人権弾圧を「輸出」する中国

takase222015-08-20

9日の放送で徹夜から解放されたと思ったら、きのう、また次の番組のプレビュー(試写)で徹夜に。
プレビューというのは、編集中の映像をチェックする作業で、その開始が24時だったのだ。朝、仕事に出るかみさんとすれ違うように帰宅。さあ仮眠しようと横になったら電話が立て続けにかかって起こされ、寝不足で一日ぼうっとしていた。
今夜のプレビューは勘弁してもらって帰宅した。途中、近所の通りの暗がりに白い花がぽつぽつ見える。テッポウユリかなと思ったら、チョウセンアサガオダチュラ)の群生だった。かみさんによると、花の形からエンジェルトランペットともいうそうだ。
そのしげみで虫がさかんに鳴いている。ああ、もう秋なんだな。猛暑のなか、季節が確実に移ろうとしている。
・ ・・・・・・・
バンコクで爆弾テロ事件がおきた。
現場のエラワン廟といえば、観光名所で、もうもうたる線香の煙の中、踊り子たちがブラフマ神に舞を奉納するのをみることができる。
エキゾチックなタイ情緒が味わえるので、知り合いがタイに来ると、必ずここに案内したものだ。
犯人はまだ分かっていないが、イスラム過激派の犯行も疑われているという。
タイの軍政は先月、中国新疆ウイグル自治区から逃れてきたイスラム教徒のウイグル族約100人を中国に強制送還していたからだ。
タイは、中国当局による弾圧から逃れるウイグル族の主要な脱出ルートで、ここで偽造旅券などを入手してトルコなどへと移動していく。
中国に送還されれば、密出国した反逆分子として厳しい処罰を受ける可能性がある。これまでもタイで拘束されるウイグル族はいたが、中国に身柄を渡すことはなかった。
ところが今回、人権団体がこぞって非難の声を上げるなか、タイは中国の強い要請に従った。中国に逆らえなかったのだ。
こうして、タイなどの周辺国が、中国の人権弾圧を容認するように行動するようになり、それはその国の人権状況にも悪影響を与えるようになっていく。
いわば人権弾圧の輸出。
中国が大国化するなかで憂慮されるのが、こういうことだ。

いま、中国との友好をという提言をよく聞くが、ただ仲良くすればいいというものではない。
さっき、映画『ルンタ』を製作した池谷薫監督から、渋谷のイメージフォーラムでの上映が28日までといいうメールをもらった。
《中国の圧政に苦しむチベットの人々の抗議活動にフォーカスしたドキュメンタリー作品。60年以上にわたる抵抗の歴史の中で、141人ものチベット人焼身自殺というかたちで中国に反抗の姿勢を示した現実を踏まえつつ、かの国の“現在“を写し出す。》
http://lung-ta.net/
『延安の娘』、『蟻の兵隊』と中国を舞台に問題作を作ってきた池谷さんだが、今回の『ルンタ』で、さすがに今後の中国での制作はむずかしいだろう。覚悟を決めた作品なんだろうな。
早く観に行かなくては。