ヌスラ戦線アルカイダを離脱

 22日から節気は大暑。28日からはその次候の土潤溽暑(つち、うるおうてむしあつし)。8月2日からは末候の大雨時行(たいう、ときどきにふる)。どんどん暑くなって、ざっと雨もやってくる。
 きょうは土用の丑ということでウナギをいただく。娘に「土曜じゃなくて土用」と解説しながら。
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28日、シリアで安田純平さんを拘束しているアルカイダ系の反政府武装組織「ヌスラ戦線」が、改名してアルカイダから離脱すると発表した。

【動画に現れたゴラニ(ジャウラニ)指導者】
《「ヌスラ戦線」のアブムハンマド・ゴラニ指導者は28日、ビデオ声明を公表し、アルカイダとの関係を解消して他の反体制武装勢力とともに「シリア征服戦線」を結成すると明らかにした。「アルカイダと無関係な反体制派」と名乗ることで、米軍主導の有志国連合やロシア軍の空爆対象から外れ、他の反体制派との連携を強化することを期待した動きとみられる。
 ラニ指導者の声明や先行して出されたアルカイダ最高指導者のザワヒリ容疑者の声明(関係解消に理解を示した)の内容から、この関係解消はアサド政権打倒を優先した便宜的措置とみられている。
 国務省のカービー報道官は28日の定例会見で「米国は組織の行動や目的、イデオロギーで判断する」と述べ、米国政府としてヌスラ戦線のテロ組織指定は維持し、空爆も継続する意向を示した。
 ヌスラ戦線はシリアの反体制武装勢力と連携し、アサド政権や過激派組織「イスラム国」(IS)、クルド人勢力と抗争している。
 だが「アルカイダ系」として国連からもテロ組織に指定されているため、有志国連合やロシア軍の空爆の標的になり、米露主導の和平協議からも除外されていた。反体制派の中にも「アルカイダ系」との連携に拒否反応を示す勢力が多かった。

 だが、昨年9月にロシア軍がアサド政権支援のために空爆を始めて以降、反体制派やヌスラ戦線は劣勢に立たされている。「アフラル・シャム」や「イスラム軍」など有力な反体制武装勢力からは、「ヌスラ戦線」に対して、アルカイダとの関係を解消するよう求める声が上がっていた。》(毎日新聞)

アルカイダザワヒリ指導者】
 ヌスラ戦線はもともとは、「イスラム国」と同じ組織だったが、ゴラニ(ジャウラニともいう)指導者が「イスラム国」最高指導者バグダディと対立、アルカイダの最高指導者ザワヒリ容疑者に忠誠を誓って別組織となり、「イスラム国」とは激しく戦っている。
 シリア情勢に詳しい桜木武史さんのブログを参照。新たな組織名は「シャーム征服戦線」または「レバント征服戦線」が適当だろうと桜木さんは言う。
http://t-sakuragi.com/?p=2504

 いまロシア軍の加担もありアサド政権軍が勢力を盛り返すなか、反政府勢力の中心になってきたヌスラ戦線が「和平協議」からも外され、米露両方から爆撃を受けるという窮地からなんとか脱しようとする試みなのだろう。
 これは、安田さんの解放にとってどういう影響をおよぼすだろうか。まだ内情がよく分からないが、もしこの組織が、「テロ組織」のレッテルから脱するのに有効と考えれば、安田さんの処遇を改善し、解放へ向けての動きを促進する可能性もあるのではないか。今後を注視していきたい。
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 南スーダンでJICAの車が銃撃されていた。20日も経ってからの発表。まずいことは知らせたくないというわけだ。そして、政府はふたたび「武力紛争」ではないと繰り返した。
 《菅官房長官は(28日)午後の記者会見で、アフリカの南スーダンで現地時間の今月8日、JICA=国際協力機構の職員が乗った車が銃撃を受けたことを明らかにする一方、現地で武力紛争は発生していないとして、自衛隊によるPKO活動は継続する考えを示しました。
 この中で菅官房長官は「JICAによれば、現地時間の今月8日18時ごろ、JICAの事務所員4名が防弾車でJICA事務所から宿舎に移動する途中で防弾車に銃弾を受けたということだ。人的被害はなかったと報告を受けている」と述べました。

 一方、菅官房長官は、自衛隊の部隊が現地で国連のPKO=平和維持活動に参加していることについて、「活動地域において、わが国のPKO法による武力紛争が発生したとは考えておらず、政府側と元反政府側との間に衝突が発生したことや、治安状況の悪化をもって、参加5原則が崩れたとは考えていない」と述べ、自衛隊によるPKO活動は継続する考えを示しました。》
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160728/k10010612271000.html
 このニュースではじめて知ったのだが、JICAスタッフは事務所と宿舎との往復に「防弾車」を使っているという。どこから見ても、現地は内戦状態。待ったなしの事態である。自衛隊ははやく撤収を。