若者の10人に1人が自傷行為経験者

 タイのチェンライで行方不明になっていた地元サッカーチームの少年12人と男性コーチ1人の計13人が10日目にして洞窟内で無事発見されたとのニュース。日本の朝のニュースショーでもトップになるほど注目されている。雨のため、出られなくなり、洞窟入り口から5キロも奥に閉じ込められているという。ここからどうやって救出できるのか、雨期が終わる4ヵ月先まで待たなければならないのか。
 フジTV「とくダネ!」に、うちの撮影でも協力していただいた吉田勝次さん(日本ケイビング連盟会長)が洞窟に詳しい人としてコメントしていた。ただ、さすがに問題になっているこのタムルアン洞窟自体には入っていない。
 ところが、タイの田舎にあるこの洞窟に何度も入ったことがあるという日本人がいた。世界を旅して回っている「旅のプロ」で、彼も連日テレビにコメントを求められているそうだ。「たびいちドットコム」を参照されたい。https://tabi1.com/trapped-in-tham-luang-cave
 世の中には実にいろんな人がいるものだなあ。世界は広い。
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 いま、写真家の岡原功祐氏の『Ibasyo〜自傷する少女たち“存在の証明”』という本を読んでいる。「さまざまな経験を背負ってきた5人の女性たちの自傷行為をめぐるフォト・ドキュメンタリー」。
 リストカットの描写は読んでいてつらいが、登場するのは、他人に気を使う優しい子ばかりで守ってやりたくなる。優しい人ほど居場所がなくなる世の中なのか。
 自傷行為は、1960年代に米国で確認されはじめ、特に若い女性のリストカットが世界的な社会問題になってきた。 1970〜80年代、日本でも認知されるようになり、現在では、少なくとも1度は自傷行為を経験した人は、日本の若者で10人に1人(9.9%)いるという。とくに16–29歳の女性は15.7%にも及ぶ。(わが国における自傷行為の実態 2010年度全国調査データの解析)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/59/9/59_665/_pdf
 この多さに驚いたが、若い人に聞くと、そのくらいだろうという。
 6日の講演では、このことにも触れて、いまの文明では「こころ」も限界にきていることを語ろうと思う。
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 カンボジアの絹絣(きぬがすり)を復活させた森本喜久男さんが、去年7月3日に亡くなって1年が経った。はやいものだ。
 IKTT(クメール伝統織物研究所)のフェイスブックを見ると、森本さん亡きあと、元気に新たな歩みをする人々の姿を知ることができる。伝統は守るものではなく創るものという森本さんの教えを実践しているのがうれしい。
https://www.facebook.com/iktt.kh/
 森本さんは、リストカットする日本の若者に何と言葉をかけるだろう。もっと自由に肩の力を抜いて生きられる世の中であってほしい。