ウイグル人弾圧に日本からも抗議の声を

 昔のテレビ番組の再放送をよくやっている。

 私は昔テレビをあまり観ていなかった。学生時代はテレビに興味がなかったし、テレビ業界に入ったらすぐに特派員で海外に出されて観る機会がなかった。
 タイに駐在していたとき、「おしん」が現地で大変なブームになり「おしんチョコレート」が売りだされたりして、それではと私もちょっと観始めたが、タイ語吹き替えで全然分からずあきらめた。

 というわけで、古いリバイバル番組もほとんど初めてだ。
 きのう日曜、NHKBSプレミアムで1982年放送の「けものみち」(松本清張原作)をやっていた。主演名取裕子とあるのにつられて録画した。

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 甘い誘惑に奈落の底へと落ちて行く女。絶望、怒りそして開き直り。名取裕子が様々な髪形、服装で登場。濡れ場もある。あまりの艶(あで)やかさにただただ見とれてしまった。

 このドラマが女優、名取裕子を作ったと自身がインタビューで語っている。

 「私の演じた民子は26歳の役でしたが、私自身は大学を卒業してすぐの23歳でした。民子役のオファーをいただいたとき、私は芸能事務所を辞めて、どこにも所属していなかったので、自宅の電話で話をして、直接民子役を引き受けたんです。」

 当時はまだ23歳だったのか、、

 「私は民子を演じていなかったら、女優をやっていなかったかもしれない。民子を演じたことで女優をやりたいという気持ちを刺激され、自分の中のスイッチを押されたのかもしれないと思っています。」(NHK人物録)

    これは名取裕子の魅力を見せるためのドラマといってもいい。あと2回、26日と8月2日も録画しよう。
 きょうから「シルクロード」の放送も始まった。「喜多郎」の音楽だけは知っている。観てみようか。
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 お知らせです。
 【高世仁のニュース・パンフォーカス】の5回目「香港が消えた日」を公開しました。

www.tsunagi-media.jp


 国家安全維持法の施行で「一国二制度」が乱暴に蹂躙され、香港はかつての香港ではなくなってしまった。
 ところが、スイス・ジュネーブで6月30日に開催された第44回国連人権理事会では、国家安全維持法に反対したのは、日本など27カ国だけ。逆に賛成したのが53カ国とほぼ倍の国々。中国の圧勝だ。(アメリカはトランプ政権になって人権理事会から脱退した)
 このまま世界は中国にねじ伏せられるのか? 大変な時代に入った。
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 中国の人権侵害といえばその最たるものはウイグル族への弾圧だが、日本のメディアではNHKBS1の「国際報道」が何度も取り上げている。取材しにくく政治もからむので他局が手を出さないネタを、ここはよくやっている。

 先月末、「情報提供迫られる 在日ウイグルの特集で、在日ウイグル人が顔出しで取材に応じ、新疆から中国当局の情報提供を迫られる様子を暴露した。初めて見る生々しい脅迫シーンだった。

www.nhk.or.jp


以下、番組HPより
新彊ウイグル自治区出身のハリマト・ローズさん(46)。15年前、大学院留学のために来日した。日本で建設関連の仕事をした後、3年前から千葉県でウイグル料理店を営んでいる。

 おととし、平穏な暮らしが一変した。妻の親族3人が、次々と当局の収容施設に入れられたという情報が入ったのだ。故郷の家族からも連絡をしないよう求められ、現地の状況は分からなくなってしまった。ローズさんの周りにも、故郷の家族や親族が収容施設に入れられたり、連絡がとれなくなったりした人が多くいるという。

 仕事のかたわら、ローズさんは在日ウイグルの人たちで作る団体の幹部も務めている。去年からは名前や顔も出し、中国の人権状況の改善を訴えている。

 先月(5月)、故郷の兄からビデオ電話がかかってきた。兄は、見覚えの無い場所に座っていて、中国政府を批判するデモ活動に参加したかどうかを繰り返し尋ねてきた。不審に思ったローズさんは、兄に内緒で、別の携帯電話を使ってやりとりを撮影していた。

