感銘うけたスコットランドの住民投票

takase222014-09-21

スコットランドの独立を問う住民投票、盛り上がりましたね。
結果は、青ざめた英国政府が、必死に懇願してやっと独立阻止。
ワールドカップにはイングランドと別々にエントリーしていたことくらいは知っていたが、住民の独立への意識があれほど高いとは驚きだった。
そもそも英国の正式国名、UK「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」だって、言われてみればどこかで聞いたな、くらいの怪しげな知識しかない。
ユニオンジャックの旗がイングランドスコットランドアイルランドの国旗を併せた図柄だとか、ロンドン警視庁スコットランドヤードと呼ぶわけなど、そのたびに「へえ!」と感心するトリビアもずいぶん教わった。
今では、あの国を「イギリス」と呼ぶのに抵抗を感じる。英国の「英」もイングランドから来ているからUKがいいのか。いや、やはりイギリスしかないか。

おもしろかったのは、日本では「ナショナリズムはけしからん」と普段言っている人ほど、独立を応援する傾向があったこと。
これは当然で、ナショナリズムそのものがいいとか悪いとかいうものではなく、特定の文脈に置いてしか論じられない。
私自身は、独立を応援した。
それは、独立派が、北欧型社会民主主義を目指しており、そういう国が一つでも増えてほしかったからだ。
独立はならなかったが、互いに国民レベルの議論を闘わせ、投票結果を認め合ったことに感心した。結果的に、英国のイメージを大いに高めたと思う。
日本も見習うべき見本ではないか。
集団的自衛権原発の再稼働、沖縄の基地問題など、国論を二分する問題を、オープンに論じ合い、必要なら住民(国民)投票をして決着する。そんな社会を築きたいと思った。
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きのう名前を挙げた長谷川熙(ひろし)さんとは何者か。
朝日新聞記者のOBで、横田めぐみさん拉致疑惑を実名で初めて書いた。さらに、朝銀(朝鮮信用組合)疑惑の追及でも先頭に立ち、『アエラ』で勇敢に批判記事を連載したことで知られる。このとき、朝日新聞の上部から記事掲載に待ったがかかって連載が予定より短くなったと聞いた。長谷川さんは社内圧力と闘いながら取材を続けた。
彼については、5年ほど前にこのブログに書いたので、関心があれば読んでいただきたい。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090805

もう81歳でどうに定年をすぎたが、『アエラ』編集部にデスクとロッカーを置いて記事を書き続けていた。
ところが、先週の週刊文春(9月18日号)によれば、慰安婦報道の検証を機に会社を去ったという。
記事には、長谷川さんの言葉がこう引用されている。
「8月5日の慰安婦報道検証記事を見て、驚いたんです。私の過去の『ある体験』と照らし合わせると、これは全く検証になっていない。実相と相当かけはなれていると思いました。(略)記者として自ら取材して真相を明らかにし、記録に残すべきだと思い至った。」
そして、8月末の土日に、ダンボールで約15箱におよぶ膨大な資料を整理、『アエラ』編集部から運び出したという。
「ある体験」とは?
(つづく)