かつては身代金を払った日本政府だが・・

takase222015-02-09

ここにきて、発表ものでない、独自の取材にもとづく記事や過去の掘り起し記事が増えてきたように思う。
一昨日7日の朝日新聞鈴木宗男氏(元官房副長官)が、1999年に中央アジアキルギスで日本人鉱山技師4人とキルギス人通訳らがイスラム武装勢力に誘拐された事件を振り返っている。
当時、後にイラクで殺害されるジャーナリスト、橋田信介さんが、監禁中の人質へのインタビューというとんでもない取材を試み、「もうちょっとでスクープとれるというときに事件が解決してしまった」と残念がっていたのを思い出す。
誘拐から2か月後、全員が無事に釈放されたが、この解決に、日本政府は身代金を払ったと鈴木氏はいう。

鈴木氏によれば、「キルギス政府から外務省を通じ、人質解放には300万ドル(約3億円)が必要だという話があり、外務省の機密費から出した」。
日本政府は身代金はいっさい支払っていないという立場だ。「支払った」と言えば、次にまた日本人が狙われるから、これは仕方がない。
(ところが2008年になって、キルギスの交渉担当者が、同国国会で、「日本政府が支払ったとする身代金は、キルギス治安当局者間で山分けされた」と明らかにした。)
かつての政府の対応は大きく異なっていたのである。

今回の事件での政府対応を鈴木氏はこう見る。
『自己責任論』として考え、事件の対応を軽く見ていなかっただろうか。福田赳夫元首相はかつて、ダッカハイジャック事件に際して『人の生命は地球より重い』と言った。
一報をつかんだ段階で、政府を挙げて救出するという動きや関係各国との連携などがあってもいいのに、政府がバタバタし始めたのは、2人の映像が公表されてからだ」。
鈴木氏批判の番組を制作したりもした私だが、この見方には同意する。そして今後の検証をしっかりやるべきだという意見にも賛成だ。

きのう、名古屋のキオスクで毎日新聞を買ったら、日本人人質の「救出に向けた動きの一端が関係者への取材で明らかになり始めた」とのリードで、独自取材記事が一面に載っていた。
裏付けられれば、スクープである。

ひとつは、「イスラム国」が釈放を要求していたサジダ・リシャウィ死刑囚との交換交渉が28日ごろに成立目前だった可能性があること。
もう一つは、後藤さんの妻が、12月に約20億円の身代金要求メールが届いたあと、英国の危機管理コンサルタント会社に依頼し、救出にむけた交渉が始まっていたこと。
ただ、政府は身代金要求メールに「返信していない」というから、交渉にあたっていたのは妻とコンサルだったのかもしれない。
http://mainichi.jp/select/news/20150208k0000e030124000c.html

まだまだ知られていないことが多く、これからの検証に期待したいが、政府が「あらゆるチャンネル」を使って「全力で」救出にあたったことを示唆する事実は出てきていない。

その隣に、「シリア渡航表明の男性旅券返納命令」という見出しがある。
シリアに向かう予定のジャーナリスト(新潟在住)から旅券を没収したというのだ。旅券法では「名義人の生命、身体または財産の保護」に必要な場合、返納を命じることができるというが、この規定を適用した返納命令ははじめてだという。
常岡さんがガザ入れされた「私戦予備・陰謀罪」の適用もはじめてだったが、「はじめて」が多すぎる。
憲法を変える日程まで出てきた。この機に乗じて、一気にこの国の形を変える動きがはっきりしてきたように思われる。
(つづく)