6日、遅まきながら、毎年行く神社に初詣。帰路、近くの古墳にお参り。
未調査らしく、ある調査報告書に「南側から観察すると1.5m程の高さ」、「南北の長さは約13m」とあるだけ。このあたりは古墳の密集地帯で、未調査のこういうマイナーな古墳もある。分からない分、妄想をかきたてて楽しい。
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イスラエル強硬派は、明らかにパレスチナの存在自体を消そうとしている。ガザで異様な虐殺を続けているのは、一人でも多くパレスチナ人を殺し、恐怖を煽って追い払おうとしているのだろう。閣僚が本音を公言した。
《【AFP=時事】イスラエルのベツァレル・スモトリッチ財務相は12月31日、パレスチナ自治区ガザ地区の戦後について、ユダヤ人に再入植を呼び掛け、パレスチナ人に地区外への移住を奨励すべきとの考えを示した。》
これに対して日本の外務省が正論を述べている。
【イスラエル閣僚によるガザ地区のパレスチナ人再定住及びガザ地区における入植に関する発言について】(外務報道官談話)令和6年1月5日
我が国は、イスラエルの一部閣僚が、ガザ地区のパレスチナ人をガザ地区外に再定住させ、ガザ地区に入植地を建設する等の発言を行ったことを憂慮しています。
入植活動は国際法違反であり、「二国家解決」の実現を損なうものです。ガザ地区が危機的な人道状況にある中、緊張を高める扇動的な発言は受け入れられず、我が国として、無責任な言動を控えるよう呼びかけます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/pageit_000001_00157.html
西岸地区でも露骨な動きが・・。
《【AFP=時事】昨年10月7日にイスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの軍事衝突が始まって以降、同自治区ヨルダン川西岸でイスラエルの入植活動が「過去に例のないペースで急増」している。イスラエルの入植活動を監視するNGO「ピース・ナウ」が4日、報告書で明らかにした。
1967年からイスラエルに占領されている西岸では軍事衝突開始以降、イスラエルの入植地が新たに9か所確認され、暴力も急増している。
西岸では約300万人のパレスチナ人が暮らす一方、49万人のイスラエル人も入植地で暮らしている。こうした入植地は国際法違反と見なされているにもかかわらず、イスラエルは承認している。
ピース・ナウは報告書で、今回の紛争開始以降、新規入植者が「記録的な」数に上っているとした上で、西岸で一部入植者によるパレスチナ人を「排除する」動きが増加していると指摘。》
我々から見ると「狂気」が支配しているかに見えるイスラエル。暴走をどうやってとめられるのか。暗澹たる気持ちになる。
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新たな年がはじまり、また一つ歳をとる。高齢になると、知力も体力も下り坂になる。だが、これから向上をめざせるものもある。例えば人格を高めていくことだ。これは死ぬまで追求できるまら、努力しがいがある。
人格、パーソナリティといっても曖昧模糊としているが、これに理論的な解明を試みた心理学者がいる。アブラハム・マズローである。マズローの名が知られたのは、「欲求の階層理論」(あるいは「欲求五段階説」)によってだ。これを岡野守也『トランスパーソナル心理学』の記述を引用、参照して簡単に説明すると―
人間の衝動・動機・欲求は、それ自体はけっして悪いものではなく、中性的あるいは良いものである。人間には、生得的・本能的で、基本的な諸欲求(need)があり、それらは並列的ではなく、階層的に存在している。
人間の欲求には①生理的欲求、②安全への欲求、③所属と愛の欲求、④承認欲求、⑤自己実現の欲求と階層性があって、低次の欲求がある程度満たされると、次のより高次の欲求が出てくる。つまり、欲求の充足は人間性の成長を促進する、健康なパーソナリティを作るという。人間性の基本に関わる画期的で説得的な仮説だった。
例えば、母親に虐待を受けている子どもを児童相談所が保護しようとすると、子どもが母親にしがみついて離れないという事例がよくあるが、これは愛情(③)よりも安定(②)を求める気持ちの方がより低次で優先的で、より強い欲求であることを示す。
この理論に対して、いくら物質的に豊かになって生理的欲求が満たされても、果てしなく金を欲しがる人がいる、いくら偉くなって人に認められても、果てしなく権力を求める人がいる、やはり欲求の追求は悪を生み出すのではないか、人間には禁欲が必要ではないかという反論に、マズローはこう答える。
基本的諸欲求が適当な時期に満たされないと、子どもは脅威にさらされ、心理的外傷を受け、後々までそれに病的に執着・固着するようになる。自然で限度のある「基本的欲求」が、歪んだ際限のない「神経症的欲求」に変ってしまう。
例えば、子ども時代、親に「えらいなあ」「いい子ね」と認めてもらえないまま育った人が、名声や権力など自分がこれが欲しいと思い込んでいるものを追求すると、いくら得ても満足できないといったケースである。ある時期に、ある限度を超えて基本的欲求が剝奪されると、人間は「神経症的欲求」に駆られる「神経症的パーソナリティ」になる。悪は、生まれつきの本性からではなく、基本的欲求が満たされない心理的・社会的に不健康な状態の結果としてのパーソナリティの歪みから生まれるというのである。
禁欲が必要なのではなく、むしろ適当な時期にその時期に応じた基本的欲求をしっかり満たすことが健全な成長をもたらすという、希望に満ちた理論である。
フロイトなど人間を暗い側面から捉えるのではなく、人間の全体性、好ましく、高次な側面に焦点を当てた明るい心理学をめざし「人間性心理学」を確立した。
彼は心理的に健康な人間=「自己実現的人間」の特徴を17挙げている。要するに「すばらしい人格」とはこういうものだとマズローが提示しているのである。私の知る、人柄のすぐれた人にもたしかに当てはまると思う。また、私たち自身の人格形成の目標にもできると思うので紹介したい。
1.「現実をより有効に知覚し、それと快適な関係を保っている」ことである。
知性も意志もよく発達していて、現実に十分適応している。「狂気」と紙一重の天才ではない。
2.「自己、他者、自然に対する受容的態度」である。
自分に満足しており、他人を受け入れることができ、自然を愛している。なかなかできないことだ。
3.「自発的な行動」である。
強制されていやいやではなく、自分の意欲や意志で日常の行動を行うというのである。
4.ものごとに対して「自己中心的ではなく、問題中心的である」ことである。
ある問題に対して、自分の都合を優先するのではなく、その問題自体がうまく解決されるように考える―かなり難易度が高い。
5.「孤独、プライバシーを好み、欠乏や不運に対して超然としている」ことである。
さみしがりで他人に要求ばかりしている、何かがない、おれは不運だとグチばかり・・というのと逆。
6.「文化や環境からの自律性」である。
流行や評判や周りの意見、時代の価値観に振り回されず、自分で考え判断する能力である。
7.「人生の基本的に必要なことを繰り返し新鮮に、無邪気に、畏敬や喜びをもって味わうことができる」ことである。
特別なことだけでなく、日常生活のルーティーンにも日々新たな気持ちで向き合い、空の雲や風にも心を動かし、道ばたの草花にもゆたかな感受を示す。
たしかにこういうパーソナリティなら人生を深く生きていけそうだ。私も心がけたい。
(8以降つづく)