危険な朝日バッシング

takase222014-10-14

もう10月半ばか。
空を見るとたしかに秋らしい雲が・・
世間は、紅白の司会がどうしたという話題になっている。年末の話をされるとちょっと焦ってくる。今年の残りの日々、もっとがんばらなくては・・と。
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誤報問題での「朝日」叩きは目に余る。
売国奴」、「国賊」などという言葉が、ネット上だけでなく、ごく普通に雑誌に現れている。今の日本の空気には危ういものが漂っている。

ちょっと話が古くなるが、慰安婦報道にかかわった朝日記者OBが勤める二つの大学に脅迫状が届くという事件があった。
まず、大阪の帝塚山学院大に9月13日、元朝日新聞記者の教授を辞めさせないと大学を爆破するという内容の脅迫文書が複数届く。
《この元記者(67)は吉田清治氏(故人)の虚偽証言に関する記事を最初に執筆したとされていた。元記者は文書が届いた日に教授を辞めた。(略)
 捜査関係者によると、文書は全て大学キャンパスに郵送され、大学を運営する法人理事長、学長、教授会などに宛てられていた。
 元記者が虚偽証言の記事を書いたことを批判する内容とともに、「辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。くぎを入れたガス爆弾を爆発させる」という趣旨が書かれていた。(略)
 大学によると、元記者は人間科学部の教授を務めていたが、文書が届いた13日に自ら申し出て退職した。》(毎日新聞9月29日)

札幌の北星学園大(札幌市厚別区)には5月と7月に。
《5月29日と7月28日、学長や学園理事長宛てに「元記者を辞めさせなければ天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける。釘(くぎ)を混ぜたガスボンベを爆発させる」などと印字された脅迫文が届いた。いずれも虫ピン数本が封筒に同封されていた。》(毎日新聞9月30日)
さらに、元記者の家族までもがネット上に顔写真や実名をさらされ、「自殺するまで追い込むしかない」「日本から出て行け」などと書き込まれたという。

これに対し、朝日新聞が10月2日の社説で「大学への脅迫―暴力は、許さない」と主張したのは当然だった。
朝日新聞は8月、過去の慰安婦報道について、女性を強制連行したと証言した吉田清治氏(故人)に関する記事を取り消した。間違った記事を掲載してしまったことに対して多くの批判が寄せられており、真摯(しんし)に受け止めている。
 しかし、だからといって学生を「人質」に、気に入らない相手や、自分と異なる考えを持つ者を力ずくで排除しようとする、そんな卑劣な行いを座視するわけにはいかない。このようなことを放任していては、民主主義社会の土台が掘り崩されてしまうだろう。
 「反日朝日は五十年前にかえれ」。1987年5月3日、朝日新聞阪神支局に男が押し入り散弾銃を発砲、記者1人が殺害された。犯行声明に使われた「反日」は、当時はあまり耳慣れない言葉だった。
 あれから27年。ネットや雑誌には「反日」「売国奴」「国賊」などの言葉が平然と躍っている。社会はますます寛容さを失い、異なる価値観に対して攻撃的になってはいないか。
 意見を述べ合い、批判し合う自由こそが社会を強く、豊かにする。戦後約70年をかけて日本が築きあげてきた、多様な言論や価値観が交錯する社会を守りたい、暴力に屈することのない社会をつくっていきたいと、改めて思う。》

まったくもって、そのとおりだ。
しかも、朝日新聞誤報がどれほどの「影響力」を持ったのかについては、実はさまざまな評価がある。
次回は、朝日の誤報による韓国側への影響は限定的なものだとする見解を紹介したい。
(つづく)