「自由に生きていいんだよ」

takase222017-02-10

 きのう、きょうと寒かった。
 もう立春なんだな。4日からが初候の東風解凍(はるかぜ こおりをとく)、8日から次候、黄鶯睍薭(うぐいす なく)、末候は13日からで魚上氷(うお こおりをいずる)。
 旧暦では、立春が一年の始まりだったそうで、八十八夜や二百十日などの基準日にもなっている。
 まだまだ寒いが、これ以上、寒くなることはないな。と思うのが立春のこころ。「春一番」は立春以降、初めて吹く強い風のことだ。
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 2年がかりで作ってきた本が、ついに発売されます。発売は今月末日。とくに生きる指針を探している若い人に読んでもらいたいと思います。
 きょうはその宣伝をさせてください。以下、旬報社のHPより。

 『自由に生きていいんだよ〜お金にしばられずに生きる“奇跡の村”へようこそ』
            森本喜久男 + 高世 仁(聞き手)

はじめに――この本が生まれたわけ

 カンボジアの森に住む日本人、森本喜久男さんは、たった一人で荒野に小さな村をつくりあげた。
 そこは今、“奇跡の村”と呼ばれ、国外を中心に年間二〇〇〇人もの見学者がやってくる。バスも鉄道も通らない、コンビニもなければ電気もない、なんとも不便なこの村が、なぜそんなに注目されるのか。
 かつてアンコール王朝が栄えたカンボジアには、はるか昔から、蚕の吐いた生糸を自然染めし、練達の技術で織り上げる極上の絹絣が存在した。しかし、長く続いた内戦や大量生産の安価な布の流通により、その伝統は消えようとしていた。その絹絣に魅せられ、伝統を復興する大事業にひとりで挑んだのが森本さんである。
 森本さんは、まだ内戦のやまない一九九〇年代、カンボジア各地で絹絣の伝統の残り火を探し回るうち、名人芸を身につけた“おばあ”たちに巡り合うことができた。昔と同じ布をもう一度織ってほしいとお願いすると、美術館に飾っても不思議ではないほどの精緻な柄の布を織りあげ、森本さんを感動させた。また、すでにカイコを飼うのをやめてしまった村にも、養蚕に使う道具はまだ大事に残されていた。
 「今なら、まだ間に合うかもしれない」。
 森本さんは、IKTT(クメール伝統織物研究所)という現地NGOを立ち上げ、工房を設けて熟練の名人たちを招いた。そこで布を織ってもらいながら、若い女性への技術の伝承をはかった。また、原種に近い黄色い生糸を吐く蚕をタイから運んで、養蚕を復活させることにも挑戦。二〇年におよぶ悪戦苦闘の末、ついに手引の生糸を自然染めし、高機で織り上げる、すべて手づくりの伝統の絹絣を復興することに成功した。現在IKTTは、一二〇人のスタッフを抱える事業体となり、森本さんは「世界最高のクオリティの布」をうみだす「マスター・オブ・シルク」と評されるにいたっている。
(略)
  夜、風通しのよいベランダで森本さんと話す。
 森本さんの目的は達成できましたか。
 「そうだなあ。目標の九割かな。僕がいなくなっても、村人たちで運営していけるシステムをつくってあるから心配していないよ」
 じゃ、やり残したことはありますか。
 「実はね、日本の若者にもっと語っておきたいことがあるんだ」
 現在の生き方に疑問を持ち、迷い悩むたくさんの日本の若者が村にやってくる。彼らと話す中で、思うところがあるのだという。
 「いま、時代は大きな転換点にさしかかっている。迷うのは当然だ。これまでの常識が通用しないから、若い人たちは試練に直面すると思う。そんな彼らに僕の得たものを少しでも伝えて、力づけたいんだ」。
 そうか。そういうことなら、私がそのお手伝いをさせてもらおうか。
 森本さんとは三〇年以上の付き合いがあり、私自身、東南アジアに長く住んで土地勘もある。少しはお役に立てるのではないか。
 そう考えた私は村を再訪し、森本さんに六日間におよぶインタビューを行った。それをベースにできたのがこの本である。

 消えかけた伝統の織物を再生する中で、森本さんは、豊かな自然と笑顔あふれるコミュニティを備えた村の創造に行きついた。その村は私たちにほんとうの幸せとは何かを教えてくれる。そして、たくさんの失敗を乗り越えて“奇跡”を実現した森本さんの生き方は、私たちに大きな希望を与えてくれる。
 東南アジアの森の中から、森本さんは私たちに厳しく問いかけている。
 君たちはほんとうに人間らしく生きているのかい、と。そして同時に、もっと自由に、夢を持って生きていいんだよと励ましてくれてもいる。
 森本さんが暮らす家は、カンボジアの伝統的な高床式の建物だ。階段を上ると風通しのよい広いベランダがあり、木々の向こうからは子どもたちの遊ぶ声や鳥の鳴き声が聞こえる。
 彼はいつも、そこに置いてある古い籐椅子に座っている。さあ、あなたも向かいの長椅子に腰をおろしたつもりで、森本さんの言葉に耳を傾けてみませんか。

聞き手 高世 仁 

主な目次

はじめに――この本が生まれたわけ
一日目❖“貧しい村”をつくる
二日目❖百姓のすすめ
三日目❖人生に無駄はない
四日目❖「点」からはじめよう
五日目❖ 新しい伝統をつくる
六日目❖「こころ」の時代へ
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