今朝のNHK「週刊ニュース深読み」、深読みコーナーは「いま何が... "イスラム国"勢力拡大のワケ」で、常岡浩介さんが専門家の一人として生出演した。
http://www1.nhk.or.jp/fukayomi/maru/2014/140920.html
《欧米のジャーナリストやNGO活動家を殺害、その映像をインターネットで公開するなど残虐性の高さで注目を集める"イスラム国"。 イラクやシリアで急速に勢力を広げるイスラム過激派組織です。 組織の壊滅をめざしアメリカは空爆を拡大する方針ですが、報復による新たなテロの可能性も指摘されています。 なぜイスラム過激派組織による脅威はなくならないのか?"イスラム国"の内実とは?日本への影響とは?とことん深読みします。
常岡 浩介さん(フリージャーナリスト)
池内 恵さん(東京大学先端科学技術研究センター 准教授)
出川 展恒(NHK解説委員)》
ゲストが「何を質問していいか分からない」というほど、謎に包まれた集団なので、実際に支配地を取材した常岡さんの発言が多くなる。常岡独演会の様相だった。
番組の終わりに近づき、ではイスラム国に対してどうすればよいのか、まとめに入った。出口解説委員が「とにかく、粘り強く、国際社会が包囲網をつくっていっしょに取り組んでいかないと解決できない。手遅れにならないうちにやらないといけない」というと、
常岡さん、すかさず「僕はもう手遅れだと思っています」ときっぱり。
スタジオがざわついたところで時間切れ。おしまいになった。
生放送の醍醐味である。
常岡さん、スタジオ解説の才能もあるなあ。
それにしても、「手遅れ」とは・・
こう言い放った常岡さんは、今夜また海外へと飛んで行った。
・・・・・・
慰安婦をめぐる吉田証言につづいて、原発事故に関する吉田調書と朝日新聞の不祥事が大きな関心を呼んでいる。
この間の、メディアの朝日叩きの大合唱が見苦しい。
ネット右翼という人たちにも共通するが、何か(例えば何らかの歴史解釈や思想)を持ったうえで朝日を批判するのではなく、朝日(とそれに代表されるリベラル)を叩くために保守的な言辞を弄しているのではないか。
また、劣勢になっているものに追い打ちする、「いじめ」にも似た心理的雰囲気にも、違和感を覚える。
朝日新聞全体が一つの色、傾向に染まっている、中国や北朝鮮に迎合的だとよく非難されているが、はたしてそうだろうか。
中国の言論の自由に対する弾圧については、少なくともここ数年の朝日新聞は中国政府を非常に厳しく批判している。
中国によるウイグル民族弾圧の問題に詳しい水谷尚子氏は『中国を追われたウイグル人』(文春新書)のあとがきで、他メディアに比べて、朝日新聞がウイグル問題をよく取り上げてきたことを指摘している。
北朝鮮に関する報道では、朝日が1977年11月に、北朝鮮による拉致(宇出津事件)を他紙に先駆けて書いていたことをこのブログで紹介した。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140528
要は、記者とデスクによるところが大きいのではないか。
先般紹介した長岡昇君のブログによれば、慰安婦をめぐる吉田証言の記事(82年)、韓国人慰安婦の聞き取りを紹介した植村記者の記事(91年)など一連の記事が、ある時期の大阪社会部人脈によるものだという。
横田めぐみさんの事件を実名で初めて出したのは、1997年2月3日(月)発売の『アエラ』と産経新聞だった。『アエラ』は実際は日曜に店頭に並んでいたから、最も早く報じたメデッアと言ってよい。写真はその記事。
この記事を書いたのは、長谷川熙(ひろし)という、私の尊敬する朝日の名物記者だ。
ところが長谷川さん、朝日の慰安婦報道検証記事を見て驚き、『アエラ』を辞めてしまったという。
どうして?
(つづく)