きょうは陽射しがきびしい。
今年最高の暑さだそうだ。テレビニュースは一日中、どこそこで39度を記録したとか、熱中症に注意しましょうと暑さにちなんだ話題をやっている。
オフィスのある神田の交差点では、花壇の上にガラスの風鈴を吊るして涼を演出している。
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先日、アドラー心理学がブームだと書いた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140626
本屋をのぞくとたしかにアドラー関連の本がやたらと多い。
アマゾンで「アドラー心理学」のキーワードで検索すると、『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』が出た昨年暮れ以降すごい勢いで新刊が出ていることが分かる。
『子どもを勇気づける教師になろう―アドラー心理学で子どもが変わる』(2013年12月)
『今日から始める学級担任のためのアドラー心理学』(2014年1月)
『子どもの「自信」と「やる気」をぐんぐん引き出す本』(2014年1月)
『アルフレッド・アドラー―人生に革命が起きる100の言葉』(2014年2月)
『高校生のためのアドラー心理学入門―なぜ自分らしく生きられないのか』(2014年4月)
『アドラーを読む―共同体感覚の諸相』(2014年4月)
『超図解 勇気の心理学アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本』(2014年6月)
『アドラー心理学実践入門―「生」「老」「病」「死」との向き合い方』(2014年6月)
『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』(2014年7月)
『ありのままの自分を認める―人生を成功に導くアドラー心理学』(2014年7月)
『「もう疲れたよ」にきく8つの習慣―働く人のためのアドラー心理学』(2014年7月)
『子育てのためのアドラー心理学入門』(2014年7月)
以下は来月出版予定。
『比べて分かる!―フロイトとアドラーの心理学』(2014年8月)
『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』(2014年8月)
学級担任のための、とか部下育成とか、教育、子育て、人間関係の現場で「効く」とされるアドラー心理学の実践性が本のタイトルにも出ている。
この他に、アドラーの新訳が2冊出版されている。
日本でアドラーが知られていなかった分、こんなにすごい心理学(思想)があったのか!という驚きも加わって、一気に広がっているのかもしれない。
こないだ、娘がため息まじりに、「どうしたら幸せになれるのかな」とつぶやいていたので、とりあえず、これ読めよ、と『嫌われる勇気』を貸した。しばらくして、読んでるのか、と聞くと、「むずかしい」という。
知りあいにも「アドラーがいいよ」と薦めているが、どこがすごいんですか、と聞かれるので、じゃあ、私の理解する限りで、このブログで中身を紹介してみようと思った。
アドラーの特徴はまず、フロイトと比較することでよく分かる。
アドラーはフロイトと同時代人で、同じウィーンで活動し、1910年には、フロイトの創設したウィーン精神分析協会の会長をつとめたが、根本的に学説が対立して決別している。
最大の対立点は、フロイトの「原因論」に対してアドラーは「目的論」をとったことだった。
フロイトは、人の行動や症状には原因があると考える。過去の出来事や置かれた状況が原因だと。まあ、これは普通の考え方だろう。(フロイトは幼少期の「トラウマ」を重視する)
アドラーはこう考えない。人はある目的、目標を立て、その達成のために何かをする。この場合、人は人間関係を離れて行動することはなく、人の言動は、「相手役」である他者から何かの応答を引き出す目的をもつというのである。
怒りにかられるから大声を出すのではなく、大声を出して「相手役」を自分の意に従わせるために怒りという感情を創り出す。
不安な感情があるから外に出られないのではなく、(他人と関わりたくないなどの動機で)外に出ないことを正当化するために不安という感情を創り出す、と見るのだ。
例えば、子どもが学校に行きたくないので、自分も周りも納得できる理由を考え出す。前の晩遅くまで起きていた、よく眠れなかったとか。その正当化には無意識のレベルも動員されていて、実際にお腹や頭が痛くなったりという症状が現れたりもする。
こうなると親も仕方がないと、学校に電話して子どもが休むと連絡する。すると、晴れて休むことができるようになった途端、さっきまでの腹痛がケロリと治ったりする。嘘を言ったわけではなく、実際に痛みがあったのだが、もうその症状は必要なくなったのだ。
それは子どもの話だろうと言いたくなるが、大人も同じだとアドラーは見る。ただ、大人の場合は、もう少し手が込んでいるだけだと。
そして、ここが素晴らしいのだが、目的論をとることで、人はいつからでも幸福になることができるとアドラーは言う。
それはなぜか。
(つづく)