ライフスタイルは選び直せる

takase222014-08-22

先日、無理な土地造成が日本全土でなされたことを書いたが、21日の朝日新聞でも同様の指摘をしている。
《崩れやすい斜面のすぐそばまで住宅が建つようになったことも被害を大きくする要因になる。東京電機大の安田進教授(地盤工学)は「本当は山際まで開発しないのが合理的だが、日当たりがよかったり、水を取りやすかったりするため、人が住んで危険なところがたくさんある」と言う。
 国土交通省も「新たな宅地開発が進み、それに伴って土砂災害の発生するおそれのある危険な場所も年々増加している」と認める。これまでに都道府県が指定した土砂災害警戒区域は全国で約35万カ所に及ぶ。
 京都大防災研究所の釜井俊孝教授(応用地質学)は「高度成長期以前には今回のような災害は少なく、都市化がもたらしたと言える。土地の性質をよく理解した上で住まいを決めることが重要だろう」と話す。》

それぞれの自治体のハザードマップを参照して、自分の居住地の「土地の性質」を知っておくようにしたい。
ただ、問題は、自治体ごとの意識の差が激しく、予算不足を理由に調査を進めていないところ、また土地価格下落を嫌う住民の抵抗でマップを公表していないところもあるという。
マップも形式がばらばらで、見にくいものも多い。写真は岡山市岡山市土砂災害危険箇所マップで、分かりやすい。
国が自治体の尻を叩いて調査、結果公表とそれにもとづく防災対策の強化をしてほしい。
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さて、久しぶりのアドラー心理学
おさらいすると、
アドラー派は、まず個人が自分の行動を決めるのであって、外側の出来事が決めるのではないと考えています》(アレックス・チュウ)
つまり、過去、環境、情動に支配されているのではなく、目的(何かをやるとかやらないとか)のためにそれらを理由として使うというのだ。

アドラー心理学の本を読んでいると、「逃げ場」が無くなるようで、つらくなることがある。
『嫌われる勇気』から
《わたしの若い友人に、小説家になることを夢見ながら、なかなか作品を書き上げられない人がいます。彼によると、仕事が忙しくて小説を書く時間もままならない、だから書き上げられないし、賞の応募に至らないのだそうです。
 しかし、はたしてそうでしょうか。実際のところは、応募しないことによって「やればできる」という可能性を残しておきたいのです。人の評価にさらされたくないし、ましてや駄作を書き上げて落選する、という現実に直面したくない。時間さえあればできる、環境さえ整えば書ける、自分にはその才能があるのだ、という可能性のなかに生きていたいのです。おそらく彼は、あと5年10年もすれば「もう若くないから」とか「家庭もできたから」と別の言い訳を使いはじめるでしょう》(p55)

《あなたは、「仕事の内容が不満だから、やる気が出ない」のではありません。「やる気を出したくないから、仕事内容への不満を列挙」しているのです。》http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140626

胸に手を当てて考えてみると、その通りですと言わざるをえない。

では、そういう考え方のパターンをなぜ選ぶのか。
小説家志望の人の例で言えば、思い切って賞に応募して落選し、さらに奮起して精進する、あるいは見切りをつけて別の道に進む、などという生き方もできるのに、なぜ彼は「逃げる」ことを選んだのか。
それをアドラー心理学では、「ライフスタイル」という概念で説明する。
ライフスタイルとは、世界観・人生観・性格を含むような、ものの見方、考え方のくせ、信念と言い換えていいだろう。その基本的な部分は、かなり早くに形成されるという。
アドラーは、ライフスタイルは4〜5歳で作られるとしたが、現代アドラー心理学では10歳前後と修正されている。そしてそれは個々人が選び取ったものだとアドラー心理学では考える。
選び取ったものであれば、選び直すことができるはずである。
それは、人生を生き直すということだ。
人間の主体性に信頼を置くのがアドラー心理学の特徴である。