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左:ハリマト・ローズさん 右:携帯電話の画面越しの兄

ローズ:「今、どこにいますか。周りを見せてください」
兄:「私は大丈夫だ。心配ない」
ローズ:「隣に誰かいるの?」
兄:「いや、誰もいない。(携帯電話のカメラで周囲を見せる)ほら、心配しないで」

 しかし、会話を終えようとしたその時、画面に見ず知らずの男が突然現れ、話しかけてきた。

男 「中国は永遠に君の祖国だ。私はあなたと友達になり、いろいろな話をしたい」

 男は、政府組織の所属とだけ名乗り、在日ウイグルの団体の活動情報を求めた後、「再び連絡する」と伝えて電話を切った。


 2度目のビデオ電話は、4週間後だった。ローズさんから事前に連絡を受けたNHKの取材班が、その様子を撮影した。

兄:「国家安全局の人がお前と話したいと言っている」
ローズ:「本当に国家安全局の人ですか」

 兄との短いやりとりの後、情報機関である国家安全局の所属だとして、前回と同じ男が画面に現れた。ローズさんが証拠を示すよう求めると、「一般の人に見せてはいけないものだ」と前置きをして、黒っぽいものを一瞬だけ示した。撮影した映像からは、「国安」という文字が読み取れた。

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 男は、強い口調で協力を迫ってきた。さらに、ローズさんが協力すれば、見返りに日本国籍の取得に手を貸すと持ちかけてきた。

 ローズさんは、「考えさせてほしい」とだけ答え、この日の会話を終えた。深いため息をついた後、絞り出すような声で言った。

ハリマト・ローズさん
「兄にもいろいろと圧力をかけているかもしれない。すごく辛い気持ちで、どう言えばよいか分からない。当局に協力したらスパイみたいになってしまう。なぜウイグル人はこんな目にあうのだろう」

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 ローズさんと同じような問題に直面しているウイグルの人々が世界各地にいると、国際的な人権団体は指摘している。

 ことし2月、アムネスティ・インターナショナルが発表した報告書では、22か国に住む、およそ400人に行った聞き取り調査の結果、少なくとも26人が「情報提供者になるよう求められた」と回答した。

 なぜ国外のウイグルの人たちが情報提供を求められるのか。

 人権団体などは、ウイグル族の人権問題に国際的な関心が集まることを、中国当局が強く警戒していることが背景にあると指摘している。このため、国外で中国政府を批判する活動の動向を探っているというのだ。在日ウイグルの人が情報提供を求められたと話すケースは、NHKの取材でも複数確認している。

 さらに、中国国外では、みずからの住所や職場、 IDカードの番号といった個人情報を当局に提供するよう求められたという報告も多数ある。これまでにNHKが話を聞いたウイグルの人の中には、当局からの接触を恐れ、中国とのチャットや通話で使用されるアプリを携帯電話から削除したという人もいた。


 ローズさんは、悩んだ末に情報提供を拒否することを決めた。
 そして、今月18日、仲間たちと一緒に永田町の衆議院議員会館を訪ねた。国会議員に直接陳情書を手渡し、厳しい状況に置かれたウイグルの人たちへの支援を求めようと考えたのだ。陳情書では、アメリカの「ウイグル人権法」と同じような法律の制定に向けた議論を始めることや、ウイグルの問題を黙認しないという明確なメッセージを出すことを要請している。

 「私は、自分の身に起きているいろいろな状況を説明した。議員もとても関心を持って聞いてくれた。日本政府として、私たちの親戚の安全を守ってほしい、少しでも力を貸してほしい。外交やいろいろなルートを考えて、助ける道を作ってほしい」

 ローズさんは、沈黙を続けても、状況が改善する可能性は低いと感じている。むしろ、自分の身に起きている問題が国際的に広く知られれば、中国当局への圧力にもなり、故郷の家族や親族の安全を守ることにつながるかもしれないと考えたという。》

 ウイグル、香港と、我々日本国民が中国にどう向き合うかが試されている