ファミリーヒストリーと自己肯定感

takase222014-10-17

夜、食事していたら、テレビがついていて、たまたまNHKの「ファミリーヒストリー」(夜10時から)が始まった。
今夜は、名取裕子。ラッキー。大好きな女優なので、じっくり最後まで観た。

この番組、通して観たのはたぶん初めて。父方、母方それぞれのご先祖がどんな人生を歩んだのか、家族をいかに大事に思っていたか、本人も知らないエピソードを取材で掘り起こして紹介していく。
みな、山あり谷ありの人生を、懸命にけなげに生きて、この自分まで命をつないでくれたことを知る。大きなものに自分が支えられていることを自覚すると、感謝と自信がこみ上げてくる。
若い人たちの間で、自分が好きになれない、自分はダメな人間だと思う人が非常に多いという。国際比較では、日本の青少年の自己肯定感の低さは群を抜く。

日本を含めた7カ国の満13〜29歳の若者を対象とした意識調査で、「自分自身に満足している」と答えた比率(%)は、
アメリカ  86.0
イギリス  83.1
フランス  82.7
ドイツ   80.9
スウェーデン74.4
韓国    71.5
日本    45.8
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html

自己肯定感を育むには、ファミリーヒストリーが「効く」はずだ。この延長に愛国心教育があるべきだと思っているのだが、これについては、また書こう。
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朝日バッシングが続いている。
なかには、日本がこうむった被害の責任をとれ、諸外国の誤解を解く努力をせよなどと、ないものねだりではないかと思われる論調もある。

この間読んだ記事、論考のなかで、興味深かったものに、木村幹・神戸大学教授の「慰安婦問題で朝日新聞は何を検証すべきだったのか」がある。
《「これはまた見事な失敗作だなぁ」。2014年8月5日、最初に朝日新聞朝刊に大きく掲載された「特集:慰安婦問題を考える」を読んだ時の率直な感想である。》
こんな書き出しではじまる木村教授の論文は、問題とされた朝日新聞の記事が与えた影響について、こう書く。
まず、82年、83年の「吉田清治」証言を取り上げた記事について
朝日新聞の報道が韓国のメディアや社会に与えた影響を、過大評価するのは禁物である。》
次に、1991年8月11日付朝刊(大阪本社版)の植村隆記者による「思い出すと今も涙 元朝鮮人従軍慰安婦を韓国の団体聞き取り」と題する記事について
朝日新聞の報道がもたらした影響が、巷間指摘されるよりも遥かに限定的であった》
その一方で、大きな影響を与えた記事もあるとする。
《数ある朝日新聞の報道の中で、従軍慰安婦問題の展開過程に大きな影響を与えたことが明らかなものがあるとすれば、それは1992年1月11日になされた「慰安所への軍関与示す資料 防衛庁図書館に旧日本軍の通達・日誌」という表題の報道である。》
《明らかなのは、最後に取り上げた92年1月11日の記事を除けば、巷間指摘されている朝日新聞の個々の記事が日韓両国の世論や、慰安婦問題の展開に与えた影響は、考えられているほどには大きなものではない、ということである。》
http://www.huffingtonpost.com/kan-kimura/comfort-women-asahi-shimbun_b_5713083.html?utm_hp_ref=tw

私は、東南アジアで日本の戦争を取材するなかで、「証言」の扱われ方には大きな疑問を持ってきた。(例えばhttp://d.hatena.ne.jp/takase22/20090324
また、私が駐在していたフィリピンでのいわゆる慰安婦調査の信頼性には多くの疑問がある。
しかし、そのことと、今見られる異常な朝日バッシングは全く別問題である。冷静でバランスのとれた評価が必要だ。
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常岡浩介さんのツイッターより
《今、公安外事3課から自宅に電話。タブレット端末のパスワードを教えないと、壊すぞ、という脅迫。当然、断りました。彼らはタブレットを破壊して中の情報を取り出すそうです。》http://twitter.com/shamilsh/status/522545464927744000

シリアに関心がなく、死に場所を求めてイスラム国行きを志願した北大生の実態を知ると、
とうてい立件できないと思うのだが・・・