フリーを恫喝した旅券返納命令 それでも行く

takase222015-03-29

急にテレビの調子がおかしくなり、スイッチが入らなくなった。
三菱電機のテレビの画面が突然消える障害が、きょう全国で発生したそうだが、うちのはシャープでこれとは関係ない。
テレビは商売道具なので、電器屋へ行った。
かみさんが、「安くなってる」と驚いている。40型が6〜7万円、展示品限りの特売で5万円。9年前ネットで買った32型は、最安値で17万円以上もしたそうだ。(よく覚えてるな)
日本のメーカーの製品とならんで、韓国のLGが展示されていたが、時代を感じる。

電器屋を出て向かいのスポーツ用品店を通りかかったら、「時間限定半額セールです!」との呼び込み。
店頭にランニングシューズがあり、急に「走ろう!」と思い立って物色した。ちょうどいいサイズがあり、定価が7千円。どうしようか迷っていると「半額セールはあと3分です!」。その声に押されて買ってしまった。
で、雨模様のどんよりした天気だったが、さっそく走ってみる。ちょっと走ってはタラタラ歩くを繰り返して1時間ほど春の花をながめながらジョギング。
コブシはもう散り始め、国立駅前の桜は7分咲きか。ユキヤナギが盛りとばかりに咲いていた。
・・・・・・
報道特集」で、フリージャーナリストの遠藤正雄さんのコバニ(シリアのクルド民族の町)取材を放送したが、この取材には覚悟が要った。
きのう書いたように、シリアに入ることを計画したフリーのカメラマンの旅券が取り上げられた。これは報道関係者、とくにフリーランスに対する「脅し」である。
後ろ盾を持たないフリーが、この旅券取り上げを見て、危険地取材を躊躇するのは当然だ。
海外取材の多い人にとっては、「失業」を意味し、飯の食い上げになる。

遠藤さんも家族のある身、いろいろ悩んだそうだ。
しかし、旅券返納命令が恐くて「行かない」となれば、実際に旅券を取り上げられて「行けない」というのと結果同じになってしまう。だったら、もう、覚悟して行こう・・・
遠藤さんはこう決断したのだという。

政府が旅券取り上げを正当化するために強調した「安全」とは、後藤健二さんのように「イスラム国」の人質になったりすることを防止するということだった。
コバニ現地には、クルド勢力の「プレスセンター」があり、次々に入ってくる外国人ジャーナリストの世話をしている。
プレスセンターの責任者は、「これまで500人の外国人ジャーナリストを迎え入れたが、事故は一件も起きていない。我々は組織的にジャーナリストを保護している。シリアの他の地域では、ジャーナリストが誘拐されたり、さまざまな事故が起きているが、ここは違う」と言っている。
つまり、コバニは、ジャーナリストが組織的に保護されているという意味で比較的「安全」なのだ。(まだ完全には戦闘が終わっていないので、「イスラム国」側からの攻撃がないとはいえないし、有志国連合の「誤爆」の可能性も絶無とはいえないが)

こうした身の安全の判断は、個々のジャーナリストがするほうが、日本政府の安全情報より正確である。
500人もの外国人ジャーナリストが入り、現地の人々が「世界にこの悲惨を伝えてほしい」とジャーナリストを求めている現実の前に、日本の「旅券返納命令」の異様さが浮き立って見える。