「日没までにトルコ国境へ」新たな声明

きょう、また新たな後藤健二さんの読み上げる声明が出た。
日没までにヨルダンで収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚をトルコ国境に移送しなければ、イスラム国が拘束するヨルダン軍パイロットを殺害するというのだ。
要求が具体的にはなっており、パイロット殺害が条件の前面に出ている。ヨルダン政府は、パイロットの生存が明らかになっていないとして死刑囚をまだ国内にとどめているという
事態がより厳しくなった印象。
しかし、どう対応するかは、ヨルダン政府次第だ。我々は祈って見守るしかない。

テレビには私の知るほとんどの中東専門家が登場しているが、実にさまざまな見方があるものだと思う。
私は内藤正典さん同志社大教授)の意見に共感するところが多い。
酒井啓子さん千葉大教授)のコメントをぜひ聞いてみたいが、なぜか出てこない。きっと一味違う見方をしているはずだが。
その酒井啓子さんが、今朝の朝日新聞の論壇時評で、「今月の3点」の一つに「常岡浩介の会見録『警察の捜査が、湯川さん後藤さんの危機的状況を引き起こした』(サイトのBLOGOS)」を挙げていたのを見つけた。さすが酒井先生。
(会見録はhttp://blogos.com/article/104020/
常岡さんに教えてあげると、「酒井先生に褒めてもらえるなんて!」と喜んでいた。

テレビのスタジオで解説する識者のなかには「はずれ」の人も多い。
出てきた情報が限定されているから、どうとも解釈でき、言った者勝ちだから百家争鳴なのは当然なのだが、違和感を感じるのは、「イスラム国」は、狡猾で綿密ですべてを調べ、効果を計算しつくしている・・といった、深読みした解説だ。結果、「イスラム国」を過大評価して、巨大なイメージを作り上げてしまう。
自分たちの存在感を示す、あるいはアメリカの友好国の間の矛盾を拡大するといった抽象的な目的、意図で「イスラム国」が動いているという解釈もおかしいと思う。
私の知識の範囲でいえば、「イスラム国」の今回の行動は、お金あるいは仲間の身柄と交換するという実利を求めているだろうというのが一つ。それから「イスラム国」がこれまで殺害を予告し、有言実行してきた経緯をみると、要求が実現しないと判断すれば人質の処刑を全くためらわないだろうということ。さらに、恐怖感を煽ることは戦略であり、処刑とその公開は喜んでやるだろうということだ。

だから、今の状況をとても危惧している。