若王子事件 伝説のスクープ

takase222015-03-31

きょうは神戸に行ってきた。
ちょっと時間があったので、新幹線の新神戸駅の裏にある「布引の滝」を見に行った。
四つの滝があり、写真は一番大きな「雄滝(おんたき)」。清々しい。
駅から歩いてすぐで、外国人の姿も多い。
山桜が木立に見え隠れする山みちを散歩して気持ちが良かった。
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サンテレビでの勝谷誠彦さんとの対談に呼ばれた。
番組は「カツヤマサヒコSHOW」(http://sun-tv.co.jp/katuya/)で、スタジオ内にバーがあり、一緒に酒を飲みながら放談するという趣向。

勝谷さんといえば、よしもと所属の「ジャーナリスト、コラムニスト、タレント写真家、コメンテーター、記者」。ときどき問題発言をして世間を騒がせている。
彼とは30年近く前からの知り合いで、一緒に米紙「ニューヨークタイムズ」に拉致問題解決を訴える意見広告を出す運動もしてきた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090225

さて、トークでは、いきなり、「日本電波ニュース」の3人のジャーナリストにお世話になった、そのうちの一人が私だという話からはじまり、私の先輩の加藤博さん(北朝鮮難民救援基金)とイラクで殺害された橋田信介さんの思い出話で盛り上がった。
加藤博さんは、1月放送のこの番組のゲストで出ていたが、勝谷さんは「週刊文春」の記者時代、加藤さんと一緒にフィリピンに取材に来て、当時「日本電波ニュース」特派員だった私と知り合ったのだった。
思い出に残る、勝谷さんたちのフィリピン取材の大スクープがある。
1986年11月、独裁者マルコスを追い出した「2月革命」の余波とクーデター未遂で騒然としていたフィリピンで、三井物産のマニラ支店長、若王子さんがゴルフ帰りに武装したグループに拉致されるという事件が起きた。
私は現場に一番乗りして関係者のインタビューをとり、これはスクープとして各局に配信された。
海外の日本人幹部ビジネスマンの誘拐事件、しかも、監禁された若王子さんの写真や音声が報道機関に送りつけられるなどしたある意味劇場型の犯罪ということで大きく報道され注目された。

1987年3月末、若王子さんは解放された。三井物産キリスト教会を通じて身代金を払ったことは明らかになったが、事件の背景と犯人像については今もよく解明されていない。不思議な事件である。
この事件に関与していたとされるのが、日本赤軍だ。87年11月、日本赤軍丸岡修が日本国内で偽造旅券を保持しているとして逮捕され、続いて翌88年にはマニラで泉水博が逮捕された。
泉水は、丸岡が主導した1977年のダッカ空港日航機ハイジャック事件で、超法規的措置で日本の刑務所から釈放され日本赤軍のメンバーになった。国際手配された彼は忠実な日本赤軍のメンバーとなり、マニラで「山口登」という名の日本人ビジネスマンとしてフィリピン人の妻と暮らしていたことがのちに判明する。

勝谷さんたちは、若王子さんが拉致される直前にプレーしていた「カンルバン・ゴルフ場」に取材をかけ、拉致当日のプレーした人の名簿の中に「山口登」の名を見つけたのだ。

若王子事件と日本赤軍との接点がはじめて確認された、伝説のスクープである。
(つづく)