「ザ・スクープ」原爆と原発が金メダル

takase222014-07-08

きょう、六本木の東京ミッドタウンに初めて足を踏み入れた。
そこのレストランで開かれた「ザ・スクープ」受賞祝賀会にお招きいただいたのだ。

テレビ朝日は9日、元毎日新聞記者の鳥越俊太郎氏(74)がキャスターを務める報道番組「ザ・スクープスペシャル」が、国連が共催する世界最大級のメディアコンテスト「ニューヨーク・フェスティバル国際テレビ・映画賞」政治部門で金メダルを受賞したと発表した。受賞番組は、2013年8月11日に放送した特集「戦後68年特別企画 原発と原爆〜日本の原子力アメリカの影」東京電力福島第1原発事故から広島原爆投下までさかのぼり、日本の原子力政策と米国との関係を解き明かした。》(毎日新聞4月9日)

原爆と日本の原発がひとつながりになっていることを検証した番組が、アメリカで評価されたというのはすごい。
写真は、メダルを披露する鳥越キャスター。

ザ・スクープという番組は、1989年にはじまり、今年で25年になる。
週一回の報道番組だったが、テレ朝が2002年に突如打ち切りを発表。民放を代表する硬派報道番組がなくなることを危惧したジャーナリストや研究者、弁護士らが「存続を求める会」をつくり署名運動までやった。結果、年に4回「ザ・スクープスペシャル」という形で存続してきた。
ところが、次第に企画が通らなくなり、年4回も危うくなっている。最後に放送されたのは去年8月で、それが受賞作の「原爆と原発」だった。
もう番組廃止かというタイミングでの受賞で、関係者によれば「首の皮一枚つながった」という。
「今回の受賞の結果、局のトップは、このまま打ち切りにするわけにもいかず」(関係者)「原爆と原発」の再放送と8月の新企画での放送が認められたそうだ。
再放送が8月8日深夜、新企画の「ザ・スクープスペシャル」の放送が8月10日の予定だ。1年ぶりの放送ということになる。
報道番組「冬の時代」を象徴する話である。

参加者からは、今のテレビのあり方への危機感が訴えられた。この番組には存続してほしいし、テレビで報道がもっと重視され、検証取材が盛んになってほしいと思う。

ザ・スクープ」は、私にとっても特別な番組で、1997年2月には、横田めぐみさんらしい日本女性を平壌で目撃したという亡命した北朝鮮工作員の証言を放送。これは初めての直接証言で、大きな反響を呼んだ。
横田さん夫妻を訪ねて、この証言を聞いてもらったのが、夫妻との最初の出会いだった。
ザ・スクープ」は北朝鮮の謎を検証する「北朝鮮の闇」シリーズで、拉致問題をはじめ、核・ミサイル、偽ドル、帰国事業、金ファミリーの内幕、脱北者など様々な角度から北朝鮮を検証した。
結果、よど号犯本人から、名誉棄損だとして、この番組とともに私も個人で訴えられ、2年におよぶ裁判を闘ったこともあった。

田丸美寿々さん、麻木久仁子さんはじめ、懐かしい面々に会い、楽しいひと時を過ごすことができた。思い出話にひたるだけではなく、これからもやるぞという気概ももらって帰ってきた。
ザ・スクープ」が年4回の特番化したのが2003年、テレ朝・朝日放送の「サンデープロジェクト」が打ち切りになったのが2010年。我々が報道系番組を手掛けることは急減したが、これからどうしていくか、模索が続いている。