は有毒だそうだ。
薬用植物園を見て回っていたら、タバコがナス科だと解説にあった。タバコ農家は花をすぐに摘んでしまうので、なじみがない。
ナスの仲間は多い。勉強になりました。
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きのう6日は、広島原爆の日だった。
原爆犠牲者追悼に関連して、アメリカで原爆投下の歴史的評価を見直す機運がでているとのニュースがあった。
ちょっと驚いた。アメリカでは、これまで、原爆投下は日本を屈服させるのに必要だったし、戦争終結を早めたことで多くの若者の命を救ったとして正当化されてきたからだ。
8月5日のアメリカの有力紙『ロサンジェルス・タイムズ』紙が、米国指導者は原爆投下の必要などなかったことを知っていたという題の署名入り論説を掲載している。
写真は元安川の灯篭流し。
その記事の冒頭は―
《アメリカ人が国家の多くの負の歴史を見直しつつある今こそ、1945年8月のわが国による日本への核兵器の使用について率直な国民的対話をする好機である。核の時代を開いたこの重大な決断は現代史の進路を根本的に変えてしまい、我々の生存を脅かし続けている。世界終末時計の警告によれば、世界は今、1947年以降、核兵器による人類絶滅に最も近づいている。》
これはすごい!
さわりのところを紹介しよう。
《ワシントンDCの海軍博物館の原爆展示の説明には明白にこう書かれている。
「原爆がもたらした広島と長崎の甚大な破壊と13万5千人の犠牲は、日本軍へのインパクトをほとんど与えなかった。だが、満州へのソ連の侵攻が、彼ら(日本軍部)の考えを変えたのである。」》
興味深かったのは、記事が、1945年当時の米軍の8人の元帥(5つ星)のうち、アイゼンハワー、マッカーサー、ニミッツなど7人が、原爆投下が軍事的に必要なかった、または倫理的に非難されるべきであるとの発言を記録に残していると指摘している点。
要するに、米軍上層部は、原爆投下に否定的だったということだ。
トルーマン大統領の参謀総長だったリーヒー元帥にいたっては、回顧録にこう記しているという。
《「広島と長崎でのこの野蛮な武器の使用は、実質的には、日本に対する戦勝に助けにならなかった。日本はすでに敗北しており、降伏する用意があった。原爆の最初の使用者になったことで、我々は暗黒時代の野蛮人と同じ倫理的基準を採用したことになる。」》
マッカーサーも。
《マッカーサーは原爆の使用は許しがたいと考えていた。彼はのちに、フーバー元大統領に、もしトルーマンが、フーバーの「賢明かつ政治家にふさわしい」助言に従って、降伏条件を緩和し、天皇制を保持できると日本に告げれば、「まちがいなく、日本はそれを喜んで受け入れただろう」と書いている。》
記事冒頭にあるように、原爆投下の見直しは、Black Lives Matter (BLM黒人の命は大切)の運動が広く深く浸透するなかで、アメリカ近現代史の根本的な再評価が始まっていることの一環とみられる。
BLMは、一人の黒人が殺されたことから市民が声を上げ、その波紋が国を越えて全世界に及ぶ一方、南北戦争など国家建設の歴史にまで見直しを迫っている。
トランプというとんでもない大統領が、論理も倫理もかなぐりすてた恥ずかしい言動を続けているアメリカだが、BLMに見る民主主義の復元力は、腐ってもタイ、さすがである。
これこそがアメリカの魅力であり強みなのだろう。
ひるがえってわが国はどうか。見直すべきことが山積みになっていそうだが。